サイドストーリー

サイレントライン:出会いと再会
「依頼達成を確認。レイヴン帰還してください。」
「了解。レッドアイ、帰還する。」
そこは地上のある市街地。そこには、ランカーACのレッドアイ、ブラッククロス、クラッシュボーンがいた。
三人はクレスト社の依頼で市街地にいたMT部隊を全滅させたのである。
「楽な依頼だったな。」
クラッシュボーンのパイロット、シャドーエッジは言う。
「MT十機。それにAC三機は勿体無い気がするが。」
「強力なMTだったぞ、ドロール。」
ブラッククロスのパイロット、ドロールの言葉にレッドアイのパイロット、ファナティックが言葉を返す。
「まあ、いい依頼だった・・・。」
そこまで言ってシャドーエッジは言葉を切る。レーダーに反応。数は二機。点は青い。
「上!?」
シャドーエッジは上を見る。しかし、もう遅かった。
カシュー。
青い光がクラッシュボーンを包み、破壊した。
「グワァー。」
「どうした!!」
ドロールとファナティックが見た時、クラッシュボーンは既に破壊されていた。
更に、そこには二機のACがいた。
一機は右腕にはKARASAWA、左腕には火炎放射器を持ち、右肩にはトリプルロケット、
左にはXP/80パルスキャノンを装備した重逆間接。
もう一機は右腕には緑ライフル、左腕は拡散投てき銃、右肩には30発の中型ロケット、
左肩にはグレネードランチャーを装備した重二脚。
「何だこいつ等。」
「いつの間に・・・。」
どうやら気づかなかったらしい。二人の言葉が終わった時、暗い青色の二機が来た。
パン。パン。パン。パン。パン。パン。パン。パン。
重二脚のレッドアイの脚を捕らえ破壊する。
ボウゥゥゥー。
急接近した重逆間接の火炎放射器の炎をまともに受け、ブラッククロスは破壊される。
「うわぁー。」
「く、くそっ!」
ファナティックはマシンガンを連射したが、相手は重装備のくせに速く、当たらない。
ブホン。
ブホン。
二体の同時のロケットの攻撃を受け、マシンガンとスラッグガンを破壊された。
チャキ。
重二脚はライフルをレッドアイのコクピットに向けた。
「あ、あ・・あ・・。」
ファナティックは言い知れぬ恐怖で声が出なかった。重二脚はためらいを感じさせずに引き金を絞った。
パン。

ここはグローバル社の休憩室。ここに二人のレイヴンがいた。
「シャウシュッツ、今朝のニュース見たか?」
「ああ、三機のACが全滅だったな。」
一人はシャウシュッツ、管理者を破壊した英雄である。もう一人は、シャウシュッツとは同期のハンクである。
「しかも、一人の生還者もいないらしいぜ。」
「ひど過ぎるな。」
「それはそうと、俺も変なACにあったぜ。」
「何!?いつだ。」
「あれは、二、三日前だった。」

「レイヴン、緊急の依頼が入りました。」
「何だ?」
「施設の中に進入した武装勢力を破壊してほしいとの事です。」
「了解した。施設に進入した奴を叩く。」
ハンクはこの日、クレスト社から依頼で、研究施設を防衛に回っていた。
途中で、マシンガンとミサイルの弾を補充すると、施設の奥に進んだ。そこでは、二体のACが戦っていた。
「レイヴンか!」
「ああ、助けに来たぜ。あんた、名前は?」
「私はラルグシータ。シータと呼んでください。」
「シータって、あの英雄の!?」
「そうですけど、何か?」
「いや、英雄で知り合いがいるんだけど、シータという名前があったんだ。」
「そうですか。今はそれよりこいつを。」
「分かっている。シータ、援護する。」
シータのシータのACはX式ではなかった。ACトリック・マスター。中二脚。色は白と水色。
武装は、熱量の多いハンドガン、エネルギー波の飛ぶブレード、ビット、ステルス、ダミーを装備して、
最大の特徴は、ここで開発した低空拡散ミサイルである。
いわば、空中で四つになる大型ミサイルである。
これは、以前の研究データを元にした、自分の趣味で作った機体である。
「外の部隊はやられたか。」
敵ACのパイロットから通信がした。声からして若い男らしい。敵ACは武装が簡素であった。
軽量二脚に右腕にGS−56ショットガン、左腕に投てき銃を装備しているだけであった。
しかし、それだけでも十分という力を持っている。
「まあ、いい。邪魔するなら破壊する。」
ボシュ。
ズガン。
「うわっ!」
投てき銃の弾をまともに受けたシータの機体は硬直する。そこに敵ACが接近して、
ズキャン。
至近距離からのショットガン。コクピットの直撃は避けたが、右足を持っていかれた。
「ちっ!かなりの腕だな!」
ハンクは敵をロックした。ここはACやMTの実験の為の部屋で、大きさはアリーナ位ある。
「食らえ!!」
ボシュシュシュシュ。
「その程度で。」
敵ACは水平ミサイルを避ける。しかし、
ボゴン。
「何?直撃!?一体どうして・・・。」
「エリアルの意味を教えてやろうか?」
「何だと?」
「エリアル、空間の名を持ち、その名の通り、三次元攻撃がこの機体の特徴だ!」
「いやー、いい機体ですね。」
「・・・・・・。」
敵ACはハンクが入ってきた通路とは違う通路にさがった。
「今回は退こう。」
「何!?」
「だが、次、会った時、貴様の最後にする。」
「・・・・。」
「最後に、聞いておきたい。」
「何だ?」
警戒は解いていない。攻撃の可能性があるからだ。
「我が名はカルト、貴様は?」
「ハンク・・・。」
「ハンクか・・・覚えておこう。」
そう言うと、地面に投てき銃を撃ちこんだ。それにより煙が上がり、晴れた時にはもう敵ACはいなかった。
「ありがとうございます。助かりました。」
「無事でなりよりです。」
「まあ、機体は無事ではありませんが。」
「では、俺はこれで。」
「貴方の知り合いの英雄によろしく言っておいてください。」
「分かりました。」

