サイドストーリー

サイレントライン:今こそ甦れ忌まわしき力よ!!
ディードリットとの死闘を終え、
最後に彼女が託したACドッグへと機体を搬送する
シャウシュッツ・・・・
かつての恋人を殺し、そしてD機関を討つために
涙を飲み、つらい戦いに身を投じるシャウシュッツ・・・
そして、他のメンバー達にも地獄はもうそこまで来ていた・・・

タイトル サイレントライン:今こそ甦れ忌まわしき力よ!!

作者   ハンク

シャウシュッツがディードリットと戦闘している間に
他のメンバー達もD機関の圧倒的な戦力の前に苦戦していた・・・

「チキショウ、次から次へと!!」

「ハンク、弱音を吐くな!!
 ここはなんとかしのぐしかない!!」

「エース、んなこと言ったってこの数は厳しすぎる!!」

「・・・確かに、この数相手にこの程度では
 無理がある・・・だが今はやるしか!!」

「お二人さん、ちょいとそこどいてくれよ。」

「・・・ナッツか!!・・分かった、引くぞハンク!!」

「了解!!・・・景気よくぶっ放してくれよ!!」

「よし・・・チャージ完了、発射ぁ!!」

エネルギーを銃内で圧縮されて発射された弾丸は
轟音を立てつつ、目の前にいる敵を蹴散らす!!

「さすがだな、ナッツ!!」

「・・・まだ数は減ってないぞ!!」

ハンク達が新型兵器を振りかざして
大量のACやMTを相手にするも相手の圧倒的な戦力に
徐々に押されていった・・・

「コア!!二人で同時攻撃よ!!」

「了解だ、メイア!!」

メイアの機体が腕部に搭載された大型グレネードを構え、
コアの機体が肩の大型キャノンをスイングさせて
腰部に持ってくる・・・

「メイア、タイミングを合わせるんだ!!」

「そっちこそしくじらないでよ!!」

二人がそうかけ声すると二機に装備された
大形火器が一斉に火を噴く!!
辺りは硝煙とエネルギー弾の閃光で視界がふさがれる・・・

「・・・なんて威力だよ、アレ・・・」

「お互いの火器が組み合わさるとこうまで
 威力が出る物なのか・・・」

しかし、その間にも敵は次々とやってくる・・・

「ちっ!!奴らは引くと言うことをしらんのか!!」

「さすがにこの数は・・・勝てるか?」

一方、エレベータを守備していたゲンズィ達も
苦戦を強いられていた・・・


「ちっ!!さすがに手強いな!!」

「さすがはレイヴンと言った所だろうが・・・
 その程度で我がD機関に刃向かおうなど
 片腹痛いわ!!」

「ランサー、奴らを甘く見るなよ。
 これでもトップクラスの実力者だ。」

「クロス・・・相変わらず慎重なのは良いが
 この戦力差で負けるはずが無いだろう?」

「ランサー、数では負けているんだ。
 そうそう楽に勝てる物ではない!!」

「ちっ・・・だが、いずれにせよ
 負けるわけにはいかないな。」

数は4:2とレイヴンチームが優勢であるが
地形を巧みに動き回る相手に翻弄され、
決定打を打ち出せぬまま苦戦していた

クロスと呼ばれているパイロットの機体は
中量型機にスナイパーライフル、ブレード、スラッグガン
を搭載したタイプであり、距離を問わず攻撃が可能な
構成である。一方、ランサーの機体は
軽量逆関節にマシンガン、チェインガンと言った
数で圧倒する強襲型アセンで構成され、
どちらも狭い空間では脅威となる組み合わせである。

それを相手にするチームは
斬鬼、ゲンズィ、サイラス、フライレであった・・・

「斬鬼!!何か決定打のような物は無いか!!」

「ダメだゲンズィ、俺達の武装ではせいぜい牽制か
 足止め程度が精一杯だ。」

「新型のハンドガンでも足止めにしかならない・・か。」

「こんな事なら、ハンクでもいいから残しておくべきだった!!」

「ああ、だが今は無い物ねだりをしている場合ではない!!」

「くそ!!近づくことさえ出来れば勝機はあるのに・・」

「クロス・・やつら、決定打が無いみたいだな。」

「ああ、だがそれはこちらも同じだ。
 ・・・確実に一機ずつ墜としていくぞ。」

2体のACが4体の機体に向かって突撃してくる!!

