サイドストーリー

対決管理者部隊
「これで良しと。」
カイルは自分の機体の武装を換装していた。
武装は、昨日シャウシュッツから譲ってもらったKARASAWAを装備している。
だが、重量の関係でKARASAWAと月光のみ。肩のロケットは外して、機体のパーツも変えた。
「うーん、少々不安の残るアセンになったな。」
カイルは独り言を言いながら機体のバランサーを調整していた。
KARASAWAは威力は高いが、重量も高い。
その為、自分で納得のいくバランスに調整しているのである。
「これでいいかな・・・ん?」
下が騒がしい。何かあったのだろうか。カイルはACから出て、下に降りた。
「何かあったんですか?」
「カイル、知らないのか?朝、メールが来たのを。」
「メール?」
「見てないのか?」
「悪いが、朝からここにいて、メールは確認してない。」
「そうか。実は朝、管理者からメールが来たんだ。
それで、そのメールはレイヤード全員に来ていたんだ。そのメールの内容がな・・・。」
それを聞いた時、カイルは戦慄を覚えた。
「レイヤードに住む人類よ。お前達は愚かな者達だ。
お前達は大破壊を二度も犯しながら、ゆうゆうと生きている。今ここに、レイヤードの人類の抹殺を言い渡す。」
「これは、一体・・・。」
「確かに、大破壊は俺達が起こした戦争だ。だが、二度も起こしたなんて記録には無い。」
「それは、管理者が握っているはずだ。」
この言葉を言った直後、
「カイル!!」
声の主を見ると、血相を変えたレインが来た
「どうした?」
「急いで会議室に!」
レインがカイルの手を持ち、引きずるように連れて行った。
会議室に到着して、中に入ると、そこにはアリーナのトップレイブン、エース。二位にBB。
三位のロイヤルミスト、通称ミスト。他にアルスター、カタストロフ、シャウシュッツ、
ラルグシータ、更にクレスト、ミラージュ、キサラギの代表者がいた。
余談だが、ラルグシータはレイブンの資格を今日、グローバル社に貰ったらしい。
「あと1人だな。」
「一体何が?」
カイルがカタストロフに聞いた。
「俺達も分からない。ただ、オペレーターに呼び出されて。」
「私は機体のテストをしていたら、レインさんに呼び出されまして。」
ラルグシータがカイルに言った。その時、会議室のドアが開き、1人の男が入っていた。
「揃いましたね。」
入ってきた男が喋った。
「私はユニオンの代表者です。」
ユニオン。聞いたことはある。管理者の考えに反対している組織、だと聞いている。
「そのユニオンが何のようです?」
クレストの代表者が喋った。クレスト社は管理者を一番信仰している。
だから、クレストはユニオンを毛嫌いしている。
「皆さんも知っている通り、管理者がレイヤード全体に宣戦布告をしました。
これに、今日の6時に各地に謎のAC、MTの部隊が確認され、
酸素の配給施設、水精製施設など我々が生きるのに必要な施設が次々と破壊されている。」
「それって、まさか・・・!」
「推測ですが、恐らく管理者の部隊が・・・。」
その時、各社の代表者が立ち上がった。
「どうしました?」
「社に戻って対策を練る。」
そう言うと、代表者達は帰っていった。
「それと、レイヴン達。」
全員、代表者を見る。
「君達には依頼がある。」
「何です?」
「実は、三ヶ所に管理者の部隊と見られる兵器が出てきた。」
話によると、今アヴァロンヒル、セクション732、エネルギー炉に同時に現れたらしい。
エネルギー炉にはACが一機、アヴァロンヒルとセクション732に大型兵器が現れたらしい。
「それで、君達にはこれに対して同時攻略を頼みたい。」
「同時攻略?」
「エネルギー炉は1つでも破壊されれば、同一の施設が連鎖的に爆発を起こす。
そうなればレイヤードは壊滅的ダメージを負う。
それに、アヴァロンヒルの兵器はエネルギー炉を目指している。
恐らく、ACが破壊された時の予備だろう。
セクション732にいる兵器は市街地に目指していたが、我々の部隊で破壊を試みたが、足止めが精一杯だった。」
「つまり、1つ1つ潰していくわけにはいかない、と?」
「その通りだ。その為、君達は3グループに分かれてもらう。
まず、エネルギー炉はアルスターとカタストロフ、セクション723にはBBとラルグシータ。
アヴァロンヒルには残りのメンバーが迎え。以上だ。」
代表者はさっさと行ってしまった。
「行くか。」
「そうだな。」
「何もやらないよりマシだ。」
「そうですね。」
「管理者の意思がどうであれ。」
「俺達の力を。」
「見せてやる。」
「よし、行くぞ!!」
『オーー!!』

