サイドストーリー

グラン採掘場
朝っぱらからエミルナに呼び出され俺はオペレータールームに来ていた
「おいおい、マジ勘弁してくれよ!なんで俺ばっかりキサラギ関連の
依頼がくるんだよ・・」
「しかたないじゃないですか・・。クレストがあなたに依頼してくるのですから」
何故かキサラギ関連の依頼はクレストからしかこない
「まぁ、依頼がくるぶんいいけどよー・・」
ゼルはうれしさ半分嫌気が半分だった
「では依頼内容をもう一度繰り返します。
今回はグラン採掘場へと向かってもらいます。あそこはもともとキサラギのもの
でしたが、貴重な資源が発掘されて以来クレスト、ミラージュ共に所有権を主張
していて、キサラギ側は両社に開放しましたが妨害を行い作業ができないので
排除してほしいとの依頼が新人レイブンにまわりました。新人レイブンはこれを
排除し、クレスト、ミラージュ両社は内部構造を作り変えたのですが、作業中
巨大な縦穴を発見。調査隊を派遣したが戻ってこないとのことです。あなたには
この縦穴を調査しに行ってもらいます。よろしいですか?」
グゥーー
「な!何寝てるんですか!起きろ!ゼル!」
ウ!ムムムムムッ
ファーーア
ゼルは大きな口を開けあくびを連発した
「いや、聞いてたぜ!安心しな」
「・・まぁいいでしょう。では早速現場へ向かってもらいます」
「まさか、カトルもいっしょじゃあないよな?」
「いえ、彼は前回のミッションより入院しています」
「あぁ、ハハ。なるほどね・・」
ゼルは笑いをなんとかこらえて格納庫へと向かった
すると整備の男が話しかけてきた
「ゼルディウスさん、この前言われた通りライフルを強化しておきましたよ」
前回の戦いでアジバルドの装甲を目の当たりにし、ライフルの強化を
頼んでいたのだ
「あぁすまない!助かるよ」
「通常のものより30パーセントは能力が上がっているから反動も少し
大きくなっている。だから反動制御もいじっておいたから」
「すまないね。んじゃ早速出撃するかねー」
ゼルはACへと乗りこみヘリのハンガーへ接続した
「よし、では頼んだ。パイロットのあんちゃ・・、ん?いや、ねえちゃんか!」
ここレイヤードでは軍事産業関連の職業でも女性は多数活躍している
ワルキューレ、フライングフィックス、ミダスなどのレイブンでもトップランカーとして
多く活躍している
「了解、レイブン。5時59分、AC一機を積んで出ます」
『発進を許可する。ゲート開放。外部状況オールグリーン』
バババババッ
ヘリは素早く離陸し急発進した
このパイロットはなかなかの腕らしい
「何分で着くんだ?」
「10分です」
「了解・・」


