サイドストーリー

制海権奪取
あの日から数週間たった
あの後スグに退院し仕事に復帰したが
誰もあの日の事は教えてくれない
エミルナを1日中追いかけ回し聞き出そうとしたが
彼女はスグに話題をかえごまかしてきた
あれからいくつかのミッションをこなしてきたが
あまり気乗りはしていなかった
何故教えてくれないのか
それすら俺には分からない
だがこれだけは知っていた
あそこにもう一度行けば・・


「フゥー、疲れた」
カパッ
ゼルは缶コーヒーのフタを開けて一服しだした
「最近、クレストからの依頼がこないな。あの日依頼全部ミラージュからだ」
その時休憩ラウンジに館内放送が響きわたった
『ゼルディウス・ハッティマン、オペレーター室に10時30分集合』
エミルナの声だった
「フゥー、まだ一服しきってないのによ。依頼か・・」
ゼルはミラージュの依頼だと期待していた
自分を知るのが怖くクレストからの依頼がくるのを怖がっていた
「遅いですレイブン。すでに20秒も過ぎています!」
「(に、20秒?)ハハ、悪いな」
「宜しい。では今回の依頼は・・」
ゼルは顔にこわばった表情を隠せないままエミルナの話しに耳をやった
「ミラージュとクレストからのものです」
「ミラージュとクレスト!?合同で依頼だと!?バカな!」
ゼルはエミルナに表情を読まれないように大きな声で言った
「事実ですレイブン。今回は両企業合意そろって依頼をしてきました
無論、同じ依頼が同時にきたわけでもありません。今回はこのままミラージュの
兵器開発工場へと向かってもらいます。依頼内容はそちらで聞いてください」
「あぁ、了解した」
ゼルはクレストだけじゃなくてよかったと思いながら
格納庫へと向かおうとしたがエミルナが止めた
「ゼル、今回あなたのACは使いませんから」
「なにぃ!?ACなしで何をやれっていうんだよ!?」
「さぁ、私にも分かりませんが。とりあえずミラージュへ向かってください」
「あぁ、分かったよ」
そう行ってゼルは再び格納庫へと向かおうとしたがまたエミルナが止めた
「ゼル!」
「なんだ、まだあんのか?」
「気をつけて・・」
「・・。あぁ」
エミルナの声は本当に俺を心配している声だった
格納庫へ着いたゼルはヘリへと乗りこみミラージュの施設へと向かった



ミラージュの施設へ着くと早速依頼内容が説明された
「ここ最近オルコット海で我らの輸送船や調査船が破壊されるという事件が多発している
事件を調べたところどうやらキサラギの仕業らしい事が判った。キサラギは水中より攻撃して
きており、我らも水中MTを多数投入したが、ことごとくこれを撃破。どうやら相手はMT
ではなくACという事が判った。やつらは制海権を握るため水中のACを開発したらしい
そこで我らミラージュとクレストは合同で水中型試作ACを開発。君にこれに乗って出撃して
もらいたい。もちろん報酬はそれ相応のものを用意している」
「あぁ、それはかまわないんだが・・」
「何か?」
「ん、いや、そういう成功率が低そうなミッションをなんで俺に頼むのかなーって」
「それは決まっている。君より優秀なレイブンがもし事故でケガでもしたら・・」
「あー、なるほど。って俺はいいのかよ!?」
「既に君のオペレーターより了承を得ている」
「(あいつめ!)わかったわかった!で、そのACってのは?」
「隣の格納庫にある。着いてきたまえ」
ゼルとミラージュ関係者は隣の格納庫へと進んだ
「これかっ!!」
「そうだ。このACは新作ではなく既存のACパーツを水中用にしたものだ
脚部にフロート型を改造したものを用意。その他のパーツは全体的に重量アセン
になっている」
「で?水は入ってこないわけ?」
「無論だ。我らの技術力をなめてもらってはこまる。まぁもちろん被弾すれば
別だがな」
「そりゃごもっともで」
「では、早速現場へと向かってもらう。ACはヘリに積んでおくので君は
耐圧スーツを着用したまえ」
「耐圧ぅー?そんな深く潜るのかよ!?」
「調べた結果では水深500m付近からの攻撃だからな」
「なーるほどね。ん?これを着ればいいんだな」
ゼルは耐圧スーツを着用したがこれがなんとも・・
「クッ・・」
「今笑ったろ!?チクショー!!」
なんとゼルは足がちとばかし普通の人より短く丈が余っていた
「ま、まぁいいさ。んじゃ早速行ってやるよ!」
「では、頼んだぞレイブン」
ゼルはACへと乗りこみヘリは出発した