「なに!!強襲だと!!」

「まずい!!戦闘時に発生した硝煙で周りが見えない!!」

「こうなったら・・・いけ、ビット!!」

タ・ネルテが追加された強化オービットキャノンで
突撃してくる相手を攻撃する!!
通常、相手の上空を取るように移動するものとは違い
相手の左右や後方を追尾するように動くため、
回避は非常に困難な武装であった

「ほぅ、まだ動けるのか・・」

「思ったより追尾性能はいい、油断するな!!」

「・・・捕らえた!!」

オービットを頼りに肩に搭載されたマシンガンを一気に発砲する!!

「なに!!マシンガンだと!!」

「ちっ、波状攻撃か・・避けろぉ!!」

間一髪で回避する2体のAC・・しかし、
残りの3人はこのスキを逃すはずがなかった。

「まずは足止めだぁ!!」

ゲンズィが新型ハンドガンを構え、相手の
動力部目掛けて発砲する!!
続いて、斬鬼とサイラスがバーストライフルと
ロングレンジブレードを構えて突撃する!!

「サイラス、目標は中量機だ!!
 逆足はオレがやる!!」

「了解!!きっちり決めますよ!!」

ハンドガンの弾丸が直撃し、足が止まった2体の機体に
二人が迫り来る!!

「いけっ、ライフル!!」

バーストライフルが逆足の関節部に当たり、バチバチと
音を立てて機体の動きが鈍る!!

サイラスもまた、武器を構えて中量機に迫る!!
ブレードが展開され、直撃する瞬間・・・

「・・・馬鹿・・な・」

間一髪で発射されたスラッグガンの弾丸がダブルグラディウス
に直撃し、コアが変形する・・・

「さ、サイラス!!」

その瞬間、ダブルグラディウスは糸が切れた人形のように
倒れ込み、被弾した箇所からは煙が上がっていた・・・

「スキ有りだ、レイヴン!!」

「しまっ・・・」

ランサーを仕留め損なった斬鬼に2体からの
集中砲火が浴びせられる!!
マシンガンやスラッグガンなど広範囲に
攻撃できる武器を至近距離で受けてしまっては
さしもの機体も耐えられるはずがなかった・・・

「ぐ・・・ここまでか・・」

僅かな間に撃破される2体のAC・・・
そして、クロスとランサーもまたこの間に
形勢を立て直す!!

「くっ・・・万事休すか・・」

この戦いより数分前、シャウシュッツはソリッドランサー
をディードリットが用意したハンガーに機体を格納する。

「メンテナンスプログラム起動・・・
 これで良いはずだ・・」

外にあるコンソールでハンガーのメンテナンス機能を
起動させると、機体を写したモニターが現れ
徐々に機体が修復される様子が映し出される。

施設の作りはグローバル社のそれと大差はなく、
あえて言うなれば、作業員の姿はなく
全てがオートメーションで管理された点であった。

「ふぅ、これでなんとかあいつらの
 足を引っ張ることはないな・・・・
 ディードリット、これでよかったんだよ・・な。」

その時、背後から銃声が響く!!

「侵入者だ!!迎撃しろ!!」

「ちっ!!まだ残っていたのか!!」

激しい銃撃戦が繰り広げられ、シャウシュッツも
携帯していた銃を抜き出す。

「白兵戦か・・・望むところだ!!」

支援を受けて突撃してくる兵士の一人に
拳銃で応戦し、射殺する!!
少し遅れて突撃するもう一人の兵士も
同様に拳銃で仕留め、兵士が持っている
サブマシンガンを拾い上げる!!

