サイドストーリー

地下の最後
「そろそろ、作戦領域です。準備を。なお、これより通信は不可能になります。」
通信機からレインの声。カイル、シャウシュッツ、エース、ラルグシータ、アルスターがいた。
ここは輸送機の格納庫。何故ここにいるかというと、昨日の事。

「これが、現状です。」
目の前のモニターにレイヤードの状況が出た。かなりの被害が出ていた。
「ユニオンより、これ以上被害が出れば、レイヤード自体が崩壊する可能性が出てきているようです。」
「俺たちに、どうしろと?」
「君達には、管理者自体を叩いてもらいたい。」
見ると、以前見たユニオンの代表者がいた。
「叩けと言われても、何処にいるんだ?」
「それについては心配無い。」
モニターが切り替わる。そこには・・・。
「この映像は?」
そこには不思議な部屋が映っていた。
「これは、我々の偵察部隊が調べた管理者へと続く通路だ。」
そして、モニターが切り替わり、今度は武器のデータが出てきた。
「あの場所から先は不明だ。
だから、君達には我々、クレスト、ミラージュ、キサラギが共同で開発した試作品の武装で行ってもらう。」
「大丈夫なのか?」
シャウシュッツはひとつ質問した。中に入ってすぐに潰れた、となったらしゃれにならない。
「心配する事は無い。十分実戦には耐えられる。」
モニターには五つの武器が表示されていた。
「これは、シャウシュッツ、君に装備武器はこの大型ブレードだ。
両手持ちのブレードの為、マシンガンとムーンライトを外してもらう。
次にカイル、君の武装はKARASAWAの出力を上げた改良型だ。
しかし、これは重量と出力の関係上十発しか撃てない。
次はエース、君にはスナイパーライフルを外して、エネルギースナイパーライフルを装備してもらう。
これは、二十発の高威力のエネルギー弾を発射できる。
次にラルグシ−タ、君にはアサルトマシンガンを装備してもらう。
これはライフル弾を採用したマシンガンだ。弾は400発。
最後にアルスター、君には試作型のエネルギーランチャーを装備してもらう。
これは、五発しか撃てないが、破壊力はKARASAWAの改良型を超える。」
「ちょっと、俺達の装備は!?」
カタストロフが意見する。
「他の者には、各地の実働部隊の相手をしてもらう。」
「アリーナのトップクラス達が管理者を倒す為だけに送れないと、そういう訳か。」
「そういう事だ。作戦の開始は明日の午前0時、装備品はしっかりとテストをしておけ。」

「かなり広いな。」
始めに突入したのはカイル、シャウシュッツ、ラルグシータである。
「気をつけろ。何処に敵がいるのか分からない。」
シャウシュッツが注意をうながす。
「ところで、ラルグシ−タ。」
カイルが話し掛ける。
「何です?」
「お前、名前、長くないか?」
「やはり、そう思いますか。」
「ちょっと、略して良いか?」
「良いですよ。」
「じゃあ、シータ、って言うのはどうだ?」
「良いですよ。」
「そこ、無駄口を叩くな。」
シャウシュッツに言われ、黙る二人。そこにエース、アルスターが来る。
「ここは良いな。」
「よし、次に・・・。」
突如レーダーに反応。上から数十機の人型が降りてきた。
「何だ!?こいつ等は・・・。」
「ACではありません。」
「見りゃ分かる。」
確かに、ACにしては少しでかい。背中に良く分からないでかい装甲を付けている。
「ふふふ。」
通信機から聞いた事の無い声が聞こえた。
「誰だ!」
カイルは通信機に向かって叫ぶ。
「私は管理者。」
「何!?」
「貴方達に量産型とはいえ、セラフに勝てるかしら。」
「セラフ!?」
「知っているか?」
「聞いた事は無い。一体セラフとは・・・。」
考える暇を与えないように、セラフと呼ばれた人型は動き出す。
パシュー。パシュー。
ガガガガガガガ。
何機かは右腕のパルスガンを、何機かは腰のチェインガンを連射してきた。
「くそっ!」
「カイル、シャウシュッツ!先に行け!」
「!?」
「何故だ。」
エースの言った言葉に、カイルは驚き、シャウシュッツは問い返す。
「このままでは管理者の所に行く前に弾が尽きる。お前達だけでも先に行って管理者を倒せ。」
ピィー。ピィー。
ドゴン。ドゴン。
エースはスナイパーライフルを放ち、二機を落とす。
ズガガガガガ。
チュチュチュン。ドゴン
シータはアサルトマシンガンを連射して一機を落とす。
キュィーン・・・・・ズバーン。
ドゴンドゴンドゴン。
アルスターは充電の必要があるが、強力なエネルギーランチャーを放ち、三機を落とす。
しかし、セラフはいっこうに数が減らない。
「急げ。いつまでも持ちこたえられない。」
「分かった・・・。」
「必ず生き残れ。」
二人は奥に急ぐ。
「俺を誰だと思っている。これでもアリーナの元トップだ。」
シャウシュッツにトップを奪われ、ノヴァにも負けた事で復讐心でここまで来たのである。
この程度負ける訳には行かない。アリーナでシャウシュッツとノヴァを倒すまでは。
「行くぞ、二人共。こんな奴らにやられてたまるか。」
「分かっています。」
「まだ死ぬ訳には行きませんからね。」

