「そんなことがあるわけが無い!!」
「緑の奴」から　叫びともつかぬ声が発せられた
「貴様は　私の逆鱗に触れた…後悔するが良い」
明らかにいつもの「彼」では無かった。蒼い下がり目も黄金に輝似たつり目になっていた。
声のトーンも低く　２５，６歳くらいの声に聞こえるようだった。
「近づいたからなんだってんだ　ブレード無しで攻撃できると思ってんのか!?」
「ああ　出来る　こうするまでだ…」
とトルフの左拳（ちょうどシールドの先端の部分に当たる）を「緑の奴」の頭部にぶつけた。
「ＡＣの拳で頭部が砕けると思ってんのか!?」
「拳では…無い!!」
言った直後「彼」は　シールドを展開させた。
ビシュウ!!という音とともに通常では考えられないほど…
構えたＡＣ一体を覆うほどのレンジのシールドが展開し　「緑の奴」の頭部は跡形も無くなっていた。
「緑の奴」は大急ぎで逃げていったが　トルフは止まらずに素早く空に浮上した。
心なしか何も無い背には羽が生えているようになっていた。
「ワ…タシハ…スベテ…ヲ…ハカイスル」
「彼」の口からこのような言葉が発せられた。
「違う…　こんなの　こんなのカフェにいたひ弱なボウヤのファナレじゃない!!」
メグリムは言って　自分のＡＣ「ヴリュンヒルト」を急浮上させ暴走を続けるトルフに向かっていった。
「ねえ　返して!!　私が組もうって言った『ファナレ』を返してよ!!」
その言葉に反応したのか　トルフは暴走を止め落下していった。
戦闘に駆けつけた自衛団の無人機が　二機の周りを囲んだ。
「もう…　終わりかな…」
メグリムは諦めかけていた…。
しかし　その無人機はプラズマの光に貫かれていた。
「誰…?」
純白の機体は次々と無人機をなぎ倒していった。エンブレムには金色でＥＮＫと描いてあった
「何…?　あれ…　キャノンを構えて歩いてる…」
一分もしないうちに　無人機は全滅していた。
立ち去ろうとしていたＡＣにメグリムは言った。
「ねえ　あなた誰なの…?」
「名乗るほどのものではないが一応コアと名乗っている。…で、お前達は?」
「私はメグリムで、こっちの倒れてるＡＣのがファナレよ」
「そうか　メグリムにファナレ…か」
そう言ってコアのＡＣは立ち去った。
「彼」は気が付かないまま　病院に運ばれて行った。
そう「彼」はコアが助けに来たことを知らない…。

――数日経って、一度自分のＡＣとパートナーを見せるために
自分の住んでいた場所に帰ってみようと思い「彼」はある地区に向かっていた。
メグリムとパートナーになったのは　カフェのコーヒー代を返してもらうためだと「彼」は言った。
「ねえ　ファナレの家ってどんなの?」
「そうだなぁ　普通の家かな…」

――あのことは　言わない方がいいだろう。

メグリムは少し考えてそう思った。
「あれぇ?　ここしか通れないのに…参ったなぁ…」
「どおしたの?」
看板があり「工事中につき　立ち入りを禁ずる」と書いてあった。
「どうせ　作業なんてしてないんだから通っちゃおうよ♪」
「ちょっとメグリム!!」
「メグちゃん!!」
そんなやり取りをしながら　長い通路を歩いていった。
そして付いたところは　家の半分以上が水につかり
生存者は居ないだろうと思われるほどに水没していた。
「そんな……」
「彼」はその場に立ち尽くし蒼い瞳からは涙がこぼれていた。
メグリムは元気付けようとしたが言葉が出なかった。
「僕には…もう…帰るところ…なんて…」
何も言わずにメグリムはファナレを抱き寄せて
「大丈夫　私がいるから…そんな顔…しないで」
と言った。「彼」は涙を拭き
「そうだ　僕はレイヴンになるんだ　こんなことで立ち止まってる訳には行かないんだ」
と言って　タグを胸元から取り出した。そこに書いてあるのは
「カトル・ラバーバ・ウィナー」と　それを町に向かって投げ込んだ。
「僕は　僕のすることは　自分で見つける!!」

彼の名はファナレ　後にレイヴンとなる男
そして…哀しき過去を背負う者の一人…

コアは自室で休みながら言った
「ファナレ…なんと残酷で皮肉な運命であろうか…お前は全てを受け入れられるか…?」


本編へ続く


あとがき：
やっと終わり（終わらせ）ました。
外伝…外伝って言っても本編とつながってるんですよ実は…。
コアさん初登場!!　これからのキーキャラの　一人になります
（ってかキーキャラ多ッ!!
長い文をご愛読（してるんか?）ありがとうございました。
また本編でお会いしましょう(謎