サイドストーリー

哀しみの序曲:完結編-上-
ガレージに走りながら「彼」は考えていた。

――この機に煙に巻いてしまおう

ガレージの出口へと走った時に置いてあったコンテナに「彼」はぶつかった。
「どうしたの? 早く行くわよ」
メグリムに見つかり「彼」は逃げることをあきらめた。
「初めての実戦だから 援護ヨロシクゥ!!」
ベテランだと思ったAC乗りは実は戦ったことも無い素人だったのだ。
「初めてったって 僕も初めてなんだよ!!」
下がり目だが意志の強い蒼い瞳をモニターに向けて「彼」は叫んだ。
「男の子なんでしょ!? だったら黙ってやるの!!」
根拠の無い言葉を交わし合いながらいたが 刻一刻と重機の音は近づいてきた。
「そんなこといてる場合じゃなかった… トルフ レイヴン…じゃなかった…AC乗り ファナレ出る!!」
勢いよく「彼」のACがブースターを噴出した。
「初めての実戦だけど…メグちゃん出るわよッ!!」
メグリムも勢い良く飛び出して行った。

「どこに居やがる! 出てきやがれファナレ!10年前の兄貴の敵よ!」
緑にカラーリングされたおおよそ悪趣味とでもつけるようなACが町を歩き回っていた。
「自衛団とか言うけどよ 邪魔すんじゃ…ねえ!!」
自衛用の無人機を ことごとく細切れにしていく様は一種美さえも感じられた。

「彼」の前に一体のACが現れた。緑にカラーリングされているものである。
「ここであったが100年目!! ファナレ! 兄貴の敵ぃぃ!!」
いきなり相手のACから発せられた台詞に「彼」は戸惑った。
「ちょっと待てよ!! 僕は今15歳だ 10年前にACに乗れるわけ無いだろう」
「問答無用!!」
「緑の奴」が飛び込んできた。武装は新型の両腕ブレードであった。
「ちぃ!! 避けろメグリム!!」
「彼」はブレード攻撃を紙一重で避けたのだが 後から来たメグリムに当たった。
「あいった〜〜 何なのよ こいつは〜」
頭をぶつけたらしくさすっている姿が「彼」のモニターに移った。
「大丈夫か? メグリム!!」
「メグちゃん!!」
どうやら彼女は 自分を名前で呼ばれるよりも愛称で呼ばれた方が好きのようだ。
「……まぁ それぐらい元気があれば大丈夫だよね…」
しかし「彼」の思っているほど 「緑の奴」の攻撃は甘くなかった。
「女か…ちょうど良い ファナレこいつがどうなっても良いのか?」
脅迫めいた言い方で「奴」は言った。
「ん? べっつに〜〜」
と言いながら「彼」は回線でメグリムとだけ話をした。
「ちょっと〜 この可憐で か弱い乙女を放っておくつもり〜〜!!?」
「ちょっと我慢しててよ 作戦があるんだから」
そう言って回線を切った。

そのころメグリムのコクピットでは…
「キャーーッ!! ファナレの白状モン〜〜ッ!! 作戦が成功するとは限らないでしょ〜〜が!!」
と半泣き状態で叫んでいた。

「いいからおとなしく武器をパージしな おあつらえ向きにも
お前の左腕は シールドだしな」
「チッ!!」
「彼」は小さく舌打ちをした。
「ちょっと待ちなさいよぉ〜〜!! 『チッ』じゃ無くて作戦失敗なの〜〜!?」
一方的にメグリムは回線を開いてきた。
「ゴメン…マズッた…」
「彼」は言われるままパージをした。
「でもこれで君がやられる心配はなくなったでしょ?」
「それは… そうだけど」
メグリムも少し納得をした。「彼」がパージすれば彼女は無事なのだ。
が…
「さぁて お前もパージしたことだし こいつにはもう用無しだ 俺がお前を倒せば兄貴も報われることだ!!」
約束とは違う言葉を「奴」は吐いた。
「ねえ ちょっと冗談でしょ? 何で私がこんな目に遭わなきゃいけない訳!? ねえ ファナレ!! 助けてよ!」
メグリムがそう言ったが 「彼」の耳には届いていなかった。
そうもう「彼」には理性が無かったからだ
「き…キサマァァァァ!!」
OBを一気に噴出し 「緑の奴」に突っ込んでいった。
「馬鹿め そんな遠くでOBを使ったら エネルギー切れすることが分からないのか」
しかし トルフはエネルギー切れどころか 徐々にスピードを増している。

完結編の下へ続く


あとがき:スイマセンだいぶ書き上げるの遅れました。
     今回のは長いですなぁ…(ハァ?
     かなり無理があるので 反省しております。
     感想、批判はメールでお願いします。
作者:ジェットさん