ACに乗る少年
AI機構「管理者」、それはこの世界「レイヤード」の全てを管理するものである。
あらゆる出来事は「管理者」によって決定され、
そこに住む人々は「管理者」に管理されることを当然のものとして受入れていた。
そして人々は約束された繁栄を続け、やがて、力を持つ者、<企業>が生まれた。
企業はより大きな力を追い求め、やがて、互いに争いを始めた。
全てが予定された世界。
だがそれは、徐々に狂いを生み始めていた。
・・・グローバルコーテックスACシュミレーター室・・・
「微妙・・・。」
この少年の名は「藤宮 直人(ふじみや なおと)」12歳。
怪力とかなりの運動神経を持つ、義理堅い少年だ。
そのほかの成績もよく、計算も得意だ。
ゲームなども好きで、知らないゲームでも少し動かしただけでだいたいの操作方法を把握できてしまう上に、
ゲームで負けたこともあまり無い。彼が言うには、ACにたいしては趣味としていろいろの雑学を知っていると言う。
ところが本当はACの筆記テストでも半分は点数が取れるくらいの知識がある。
しかし、それに自分は気づいていなかった・・・。
今彼はグローバルコーテックスのACシュミレーターの前に居る。
「微妙って・・・。」
彼女は幼馴染の「柊 結(ヒイラギ ユイ)」だ。
そもそも彼らがここに居る理由は結の父親がレイブンで、特別に見学を許可してもらったからだ。
「いいじゃないこのシュミレーター、何か不満でもあるの?」
「ある。」
「じゃあなに?」
「見た目が悪い。もうちょっとACらしくしても良いんじゃないか?」
「・・・。」
「・・・お、そうだ。おーい。」
直人は関係者っぽい人を呼んだ。
「はい。なにか?」
「これ乗って良いかなぁ?」
「えっ・・・。」
「ダメでしょ!」
「えー。」
「いいんじゃないか?ただのシュミレーターだし。」
と、ユイの父親がやってきた。
「だって彼にはちゃんとしたACの知識があるわけだろ。いいじゃないか、わからないときは中断して出で来れば良いし。」
「じゃ。」
「えっ、ちょっと!」
普通に乗り込んだ。
中はACのコックピットと全く同じだった。
「へー、まずはやるシュミレーションの内容をきめんのか・・・。
アリーナ?おいおい、人の記録採ってAIに組み込んでんのかよ・・・、ま、これでいいな。
お!次は乗り込んだ状態からはじめんのか、えらくリアルだな。
えーっと、これがこうでここをこうして・・・。おしっ!こいつをオンにして戦闘モード!」
『ACのパーツが決まっていません』
「だ!そうだったな・・・、初期のテスト用でいいか。あ、それしかできないのか・・・。」
『ACのパーツが決定しました。戦闘を開始します』
「いきなりかよ!」
戦闘が始まった。相手はいきなり上空に上がった。そしてグレネードを連発してきた。
だが彼は一発すれすれかすっただけで全てよけた。見切ったのだ。
「結構強くないか?あれ。コンピューターが勝手に選んだ奴だからな。選び間違えたか?」
ブースターを少しずつふかしながらライフルを連射した。今度はチェインガンを撃ってきた。
「んあ?ああ、チェインガンか。おかしいな、あいつの機体、なんであんなことできんだ?うあっ!」
油断したせいか攻撃を一気に食らってしまった。
そして・・・戦いが終った。
「なんかクソ強かったなぁ。さすがに初心者の俺には無理があったか・・・。でもいいか、勝ったし。」
彼はかろうじて勝った。あと一発でも攻撃を食らったら負けるくらいにまでAPは減っていた。
残りは80だった。なぜか周りの注目が自分に言っていることが分かった。
「信じられない・・・あんな子供が?!」
「なんかの間違いだろ?」
「AIがやってるから実際ほど強くないが・・・いくらなんでもあいつの記録を倒したなんて・・・」
彼は何故こんなに注目されているのか分からなかった。結も黙ったままだった。
そこに一人の男性がやってきた。そしていきなりこう言った。
「きみ、レイブンになる気はないかい?」
俺の人生は変わった(のか?)。
俺は12歳でレイブンになった。これからレイブンとして生きていく。
コードネームは「ゼン」にした。
作者:ゼンさん
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