「・・・・妙だな。」
「何がだ?シャウシュッツ。」
「ここまで来たのにあのセラフとかいう奴はおろか、ACやMTすら出てきていない。」
「そう言えば、確かに。」
既にセラフの出てきた部屋からかなり離れたというのに、レーダーに反応は無い。
「明らかに奥に誘っているな。」
「ならば受けるだけだ。」
二人はいくつかの部屋を通過して、エレベーターを降りた。
「ここまで来ましたね。」
「管理者か。」
「さあ、カイル、シャウシュッツよ。私は奥にいる。そこまで来れれば私が相手をしましょう。」
「行ってやるさ。」
「来れればね、ふふふふ。」
二人は奥に進んだ。すると、少し広く、横には柱が立っている。そこには。
「何!?」
「こいつは!?」
そこには、ACと思われる機体が二機、最初の部屋に出てきたセラフという奴に似ている機体が一機。
「赤と黒の機体は、過去の最強レイヴン、ハスラーワンのナインボール。
もう一機はカイル、貴方の兄、ノヴァのリングをオリジナルセラフに組み合わせたリングMK−U。」
「何!?」
「さあ、相手をしてあげなさい。」
それと同時にAC、ナインボールとオリジナルセラフの改良型、リングMK−Uが動く。
「ナインボールの武装は、パルスライフルと思われる銃、グレネード、二連ミサイル、ブレードか・・・。」
「リングMK−Uはリングの時とは機体が違うだけで、武装は同じか・・・。」
それにしても、奴らは連携が取れていた。
ナインボールの一機がパルスライフルでかく乱、残っているナインボールとリングMK−Uが後方から攻撃。
最初のナインボールにかまっていると、後ろの攻撃を。
後ろにに気を付けていると、前のナインボールから攻撃を受ける。
「たりゃー!」
シャウシュッツは大型ブレードを振り回す。しかし、相手の機動力が高く、簡単に避けられる。
「行け!」
カシューー。
カイルは、改良型KARASAWAを後方のナインボールに放った。
反応はおくれたが、左腕に当たっただけだった。
しかし、普通なら腕が使えなくなるが、腕は存在する。普通なら・・・。
「!!?」
ナインボールの動きが止まった。
「なっ・・!?」
「強すぎだろ。いくらなんでも・・・。」
ナインボールの腕が消えた。いや、灰になった。KARASAWAの改良でこの位という事は。
「アルスターの方は・・・。」
「考えたくないな・・・。」
カシュー。カシュー。
二連射で後方のナインボールは完全に灰になった。
「おいおい、コアまで灰になったぞ。」
「強すぎだって。」
「そうそう、言い忘れたけど、ナインボールは無人機だから、安心して。AIだから。」
管理者の声。どうやらナインボールとセラフはAI操作らしい。
「AIレイヴン・・・。」
「何?」
「いや、何となくACに乗ってるからその方がいいと思って。」
「そのAIは通称AIレイヴンと呼ばれているは。」
「まじかよ。」
しかし、考えをしていた時、リングMK−Uが動き出した。どうやら、自らやるらしい。
「シャウシュッツはナインボールを!!」
「カイル!?」
「俺はリングMK−Uをやる。」
「・・・・分かった。」
そして、二人は戦いを始めた。