「・・・そうか、シータが。」
「そう、よろしくって。」
「ああ、それより気になるのは謎のACだな。」
「調べたんだけど、ランカーACにそんなACはいなかったんだ。」
「まさに、謎のACだな。」
「おっと、もうこんな時間か。」
時計を見ると、もう午前一時を過ぎていた。
「じゃあ、もう休むか。」
「そうだな、じゃあまた明日。」
「またな。」
二人はそれぞれ部屋に戻った。部屋に戻るとシャウシュッツは少し考えた。
謎のAC。謎の襲撃事件。この二つに何か繋がりを感じる。
それがシャウシュッツの考えだったが、考えても何もつながらない。仕方が無いので寝る事にした。
そして、明日にその繋がりに関係の有る二人に会うとは知らずに。

「ここが、シャウシュッツさんの部屋・・・。」
シャウシュッツの部屋前に一人の青年がいた。姿からして、18、9歳位である。
その頃シャウシュッツは、
「えーっと、依頼は一件か。何々?」
依頼を確認していた。
「もし、断られたらどうしよう。」
「兵器研究所防衛か。」
「まあ、その時はその時か・・・。」
「さて、行くか。」
シャウシュッツがドアノブに手をかけた時、青年は部屋のチャイムを押そうとして、少し前に出ていた。
ちなみにこのドアは外に開くタイプ。という事は。
ガン。
「・・・ガン?」
シャウシュッツが不思議そうにわずかな隙間から向こうを見る。
そこには左腕で額を抑えている一人の青年がいた。
(またか・・・。)
シャウシュッツは頭を抱えた。
今は管理者の撃破から三ヶ月が経っていた。この三ヶ月間、シャウシュッツを初め、
アルスター、エース、シータ、フラジャイル、レジーナの元に弟子にして下さい、
という人が殺到しているらしい。
(今回も・・・そういえば、今回の依頼、僚機が付けられたな、よし。)
その時、ドアが勢いよく開いた。さっきの青年である。
「シャウシュッツさんですね。」
「あ、ああ。」
青年の気迫に押され気味のシャウシュッツ。
「実は・・・。」
「弟子にしてほしいか・・か?」
「はい!」
恐ろしい勢いで接近してきた。
「わ、分かった。ただし、条件がある。」
「何ですか!」
接近してきた青年を遠ざけながら言った。
「今、依頼を受けた。その依頼の僚機をやってほしい。」
「実戦訓練ですか?」
「それに近い。その僚機の出来次第で弟子にしよう。」
「分かりました!」
騒がしい仮弟子を連れてシャウシュッツはガレージに向かった。
「あ、シャウシュッツ。」
「レインさん。」
ガレージに行く途中、カイルのオペレーターだったレインに会った。
レインはカイルがいなくなってから、一切仕事をやっていなかったのである。
「それにしても・・・。」
後ろの青年を見て、
「またなの?」
「ああ、まただ。大体、これで何人だ?」
「私が見たことがあるだけで、10人目くらいですね。」
「もうそんなか。そういえば・・・。」
レインとひそひそ話をやめ、
「ところで、お前名前は?」
「私ですか?ブレイと言います。」
「ブレイか・・・オペレーターは?」
「うっ・・・それは。」
「なら、私がオペレーターをやりましょうか?」
「良いんですか!?」
「ええ、カイルがいなくなってから誰にも就いていないから。」
「え・・・?」
ブレイの顔がほんの一瞬、曇った。しかし、すぐに戻った為レインは気づかなかった。
しかし、シャウシュッツはその表情を逃さなかったが、あえて言わなかった。
「あ、ありがとうございます。」
「じゃあ、行こうか。」
シャウシュッツとブレイはガレージに、レインは通信室に向かった。
そこには、赤と黒の色のACがあった。
「これが?」
「はい、私のAC、エターナルMK−Vです。」
「なるほど。」
機体はかなりインパクトがあった。脚部はMM/ORDER、つまり中量二脚。
