サイドストーリー

サイレントライン:決戦τポイント!!
ユニオン達の必死の捜査が実を結び、ついに
D機関の本拠地がついに発見されてから3日が経ち
今だ戦力の低下は否めないレイブンチームであるが
これ以上の時間をかけるわけには
いかないと判断したDrユージンはレイブンチームによる
集数精鋭隊での本拠地攻略を作戦する・・・

「やはり、それしかありませんかDr・・・」

「うむ、これ以上時間を与えても危険だ。
 それに、時空転移装置のこともある・・・」

「たしかに、それが起動したらゲームオーバーだな?」

「そうですね、エースさん・・・」

「所で、こないだ渡した新型パーツはどうじゃ?」

「ええ、おかげさまで使いこなせるようになりましたよ。」

「しかし、あのブースタが移動以外にも使えるとな・・」

「ええ、ブースタ基部が可動してTBたMBみたいに
 使えるんでよね。」

「そう言うサイラスは、新型ブレードの調子はどうだ?」

「今までパイルが主だったんですけど、あの
 新型ブレードが入ってから、いつもとは違った格闘戦が
 可能になったんで、今まで以上に使いやすくなりましたよ」

「あとは、社にいる奴らか・・・」

「そう言えばハンクのヤツ、ブレイブガンナーを
 どんな風にしたんだろうな?」

「取り敢えず、作戦の説明のため呼んでおいたから
 そろそろ来るはずじゃ・・・」

「Dr、グローバル社の輸送機が来ました!!」

研究員がアナウンスで輸送機の到着を知らせると
インターホンみたいなマイクでDrが返事を送る

「来たようだな・・・」

「ああ、これでこの戦争も最後だな・・・」

しばらくすると、空中要塞のときと同じメンバーが
Drの部屋にやってきた・・・

「おお、ご苦労じゃった。
 ・・・それでは作戦の趣旨を説明しようかの・・・」

メンバーが整列すると、Drがプロジェクターを使って
作戦の概要を説明する・・・

「少数精鋭か・・・ホントにこれで勝てるのか?」

フライレが疑問を投げかけると

「確かに戦力の低下は否めんが、
 これ以外の方法がないんじゃ。」

「当たるも八卦、外れるも八卦と言ったところか・・」

「斬鬼、やな事言うなよ・・・」

皆が不安がる中で、シャウシュッツは・・・

「みんな聞いてくれ、今回の作戦は皆が
 無事で帰れるという保証は何処にもない。
 だが・・・全力で生きて帰ることだけを考えろ!!」

「生きて帰ることか・・・・
 やるしかないな、みんな!!」

ラスカーが声を張り上げると、皆に活気が戻ってくる!!

「そうだな、何もしないでただやられるだけでは
 しゃくだからな・・・」

「ああ、やってやろうじゃねぇか!!」

「・・・決まりのようじゃな、ではメンバー構成だ・・・
 第1班は
 ・シャウシュッツ
 ・斬鬼
 ・メグリム
 ・ラスカー
 ・ブレイカー
 ・ゲンズィ
 の以上の6名が先発隊じゃ!!」

「・・・機動力があるメンバーだな。」

「うむ、少数精鋭では一気に進軍するより
 まず機動力のある先発隊で入口付近を一気に制圧、
 それから後続隊が奥の部屋を制圧するという風に
 交互に進軍する戦法が有効じゃ。」

