サイドストーリー

過去の日々・・・
いつのことだろうか・・・・俺がACに乗り始めたのは・・・・
気が付いてみると俺は物心が付いたころにはもうACの中にいて、アリーナというものにいた。みんな弱かった。
しかし、やつが現れてから俺の人生は大きな音を立てて崩れていった。
奴の名は、セラフ。世界最強のレイブンだ。奴が、俺の故郷を奪っていった。
8年前、俺が六歳のとき自宅でACの整備をしていると、奴は突然、俺たちの街に現れた。
俺は急いでACに乗り、セラフに向かっていった。
しかし、当然幼かった俺はセラフには勝てず、民家や、ビル、工場などを破壊されてしまった。
無論、俺の両親がいた自宅も。
死者はかなり多く、奇跡的に生き残った者も、ひどい重症を負っていた。
そんな中、俺は重症も負わず,生き残っていた。俺はセラフに助けられたのだ。
俺は死のうかと思った。しかし、それもできず自殺未遂で終わる。医師に
「良くこれで生きていたなぁ・・・」
と言われた。俺は退院後、グローバルコーテックスに入った。セラフを探すためだ。
しかし、コーテックスの登録レイブンの中にセラフの名は無かった。
「本当に無いのか?もう一度良く探せ。」
俺はしつこく受付につっかかったが、結局何も見つからなかった。
俺は、コーテックスに所属していてもセラフには会えないと思い、コーテックスからその姿を消した。
そして2年前、俺はセラフの姿を見ることになったきっかけが起きた。
俺はいつものように今日の晩飯の材料を買いに行くため、バスに乗った。
二つ目のバス停を降り,しばらく歩くと人気の少ない場所に出た。
「おい、ガキ。金もってねぇか?」
とガラの悪い大きな男がこっちに向かってきた。
「いえ、何も持っていません。」
と、俺は言い張った。
「どれどれ、確かめてやるよ。」
小太りな男が俺のポケットに手を突っ込む。
「やめてください。」
俺が、手を振り払った瞬間、胸ポケットから財布がちらりと顔を見せた。
「おっ、あるじゃねぇか。」
俺は二人を睨んだ。
「何だぁ、その目は?」
ちょっと痩せていて、髪は長くて金髪、三人目の男が出てきた。
「その金俺たちにくれれば許してやってもいいんだぜ。」
そのとき、
ボッコーン
誰かが小太りの男の顔面を思いっきり殴った。その小太りの男は首から上の部分をなくし、バタンと倒れた。
それを見た仲間たちは腰を抜かして逃げていった。
「君、大丈夫か?」
ちょっと年を取っている紳士が助けてくれたのだ。
「ええ、大丈夫です。」
俺がちらりと紳士から目線を外した。
「あなたのお名前は何ですか・・・・・!?」
視点を紳士に戻すともう紳士はそこにいなかった。
「あの紳士は一体・・・・。」
俺は買い物から帰ると、パソコンに向かった。ただ、俺はあの紳士に見覚えがあった。
だから、俺は、久しぶりにセラフについて調べてみることにした。
インターネット、携帯、聞き込みなどさまざまな手を駆使してセラフを追った。
しかし、結果は歴然、結局セラフの過去にすらわからなかった。悔しい。
しかし、まだ諦めたわけではない。俺はこの間紳士と会った場所にもう一度きた。
「君が今日ここに来ると、君と初めて会った時から私は感づいていたよ。」
「だっ、誰だ。」
俺は振り向いた。
「私を忘れたのか。君を二度も助けてあげたんだぞ。命の恩人を忘れるとは・・・。」
紳士・・・いや、セラフだ。
「忘れはしねぇよ。俺の人生を壊していったお前はよぉ。俺はな、ずっとお前を探してたんだ。命を奪うためにな。」
それを聞いたセラフは、笑った。俺を馬鹿にするような目で。
「命を奪う?この俺の命か?そんなものとっくに捨てたとも。俺はもう普通だったらACには乗れない。」
俺は驚いた。頭が混乱して何も考えることができない。命を捨てた?そんな馬鹿げたことがあるか。漫画でもないのに・・・・。
「君の考えてることならわかる。命が無ければ俺は生きていないはずだな。だが、それは違う。」
「違うだと?」
「強化人間さ。仮想でも、夢でもない。」
俺は腰に隠してある短刀に手をかけた。
「やめておけ。俺を殺そうなんて考えないほうがいいぞ。」
セラフは俺の腹を殴った。俺は血を吐き、倒れた。
「まだ死なないのか。意外とタフだなぁ・・・・」
俺は意識を失った。俺は、死ぬのか・・・・・。目の前には川が見える。向こう岸からは誰かが呼んでいる。俺は向こう岸に・・・・
「レイブン、起きてください。」
俺は驚いて起き上がった。どうやらコアとの戦いの後、眠ってしまったらしい。
「誰だ。」
確かに俺は通信を切っているはず。じゃあ誰が・・・・
「私は戦闘補佐用のAI、レイです。」
「んじゃ、よろしく頼むぜ。」
「はい。本題に入りますが、所属不明のACが多数、接近中です。」
俺はしばらく目を閉じた。
「あとどれくらいで領域に入る?」
「あと、推定30分後です。」
三十分後・・・・・ということは随分先のほうだ。
「今のAP、2854。残存戦力は、15%ほどです。加速装置使用不可能です。
敵ACの機数確認。5機です。帰還することをお勧めします。」
俺は、自分の実力を試したくなってきた。
「ブレード以外の全ての武器を外してくれ。」
「了解。」
重いKARASAWAが落ちて、地響きを立てる。
「このパーツを回収されてしまっては機密情報が漏れてしまいます。破壊してください。」
俺は覚悟を決めた。
「破壊する必要はねぇ。戦うのさ。」
「ではAPが1500を切りましたら強制的に離脱します。」
とは言ったもの、あと敵部隊が来るまで10分はある。
暇だ。・・・・AIに話し掛けてもあまりいい返事は期待できそうにもない。
「後ろのACが起動しました。」
俺はエクステンションの設定をターンブースターに切り替え、振り返った。」
「シネェ―――ッ」
すぐさま俺はエクステンションをバックブースターに切り替え、かわした。
「AA覚悟−ッ」
俺はまたバックブースターを作動させた。
「フライレか、どうして裏切った?」
フライレは笑みを浮かべた。
「裏切る?俺、お前の助けなんて言ったか?」
そのとき俺はブレードで、フライレの機体を斬った。
鈍い音が響く。
「今の攻撃でジェネレーター出力が55%落ちました。帰還しましょう。」
「おっと、その前にパーツを回収する。」
俺はパーツを回収すると、OBを発動させ、フライレを背にその場を後にした。
「ふふふ、我々にはむかう者がどうなるか、知るがいい。」
フライレは、そう言って倒れた。
                              続く
作者:アナザーエイジさん