サイドストーリー

死者の復活
「期待の新人、カイル選手の登場です!!」
カイルは自分の機体、フォーニングを動かして前に出た。
既に相手のアデューが待機している。実はカイル、アリーナ初出場である。
ほとんど、パーツのお金は依頼で稼いだのである。
「はっはっは。そんな機体で勝てる思っているいるのか?」
アデューから通信。ちなみに、カイルの機体は両肩が小型の一番軽いロケット、
右腕に携帯の高速ミサイル、左腕は月光である。
上級者向けのパーツが多いから、新人には扱いが難しい機体であるが、アデューの機体よりはマシである。
「お前の機体よりマシだ。」
「何だとー!」
アデューの機体は、ライフルに最弱ブレード。これでは、そう言われるのは仕方が無い。
「レディーー・・・。」
変なことをやっている間に試合開始の合図が鳴った。
「ゴーーーーー!!!」

「・・・・・。」
カイルとアデューが言い合っていた時、アリーナにシャウシュッツがいた。隣りには、リールもいる。
「あのパーツで勝てるかな、カイル。」
「私に聞くな。」
そう言うと、リールは立ち上がった。
「何処に?」
「仕事だ。」
「仕事熱心で。それで体を壊すなよ。」
「・・・分かっている。」
リールは立ち去った。すると、そこに、
「あれ?貴方はあの時の・・・?」
振り向くと、そこにはカタストロフとアルスター、アップルボーイがいた。
「君達は、確かレイヴン試験で・・・。」
「はい、お会いしたカタストロフです。隣りはアルスター。」
「宜しく・・。」
「俺はアップルボーイだ。」
「宜しく。」
お互い自己紹介をした後、それぞれ席に付いた。
「貴方もカイルの試合を見に?」
「ああ。それで君達は?」
「私達もカイルの試合を。同期ですから、一応。」
「・・・ねえ、始まるよ。」
アルスターの言葉に一同は試合場を見る。
「あれ?カイルの装備、上級用のパーツが多いな。苦戦でもするかな?」
アップルボーイの言葉は歓声によって誰にも聞こえなかったが、
アップルボーイはこの言葉が間違っていた、とすぐに分かる事になる。

「おらおらーー!」
アデューはライフルを撃ちながらブーストダッシュをして来た。
今さっきの言葉に相当切れているのか、ロックが定まっていないのか、弾はあらぬ方向飛んで行く。
「それでは、機体の性能が発揮出来ない。」
カイルはACをロック、一気に近づいた。
ボシュシュシュシュ。
ドガン。ドガン。ドガン。ドガン。
右腕のミサイルはホーミングが低いが、至近距離からでは回避は困難である。
それが最下位レイヴンならなおさらである。
「こんのーー!!」
アデューはブレードを振り上げた。
しかし、カイルは武器をロケットに切り替えて左腕を撃つ。
ボシュ。
ドガン。
それにより左腕が消える。
「なんとぉー!」
アデューはタックルをかまそうとした。
ボシュシュシュシュ。
ドガン。ドガン。ドガン。ドガン。
再びミサイル攻撃。全て命中。
「終わりだ。」
「うわぁーー。」
カイルは月光を出すとコアを切り裂いた。アデューのACは上と下の分かれて落ちた。
「そこまで、勝者カイル選手!!」
アリーナから歓声が上がった。