コアは軽量EO。
右腕は二発同時発射のハンドロケット、左腕に火炎放射器。
右肩に一発発射の小型ミサイル、左肩にオービットキャノンを装備していた。
かなり癖のある機体である。
「早くしましょうよ。師匠。」
既にブレイはACのコクピットにいた。
「分かった。すぐに行く。」
(あれが、師匠のブレイブガンナーカスタム・・・。)
シャウシュッツは急いでACに乗り、輸送機に急いだ。
「遅かったですな、英雄。」
「その言い方は止めて下さいよ。」
「まあ、良いじゃないですか。それにしても、その機体はさっきの・・・。」
「初めまして、ブレイです。」
「またですか。」
「そう、まただ。」
そんな会話をしている間に作戦領域に到着した。
「もうここまで・・・。」
「ひどいですね。」
既に施設の大半は崩壊していた。護衛のMT部隊もほぼ全滅している。二人は機体を地面に下ろす。
「レイヴンか!気をつけろ!敵にもACが・・・どわぁー。」
通信をしてきたMTがやられた。
「気を引き締めろ。どうやら敵にもACがいるらしい。」
「了解しました。」
「シャウシュッツ、ブレイ聞こえる?」
「あれ?リールは?」
「シータのオペレーターになったわ。」
「え?何で?」
「施設の修理費の為に再度レイヴンになったそうよ。だから、今から二人のオペレーターをやらしてもらうわ。」
「分かった。しっかりサポートしてくれよ。」
「了解。」
二人は施設に入った。早速MTの部隊が立ち塞がった。
「こいつ等は?」
球体型MT。しかも、確認できるだけで数十機。
「遅い!」
ボシュン。ボシュン。
ブレイはハンドロケットで次々に落とす。しかも、移動しながら。
「本当に新人か?」
シャウシュッツはそんな事をつぶやきながらマシンガンを連射して、MTを落とす。
「師匠。ここは私に任せてください。」
「いいのか?」
「こんなMTだけなら一人でも十分です。」
「・・・すまん。」
シャウシュッツは邪魔なMTだけを破壊して奥に進んだ。奥の部屋にACが二機いた。
「一機、ACが来たか。」
「カルト、お前は先に引け。」
「しかし、隊長。」
「こいつは私がやる。」
「・・・了解しました。」
重装備の中量二脚が退き、軽装備の中量二脚が残った。
「一機だけか・・・。」
「私だけで十分だよ。シャウシュッツ。」
通信機から声。その声に明らかに聞き覚えがあった。
「その声・・・・まさか、カイル・・・?」
「そうだ、シャウシュッツ。」
「生きていたのか・・・。」
「あの程度で死ぬとでも?」
「しかし、どうやって・・・。」
三ヶ月前、管理者の間はおろか、大半の部分が崩壊していたのである。
調査に行ったMTからの報告では、カイルのACは発見できなかった、という事であった。
「ああ、さっきのACのパイロットに助けてもらったんだ。」

まだ爆発していない通路を軽量二脚はカイルのフォーニングMK−Uと管理者のヴィクセンを両腕に持って急いでいた。
「・・・・・。」
「・・・なあ。」
「何?」
「何で俺まで助けた。」
「いいじゃない。私の勝手でしょう。」
「そうですよ。カイル隊長。」
「隊長!?」
「そうです。貴方を助けたのはその為です。」
「・・・・もし、嫌だと言ったら?」
「そんな事は言わないはずです。そういう人なら初めから助けません。」
「・・・・分かったよ。でも、一つだけ聞きたい。」
「何でしょうか。」
「あのメールの意味を教えてほしい。」
「分かりました。」
管理者はそれを語った。
「そんな事があったのか。」
「そう、そして・・・。」
ある事をカイルに話した。
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・そこまで言われたら協力するしかないな。」
「ありがとうございます!」