厳しい銃撃戦の中、二丁の銃を拾い上げると同時に
すぐさま横に飛び、発砲する!!
一瞬の行動に対処しきれない兵士達は
胸あたりから赤い体液をまき散らしながら絶命する。

さらに応援の兵士が駆けつけるが、シャウシュッツの
人間離れした技術と能力に圧倒され瞬く間に
射殺されていった・・・

戦闘が終わると、辺りは血と銃弾でえぐれた壁が
その戦闘のすさまじさを物語っていた・・・
程なくして、コンソールから機体の整備が完了した
合図が送られ、ハンガーのロックが解除される。

「やっと終わったか・・・まるで新品同様じゃあないか。」

整備が終わった機体を見上げそう漏らすと、コアのハッチを開ける。

「メインプログラム起動、FCSデバイス起動確認・・・
 姿勢制御プログラム問題なし・・・あとはコイツか・・」

ポケットに手を入れるとディードリットから
譲り受けた新型D・F・C・Sが記録された
MOディスクを取り出す。

それを機体のドライブにセットすると、コクピットの
コンソール画面に色々なプログラムコードが表示され
インストールが終了した文字が出てくる。

「よし、ソリッドランサー出撃だ!!」

格納庫から出てくると、そこには完璧な状態のAC
が立ちすくんでいた。
インフィニティジェネレータ、D・F・S・Cを始め、
様々な機能が使用できる状態になったソリッドランサーは
まさに無敵と言える貫禄さえ漂っているようであった。

「・・・ドアを開けるのも面倒だ、
 ここで性能を試してみるか・・・」

エネルギーライフルを構えるとチャージを始め、
壁に向かって発射する!!
そのエネルギーは容易に壁を溶かし、奥の部屋に
道を作り出す・・・

「なんだ、今の光は!!」

「くそ、何かいやがるのか!!」

「ゲンズィ、今の光は?」

「解らない、ただ動揺しているのは
 俺達だけではないようだ・・」

ガシャン、ガシャンと音を立てて道を通るソリッドランサー
その道の先は、皆が通ってきたエレベータのある広間であった。

「シャウシュッツじゃないか!!どうしてここに?」

「説明は後回しだ・・・斬鬼、サイラス・・すぐ終わる。」

「なぜソリッドランサーがここに居るんだ!!」

「くそ!!と言うことはディードリット様は・・」

「そう、死んだよ・・コイツと共にな・・」

「ランサー、どうする?」

「相手が相手だ、交代するぞ!!」

クロスが引き返そうとした瞬間・・・
閃光と共にランサーの機体が融解する・・・

「なっ・・ランサー!!」

「次はお前だ・・・覚悟はいいな?」

「うっ・・・おのれぇぇ!!」

スラッグガンで牽制しつつ、スナイパーライフルを
構え、一撃で動きを止めようとする・・・
しかし、通常のACでは考えられないほどのしなやかな
動きで弾丸と弾丸の間で回避し、間合いを保つ。

「馬鹿な!!そんな・・」

「コード:ガンナー起動・・・撃ち抜け!!」

お互いの発射タイミングは同時であった・・・
しかし、出力の違う兵器を持つソリッドランサーの前に
クロスのACが持つライフルは豆鉄砲程度でしかなかった・・・

弾丸ごと撃ち抜かれたクロスのACはコアに大穴が空き、
事切れたように崩れ落ちる・・・

「おいおい、あんだけ苦戦した奴らを一撃で
 決めやがったぜ・・・」

「やっぱり、シャウシュッツは凄ぇやつだよ。」

エレベータの死守が一段落した頃、奥では相変わらず
多数の部隊による攻撃が続いていた・・・

「おいおい、そんなにしつこいと嫌われるぜ♪」

ナッツがレーザーライフルで1直線に並んだ機体を撃ち抜くも
次から次ぎへと現れる戦力に皆が疲弊してきていた・・・

「きゃあ!!」

メグリムが敵の攻撃を受け、左腕が吹き飛ばされる!!