「ハア、ハア、ハア。」
「くそっ、まだいるんですか。」
「ちょっと、ハア、やばいですね。ハア、ハア。」
エース、アルスター、シータは最初は良かったが、だんだん押されて来た。
ちなみに、こいつ等がAIだという事は管理者から通信があり、分かっている。
ボシュ。
ドオン。
エースはグレネードを放ち、三機倒すが、敵の数はいっこうに減らない
「これで俺の武器の弾は尽きた。二人はどうだ?」
息が荒い。流石のエースも参っているらしい。
「私は、あと三十発位です。」
「ランチャーは一発、小型ロケットは二発。」
アルスターとシータの息も荒い。敵は攻撃を緩めては来ない。それぞれ柱に隠れて攻撃を避ける。
「どうします?このまま、と言う訳には行きませんよ。」
「かと言って、あの数に接近戦を挑めるか。」
量産型のセラフは見えるだけで、十機はいる。しかし、後ろにどれだけ残っているのか分からない。
「万事休すだな・・・。」
セラフ達は攻撃を止めずに進んできた。
バキュン。バキュン。バキュン。
ドゴン。
突然響いた音が響いた。見ると、セラフが一機爆発していた。入り口から一機のACが出てきた。
「間に合ったな。」
「その声、アップルボーイか!!」
「久しぶり、アルスター。」
そのACは、アップルボーイのエスペランザはライフルを連射して、瞬く間にセラフを五機落とす。
「ここは俺が食い止める。お前達は補給を。」
「どうやって。」
「外に補給車が待機している。それを使え。」
「すまんな。」
三人は外に出て補給車から補給をした。その時、新たな機影を二機、レーダーに確認した。
「!?」
二機のACが来た。
「ふー、間に合ったか。」
「ギリギリかしら?」
「フラジャイル!レジーナ!」
「久しいなアルスター。」
「元気にしてた?アルスター。」
アルスターはこの二人とは知り合いである。
レジーナは以前のレイヴン試験妨害阻止で出会い、フラジャイルは以前僚機で雇った事がある。
「手伝いに来たよ。」
「助かる。」
五人は中に戻る。中ではアップルボーイが応戦していたが、流石にこの数では無理がある。
キュィーン・・・ズバーン。
ドドドォン。
アルスターはエネルギーランチャーで一気に落とす。
「反撃開始だ。行くぞ。」
エースの掛け声と共に一気に反撃する。

「そらそらぁーー。」
ボシュボシュボシュボシュ。
レジーナはトリプルロケットを乱射して落とす。既に十機は落ちた。

「借りは返させてやる。」
パン。パン。パン。パン。パン。
ライフルを連射して確実にフラジャイルは敵を落とす。

「これで終わりだ。」
ザシューン。
アップルボーイはブレードを振り、一機切り捨てる。

「まだいるんですね。」
ガガガガガガガガガガ。
シータはアサルトマシンガンを連射して一機、二機と落としていく。

「いいかげん消えろーー!!」
キュィーン・・・ズバーン。
アルスターはランチャーで一気に五機を落とす。

「遅いな!」
ピィー。ピィー。ピィー。
三連射で一気に三機落とす。
「カイル、シャウシュッツ、まだか?」

「どりゃー。」
シャウシュッツは大型ブレードを振り回してナインボールを斬りつける。
しかし、ダメージは浅い。逆にパルスライフルでダメージを受ける。
「このままでは、こっちが。」
シャウシュッツは横目でカイルを見た。
既にKARASAWAはパージして、接近戦を挑むつもりらしい。
「いちかばちか、やってみるか。」
相手はグレネードを構え、撃ってきた。
ボシュ。
「行くぜー。」
シャウシュッツは、大型ブレードを振りかざしてブースターを機動させた。
「・・・斬・・・!」
ドゴーン。
グレネードの弾を大型ブレードで真っ二つ切り落とした。ブレードはそのまま床に突き刺さる。
「終わりだー。」
シャウシュッツは機体の慣性を殺さず、そのまま直進した。
ナインボールは、予測出来なかった事態に一瞬動揺したが、そこはAI、素早くブレードに切り替えた。
この時、ブレイブガンナーカスタムに手に大型ブレードは無かった。
あるのは、腕に小手のように付いているシールドだけ。
「貫けーー!!」
急に右腕の小手が移動した。左腕の小手はシールドを展開。
ブウン。
ナインボールのブレードを防ぐ。シャウシュッツは機体の右腕をそのまま相手のコアの伸ばした。
ザシュ。
ナインボールのコアを何かが貫き、ナインボールは崩れ落ちる。
ブレイブガンナーカスタムの右腕の小手の面から、四つのエネルギーブレードが出ていた。
試作型シールドブレード。その名の通り、ブレードとシールド、両方の機能を持っている。
大型ブレードは強力だが、狭い場所ではあまり振り回せない。その為に装備である。
「カイルは?」
見ると、あちらも終わったようだ。