「と、いう訳だ。」
「管理者部隊に荷担するなんて・・・どうしたんだ。」
「ある事を聞いたからな。」
「ある事?」
「今のお前達には関係ない。」
そう言うと、カイルはマシンガンを向けた。カイルのACの武装はマシンガンと月光のみ。
コアは中量EO。両肩には初期の肩レーダー。エクステンションにステルスを装備していた。
明らかに接近戦を重視した兵装である。
「戦うしかないのか。」
シャウシュッツもマシンガンを向けた。
ガガガガガガガガ。
お互いのマシンガンが火を噴き、距離を取りながら攻撃をする。
ガガガガガガガッガガッガッ。
カイルのマシンガンの調子がおかしい。
「ちっ。整備不良か。」
カイルはマシンガンを捨てた。捨てると同時にステルス起動。一気に間合いを詰める。
「くっ!」
シャウシュッツもマシンガンを捨て、月光を構える。
バチィーン。
お互いの月光はぶつかり、弾かれる。その後、何回も同じ事が起こる。
「流石はシャウシュッツ。これでは決着はつかないか。」
「くぅー!」
バチィーン。
再度、同じ事が起こる。
「では、そろそろ終わりにしましょうか。」
ステルス起動。再度間合いを詰める。
「な!?」
再度の事で反応が遅れた。しかし、それが命取りだった。
「ムーンライト・・・。」
カイルはタイミングを計る。シャウシュッツも月光で応戦しようとする。
その時、カイルの月光に異様なエネルギー反応を感知した。
「オーバーリミットーー!!!」
ズガァァーン。
カイルの月光が当たった瞬間、急激なエネルギーの爆発が起こり、
シャウシュッツのブレイブガンナーカスタムはその攻撃をまともに受けた。
「師匠ーー!」
「シャウシュッツーー!!」
ブレイとレインの声が聞こえた時、シャウシュッツの意識は遠ざかった。

「う、ん・・・。」
シャウシュッツが気づいた時、シャウシュッツはグローバルコーテックスの緊急病院の一室にいた。
「俺は一体・・・。」
「あの戦いで気絶したんじゃよ。」
ドアから主治医だと思われる老人が入って来た。
「そうですか・・・ところで、俺をここにつれて来たのは誰です?」
「ブレイという新人だ。」
「あいつが・・・。」
「おお、そうじゃ。」
老人はポケットから一枚の写真を出した。
「整備員から気が付いたら渡してくれと。」
シャウシュッツが写真を見た時、愕然とした。
それは、大破したブレイブガンナーカスタムの写真であった。
機体の左腕は無く、脚部も崩壊、コア、右腕も大ダメージを受けている。
「整備員によると、月光を構えたのが幸いしたらしい。」
「どうゆう事です?」
話によると、月光を構えなければ確実に死んでいたそうだ。月光のエネルギーが相手の攻撃を防いだそうだ。
「とりあえず、今日はもう休め。明日にでもガレージのほうに出向け。」
「分かりました。」
シャウシュッツは横になり、すぐに寝息を立てて寝た。

シャウシュッツは次の日、ガレージに行った。
やはり、大破したブレイブガンナーカスタムの姿があった。姿は写真で見たのと同じであった。
「シャウシュッツ!」
ブレイブガンナーカスタムの近くにハンクとブレイがいた。
「一体何と戦えばこんなになるんです?」
整備員の一人が聞いてきた。
「カイルだよ。」
「カイルって、まさか、あの!?」
「そうだ。それとブレイ。」
「何です?」
「カイルの最後に俺に使った技、知っているな。」
「・・・・。」
「お前がレインからカイルという言葉を聞いた時、ほんの一瞬だが顔が曇った。それは・・・。」
「ふぅー。」
ブレイがため息をつき、シャウシュッツは言葉を切る。
「もうばれてしまいましたか。」
「じゃあ、カイルの事を・・・。」
「隊長ですか・・・知っています。」
「隊長?一体何の。」
「管理者部隊改め蒼の部隊のです。」
「蒼の部隊・・・。」
「何故隊長になったのかは知りませんが、師匠に使った技は知っています。」
「何だ?」
「オーバーリミット・・・確かそういう技でした。」
「オーバーリミット・・・。」
「私が分かっている情報はここまでです。」
「・・・分かった。あと、弟子にする件だが・・・。」
「・・・・。」
「良いだろう。弟子にする。」
「!ありがとうございます!」
「あのーシャウシュッツさん。」
整備員が話し掛けてきた。
「何だ?」
「この機体、修理するよりパーツを買い替えた方がいい、と主任が。」
「分かった。カタログはあるか?」
整備員からカタログを渡されたシャウシュッツは一覧すべてを見た後、それぞれチェックを付けた。
「これで頼む。」
カタログを整備員とブレイハンクが見た。
「なるほど。新型の実弾EOを使うんですね。」
「右腕武器に高出力レーザーライフルか・・・。」
「これである程度の攻撃力の増加が望めますね。」
「あと、色は赤にして、ネームをソリッドランサーとしてくれ。」
「分かりました。」
整備員は早速作業にかかった。
しかし、この時は誰も気づかなかった。蒼の部隊の目的に・・・。
作者:カイルさん