「やばい!!このままじゃあ負けるぞ!!」

「ホント、楽観的に行きたいけどこれじゃあ
 どうしようもないね。」

「・・・みんな、撤退の準備をしろ!!」

「何をするんだ、コア!!」

「オレがこのスラストリニアカノンで天上を吹き飛ばす!!」

「おいおい、それじゃお前も・・・」

「いいから、逃げる準備をしろ!!
 ・・・メイアもな・・・」

「何言ってるのよコア!!
 一人勝ちした挙げ句にそのまま死のうって言うの!!」

「メイアの言うとおりだ!!
 お前も逃げろ!!」

「うるせえぇ!!いいから雑魚はとっとと逃げろってんだよ!!」

「何を言ってるんだ、コア!!」

「・・・みんな、ここはコアに任せよう・・」

「ハンクまで!!」

「それにみんなで逃げて形勢を立て直せば・・・」

「・・分からないのかお前達は!!
 コアがなぜ、罵声を飛ばしてまで
 逃がせようと言う行為が!!」

「エース・・・」

「コア、俺達は逃げる。
 だがお前も必ず生き残れ、これは命令だ。」

「リーダーに言われちゃあそうするしかねぇな・・・
 じゃあ、頼んだぜエース!!」

「任せろ!!・・・行くぞみんな!!」

迫り来る敵を退け、ゲートに向かうレイヴンチーム・・・
コアもまた、キャノンにエネルギーを集中させつつ
手持ちの武器で応戦する!!

ゲートにたどり着いたとき、コアの機体は敵の集中砲火で
脚部、頭部などが吹き飛ばされ、殆ど動けない状態であった・・・

「コアァーー!!・・・もう、耐えられない!!」

「メイア!!ここで引き返したら彼の行為が
 全て無駄になる!!ここは涙をのむしかない!!」

「・・・みんなは脱出したんだな・・・いっけぇぇぇ!!」

スラストリニアキャノンが天上に向かって発射されると、
極太の白いビームが天上を貫き、同時に
大量の土砂が部屋を埋め尽くす・・・

土砂に押しつぶされ、次々と破壊されていくAC・・・
そして、コアの機体も・・・・

「あ〜あ、これで終わったな・・・
 まぁD機関のくそ野郎に一泡吹かせてやったんだから上等かな?
 ふふふっ・・・あっはははは・・・
 ・・・メイア・・すまねぇ・・な。」

薄れゆく意識と共に土砂によって埋まっていく機体・・・
その中でコアは遠い昔を思い出していた・・・

川のせせらぎであそぶ二人の子供・・・
柔らかな風で揺れる草原・・・
今はもう居ない彼の両親・・・
皆、すべて遠い過去の記憶に封じてきた物・・・
そして、次に気が付いた時は皆に開放されていたときだった・・