「余裕でしたね、カイル。」
そう言ったのは、彼のオペレーターを勤める、レイン・マイヤードである。
「あれには勝つのより、負けるのが難しい。」
「貴方も言いますね。」
カイルとレインはもう最高のタッグになっていた。
カイルの請け負っていた依頼全て完璧にこなしている。その為、企業からの信頼も高い。
「ところで、依頼はあるか?」
「1つあるわ。」
「内容は?」
「クレストの研究所を護衛してくれ、という事です。」
「依頼者は?」
「それが、分からないの。」
「分からない?」
「グローバル社の経由で来たのは確かのですが・・・。」
「・・・まあいい、受けよう。」
「分かりました。では、輸送機にACを。」
「ああ、分かった。」
カイルはACに乗り、輸送機に乗せた。
乗せた後、カイルはACの端末を自分の家にあるパソコンに繋いだ。
メールを確認する為に。
「えーと、5件来てるな。」
上から1つずつ確認した。
 発信者 シャウシュッツ
『いい試合だった。これからの活躍を期待する。』
 発信者 カタストロフ
『凄い試合だった。今度合う時はアリーナか僚機の時だな。じゃあな。』
 発信者 アルスター
『凄かったです。今度、模擬戦をしてみたいです。』
 発信者 アップルボーイ
『アリーナの試合、凄かったぜ!俺達と同じ時期にレイブンになったとは思えない。
またな。』
「最後は・・・これは!?」
カイルは発信者を見て驚いた。
 発信者 ノヴァ
『タスケテクレ、カイル。シャウシュッツ。』
「そ、そんな、こ、これは・・・。」
『カイル。目標地点に到達しました。これより機体を投下します。』
「あ、ああ。了解した。」
『?どうかしたんですか?』
「いや、何でも無い。では行くぞ。」
カイルはフォーニングを操り、施設に向かった。その途中に、
「あれ?カイルじゃないか。」
見ると、そこにはアルスターのフォルトナ、カタストロフのKOS−MOSがいた。
「カイルも依頼でここに?」
「ああ、依頼者不明の仕事だ。」
「俺達もだ。」
カイル達はそのまま施設に向かった。だが、そこで見たのは、
「何だよこれ・・・。」
施設はもう大半が破壊されていた。カイル達は通常モードから戦闘モードに切り替えた。
施設には護衛のMTもいたらしいが、ほぼ全滅していた。
その時、奥からACが来た。右腕に持っていたマシンガンを向けた。
「誰です!」
「待て、俺達は敵ではない。依頼できたレイヴンだ。」
「そうですか。遅かったですねレイヴン。」
ACはマシンガンを下げた。
「依頼者ですか?」
「ええ、急いでいたので、名前は書けませんでした。」
「貴方、名前は?」
「ラルグシータと申します。」
「私はカタストロフ。」
「アルスターです。」
「カイル。」
「それにしても、そのACは?」
「ここ、特殊戦研究所で、私が作った潜入任務特化型試作型X式、通称X式です。」
確かに、中2脚、500マシンガンにLS−2551ブレード、
最高位レーダー、AD/20、それにステルスを装備している。
潜入任務特化型の意味も分からなくは無い。
「それより、退避した方が良いですよ。」
「一体何があったんですか?」
「X式の実戦テストの最中に襲撃に遭いまして、
私とテストに参加していた部隊と関係者は無事でしたが、ここ本部にいたMTや関係者はもう・・・。」
ドガーン。
急に、部屋の壁の1つが爆発した。そこからACが来た。
「あいつか!」
カタストロフはそいつをプラズマライフルのサイトに入れた。
アルスター、ラルグシータも同様に入れた。カイルも同じ様にロックする。
「敵勢力ヲ確認。排除スル。」
カイルは通信機から聞こえた声に耳を疑った。今の声は、機械的とはいえまさか・・・。
ボシュ。
ACは肩のグレネードを発射して来た。何とか避けたが、ACの機体データを確認した。
外見だけだが、あのパーツ構成は・・・。
バシュゥー。バシュゥー。
今度は右腕に持っていたKARASAWAを撃ってきた。
「何なんだ、あのACは!」
カタストロフは相手の攻撃を反撃をするが、相手の機動力が高く、全く当たらない。
『カイル!ACのデータが分かったわ。』
「で、何なんだ?」
『兵装がKARASAWAにグレネード、プラズマ砲に月光を装備しながら、
中2脚で驚くべき機動力を持つACは1機しかいなかったわ。』
「・・・・・。」
『ランカーAC、リングよ。』
「やはり・・・。」
『でも、彼はここ三週間、アリーナはおろか、依頼にも出ていません。』
「そうだろうな。」
『知っているのですか?』
「ああ、パイロットの事は良く知っている。」
『どうして・・・。』
「今は敵だ。撃破する。」
カイルはOBを吹かし、一気に近づいた。だが、零距離に行く前、グレネードを向けられた。
「やらせない!」
アルスターはハンドグレネードを発射した。それには反応出来なかったようで、直撃する。
「貰った!」
零距離に入った直後、カイルはミサイルを4連発。すべて吸い込まれるように命中する。
しかし、ACには傷1つ付いていない。
「そんな、直撃したはず。」
流石に、これだけの攻撃を受けて傷が付かないACはそうそういない。
カイルはおろか、ここにいるレイヴンは絶句した。
しかし、敵の攻撃は激しくなる。今度はプラズマ砲を連射してきた。
「くそっ!!コイツ!」
ラルグシータはマシンガンとEOのダブルコンボで攻撃するが、相手にダメージは見えない。
「当たれーーー!」
カタストロフもEOを出し、小型ロケットで攻撃するが、動きが速すぎる為、全く当たらない。
「あの機体、重量過多のはずなのに、何であんなに早く!?」
アルスターも小型ロケットを使うが、捕らえきれない。その時、
「重量過多・・・?」
カイルはアルスターの言葉に、ある言葉を思い出した。
『ねえ、この機体なんでこんなに早いの?』
『ブースターの出力を70%、上げたんだ。
あと、脚の装甲を薄くして、中のフレームを強化した。』
『それって、違法じゃあ・・・。』
『まあ、ばれなきゃ良いだろ。』
『そんなもん?』
『そんなもんだろ。』
カイルはその言葉にある確信を得た。
「脚の装甲・・・!」
カイルは敵ACの死角に入ると、OBを発動。
「!カイル、無理だ!行くな!」
それに気が付いたカタストロフが叫ぶ。しかし、もう遅い。
キュィィィーン。
バシュゥゥゥー。
OBで突っ込む。敵ACが気が付いた時、もう射撃での迎撃は困難であった。
「貰ったーーー!」
ザシュゥゥゥーン。
敵ACの脚がまるであの時の硬さが嘘のようにあっさり切れた。
「脚部損傷。戦闘続行不能。」
敵のACはグレネードを地面に撃ちこみ、爆風と煙が上がった。
「くっ!しまった。」
煙が晴れた時、ACの姿が無かった。
「逃げたか・・・。」
「カイル・・・。」
「何だ?」
「何であいつの弱点を。」
「・・・・それは、戻った後に話す。」
「私も行っていいですか?」
「はい。貴方にも聞く権利はあります。」
『カイル、輸送機が到着しました。帰還を。』
「了解した。」
カイル達は輸送機に乗り込み、帰還した。
作者:カイルさん