「では後続隊は・・・コアやハンクと言った
 重火力アセンが主体か・・・」

「それでは、後続隊は・・・
 ・エース
 ・ハンク
 ・コア
 ・メイア
 ・フライレ
 ・サイラス
 ・ナッツ
 の7名が後続で出撃してくれ!!」

メンバー構成が発表され、一通り説明を受けた
レイブン達は、自分の機体が格納されている
格納庫へと向かった・・・

「これが、ブレイブガンナーの改良型か・・・」

シャウシュッツがいち早くハンクの機体をみて
言葉を漏らした・・・

「ああ、その名もフルアーマーブレイブガンナーカスタムだ。」

「フルアーマー・・・か。」

「勿論、ただの追加装甲だから装甲の解除も可能だ。」

「しかし、よく3日で完成させたな・・・」

「ああ、そこはミガキさんにちょっと無理をいったけど・・」

「おいおい、あんまりあの人に無理をさせるなよ。」

「でも、張り切ってやってたけど・・・」

「・・・・まぁいいか。」

「おいシャウシュッツ、俺の機体を見てくれよ!!」

「どうしたんだ、コア・・・って
 リニアキャノンを外したのか?」

「違うって、改良されたキャノンを装備したんだよ。」

「なるほど・・・ってどういう風に使うんだ?」

「今までは肩で支えるタイプだったけど
 今回は下方にスイングして腰だめで撃てる
 ようになってるんだよ。」

「そうなると、取り回しがよくなるな。」

「テストしてみたけど、以前より撃ちやすくなってる。」

「それに機体で覆っているような射法だから
 被弾して壊れると言うことが少ないな。」

「ああ、おかげで総合的に戦力が強化されたぜ!!」

「他のやつはどうなのかな?」

「メイアの方は、新型ミサイルを
 配備したらしいぜ。」

「どういう構造なんだ?」

「原理はコンテナミサイルと同じなんだけど
 これは目標付近で破裂して小型ミサイルを
 ばらまく形らしい。」

「平行射撃か・・・」

「角度を変えて打ち上げも可能だ。」

「とことん、嫌な武器だな・・・」

「ああ、重量級なら回避は不可能だな・・」

ほかのメンバーの武器には、シールドと一体式の
ガトリングガンのような射撃パーツがあったり
小口径グレネードが搭載されたハンドガンがあったりと様々であった

「みんな、そろそろ時間じゃ
 出撃の前にこれを飲んでくれ。」

Drがマイクを持ってしゃべると、使用人がレイブン達に
小さな杯を手渡す

「勝利を願って!!」

Drが乾杯の合図をすると、皆がその杯の酒を飲む

「・・・いよいよか・・・」

「ああ、あとは後の世代のために全力を尽くすのみだ!!」

全員が機体と共に輸送機に乗り込むと
規則正しく輸送機が飛び立ち、決戦の間に向かう・・・

「・・・最後の決戦の時も旦那を運ぶことに
 なるとは・・・」

「ええ、俺も最後の最後まで親父さんと言うのも
 妙な縁を感じますよ。」

「そうですね、旦那がレイブン試験の時から
 あっしが送り迎えをしてましたからね。」

「ええ・・・でも、親父さんでよかった・・・
 おかげで幾分かは気が楽になりますよ。」

「そうですかい・・・そうだ、この戦いが
 終わったら飲みに行きませんかい?
 結構良い店を知ってるんですよ。」

「ええ、その時は皆を連れて行きますよ。」

「それじゃあ楽しみにしてますよ。」

安穏とした会話をしているうちに
いつしか、目標のτポイントに到着し
降下準備に入ることとなった・・・
そこで見える風景とは、岩肌ばかりが
めだつ殺風景な物でありその奥に、
本拠地と思われるベースがあった・・・

「ここがτポイントか・・・
 不可侵領域というのもうなずけるな、
 ここでは磁気干渉というものが存在していない。」

一緒に乗り合わせた斬鬼が言うと

「ああ、地磁気の穴だからなτポイントは・・・」

シャウシュッツがτポイントについて
答える・・・

「それに、リリスちゃんが生きているならここに居るな。」

「ああ、生きていて欲しいな・・」

輸送機が予定ポイントに到着すると機体が降下される。

3機の輸送機が機体を降下し終えると安全なポイントまで
後退し始め、6機の機体は本拠地に入ろうとするが
おそらくはバリアのたぐいのような物が邪魔をしていて
入ることが出来ない・・・

「やばいな・・・これじゃあ入れない・・・」

「・・・どうする?」

「おそらくは、どこかに発信器のような物があるはずだ。
 そいつさえ破壊できれば・・・」

「だが、その前に敵が来たら?」

「いや、それはない。
 そうであればバリアは開放されているはずだし、
 それに出てくるなら既に来ているさ・・」

「もしかしたら、既に過去に!?」

「そうかもしれん、とにかく急ごう!!」

6機の機体が周りをくまなく調べると
ポッドのような装置が4つ見つかった。

「これが装置か?」

「そうかも知れないが、危険を考えて
 ロングレンジで破壊しよう!!」

シャウシュッツが持っているライフルを構え
モードを単発にセットする!!

