サイドストーリー

Guardian 04-魔獣再臨
今の内に勝てるだけ勝っておけばいい。
今からだ。
この瞬間をどれだけ待ち望んだものか。
貴様を滅する。
僕はエーデルリッターを操作し、アリーナドームに入場した。
轟く程の歓声が上がっているのだが、僕の耳は機能を失ったかのように何も聞こえない。
目の前に、いる。
奴が。
夢の中で何度も殺したあいつが。
夢の中で肉を引きちぎり唾を吐きかけヘドロと化したあいつが。
最強の名を欲しいままにしたあいつが。
リオ=クラヴスが。
我がACと直線上に向かい合っているのだ。
思う存分に軽量化された機体構成にスカイブルーのカラーリング。
そのカメラアイは紫電色に彩られ、アリーナドームに設置されたライトに照らされている。
ツェアライセン等とふざけた機体名で無敗の王者。青く発光する刃で何人もの猛者を屠ってきた男。その剣技は最高級と名高い。
だが、目の前にいるACはこれまでと違った武装でここに来ていた。
月光を持っていない。ショットガンもない。
ただ違うのはその両腕が並ならぬ殺気を放っていることのみ。
おそらく武器腕なのだろう。
いつもと違うということは観客に大きな魅力を与える。あの最強を誇ったレイヴンが戦闘スタイルを一変した姿で現れたのだ。
今日は何か凄いものが見れるのではないか、と考えてやってきた観客によってこのドームは埋め尽くされているのだから。
それにしても普通の腕となんら変わりないフォルムだ。
・・・いや、普通ではない。
両腕の指先に穴が空いている。
つまりツェアライセンの指は全て筒状であるということだ。僕が知っている中でこのタイプの武器は一つしかない。
僕に戦慄が走った。
かつてアリーナでの使用禁止を定められた究極兵器。
Fingerだ。
それが武器腕となって帰った来たというのか?
そんなものをグローバルコーテックスが認めたというのか。いいはずがない。あれを持ち込まれたら勝負にならない。
卑怯な。
伝説にもなりうる王者が悪魔にその身を売ったか。
先程の恐怖は怒りに変わり、冷静に敵を見定めた。
「よぉ。俺はリオってんだ。あ、知ってるか。知ってるから挑戦してきたんだもんな。ま、よろしく頼むぜ」
出鼻を挫くようなリオからの通信だった。
「・・・あなたはかの有名なFingerを持っていらっしゃる。
躊躇無く殺すはずの敵になぜ話しかけてくるんですか?はっきり言うと僕はあなたと話したくなんかない。通信を切らせてもらいますよ」
苦汁を舐める思いで敬語を使った。そうだ。お前などと話したくはない。僕がお前に挑戦したのはお前を殺すためなのだから。
「Finger?何だそれ?俺の武器腕のこと言ってんのか?だったら誤解だぞ?
こいつは新型パーツで・・・おっとこれ以上は言わないでおこう。それにお前こそ変なパーツ身につけてるじゃねぇか」
黙れ。すぐに息の根を止めてやる。おしゃべりなその口を二度と開かないようにしてやる。さあ。レフェリーよ。試合開始の合図をするがいい。
僕は勝つ。いや、殺す。
たとえどんな手を使ってでも。
「おい、聞いてんのか?さっきから黙ってるけど」
まだ話しかけてくる。僕は話したくないと言っただろう。
「なぁ、お前プチッ・・・」
回線を切り、高ぶった感情を静めた。
「では両者構えて・・・」
やっと殺し合いを始めることができそうだ。
「レディ・・・」
殺す。それだけだ。
「ゴーッ!!!」
今日のエーデルリッターには僕の設計した改造パーツが二つ装備されている。
まずは、ブレードのを外して両腕に持っている三連装拡散ビームライフルを正面に構え、その銃口をリオに向けた。
巨大な黒い三つの筒に赤いラインが数本入り、パイプのような突起物が後方から突き出ている。
銃口の周りでは赤くスパークしている。
その合計六つの銃口を正面に構えた僕のACの姿はとてつもなく異様ではあったが、同時にただならぬ威圧感を持っていた。
リオはまっすぐに直進してくるかと思えば急に直角に曲がったり引き返したりする、ある意味で酔狂な動きをするレイヴンだ。
その変則的な行動に惑わされずに的確に銃弾を当てることができる者は数少ない。
もちろん、それでも結局はリオに負けているのだが。
そこで僕の開発したこの銃は、三つの銃口に加えさらに拡散、そして左右同時発射の攻撃のため、そう苦労せずに攻撃を当てることができるだろう。