「ちっ!」
カイルはKARASAWAを落とすと、機動戦に持ち込もうとしたが、
相手は中型EOとグレネードで弾幕を張り、近づけない。
無理に行けば、グレネードの餌食になる。
「くそったれ!」
カイルは、一度柱に隠れる。それでも、猛攻により移動する。
「・・・・・・・。」
カイルは相手を見ながらチャンスを待った。
カシュー。カシュー。
相手はKARASAWAに切り替えてきたらしく。
青い光が来る。カイルはもう逃げ切るのは限界だと思い、OBを機動。
キュィィーーン。
(もし、あの時ノヴァが死んでいなければ、恐らく操られている。
という事は、機体の何処かにコントロール装置があるはず。)
カイルは目標をコクピットのすぐ横にした。あるとすれば考えられるのはそこだけ。
破壊される可能性がある頭部には無理。その他の所も辛い。
バシュゥゥー。
OBで突っ込む。ノヴァのリングMK―Uも月光を出す。しかし、ノヴァの方は間に合わなかった。
ザシュ。
カイルはフォーニングMK―Uの月光をコクピットのすぐ真横に突きたてた。
リングMK―Uはそのまま崩れ落ちる。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」
パイロットを殺さず、月光を突き立てる。これにはかなりの集中力が要る。
「・・・・うっ・・・。」
通信機から声。その声には聞き覚えがあった。
「・・・兄さん・・・?」
「・・・カイルか?」
「カイル!どうだ?」
シャウシュッツが来る。
「その声、シャウシュッツか!」
「・・ノヴァ・・?ノヴァなのか!?」
「ああ。・・・それにしても、ここは。」
「話は後だ。とりあえず上に・・・。」
カイルが動いたのに気づき、声を止める。
「何処に?」
「決まっている。管理者を倒す。」
「何!?」
ノヴァが声をあげる。
「兄さん、KARASAWA、借りるよ。」
「・・・分かった。」
「ノヴァ!?」
「ただし、条件がある。」
「何?」
KARASAWAを持ちながら聞く。
「必ず、戻って来い。」
「分かっている。」
そう言い残し、カイルはフォーニングMK−Uを動かして、奥に進んだ。
しかし、これがシャウシュッツとノヴァが見た、”味方”としてのカイルの最後だった。
「俺達は一度、上に戻ろう。」
「そうだな。」

「来たぞ。管理者。」
カイルは外に向かって叫んだ。その時、上から一機の人型の機体が降りてきた。
「一人だけですか。」
「不満か?」
「いえ、まあ少しは不満が残りますが。」
「無駄口は、ここまでにしようぜ。」
「そうですね。ですが、貴方一人ならこのヴィクセンでも十分です。」
「ほざけー!」
カイルと管理者は同時に銃を向けた。

「・・・!?」
一階で戦っていたエース達。その時、エースが何かに気が付いた。
セラフの動きがおかしい。そう思った時、セラフは機能を停止した。
「一体これは・・・。」
どういう事だ、と言いかけて止まる。向こう側の通路から二機のACが来た。
「大丈夫か?皆。」
「ふー。流石はエース。生きていたか。」
「その声、シャウシュッツ、それにノヴァ!」
その時、地面が揺れた。その後、爆音もする。
「何だ!?」
「・・き・こえ・・るか・・・。」
通信機から声。カイルだ。
「どうしたカイル。」
「わりぃ。条・・件、守れ・な・・さそう・・・だ。」
「なに!?」
「そ・・・れに、か・んり・・・者の・・・奴、・・・自爆装置・・・を起動・・させ・・・た・・・らし・・・い。」
「な・・・!!」
一同は絶句する。
「じゃあ、な・・・。」
その言葉を最後に通信が切れた。
「カイル!」
「ノヴァ、脱出するぞ。」
「・・・分かった。」
全機はそこから大急ぎで離脱した。

「これでいいか。」
カイルは通信機の電源を切る。
「それにしても・・・。何故、コクピットを撃たなかった。」
二機のACは片膝をつき、動かなかった。
「貴方も何故・・・。」
「何となく・・・。」
「何となく・・?」
爆発の炎が二人のACを焼いていた。
「このままでは。」
二人はあの時、銃を向けたとき、お互いに動力部だけを破壊した。
「心配しないで。助けが来ました。」
「助け?」
二人の間に入るように一機のACが降りてきた。
「助けに来ました。」
「お願い、あの人も・・。」
そのACはカイルのフォーニングMK―Uを見る。
「・・・・了解しました。」
ACはフォーニングMK―Uとヴィクセンを持ち上げると、重量に関係ない様に、そのまま、上に上って行った。

その後の調査でも、カイルの機体は発見できなかった。新聞にも
『管理者を倒した英雄達』
と、高らかに載った。しかし、そこにはカイルの名前は無かった。
その後、『英雄』は忘れられる存在となった。その中でも、『英雄達』はカイルの事を忘れなかった。
死んだと思い。しかし、その裏では二つの組織が共に動いているとは知らずに。
これにより、レイヤードの支配は終わり、本当の自由と一時の平和を得た。
しかし、これは一人の犠牲で成り立ったものだとは知らない。
そして、管理者の戦いより激しい戦いのカウントダウンが始まっていた。
作者:カイルさん