「照準固定・・・発射!!」

バシュン・・・バガアアァァァン!!

細いレーザーが発射され、ポッドに直撃する!!
すると、ポッドは勢いよく破壊され大爆発がまきおこる!!

「・・・これが至近距離だったら間違いなくやられてたな。」

「ええ、これほどの爆発だったら
 全滅していたかも知れないわね・・・」

メグリムが最悪の事態を想像する・・・

「バリアはどうだ?」

「・・・消えている。
 発信器の一つが破壊されバリアが維持できなくなったんだろう。」

「よし、突入だ!!」

機体が内部に突入すると、そこには大型のエレベータが
設置されており、奥にコンソールのような物があった。

「これを操作すればいいのかな?」

「気を付けろよ・・・」

ラスカーが操作しようとするとゲンズィが注意を促す。

コンソールを操作すると、エレベータはガシュと
何かが外れたような音を立てて、ゆっくりと
降下を始める・・・

「なんとか無事に動いたな・・・」

「ああ、だがここまで何事もなく入ってこれたら
 なんか拍子抜けるな・・」

「いや、俺達を奥に誘い出して
 エレベータを封じればそれこそ袋の鼠だ。」

「ああ、それだけは避けたいな・・・」

「取り敢えず、降りた先の部屋からゆっくり制圧しよう。
 あとは後続部隊の出番だ。」

エレベータが止まり、部屋に出ると
そこにも何の気配もなく、がらんとした
大部屋があるだけであった・・・

「・・・奥に誘い込んでいるな・・・」

「ああ、どうする?」

「・・・ここに2人ほど残して4人で
 進行するのが理想だな。」

「誰が残る?」

「斬鬼とゲンズィが残ってくれ。
 二人のアセンはバランスがいいタイプだから
 どんな状況でも対処できる!!」

「分かった、シャウシュッツ・・・
 そっちも頑張れよ。」

「ああ、頼んだぞ・・・」

4人が奥の部屋に向かうと、そこには薄暗い
長い通路があり、まるで4人を
誘い出しているような雰囲気であった・・・

「警戒していこう、何処に何があるか判ったもんじゃない。」

「ああ、メグとブレイカーは後方を頼む!!」

「了解、そっちもお願いね。」

しばらく進んでいると、大きなゲートがあり
横に開閉ボタンが付いていた・・・

「開けるぞ・・・」

ラスカーがゲートを開放するとそこには
待ってましたと言わんばかりに
3機のACが待ちかまえていた!!

「やはりいたか!!」

「相手の方が少ない!!
 一気にたたみかけるぞ!!」

レイブンチームとD機関の部隊は
ほぼ同時に動き出し、
激しい銃撃戦が展開される!!

メグリムとラスカーが
新パーツであるシールドガトリングと
連射型投擲銃で弾幕を張り
シャウシュッツとブレイカーで
追い打ちをかける!!

相手も負けじとミサイルやオービットキャノンで
こちら側の死角を付いたような戦術を展開する!!

「ちっ!!やはり一筋縄ではいかないな!!」

「だが、弾幕のおかげで動きが鈍い!!
 一気に追撃だ!!」

そう言うや否や、メグリムの機体
ヴリュンヒルトが勢いよく飛び出し
ブレードの斬撃を相手に浴びせかける!!

「よし!!メグリムに続け!!」

シャウシュッツが声を上げると一気に
相手に接近し、格闘戦を仕掛ける!!

一気に2体を仕留めるが、仕留め損なった
もう一機がスキをみせたヴリュンヒルトに
グレネードを発射しようとする!!

