サイドストーリー

第一章 新たなる鳥-レイヴン-
「お前が新しい入団希望者か」

最終審査の指揮官らしき男が言った。

「おうよ!」

希望者は答えた。

「一応名前を聞いておこう。名無しでは色々困るのでな」

「紅男(くれお)だ! ちゃんと覚えとけよオッサン!」

「フン まあいい」

どうやらまたレイヴンを志す者らしい。

「ついてこい ガレージに案内する」

そう言って二人は歩き始めた。

着いた所には、巨大な人型の兵器があった。

そう。これがACである。

「おぉ!これがACかぁ!」

彼も実物は何度か見たことがあったが、こんなに間近で見るのは初めてらしい。

「・・・てなんかショボくない?」

指揮官は吹き出した。

「初めは全員この装備なのだ! 」

「ふ〜ん」

「それでは今から最終審査準備!受審者は直ちにコクピットに入れ!」

少し不服そうに彼はコクピットに入った。

 

「ではこれから最終審査を始める。」

「ひゅ〜! とうとう実戦かぁ!」

VR訓練を受けてきた彼も実戦はこれが初めてとなる。

「内容は この区域に逃げ込んだ敵勢力の撃破 敵勢力は戦闘メカだ」

「このチャンスに二度目は無い 必ず遂行しろ」

「うっせ〜な〜! 分ったから早く下ろせよ!」

紅男が待ちきれず言った。

「おい!静かにしてくれないか!? こっちの気が散るじゃないか!」

同じく出撃を待つ同期の男が言う。

名前は勇也。紅男と同じくここまで勝ち残ってきた入団希望者である。

「お前は黙ってろ! どうせすぐ終わっちまうんだからよ!」

「なっ!なんだと!」

「え〜い! 今から投下準備に入る! 静かにしろ!」

それからまもなく二つの機体が地上に投下された。

「おっしゃぁ! いったるかぁ!!」

「フン! 俺の足を引っ張るなよ!」

気合を入れる紅男を勇也が軽くあしらう。

「へ! かっこつけやがって! とっとと終わっちまえ!」

そして二機が動き出した。

 

「お先に行くぜ!」

紅男のACが先方を行く。

「死ねやーーー!!」

紅男のACのライフルが火を吹いた。

パアァン! パアァン! パアァン!

早くも四機の戦闘メカが鉄クズと化した。

「おらおらおらおらぁーーーー!! ドンドン行くぞーー!」

その後も快調に飛ばしていると、いきなり紅男のACが止まった。

「あ・・・ありぃ?」

戸惑う紅男のACのモニターに

 

「CHARGING」

 

「脳ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

「フハハハハ!!しばらくそこでおとなしくしているんだな!」

勇也が紅男の横を風のように通り過ぎていく。

その後も勇也のACは着実に戦闘メカを破壊してゆく。

「敵の増援を確認」

指揮官の声と同時に、重装備の別の戦闘メカが勇也のACの前に立ちはだかる。

「く! MTか!」

 

その頃・・・

「だーーー!! いつまでチャージしてんだよ!このヴォケがぁ!とっとと動きやがれーー!!」

そして紅男のACが動き始めた頃・・・

「・・・ここまでか!!」

勇也のACが白煙を吹いた。

相手はMTだが、まだ不慣れな操縦のACでは刃が立たなかった。

「AC1大破 AC2 君だけで敵勢力を撃破しろ」

「OK! 全員まとめてかかって来いやぁ!」

重装備MTが紅男のACへ向かう。

「おらぁ!!」

紅男はライフルを乱射するが、敵の盾に弾かれる。

「あ!この野郎!盾なんて汚ねえぞ!」

敵MTはお構いなしにバズーカを発射する。

「ちぃ!こっちにも他の武器渡せっての!」

相手の数は一向に減らず、紅男のACのAPだけが削られていく。

「これじゃらちが開かねえ!」

紅男はブレード以外の武器を捨てた。

そして一体目のMTに斬りかかる。

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

その一閃で2対のMTを真っ二つにする。

その後も着実にMTを破壊する。

「これで最後だぁ!!」

その閃光が最後のMTの頭部を斬り落とした。

 

「・・・・・なるほど それなりの力はあるようだ ようこそ新たなるレイヴン 君を歓迎しよう」

その瞬間、紅男はレイヴンとなった。
作者:謎マンさん