ツェアライセンは現時点では普通に僕の周りを旋回するように動いているが、いつ直進してくるかわかったものではない。
とりあえずダブルロックオンをし、撃つ。
一つの銃撃で十八発の弾が撃ち出され、リオはたいそう驚いたようだ
。一つの銃弾にはライフルほどの攻撃力しかないが、それが十八倍されるとした場合の威力は全武器中最強だ。
エネルギーで作られた弾なので大量にエネルギーを消費するが、弾速の強化の考えればさして問題にはならない。
だが、少しACに知識のある者ならすぐに気づくことだろう。
これだけの乱射ができる武器に弾数が多いわけがない。もちろんその通りだ。
無理に弾を増やせばそれだけ重量が増す。
ほぼ完璧に設計し、それでも弾が少ないというのにこれはKARASAWA以上の重量を誇っている。
そのおかげで重量過多になっている。
リオ戦で重量過多というのはおおいに敗北要素なのだが、まず近づくことができない武器だ。
かろうじてリオは回避した。
そして予測通り、リオは逃げ回るようにアリーナドームを迂回している。
どうした?
それで最強なのか?
いいのか?使わなくても。
Fingerを。
「ホルツ選手!すごい攻撃です。これはリオの初敗戦となるのでしょうか!?」
敗戦?違う。死去だ。そして殺害でもある。
僕のこの改造兵器は少しリロードが長めだ。
これでリロードが短かったら二回同時発射しただけでもエネルギーが切れてしまうだろう。
「やるじゃねぇか。いや、やれるのはお前じゃなくてその武器だな」
リオがまたもや通信を入れてきた。うるさい奴だ。また回線を切るか?
「おっと回線を切っても無駄だぜ?こっちからあのアナウンサー側の奴らに頼めばいくらでも回線をつなげてもらえるんだ。諦めろ」
そこまでして僕と話したいのか?
リロードが完了した。迷わず撃つ。
「どわっと!お前のそのACの基本構成って管理者部隊のアセンと同じだよな」
ツェアライセンは間一髪で避けたように見えるが、口調からするとだいぶ余裕があったようだ。
「そうですよ。同じです。だから何だっていうんですか?」
話しかけてくるな。
僕は武器を切り換えた。
「管理者の部隊だったのか?」
切り換えた武器を躊躇無く発射する。
これはオービットキャノンを改造した物で、三種類のオービットを射出することができる。
まずは一種類目を放つ。
「管理者部隊だった人間が今だそのACを使ってるわけないでしょう?管理者部隊は全員指名手配されているんですよ?」
まぁ使ってはいるのだが、もちろん指名手配など関係ない。
僕の情報操作能力を持ってすれば、世間の目をくぐり抜けることなどたやすい。
僕の撃ったオービットはまっすぐにツェアライセンに突き進み、コアに吸い付いた。
「じゃあお前は・・・む?」
僕の作ったオービットの一つは攻撃兵器ではない。いくつかの機能を停止させる電磁波を発生させるものもある。
そのオービットから吹き出す電磁波によってツェアライセンの冷却機能と火器制御機能が停止したはずだ。
もう一つ、オービットを射出する。これは二種類目だ。
「ああっ、エラー起こしちまった!お前めちゃくちゃなモン作りやがるな!」
リオの言葉は全て無視して戦闘を続ける。
二種類目のオービットは目標の真上に飛んでいく。これはなかなかいい案だったと思う。
ただ、命中率が悪い。
ツェアライセンの上空でオービットが破裂し、中に入っていた液体が飛び散った。
緑色のそのそれは毒を連想させる。たしかに、それに近い。だが、もっと強力だ。
どんなACの装甲をも溶解させる強力な酸。
それをオービットによって運び、空中で破裂させることによって広範囲に散布されるのだが、それでも命中率は悪いことに変わりない。
「甘いな!」
リオは華麗にACを操作し、酸の雨をくぐり抜けた。
そして初めてツェアライセンが接近してきた。それは接近というよりも突進に近い。
三連装拡散ビームライフル、名前は『AWG−CALAMITY』というのだが、それに武器を持ち替えて、ロックオンもせずにリオに向けて撃った。
ツェアライセンは一気に上に上昇し、僕の改造兵器の凶弾を全て回避した。
そしてツェアライセンは降下しながらブースタを吹かし、高速で迫ってきた。
この距離でFingerをもらうのはまずい。
迎撃・・・いや、避ける!