「しまった!!」

「メグリム!!避けろぉー!!」

だが、その攻撃はシャウシュッツの狙撃によって
阻止される・・・

戦闘システム、コード:ガンナーを
起動させた精密射撃は確実に相手の動力炉に
直撃させ動きを止める。

「間一髪だったな、メグ。」

「シャウシュッツ、ありがとう・・」

「よし、これでここは制圧終了だな!!」

「ああ、あとは後続隊を待つばかりだ!!」

「・・・こちらゲンズィだ。
 後続隊が来た!!
 現場の現状維持を頼む!!」

「・・・こちらラスカー。
 了解だ、奥の大広間にいると伝えてくれ!!」

ゲンズィとラスカーが通信でやりとりし、
場所を伝え、後続隊を待った。

数分後、待っていた後続隊がやってきて
引き続き先発隊が現状維持しようとした時であった!!

「・・・あらあら、暇そうじゃないあなた達・・」

「・・・その声、ディードリットか!!」

「せっかく来た客人を待たせるなんて
 無礼は出来ないわね・・・
 シャウシュッツ、貴方だけ来て欲しいわ。
 ・・・いいかしら?」

「・・・断っても被害が出るだけか・・・
 良いだろう。
 みんな、付いてくるなよ・・・」

「おい、シャウシュッツ!!」

「そう言うこと・・・あなた達には
 もっとふさわしい相手が居るからご安心を・・・」

「くそ!!・・・死ぬなよシャウシュッツ!!」

ディードリットに案内され、奥の部屋に誘導される
シャウシュッツ・・・
その部屋は柱や障害物が多く、地上戦が
やりにくい構造となっていた・・・

「ここが俺の処刑場か・・・」

「そうね、少なくても貴方に対しては
 煮えくりかえるような感情があるからね。」

「・・・ごたくはいい、さっさと始めたらどうだ?
 俺の処刑を・・・」

「そんなに焦ることはないわ。
 ・・・ねぇ、何であの時
 D機関や私を裏切ったの?」

「・・・尋問のつもりか?」

「答えて。
 どうして裏切ったの、私を?」

「・・・分かっているのか?
 今、D機関が何をして、
 何を成し遂げようとしているのか!!」

「・・・そうね、少なくても
 私たちがやろうとしている事は
 完全に正しい事では無いかも知れないわ。
 でも、誰かがやらなければならない事よ!!」

「完全なる独裁が・・・か?」

「分からないの!!
 過去の愚かな人間は己の利権だけを求め、
 生物を殺し、そしてこの世界そのものさえ
 破壊したのよ!!
 それに懲りず、また同じことを繰り返そうとしている!!」

「・・・神にでもなったかのような発言だな。
 ディードリット・・・それは使命ではない。
 そう・・・お前の言う人間と同じ
 自らのエゴの一つにすぎん!!」

「シャウシュッツ!!これは私たち人間の
 最後の使命よ!!この荒廃した世界に対する
 唯一出来うる償いでもあるわ!!
 
 ・・・貴方だって見たでしょう?
 草木も生えず、ただ死の広野が
 広がるだけの世界を!!
 こんな世界で、僅かに生き残った動物たちは
 どういう思いをして生き延びたと思うの!!

 そして、草木が生えている大地だって、
 彼らがどれだけの苦労を払って
 手に入れた物だと思っているの!!」

「・・・確かに、その発言にも一理ある。
 だがな、過去を変え、自らが独裁して
 作り上げた世界は今以上に荒廃した世界だ!!
 それがわからんのか、ディードリット!!」

「・・・これ以上はなしても無駄のようね。
 もし貴方に、戻ってくる気があれば
 話も違ったけど、無理なようね・・・」

「・・・来い、全力で相手をしよう。
 そして、見せてやろう
 俺のいう信念の力を!!」

バシュウゥン!!

そう言うと、早速持っていたライフルを突き出し
ディードリットに向けて発砲する!!
しかし、空中を自在に飛び回る
シューティングスターの前には
カスリもしなかった・・・

「その程度なの?
 貴方の言う信念の力は!!」

ガシュ!!・・ バシュゥゥン!!バシュウゥン!!