「・・・ここは・・・オレ・・」

「しっかりしろ、コア!!」

「・・脈は正常だ、それに外傷もない。
 単に気を失っていただけだろう・・・」

「まったく、あの時にシャウシュッツが居なかったら
 今頃は・・・」

「それ以上は言うな・・・それにあれはまさに
 奇跡のタイミングだ。
 オレがここに戻ろうとしたときに皆が血相を抱えて
 飛び出してくるんだからな・・」

「ああ、しかしお前もコアも生きていたんだ・・・
 結果オーライでいいじゃねぇか。」

「そうだな、今はナッツの意見が正しいかもな。」

「さて、どうしたものかねこの機体・・・」

「コアの機体か・・・そうだな・・」

「取り敢えず、もうスクラップだな。
 機体そのものがダメになってる・・・」

「この状態での戦力の低下は痛いが仕方ないか・・」

「取り敢えず、コアは後方に送るしかないな・・」

「ああ、斬鬼達に頼んで搬送するしかない。」

連絡を受け、後方のメンバーがコアを乗せると
エレベータまで後退して、輸送機まで送り届ける・・・

「これで、あとはどうする?」

「取り敢えずは先に進むしかあるまい。
 それにだいたいの戦力は先の戦闘で
 殆どが壊滅したはずだからな。」

「ああ、それしかないみたいだな・・」

奥のゲートを開けるとそこには二台のエレベータ
が設置されており、チームを惑わせた・・・

「どうする?」

「半々に別れて行動するか?」

「しかし、危険だな・・」

「・・・みんなは左の方に乗ってくれ。」

「シャウシュッツ?」

「しかし、お前一人で・・・」

「何かは分からないが・・・呼んでいるような気がする。」

「呼んでいる?」

「この機体の精神感応システムにリンクした何者かが
 直接的に信号を送っている・・・」

「・・・オレも付き合う。」

「ハンク・・・なぜ?」

「お前はパートナーだしな。
 それに支援は必要だろ?」

「ああ、すまない・・・じゃあ、みんなは・・」

「ああ、お互い無理はするなよ。」

二手に分かれて、エレベータを起動させると
二つのエレベータは降下を始めた・・・

「・・・シャウシュッツ、検討は
 ついているんだろ?」

「ああ・・・リリスだ・・」

「なんだって!!じゃあなんであの時に・・」

「言ったら言ったらで混乱しただろ?」

「・・・そうだな・・・」

「それに、あの感覚は何かおかしい・・・
 リリスであってリリスじゃあない・・」

「どういう意味だ?」

「わからん・・・ただ、覚悟はして置いた方がいい。」

しばらくしてエレベータが目的の階層に到着し、停止する。
部屋のゲートを開放するとその先に・・・

「・・・リリス・・・」

そこにはレイセイバーが立ちすくみ、
こちらを見ていた・・・

「無事だったか、リリスちゃん!!」

「・・・!!ハンク、避けろぉ!!」

いきなりエネルギーライフルを構え、
二人目を掛けて発砲する!!

高出力のエネルギーの塊はゲートを破壊し、
奥の壁を焼き尽くす・・・

「大丈夫か、ハンク!!」

「ああ、なんとか・・な。」

「・・・・・」

「リリス・・・やはり・・」

「一体どうなってるんだ?」

「おそらくはリリスも・・・」

「分かって居るんですね、003・・」

「ってことはリリスちゃんもシャウシュッツと
 同じH・Hなのか?」

「・・・そう言うことだろうな・・・
 全く、手の込んだことをする・・」

「そう、私はあなたの後継機として作られた
 4番目のハイブリット・ヒューマン・・
 そして、全てを超えるべくして作られた戦闘マシーン。」

「だからオレの元に来たんだろ?
 オレの持つ技術、そしてその力を超えるために・・」

「・・・全てはD機関、そして悲願成就のため・・」

「・・・シャウシュッツ、オレにやらせてくれ。」

「ハンク?一体何を?」

「お前は先に行け、これはオレがやる!!」

「・・・そう言うことか・・・」

「済まないな、俺個人のために・・」

「かまわないさ、オレとお前の仲だ。」

「ああ、ありがとう・・・」

ハンクが前に出るとリリスに向かって突撃する!!
その隙にシャウシュッツが後方のゲートに向かおうとするが・・・

「行動パターン解析・・・逃がさない・・」

まさに神業である。
全く別々に動く相手に的確にライフルを構え、発射する!!
その弾道はさしものシャウシュッツさえも驚かせた・・・

「くっ!!同時射撃だと!?」

「やばい!!避けきれない!!」

エネルギー弾がハンクの機体に直撃し、装甲が吹き飛ぶ!!
しかし、特殊素材を用いたフルアーマーはやすやすと
機体を貫通させることを拒む!!

「装甲で止まったか・・・」

その間にシャウシュッツはゲートを開放し、奥に進む・・・

「さて、これで1対1の戦いだな。」

「あなたは一体何を考えているの?
 戦力差を考えてもあなたに万に一の勝ち目もない。
 それを承知で・・・」

「たしかにそうかもしれない、だがな!!
 オレはそんなことのために戦う訳じゃあない!!」

「・・・そう、もう一人の私「リリス」を
 助けたいのね・・・無駄よ、
 しょせんはプログラムされた人格にすぎな・・」

突如発射されたグレネードがレイセイバーをかすめる!!

「黙れ!!貴様はリリスじゃあない!!
 貴様は・・・戦いにとりつかれただけの悪魔だ!!」

「そうかも知れないわね。
 けど、そんなセンチメンタリズムな感情で勝てるとでも?」

「勝ってみるさ!!そして、貴様からリリスを!!」

「無駄なこと・・・排除します・・」

レイセイバーが動き出すと同時にハンクもまた
行動を開始する・・・
ライフルの正確な射撃は運動性の低い
FAブレイブガンナーカスタムにとって脅威となるが、
それを最小の動作で難なく回避する・・

「なぜ?こちらは正確に射撃をしているのに・・・」

「分からないだろうな、今まで単なる的を撃っているだけの
 ヤツに、本当の射撃というヤツがな!!」

ハンクがマシンガンを構えると、相手よりやや
それたところに照準を合わせる!!