僕は後方にブーストを使って後退した。
重量過多なのでたいしたスピードは出ないが、Fingerのロックオンの甘さなら避けることはできる。
そして僕が見たものとは。
銀色の輝く十本の爪がエーデルリッターのいた場所に振り下ろされ、その地点に十本の爪痕が刻まれた光景だった。
「やっぱ避けられるよな〜」
そういいながらリオが着地した。ツェアライセンの両腕の全ての指から銀色のブレードが発生している。
ブレードといっても相当短い。
各ブレードの威力はさほどでもないのだろうが、この数では多段ヒットもすれば連続で斬撃を受けることも間違いない。
まるで、猛獣の爪だ。
新パーツばかりで戦うこの試合に、ドームの観客は大興奮していた。
「ま、威力は高いし。充分かな?」
リオはファンに手を振って歓声に応える。
形勢は逆転だ。究極のブレード使いがこんな武器を使ってくるとは。接近戦なら勝率はゼロだ。
どうするか。リオ程の技術があれば先程の電磁波もまったく意味を成さない。
ブレードといえどFCSは使う物なのだが、リオは関係なく斬撃を当ててくる。
まずは防御策に徹すべきか。
三種類目のオービットを射出した。これはエーデルリッターの目の前に停止し、簡易シールドを作り上げる。
通常のシールドよりもだいぶ防御範囲が広いが、薄い。これも重量削減の結果だ。だが、しないよりはマシだ。
「えらく消極的だな」
リオが言う。派手も地味もない。ただ勝てばいいのだ。
強酸散布型オービットを連続で三つ放ち、リオに向かわせた。
「多けりゃいいってもんじゃねぇぜ!」
リオは舞うように強酸の雨を避けながら接近してくる。ここまでは予測済みだ。
突進してくるリオめがけて発動したままのシールドを蹴り、ツェアライセンの軌道を妨げた。
それでも敵ACには当たらない。そういえばお互いにまだ無傷だ。
「あなたに近づかれると負けてしまいますね」
僕は久しぶりに言葉を口にした。
「あ、何か久しぶりに返事が返ってきた」
返事ではない、独り言だ。
CALAMITYを構え、後退しながらツェアライセンにそれなりの近距離で発射した。
「それが残ってたな!」
リオは避けずにブレードで十個程弾を相殺したが、のこり八発は上昇して回避した。そしてOBを起動したようだ。
すかさず僕はEOを発動し、ツェアライセンに当てた。
「初ヒットォ!」
アナウンサーが告げる。前に当たった電磁波オービットは攻撃の部類には入っていないようだ。
だがEOは威力の割には反動が足りない。それではリオの突進を止めることはできない。
すでにOBを発動していたツェアライセンは高速で僕の後ろを取り、背後から斬りかかってきた。
ここでCALAMITYを撃ちたいが、あいにくリロードが済んでいない。突進を止めることを優先する。
打撃だ。
右腕に装備したCALAMITYを旋回しながら振った。この重量でこの大きさなのだから、相当のダメージを与えられるだろう。
右腕の凶器は空を切り、またしてもリオに避けられた。今度は後退したようだ。だが、後退しながら再度起動したOBが発動し、一気に接近してきた。
僕は左腕のCALAMITYを振ったが、リオはブレードを振った。
何の手応えもなくCALAMITYは斬り裂かれ、僕の機体に獣の爪が食い込んだ。
「うわっ!!」
僕は思わず叫んだ。
熱量、威力、反動も恐ろしく強く、エーデルリッターは後方に吹き飛ばされた。
だが、転んでもただで起きる程僕は甘くない。
使い物にならなくなった左腕のCALAMITYを捨て、右腕のCALAMITYの弾丸を目測で敵ACに叩き込んだ。