以前とは違い、強力なエネルギーライフルをもつ
シューティングスターはソリッドランサー目掛け
エネルギーの塊を連射する!!
辺りの障害物や床に直撃し砂埃と残骸をまき散らし
視界が完全にふさがれ辺りは騒然とする

「ちっ!!動きが取れない分こちらが不利か!!」

障害物に足を取られ視界がふさがれ
思うように回避が取れないソリッドランサー・・・
その形勢は既にディードリットの方が
圧倒しており、ここでの挽回は非常に難しい状況であった

「・・・残念だけど、ここでお終いね
 シャウシュッツ・・・」

ディードリットがソリッドランサーのコアに
照準を向けたときであった・・・
僅かに視界が開け、相手の姿が見える!!

「・・・戦闘コード、コード:ガンナー起動!!」

バシュウイィィィン!!

タイミング良く、相手の銃口に照準を合わせ
お互いのエネルギー弾を相殺する!!

「くっ!!・・・さすがねシャウシュッツ。」

「何とかなったか・・・だがこのままでは!!」

一時はしのいでも、それは本の一瞬でに過ぎず、
すぐにディードリットの猛攻が再開された!!

「まずい!!このままではやられる!!」

「どうしたの?その程度でやられるなんてらしくないわね。
 ・・・相手を殺すことを忘れた貴方には、
 これが限界なのね・・・
 
 あの頃の貴方は、今と違って気迫、執念共に
 全く違う物があったわ・・・
 それが今ではこのザマ・・・
 どうしようもないわね・・・
 いいわ、そのまま楽に殺してあげる・・・」

「・・・このザマ・・・・・
 楽に・・・か・・・」

この一言にシャウシュッツの中の
何かが切れた・・・

「ふふふふ・・・はははは!!」

「・・・シャウシュッツ?」

「そうだったな、なぜ自分を殺そうとする
 奴らをいちいち手加減しなければ
 ならないなんてな。
 ・・・楽に殺してやる・・・
 そう簡単にオレが死ぬとでも思ったか?」
 
「うっ!!この気迫、さっきまでの
 シャウシュッツじゃない!!」

「遠慮はしない、ディードリット・・・
 貴様を確実に・・・・殺す!!」
 
「・・・003!!でもやられるわけには!!」

そこには、シャウシュッツではなく
D機関の兵士003がソリッドランサーを操り、
ディードリットに襲いかかる!!

「墜ちろぉ!!」

バシュウゥゥン!!・・バシュウゥゥン!!

空に向かって、銃を発射し相手の動きを封じる!!

「迂闊に動けない!?・・・けどっ!!」

手に持っていたライフルを構えると、相手のコア目掛けて
ビームを乱射する!!
・・・しかし、それは虚しく空を焼いただけで
逆に003の反撃によって銃を破壊される!!

「うっ!!・・・まだまだ!!」

ドン!!ドン!!ドン!!

インサイドに装填されているロケットを発射すると、
それはソリッドランサーの肩や腕に直撃し、
左腕が吹き飛び炎が上がる!!

「ちっ!!ブレードが封じられたか!!」

そうして、残った右腕に装備されたライフルを構えると
ふいに、シューティングスターの姿が消える・・・

「ステルスで隠れたつもりか・・・
 言ったはずだ、確実に貴様を殺すと!!」

003がレーダ−をパッシブソナーに変換すると
辺りの音を探った・・・
周りの騒音も混ざり、様々なノイズが響く中
慎重に目標の音だけを探った・・・

「ステルスを使っている以上、
 迂闊な攻撃はしてこない・・・
 おそらくは格闘戦による
 一撃離脱戦法だな・・・」

ソナーで音を探っていると、かすかな駆動音が
機体の背後に感知された!!

「そこかぁ!!」

キュイィィィン・・・ズガアァァァァン!!

ライフルを発射し、横を向いていた
シューティングスターのステルスとブースタが
一気に破砕される!!

「くっ!!ステルスが!!」

攻撃の衝撃で吹き飛ばされ、そのまま
前のめりに倒れて動きが止まる!!

「宣言通りだ・・・殺す!!」

すぐさまコードをガンナーに変えると
手に持ったライフルを構えて、相手の
右足、左腕、頭部の順に機体を
吹き飛ばしていく・・・

「くっ!!あああぁ!!」

この時、ディードリットは今までに感じたことのない
異様な恐怖に襲われる!!