「これが射撃というヤツだ!!」

マシンガンをフルオートで発射し、
普通なら難なく交わせるはずの弾丸が被弾する!!

「どう言うこと!!・・・そう言う事ね。」

リリスが何かを感じ取ったように銃を構えると
相手にバースト射撃をする!!

「なっ!!やばい!!」

脚部、胴体、腕部と被弾し、各装甲が破壊される。
そして重い装甲がはげ落ち、中から
シャープなフォルムが印象な
「ブレイブガンナーカスタム」が現れる。

「ちっ!!・・・もう後ろ盾はないか・・」

「この機体は・・・うぅ・・頭が・・割れそうだ・・」

「ん?様子がおかしい・・・もらった!!」

マシンガンを動きの鈍った相手にたたき込むと
その全てが被弾し、各パーツが破壊される・・・

「リリスめぇ・・・邪魔をするな!!」

レイセイバーがライフルを突き出し、
やたらめったに銃を乱射する!!

「さっきから、一体・・?」

正確性の無い射撃がブレイブガンナーに当たるはずもなく
壁や天上に被弾し、融解する・・・

「ううぅぅ・・なんでこんなに頭が・・あああぁぁぁ!!」

ブレードを振りかざし、闇雲にOBを起動させて
機体に突っ込んでくる!!

「やばい!!この状態で壁に激突したら!!
 ・・・やるしか・・無いか・・」

ハンクもまた、ブレードを展開してレイセイバーを迎え撃つ!!

「このおぉぉ・・・墜ちろレイヴンめぇ!!」

「ブレイブガンナー・・オレに力を!!」

2体のACがぶつかり合う瞬間・・・
射程の長いブレードを装備したレイセイバーが
ブレイブガンナーを切り裂く!!
しかしブレイブガンナーもまた、左腕を突き出し
レイセイバーの肩を貫く!!

「ちっ・・・相討ちかよ・・やっぱ
 シャウシュッツみたいには行かないか・・・」

「・・・ハンク・・・さん?」

相手から通信が入り、その声に驚く!!

「リリスちゃん・・・だよね?」

「ええ・・すいません、こんな事になってしまって・・」

「いいんだよ!!君さえ無事なら・・・
 そう、無事・・なら・・」

「ハンクさん・・・」

今より少し前、エース達はエレベータを下り
先に進んでいた・・・

「一体何処まで行くんだ?」

「さぁな、しかし先の戦闘のおかげで敵が殆ど居ない。」

「ああ、今までの出てきたヤツと言えば
 戦闘型MT3機にガードロボが4機だっけ?」

「そんな感じだったな・・・またゲートだ。」

電子ロックがかけられたゲートを開放するとそこには
1台のエレベータが設置されていた。

「ホント、何処まで行くんだ?」

「検討がつかん、取り敢えず進むしかあるまい・・・」

エレベータを起動させると、下に進み
長い間エレベータに揺られることとなった・・

「それにしても長いな・・・」

「ああ、まるでこの世の果てまで続いてそうだ・・」

「おいおい、不吉なことを言うなよ。」

「だが、実際につながっているかも知れないぞ。」

「おいおい、エース・・・」

「・・・それだけヤバイ状況なんでしょ、ナッツ!!」

「は〜い・・・」

「・・・どうやら、着いたようだな。」

そこは基地の最下層のようであり、壁などが以前の階層より
厳重な作りとなっていた。

「さて、開けますか・・・」

ナッツがゲートに近づいた瞬間・・・・

「・・・プロトンライフル・・発射・・」

膨大な量のエネルギーが凝縮された弾丸がゲートを貫通し、
機体の半身が持って行かれる・・・

「うわあぁぁぁ・・・!!」

「ナッツーー!!」

そして、エネルギー弾によって消滅したゲートの奥には
1体の黒いカラーリングに赤いモノアイの機体が・・・

「ようこそ・・・地獄の1町目に・・・」

その機体は紛れもなくD機関総帥のACであった・・・

サイレントライン:今こそ甦れ忌まわしき力よ!! 完
作者:ハンクさん