今度は見事に命中し、九発のエネルギー弾がツェアライセンに直撃した。
「おぉっと!これは引き分けかぁ!?」
小うるさいアナウンスが響くが、引き分けなわけがない。お互いにクリーンヒットは避けている。
だが、まだあいつの方が優勢か。
「今の3000は喰らったぞ?お前結構強いな」
リオが驚嘆している。
「そっちのブレードもかなりのものでしたよ」
もらったダメージはあえて言わなかった。
「行きますよ!」
「来い!」
エーデルリッターは起きあがってCALAMITYを構えた。同時発射はできないが、これで機動力が大幅に増したはずだ。
重量過多状態から通常状態に移行したおかげでスピードが飛躍的に伸びている。
これなら機動戦に持ち込める。
ツェアライセンは多大なダメージは受けたものの、機動力にさして問題はないようだ。
だが、戦闘力には問題が発生している。先程の僕の攻撃で、ツェアライセンは右腕が無くなっていた。
これで互いの戦闘力比は試合開始直後と同等だ。
いや、エーデルリッターにはまだ改造オービット、『MWC−OC/THREE』が僕にはある。
早速、強酸散布型オービットを三つ放った。
まっすぐに進んで行き、ツェアライセンに肉迫する。
すると、ツェアライセンがまだオービットは遠い場所にあるというのに爪を振った。そして、ツェアライセンの左腕の爪が指から離れ、飛来した。
「機能切り替えですか・・・武器腕はそんなこともできましたね」
これで迂闊に近づけないことがわかった。
五本のうち三本が三つのオービットに突き刺さり、破壊した。残り二本がこちらにやってくるが、エーデルリッターをジャンプさせて上空に回避した。
そのすぐ下を爪が飛んでいくが、目の前にはすでにツェアライセンがいる。
「・・・こいつの名前は『MAW−BEAST』。見ての通り獣の爪だ」
それがどうした。
すでにロックしているCALAMITYを撃とうとしたが、リオが爪で斬りかかってきたので少し後退し、撃つ。
無数の赤光が放たれた。ツェアライセンは横に平行移動をし、避ける。
しかしこの距離でこの弾の量では全弾回避は不可能だった。三発ほど命中したが、関係なく攻撃してくる。
リオが爪を飛ばす。僕も横に平行移動させて避ける。たった五本の光線程度ならこの距離でも避けることができる。
簡易シールド発生型オービットを発動させ、エーデルリッターの前に障壁を作った。
そして、強酸散布型オービットを今度は五つ射出する。
この近距離で強酸をばらまいてはこちらにも被害が起きる。それを防ぐためのシールドだ。
オービットがツェアライセンに向かってゆく。
「こんなもの!」
一つはブレードで切断し、もう一つは爪を飛ばして破壊し、もう二つは回避した。
残り一つは、ツェアライセンのさらに上空で破裂し、強酸が降り注いできた。
「やべっ!」
ツェアライセンは逃げようとするが既に遅く、強酸を浴びてしまった。
ツェアライセンの装甲が音を立てて溶けてゆく。これを振り払うことは難しい。
そしてそのままでは多大なダメージを負う。時が経つごとにツェアライセンの防御率が減ってゆく。
死ね。
だがリオはOBを発動させ、そのスピードで強酸を振り払った。
「危ねぇ!」
リオはOB発動状態のまま旋回し、こちらに向かってきた。
先程からずっと空中にいるため、エーデルリッターのジェネレータは限界に近づいていた。
ツェアライセンの突進の回避も兼ねて、ブーストを止め、僕はエーデルリッターを着地させた。
しかし、リオはなぜあんなにも空中にいることができるのだ?