アルスターとカタストロフはエネルギー炉に到着した。中に入り、通路に出た時、
『聞こえますか?』
通信機から声。2人の知っているオペレーターではない。
『私は、ユニオンの通信士のレナと申します。
今回限りですが、貴方達のオペレーターを務めさせていただきます。」
「そうかい。で、中は?」
『どうやら、中からセキュリティを起動させたらしく、
エネルギー炉に行くのはいくつものバリアとエネルギー砲台を潜り抜けなければなりません。」
「これか・・・。」
赤い壁がいくつもあり、奥に壁みたいのがある。
「侵入者確認。警戒状態にゆこうします。」
アナウンスと共にバリアが消えた。
『急いでへこみに隠れて!!』
2人が壁の空きに隠れると、
ボシューー。
通路を巨大なエネルギー弾が過ぎ去った。
「あ、あぶねーー。」
「当たったらまずいな。」
再びバリアが起動して、天井からレーザー砲台が出てきた。
「やらせん!」
カタストロフはEOを射出して落とす。
「くそ、どうしたら。」
『奥の砲台を破壊すれば、突破できます。』
再び、バリアが消え、2人はへこみに隠れる。
「このまま、接近して砲台を破壊する。それしかない。」
「分かった。」
アルスターとカタストロフは同じことを繰り返し、1番奥のへこみに到達した。
「レナ!何処を破壊すればいい?」
『砲台の中心を!』
「了解。」
アルスターは肩のロケットで破壊した。
ドドン。
見事に当たり、砲台は崩壊した。奥に入ると、早速EOとレーザーの洗礼を受けた。
何とかかわしたが、敵は更に攻撃を仕掛けてくる。
「食らえ。」
EOを出しながら、カタストロフはプラズマ弾を連射。敵は大ダメージを受ける。
が、パルスキャノンを連射して、カタストロフの機体が爆発した。
「どわぁー。」
「カタストロフ!!」
アルスターはACに月光を突き刺した。しかし、まだ動いていた。今度は横に切り払う。
そして、ACは機能を停止した。アルスターはカタストロフのACの近くまで
行った。
「カタストロフ!!」
「・・・やったのか?」
「よかった。ACは破壊した。」
「そうか、レナ。」
『何でしょう。』
「他の連中は?」
『・・・皆さん、今終了したそうです。』
「了解。俺達も帰還しよう。」
「分かった。」
『輸送機が発進しました。あと、二、三十分で到着します。』
その後、2人は帰還した。

「これは凄い。」
「厄介な相手だこと。」
セクション732に来たラルグシータとBBはヘリから見ながらそう言った。
敵は、赤い巨大兵器だった。
『すみませーん。聞こえますかー?』
「聞こえますが、君は?」
『私はユニオンの通信士のアヤと言います。
今回限りのオペレーターを務めさせていただきます。宜しくー。」
「よ、宜しく。」
「お願いします。」
(軽い感じの女性だな。)
BBは内心思った。
『敵は水中に潜ったり、上がったりします。潜っている時はACの武器では攻撃できません。』
「どうしてです?」
『ACはあくまで地上戦を想定しているので、水中まで弾が届かないんです。』
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
『簡単な事です。敵は重装備ですが、ACと同じです。
ミサイルとビットで攻撃してきますが、回避できれば決定的のダメージはありません。』
「つまり・・・。」
既にラルグシータとBBは足場に降り立った。敵は水中にいる。
『敵は水中から上がってくる所を狙えば・・・。』
「倒せる・・・!」
その時、赤い兵器が上がってきた。
『気をつけて。相手は両側にグレネードランチャーを装備しています。』
言い終わると、敵がグレネードランチャーを2連射した。難なく避ける。
「かなりの火力だな。」
「今の内に。」
「おう。」
ラルグシータはマシンガン、BBはグレネードを連射した。しかし、
「!?」
「くそっ!!」
『敵、ダメージ少ないです。』
赤い兵器のダメージは無に等しかった。
グレネードとマシンガンの連射を受けて無事な兵器は無い。常識では。
「ちっ。常識は通じない、という事か。」
赤い兵器は再び水中に潜る。
「このままでは消耗戦になりますね。」
「冷静に言っている場合か。」
赤い兵器はミサイルとビットを発射した。
「くそ!!」
「うわっ!」
2人はダメージを受けたが、たいしたものではない。しかし、何度も喰らえば無事ではすまない。
「落ちろ。」
BBは拡散バズーカでビットを落とす。
「!?」
ラルグシータは相手の変化を見た。前方の部分が動いた。
「もしかして・・・。」
「どうした?」
『どうしたんです?』
「BBさん、援護をお願いします。」
「!?」
「もしかしたら、倒せるかもしれません。」
「・・・分かった。だが、必ず落とせよ。」
「分かっています。」
ラルグシータは機体を降下させる。赤い兵器は浮上してくる。
(ACもMTも、関節部分は強度が低い。という事は、恐らく。)
ラルグシータは浮上した兵器に乗ると、前部分の関節にマシンガンを連射した。
赤い兵器のグレネードランチャーが向く。
「やらせん!」
BBは拡散バズーカでグレネードランチャーを破壊する。
ペキ。
何か音がした。予想通り、接続部分が限界がきていた。
ドゴン。ドゴン。
爆発と共に赤い兵器の前部分と後部分が分かれた。そのまま、水中に沈む。
「!!」
「ラルグシータ!!」
爆発でよろめき、水面ギリギリで上がろうとするが、上がらない。
「ちっ!」
BBは拡散バズーカを捨てて機体を急がせる。
「掴まれ!」
BBは右腕を差し出す。ラルグシータはマシンガンを捨てて、何とか掴まった。
「ありがとうございます。」
「それは、こっちのセリフだ。」
「物事、何とかなるものですね。」
『2人共、聞こえますか?」
「アヤか。」
『他から連絡があり、作戦は成功。帰還するという事です。』
「了解した。こちらも成功した輸送ヘリを。」
『了解。あと、BBさん。』
「何だ?」
『サイン、ください。』
「は!?」
『私、BBさんのファンなんです。』
「わ、分かった。サインでよければ。」
『ありがとうございますーーー。』
ブツッ。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・大変ですね。」
「・・・・・・ああ。」
その後、来たヘリが来て、2人は帰還した。
余談だが、ヘリの中にアヤがいて、サインを貰いまくったらしい。

