サイドストーリー

仕事始め
M・glasasu301号室9時30分
デュークはパソコンで依頼が来ていないか探していた。
「なかなかないもんだな。まあ駆出しだから仕方ないか」
しかし依頼は着ていなかった。まあ当然といえば当然なんだが依頼が最もくるのはD,C,Bのランクのレイブンである。
Eランクでは仕事を任せるのに不安がありAランクだとよっぽど報酬がよい仕事じゃないとなかなか受けないのである。
もっと言ってしまえばデューク、ヴィネは各企業に挨拶もしていなかったのだ。
Eランクで仕事を探すには各企業に頭を下げて探す必要があるというのに・・・
だから多くの若手レイブンは企業に属したりするのである。
しかしデューク、ヴィネは企業に属しなかった。
それは彼らが元からAC乗りで企業に属すと何かといろいろわずらわしくなるからである。
一度企業に属すと属した企業から出る事も一応できるがそれには金がかかり、
さらにレイブンの腕が上がれば上がるほど企業から出にくくなってしまうのである。
「仕方ないな。そういえば今日はヴィネの初試合だったな。見に行ってやるか。
あっそういえばGCにフリーの依頼が入ってるかもしれないしな」

GCオペレーティングルーム10時
「どうしたのですかデューク?」とレイン
「いや、フリーの依頼が入っていないかな〜と思ってね。」と返す俺
「解りました調べてみましょう。2,3ありました。一つはアリーナ防衛これはえっと、ミッション開始が二日後の2200時ですね。
もう一つは工場占拠者排除これは今日の14時からのミッション開始になります。えっとどうしますか?」
「二つとも受けよう」と俺
「もしもかた一方で失敗したら、大変な事になりますよ仕事のドタキャンすると信用を失いますからね」とレイン
「大丈夫だ俺を信用してくれ」と俺
「わかりました。では依頼を受諾しておきます。」とレイン
「これからヴィネの試合があるんだ。一緒に見に行こうぜ」
「ではそうしましょう」

アリーナ11時
「さて本日の午前の最終試合ヴィネvsウェイクアップさてさてどうなるか。
新人のヴィネが勝てるかそれともウェイクアップが勝ち昔のように返り咲く事ができるのか」とアナウンサー
「ヴィネ、ヴィンデーネ出撃しま〜す!!」
「ウェイクアップ、エコーヘッド出撃する!」

 「へ〜、ヴィネの機体はミサイルを主体とした機体ですね。」
 ヴィネの機体であるヴィンデーネは6発発射可能の小型ミサイルMWM-S42/6とデュアルミサイルMWM-DM24/1
そして連動ミサイルのMWEM-R/24を搭載してるさらに右腕にハンドガンCWG-HG-80左にMLB-LS・003を搭載軽量二脚である
 「ああ、あいつは射撃特にミサイルが得意だからな」
 「よくご存知ですね。」
 「昔からの付き合いだからな……」

お互いブーストを吹かしながら中距離まで接近していく
そして先にロックオンしたヴィネがデュアルミサイルと連動ミサイルを発射する
「うわっ」
弱気になりブーストを吹かしながら逃げるウェイクアップ
「逃さないよ!!」
ハンドガンを撃ちながらヴィネ
「いまだ、ミサイル」
突如ミサイルを放つウェイクアップ
「あたらないよ!」
楽にかわすヴィネ
「食らえ」
ハンドガンを撃つウェイクアップ
「無駄よ!!」
それをかわしながらハンドガンで応戦するヴィネある程度撃ち熱暴走するエコーヘッドブーストを吹かし逃げるエコーヘッド
「これで!!」
ミサイルを6発と連動を発射しながらヴィネ
「ぐわぁ!」
煙と火花を出し動きが鈍くなるエコーヘッド
「終って!!」
とどめとばかりにブレードで斬り付ける。
「勝負あり!!この勝負ヴィネの勝利新たなアリーナのアイドルの誕生となるのでしょうか!?実に楽しみです。
午前はこれで終わりです。午後からもお楽しみください」

「ヴィネもなかなかの腕だな。お前らそろってまったく将来有望株だよ。」とライン
「あ、来ていたのですかラインさん」
「ああ、それよりもこれから飯食いに行かないか?」
「すみません、これからミッションの準備等しなければいけないので…」
「ほう、そうか仕事始めといったところか。じゃあ頑張れよ!」
「ええ、それではこれで失礼します。」
「ああ、そうだ一つアドバイスを…」
「なんですか?」
「実弾系だと金がかかるぞ、ランク上がらないとくる依頼も安いのがほとんどだしなエネルギー系の武装で行った方がいいぞ」
「判りました。ですがそんなにかかるものですか?」
「ああ、ミサイルとかは特にな…まあ、ロケットとかは安いしな出来るだけ値段を確認して使えよ。」
「アドバイス有難うございます。では行ってきます」
「おう、気をつけて行って来い」