ブレードの光波というものは莫大なエネルギーを奪う。そしてOBまでも使用しているのだ。
やはり強化人間か?
どうこう考えているうちにリオが接近していた。強酸散布型オービットはあと一つ。
他のオービットは役に立たない。そしてCALAMITYはあと二発。
これだけで決めなければならない。ツェアライセンの残りAPは2522。エーデルリッターは4901。勝てる。
EOを発動し、不意をついたつもりだったが、リオはEOの弾を全て回避。あいつの精神はかなり研ぎ澄まされているようだ。
続いてツェアライセンが爪を二本放つ。
これは避けたが、追撃を受けた。爪を二本撃った後、リオは即座に時間差で残り三本を放ったのだ。
自機残りAP2361。流石に攻撃力が並じゃない。
そして一瞬の隙も見せられない。
僕はCALAMITYを放ったが、そこに機影はなかった。
僕の背後に敵はいた。
「くそっ!」
後ろは無防備だ。
「これで終わりだ!」
ツェアライセンがBEASTを突きだして、OBで突進してくる。爪の先端は真っ直ぐにコクピットを狙っている。
この速さでは避けることは不可能。受けたら奴の言う通り終わりだ。
簡易シールド発生型オービットは・・・間に合わない。
万事休すか。
だが、簡単に終わるわけにはいかない。
せめて、あと一撃。
エーデルリッターを旋回させ、ツェアライセンと向き合ったその瞬間、銀の刃の先端が五本、エーデルリッターに突き刺さった。
だが、それだけだった。
ツェアライセンの左腕がそれ以上伸びない。
なぜなら、エーデルリッターが右足でツェアライセンのコアを押さえつけていたのだ。
そして僕はACを操作してツェアライセンの左腕をエーデルリッターの左手で掴んだ。
自機残りAP0536。ほとんど奇跡に近い。
「終わりだと、思いますか?」
僕は思わず微笑を浮かべた。
右腕のCALAMITYをツェアライセンのコアに突きつける。
「これで逆転ですね」
引き金を引こうとした。
突然リオが馬鹿にしたような口調で話しかけてきた。
「魔獣の爪は切り離せることを忘れてねぇか?」
「!」
しまった。もしここで爪を切り離されたら。
死ぬ。
だが、それは相手も同じだ。
「逆転も何も・・・同士討ちとなりますよ」
CALAMITYをまだ撃つことができる。
「共に死ぬ気か?・・・そこまでして勝ちたいか」
リオが問いかけた。
「少し違います。はっきり言うと、殺したいです」
正直に言った。
「そうか」
この状態では相手も動けないはずだ。
さて、どうするか。
「これは・・・どうなるのでしょうか?」
間抜けなアナウンスが響いた。

沈黙を破ったのは、通信を知らせる信号だった。
僕とリオはいまだ硬直状態だ。
「どうぞ」
「・・・アリーナ警備員です。今からあなたを連行します」
ドームの端から無数のMTが現れた。
何だと。
「どういうことです?」
「あなたは指名手配犯です。見つけ次第連行せよとのことですので、連行させていただきます」
連行だと?
まさか、元管理者部隊だということがバレたのか?
「僕が何をしたというんですか?」
通信者が変わった。
「・・・黙れ。管理者の下僕が。貴様に発言権はない。おとなしくすれば死なないで済む。そのまま動くな」
先程現れたMTがエーデルリッターを押さえつけ、ツェアライセンから引きはがされた。
「待ってください!どこにそんな証拠があるというんですか!?」
僕は全データを消去していたはずだ。バレるはずがない!
「情報提供によりお前の前科を調べたところ、証拠が発見された。簡単だ。そのACだよ」
確かにこれはあのお方の指令で構成したACだ。
だがそれだけなら逮捕されるわけがない。このアセンブリが好きなんだと弁解すれば済むのだから。
「お前は一度クレストの中央研究所を襲ったことがあるだろう。あのとき剥げ落ちた塗装からだ」
嘘だ。剥げ落ちた塗装でバレる程簡単にそのACが見つかるものではない。
これは・・・密告だ。
僕はそのまま収容所へと連行された。
作者:Mailトンさん