「来たな。」
「腕が鳴る。」
「でかい相手だな。」
「どれだけの戦闘能力を持っているのか。行くか。」
アヴァロンヒルに来た4人はそれぞれ感想を言うと、散り散りになった。
敵は巨大な機動兵器だった。
「始めは俺達でかく乱する。行くぞ、カイル。」
「OK、シャウシュッツ。」
2人は機動兵器に向かっていた。機動兵器は六つのコンテナを射出した。
「やらせん!」
シャウシュッツはマシンガンを連射して、コンテナを落とす。
落とせなかったコンテナからミサイルの雨が降ってくる。
「ふっ。その動きで。」
カイル、エース、ミストは避けきる。今度はエネルギー弾を連射してきた。
「ちっ。かなりの火力を保持しているな。」
カイルはKARASAWAを連射しながら言った。
『カイル。』
「どうした?レイン。」
話によると、他の所もかなりの苦戦を強いられているらしい。
「これより、敵への攻撃を強める。」
『分かった。』
各機は攻撃を強めた。その時、
『敵の反応が増えています。目標分離します。』
「何!?」
機動兵器の後ろが離れていった。
「くっ、子機か!」
「でかい奴を狙うぞ。」
しかし、子機はグレネードを連射してきた。
「くそっ。」
「俺とカイルで子機を破壊する。」
「頼む。エース、カイル。」
「分かった。」
カイルとエースは子機へと向かう。
「エース。」
「何だ?」
「やりたい事がある。」
「やりたい事?」
「援護してくれ。」
「分かった。」
カイルは子機に取り付いた。コクピットから出ると,爆弾を装甲に付けた。

「くそったれ。」
シャウシュッツとミストは親機に苦戦していた。
「エースとカイルはまだか?」
親機はコンテナを射出してきた。
「どわっ。」
「ミスト!!」
ミサイルの雨をまともに受けたミストの機体は大破寸前だった。
「やばい!子機が戻ってきた。」
子機にはカイルのフォーニングがはっついていた。上にはエースのアルカディアが
乗っている。
「何やっているんだ?カイルは。」
子機から、グレネードが発射された。しかし、それは親機に命中した。
「な、何だ!?」
シャウシュッツは驚きを隠せなかった。なぜ、子機が親機を?と。
しかし、それはすぐに分かった。
『当たったか?エース。』
『おう、バッチリ。』
通信機からカイルとエースの声。
「カイル!?」
『シャウシュッツか?』
「いったい何を・・・。」
『いや、子機のコンピューターにハッキングして、操っているんだ。』
「そんな事・・・。」
『とりあえず、親機から離れろ。』
「何をすんだ?」
『子機をぶつける。』
「・・・・マジ?」
『マジ。』
その通信を聞いたミストとシャウシュッツは急いで離れる。

「準備完了。エース、離脱だ。」
「了解した。」
二人は子機から離れる。子機はそのまま、親機に突っ込んでいった。
子機は親機にぶつかった衝撃で、中のグレネードが爆発した。
「あれでも落ちないのか。」
子機の体当たりでダメージは大きいが、それでもまだ動いていた。
「もう、奴も限界のはず。」
「行くぜ!」
全機は一気に攻撃をした。親機は攻撃に耐えられず、ついに機能を停止した。
「任務完了。レイン輸送機を。」
『了解。』
その後来た輸送機で帰還した。しかし、その後、想像を絶する戦いが起こるとも知らず。
作者:カイルさん