「何なの、この感じ・・
 この異様な寒さは・・・!!」

「もろい・・・これが
 シューティングスター・・・か、
 余りにもろすぎる・・・。」

003はまるで、動けなくなった動物か何かを
子供がいびり殺すかのように機体を弄んでいた・・・

「死ぬ?・・・この私が死ぬ・・・
 これが今まで感じたことのない恐怖なのね・・
 でも、ただでは死なないわ!!」

補助ブースタを起動させると、一気に急上昇して
ライフルを構えながら特攻する!!

「ちっ!!遊びすぎたか!!
 ん?・・・刺し違える気か!!」

「道連れにするわ、シャウシュッツ!!」

「・・・貴様だけが死ね!!コード:・・・!!」

お互いに激しくぶつかり合う瞬間、
僅かな時間で発動させた
コード:ソリッドーランサーが
まともに決まり、シューティングスターは
見るも無惨に砕け散る・・・はずであった・・
しかし、直撃の瞬間「シャウシュッツ」が
自我を取り戻し、最後のトドメを阻止する・・
しかし、その過負荷の代償は余りに大きい物であった・・・

機体の駆動部は吹き飛び、ジェネレータなどの動力周りからは
火事でもあったかのような煙を噴いていた・・・

「・・・生きている?
 ・・・まだ生きていたのね、私・・・」

「ディードリット!!無事かぁ!!」

機体から降りると、
突如、ソリッドランサーのハッチが開き
シャウシュッツが叫ぶ!!
そこにいるのはD機関の003ではなく
グローバルコーテックスのシャウシュッツが居た・・・

「・・・003?・・いや、違う
 シャウシュッツね・・・」

「ディードリット!!大丈夫か!!
 どこか痛むか!!」

「・・・私なら大丈夫よ・・・
 でも、もう戦えないわね・・・」

「ああ、もう戦わなくていい!!
 ・・・もう・・戦わなくて・・・」

意識がうつろなディードリットを抱いて、
一粒の涙を流すシャウシュッツ・・・
彼には、もう少しで自分の大切な人
を無くしてしまうという、負い目からだった・・・

「・・・シャウシュッツ、ごめんね・・。」

「俺も、ごめん!!
 君を裏切って・・・」

「良いのよ、貴方はただ
 自分が正しいと思ったことをやっていただけ。
 ちょっとしたすれ違いよ・・・お互いにね・・」

「俺はその「すれ違い」で君を殺して
 しまうところだった!!
 ・・・生きていてよかった・・・」

「でも、私だって貴方があそこまでやらなければ
 逆に貴方を殺していたわ・・・
 もう・・気にしないで・・・済んだことでしょう?」

「・・ああ、そうだな・・・」

そう言うと、2人の男女は互いに泣き始め
昔を思い出すかのように抱き合った・・・

「シャウシュッツ・・・ここの右のゲートを開ければ
 奥に整備室があるわ・・・
 そこなら、ソリッドランサーの力を取り戻せるわ・・」

「ディードリット・・・」

「それと、このディスクを受け取って・・」

「これは?」

「最近、開発されたD.F.C.Sの新型プログラムよ。
 これなら今まで以上に高い追従性が付与されるわ・・」

「お前、こんな物をなぜ俺に・・・?」

「・・・知りたくなったのよ、あなたの言う信念の力が・・・
 でも、もうそれは見れなさそうだけど・・・」

ディードリットが咳き込むと、吐血し、
ふいに力が弱まる・・・

「!!・・・おい、しっかりしろディードリット!!」

「・・・シャウシュッツ・・・・最後にもう一度抱いて・・」

そして、ディードリットを抱いてシャウシュッツがキスをする・・・
次にシャウシュッツが気が付いたときには
そこには、一人の天使となったディードリットがいた・・・

「・・・ディードリット、今は・・・涙を流さない。
 そう、全てが終わったとき・・・お前のためにこの涙を流そう。
 ・・・そして、誰よりも生き抜いてみせる!!」

      サイレントライン:決戦τポイント!! 完
作者:ハンクさん