「現場上空に到着。これよりACを投下する」
ガシャーーーン
勢いよくハンガーが切り離されACは水面下へと入っていった
するとミラージュのオペレーターより通信がはいった
「どうもレイブン。今回に限りあなたのサポートをさせてもらいます
ミラージュ情報技術方面部隊第321師団海上技術部隊所属・・」
「分かった分かった!!長いよ!今回限りなんだろ!?」
「これは失礼。私はヘネシー・ドンペリ。宜しくレイブン」
「あぁ、頼んだぞ。で、俺はどうしたらいい?」
「今回偽の情報を流しておりポイントX-322・Y+988の地点に偽の輸送船を
配備しています。そこへ向かい敵の出現を待ってください」
「わかった。では早速潜航する」
ズバァーーン
ゴボボボボボボ
「これが、海の中か・・」
ゼルは生まれて初めて海中というものを見た
「レイブン、浮かれてる暇はありませんよ」
「分かっている。ではポイントへ向かう」
シュイーーーーーン
ズバンッーーーーー
水中で動くACなど、どんなものかと思ったが以外と軽やかに動いた
「結構早いな。しかし、キサラギが制海権を取る位で水中型ACなど
作るのか?なにかありそうだが・・」
そうこう考える内にポイントへと着いた
「ではレイブン。そこで待機していてください」
「なぁ、もし現れなかったらどうするんだ?」
「いえ、現れます。クレストの情報によれば確実に現れるそうです」
「(またクレストか・・)分かった。ではココで待機する」
ここオルコット海は特にこれといった資源はなく主に漁業などの
産業が盛んだ しかしレイヤードでは数少ない『水』の資源庫であり
各企業の争いが無くならないのは確かである しかしココは元々キサラギ
が独占状態に近い運営をしているので今回の事件はまるで
合点がいかないのである
「しかし海の中ってのも殺伐としてんなー。魚もたくさんいるわけじゃないし
ましてや珊瑚なんてないしなー・・」
ゼルはブツブツ言いながら敵の出現を待った
その時
ピーピーピー
「レイブン敵の出現を確認。問題のACのようです。撃破を!」
「よしきた!」
ゼルは敵ACへと急接近し距離1000で攻撃を開始した
ズバゥーーーン ズバゥーーーン
「チッ!レイブンか!水中用ACを組みたてていたのか!」
敵ACは回避行動に移った
「さっさと落ちやがれッッ!!」
さらにゼルは攻撃を加えた
「チッ!本部!レイブンだ!どうすればいい!?」
敵ACのパイロットは指示をまった
「撃破せよ。もはや感づいているかもしれん」
「了解した!レイブン覚悟しろッ!」
ズゴォォォォーーン
  ズゴオォォォォーン
敵ACは水中用のライフルで攻撃をしてきた
「チッ!当たるかよ!これでもくらいな!!」
バシュン バシュン バシュン
ゼルは魚雷を発射した
「クッ!そんなものまで持っているとは!」
だが敵はデコイを発射しこれを回避した
敵の水中用ACはゼルが乗っているものと違い完璧に水中用に開発された
もので高機動型でなおかつ強力な武装を施していた
水中では地上と違い重量過多になる心配がなくより強力な武器が積めるのだ
「このシン・ビジウム様が貴様も文字どおり海の藻屑にしてやるっ!
このパドロートカの力を思い知れ!!」
ズゴォォォォォォーーーーーン!
敵ACパドロートカはグレネードまで装備していた
「クソッ!武装が違いすぎるぞ!ヘネシー!なんとかならないのか!」
「なんとかするのは、あなたの仕事でしょう!今ミラージュの爆撃部隊が
現場上空に向かっています。それまで耐えてください!」
「クソーーー!」
ズバーーーン
ゼルは珍しく接近戦に持ちこもうと急接近していった
「チィ!突っ込んできたか!水中では接近戦は厳しい!このまま落としてやる!
沈めぇぇぇぇーーー!」
ズゥゴォォォーーーーーン
  ズゴーーーォォォォン
シンは後退しながら攻撃をしかけてきた
「後退しながらの攻撃など当たらん!一気にいくぞ!」
ズバァァァァァーン
   ズバァァァァァァァーーーーン
 ズバァァァァァァァアアアーーーン
ゼルは攻撃し続けた
ズゴォウウン
「チッ!動力系に被弾した!これでは動けん!」
するとヘネシーから通信が入った
「ゼルディウス!爆撃部隊が到着しました!後退してください!」
「来たか!それでは離脱する!」
「クソォォォォォォォーーー!!!レイブーーーーーン!!」
上空に黒い無数の影が飛来し現場海域を爆撃しだした
ゴゥゥゥゥゥン
   ゴゥウーーーーン
ゴゥン  ゴウーーン
    ゴゥゥゥゥゥウーン
それは以上ともいえる爆弾の量でありパドロートカは大破
シン・ビジウムは死亡した
「レイブンお疲れ様でした。向かえのヘリが既に到着しています。帰還を」
「あぁ。なぁ、ココには結局何があったんだ?」
「それは分かりません。しかしこれからクレストが調査をするようです」
「ミラージュはやらないのか?」
「えぇ、そのようです。以前にミラージュはこの海域を既に調査し
何も無いことを確認しています。必要はないとの事です」
「そうか(なんだかこれではクレストが利益を得ているみたいだな)
ではこれより帰還する」



『制海権奪取』完
作者:ユビキタスさん