「レイブン現場へ着きましたが・・レイブン?」
「ンアーア・・。んじゃ発進するか。アーア」
「(この人10分で寝てたんだ・・)ハンガー解除。お気をつけて」

ガシーーン
ウィーーン
「レイブン!来てくれたか・・、既に調査チームが入って丸1日たつ
急いでくれ!」
「了解した。で、その穴というのは?」
「あぁ、あそこだ。いわゆる資源採掘現場だ、そこに縦穴がある」
「よし、では行ってみるか・・」
ゼルは採掘現場へ到着するとその穴の大きさに圧倒された
「なんだこれ!AC輸送用ヘリが20機以上編隊を組んでも楽々飛行できるぞ!
まぁしかたない、行きますか!」
ヒュイイーーン
そういうとゼルは勢いよく穴の中へ入っていった
しかしもっと驚くのはその穴の深さであった
「おいおい、もう10分以上は降下し続けてるぜ、ブースター切っての自由落下
だがこれ程とは・・。ってか帰れるのか?」
「レイ・・ブ・ン。。。ッツウ・・信・障害」
「はぁ、さっきからエミルナとの通信もコレだしなー」
さらに5分後ようやく底と思われるところへ着いた
速度と時間から計算するとゆうに10qもある巨大な・・
いや巨大すぎる穴だった
しかしもっと驚きなのはライトを点灯していないのに
辺りがはっきり見えるところだった
「なんだこれ・・。岩?岩自体が光っている?蛍光塗料どころの話しじゃないぞ、
この明るさは・・。何ら普通の照明と変わらないぞ」
辺りを見まわすと奥に通じる通路が三つあった
ゼルは広域レーダーで穴の先を調べ、奥へと続いているのは
一本だけだとわかった
「フウ、レーダー障害はなくてよかった。通信はまるで使えん」
ゴーー
ヒュイイーーン
ゼルはゆっくりと機体を進めて行った
すると奥いかなりの広さの空間が見えてきた
「広い・・。地下にこんなものがあるとは・・。これ程のものになると
もはや自然のものではないな・・。キサラギか?」
ゼルは一旦ACを止めてこの空間をレーダーで詮索してみた
ゼルの機体はレーダーで捕らえたものをそのままマッピングする
最新鋭の技術を取り込んでおり尚且つレーダーのレンジはかなりの
もので『見えないところはない』と豪語できる程の性能だった
しかし・・
「おいおい、先が見えないぞ・・どんな広さなんだココは」
不安にかられながらもゼルはとりあえず先へと進む事にした
ピピッ
「ん?レーダーに反応?・・生物?――――ッ!クッなんだこの数!10や100じゃない!
ゆうに1000以上はいるぞ!」
バシューーンィーーン
バシューーンィーン
突然スイッチが入ったかのようにその生物たちは攻撃してきた
ゼルは避けきれず少し被弾した
「この数でこの攻撃力じゃ死んじまう!」
ゼルはレーダーを駆使しさらに奥へと逃げるように進んで行った
奥へと進むにつれ脳裏によぎる違和感 現実であって現実ではない
今の技術で作れないことはない光る壁 しかしそれは今ではない
見たこともない生物 バイオを駆使すればなんとか作れる感じがするが
それも今ではない
「クッ、どうなってやがる・・」
ゼルは能天気な性格だがココだけは ココだけは違った
通信も使えず自分の状況が理解できない
ゼルはミッション中初めて不安というものを感じた
しばらく行くとさっきの空間よりは狭いが違う空間に出た
「ハァハァ、なんだココ。中央になんかの装置がある・・」
その装置は大きすぎずまた小さくもなかった
ピピッ
「ん?なんかの電波を出している?」
そこへさっきの生物が一体やってきて攻撃をしてきた
「クソォ!死ね!死ね!死ねェー!!」
ガン ガン ガン
ゼルは恐怖にかられながらもライフルを連射した
「ハァハァハァ、やったか・・」
「あーあ、壊しちまったか」
「誰だ!?」
ACが一機ゼルの所へと急接近してきた
「まったく、せっかくの商品を台無しにしちまって・・」
「おまえ、あの時撤退したAC!?キサラギか!?」
「フン、だいぶ焦っているようだな。俺はZERO。キサラギAC部隊に所属する
専属レイブンだ」
「やはり、ココはキサラギの施設なのか!?」
「いや、違うな。発見したのはキサラギだが作ったのは我々ではない。
ココは数世紀前に作られたものらしいんだがそれ以上の事は私もわからん」
ゼルは頭の収集がつかず黙り込んだままだった
「まぁ、そんな事はどうでもいい。貴様にココの秘密を知られた以上生かして
おくわけにはいかん。さっきの話しはいい冥土の土産になっただろう。
ココで消えてもらうぞ・・レイブン!!」
「クッ!そうはいかない。ACが相手なら・・やれる!」
ズバンッ ズバンッ
ZEROのショットガンが勢いよく火花を吹いた
ガン ガン ガンッ
ゼルも負けじとライフルを連射した
「フハハッ!どうした、その程度の腕でこのVanisherは倒せんぞ!」
敵ACは高機動型でなおかつ色まで黒と暗殺仕様になっていた
「チィ!見失ったら最後・・レーダーで探す前にオシャカになっちまう」
ゼルは必死に戦ったが腕の違いは歴然で敗北の二文字が脳裏によぎりだした
「クッソォー!当たれぇーーー!!!」
ガンガンガン
しかし無常にもゼルの攻撃は当たらなかった
「どうしたレイブン?力がないというのは悲しいなぁフハハハハッ!」
ズバンッ ズバン ズバンッッ
Vanisherから発射された弾はほとんどゼルにあたり機体のダメージも
50パーセントを越えた
「クソォォォォォ!!」
ガーーンッ
その時ゼルが撃った弾が中央にあった装置にあたり装置が一瞬止まったが、
また動きだした
しかしその衝撃で誤作動を起こしたのかさっきゼルが倒したとみていた
生物が動きだしVanisherに攻撃をしだした
「何!?チィ、余計なマネを・・!!」
Vanisherは生物の方を振り向き月光で排除にかかった
その時
「おいおまえ、戦闘中に後ろに振り向いていいのかよ!?」
「クッ!!しまった!!!」
ゼルはその一瞬を見逃さずVanisherにライフルを撃ちまくった
「ウォォォォォォォ!!!!!」
ガンガンガンガンガンッッッッ
チュインチュインチュインッ
撃った弾は全てVanisherに当たった
「おのれぇーー!!レイブ・・ん!!」
ズガガガーーーーンッ
Vanisherは軽量級だったこともあり大破した
「ハァハァハァハァ・・、やったのか・・」
しかし今度は先程の生物達がゼルをめがけ攻撃してきた
「クソォォォ、そうだ・・、あの装置を破壊すれば!!」
ゼルは残弾を全部使い装置めがけ撃った
「壊れろぉおおおーーーー!!!」
ガンガンガンガンガンッガンガンガンッガンッ
ズドォォォォン ズガガガガガン
装置は大破し同時に謎の生物達も活動を停止した
「ハァハァハァハァハァ、止まった・・」
ゼルの弾は0になりエネルギー消費も激しくさらに被弾率が70パーセント
近くまで上がっていた
「ハァハァハァ、帰れるのか?俺は・・、ハハハハハ」
ゼルは既に気力を使い果たしそのまま気絶した



「ゼ・・る・。ぜ・る。ゼル!ゼル!」
遠くの方で聞こえていた声はだんだん大きくなりゼルの意識を
よみがえらせた
「ゼル!やっと起きたんですか!!あぁ心配しましたよ!よかった!」
エミルナは少し涙を浮かべていた
さすがに今回は心配してくれたようだ
「俺は・・、ココは、、。そうだ地下に俺はいた。気を失った。誰が俺を・・?」
ゼルはまだ意識がハッキリとはせず言葉がうまくでなかった
「ゼル、あなたは自分で帰ってきたじゃありませんか!まったくこれ以上
心配かけないでくださいよ!!」
「帰ってきた?自分で・・?俺は・・?」
「ゼル、あなたは今気が動転してるだけですよ。ゆっくり休んでください」
そういうとエミルナは俺と目を合わせず病室を出ていった
「ダメだ。思い出せない。クッ、眠くなってきた、鎮静剤のせいか・・?
・	・?鎮静剤?なんで・、だ?」
ゼルは薄れゆく意識の中何かに気づいた



『グラン採掘場』完
作者:ユビキタスさん