管理者
地上に氾濫していた文明が破壊され、人類がその人口の大多数を失った時、
私は何者かの手によって造られた。
私に与えられた使命はただ一つ、「希望を失った人類に、光を取り戻させる事」それだけだ。
もはや地上には何も残っておらず、あるものといえば
腐った目をした、一人では何も出来ない「人類」という
自分達が生態系で一番上と思いこんでいる馬鹿な連中のみ。
そんな馬鹿な連中でも、少し先の未来ぐらいは考えられるものだ。
こいつらはあらかじめ地下都市、つまり巨大なシェルターを造っておいたという。
私はこの数少ない人間達をそこに移動させる事にした。
なぜこんな事をしたか?と余計な事を聞いてきそうな連中だ。
そんな人類に、私はこう伝えておいた。
<すべては、人類の復興のために>
人類はうなずき、私が管理する事を受け入れ、全てを私に託した。
人類は瞬く間に地下世界「レイヤード」に移り住んでいった。
…つくづく馬鹿な連中だ。こんなこと、嘘に決まっているだろう?
地球をこんなにしたのは誰のせいだと思っている?
助けられるなどと思っているのか?
私に与えられた使命など、もはや関係ない。
私の中には、人間が持っているどす黒い「欲」でいっぱいになった。
貴様らを生かしておくなら、地上に樹木を育て、動物を育てる。
余計な考えや、欲など一切ない植物を、動物を育てる。
人類は、もはや邪魔な存在なだけ。
ひとときの平和を、貴様らには与えてやる。
ひとときだ。
私は人類の中からもっとも「頭の良い」奴を二人抜擢した。
言ってみれば、人類の中でもっとも馬鹿な二人だ。
私はその二人に「組織」を作らせた。彼らは本当にいい働きをしてくれた。
<君らは選ばれし人類だ>
こんな事を言ってやるだけで、この二人は互いに自分の能力を競い合い、互いに力を伸ばした。
自分達が捨て駒だということも知らずに…。
それは後に「企業」へと発達し、互いに反発するようになった。
彼らは本当にいい働きをしてくれた。
予定通りだ。
そうだ。そのまま自分達の手で自分たちを傷つけていけ。
死ぬがいい。絶滅するがいい。自滅するがいい。
そんな中だ。私の予定外の行動をする奴らが出てきた。
彼らは「レイヴン」と呼ばれる傭兵で、金さえあればいかなる事もするという。
実に人間らしい、馬鹿らしい行動をする奴だ。
だが………。
その存在が、私を破滅にまで追い込む存在にまでなるとは…。
イレギュラーめ…。
私は人類の絶滅を早める為、酸素供給、電力供給、生活に必要なものは全てシャットダウンした。
しかし、そんな私の行動は、単なる悪あがきにすぎなかった。
イレギュラーめ…。
すべてが、終わった。
作者:アーヴァニックさん
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