GC格納庫休憩室付近12時
先ほど試合を終えシャワーを浴び終えていたヴィネがくつろいでいた
「あ、デューク君」
「いい試合だったな、なかなかの動きだったぞ」
「見ていてくれたんだ〜ありがと〜 ねえねえ〜、これからご飯食べに行かない?」
「いや、この後依頼が入っているからな、今夜一緒に食おうぜ」
「う、うん仕事頑張ってね〜」

GC格納庫輸送へリポート12時50分
大型ヘリとその横に厳つい髭面の男がいる…
「お前が、工場占拠者排除に向かうレイブンか?」かなり高圧的な態度で聞いてくる男
「ああ、そうだがあなたは?」
「俺はラルフ・V・ゲレーゲン輸送機のパイロットをやっている。よろしくな!」
何気に陽気な男らしい デュークの肩をバンバン叩きながらラルフは言った
「こちらこそよろしく頼む」
咳き込みながら返すデューク
「わははははっ!もっと体を鍛えろよ!!」
顔も体も声も態度もでかいラルフ
「この機体で行くのか?」とヴィルトフントを見ながらラルフ
「いや、ちょっと武装を変えていく マシンガンじゃ金がかかるからなパルスガンを装着する」

輸送ヘリ内13時50分
「おい、そろそろ着くぞ。準備は出来てるだろうな!!」
「当たり前のことを聞くな」
「がははははっ!それもそうだな。では投下を開始する!!」

クレスト兵器開発工場前14時
「システム起動 時間1400時これより任務を開始する」
「デュークこの依頼の内容をかいつまんでお伝えします。
老朽化で閉鎖予定の兵器開発工場で閉鎖反対派の職員たちが占拠立てこもってます。
作業用メカを武装して抵抗しているようです。彼らを排除してくださいとのことです」
「了解した。これよりヴィルトフント向かう」

「数はいるようですがACとは比較になりません。作戦を遂行してください」とレイン
「わかっているさ、緊張してるのかレイン声が硬いぞ?」
「そっ、そんなことはありません!!」

「ACだと!? くそっレイブンか」比較的若い声の職員
ブーストを吹かしクレーン型MTの放つレーザをよけながらブレードで斬り付ける
さらにそのままビットを射出そばにいたもう一台のクレーン型MTを撃破
そして作業用MTが放ってきたロケット弾をかわしそのまま斬り付ける
「ち、ちくしょう!」
それらはほんの一瞬の出来事だった通信機から悲痛の叫び声が聞こえてくる
さらに工場の奥のほうにいるMTに狙いをつけて動く
通路を出ると同時にビットを射出さらにそのままMTのロケットをかわしながらもう一回別の敵に射出する
そしてクレーン型MTに近づき斬り付けるそしてそのままそばにいたもう一体のクレーン型MTに斬り付ける
「くっ、くるな!」
「助けてくれ!」
またもや聞こえてくる職員たちの悲鳴
「目標の全撃破を確認……帰還しましょう」
どことなく痛ましい声のレイン
「そうだったな。レインあんたは今回が実質上初めてのオペレーティングだったんだな。どうだった」
「一体どういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ。初めてだろ人殺しの実況中継された現場に居合わせたの」
「そんな言い方…」
「それが嫌なら止めてしまったほうがいいぞ。その程度の…殺し殺される覚悟のないもののいるような場所ではない」
「……………」
「デューク帰還する」

輸送ヘリ14時10分
デュークは輸送ヘリにACを搭載してヘリのコクピットのほうに移動してきた
「おう、終ったか早かったな。しかし嬢ちゃんにはちょっと言いすぎだったんじゃないか?」
と可笑しそうにラルフ
「聞いていたのか。しかし甘い考えのままだとこれから先レインのためにもならんからな」
「まあ確かにそれはそうだな。しかしオペレータいびりする新人って言うのも珍しいぞ」
笑いながら答えるラルフ
「そうか?だが言っとくべき事だからな」
少しむっとした顔になりながらもまともに返すデューク
「そういえばお前、名前なんていうんだ?覚えといてやるよ」
「デューク・ベルルクスだ。そういえば自己紹介もしてなかったんだな…」
「よし、デュークだな、覚えといてやるよこれからもよろしく頼む」

GC格納庫休憩室付近15時
あの後そのままシャワーを浴びて休憩室でビール片手にくつろいでいた
「さすがにちょっと言い過ぎたかな。後で様子見に行くか…」
ちょっとさっき言い過ぎたことを後悔しているデューク

GCオペレーティングルーム
オペレーティングルームすぐそばのロビーでヴィネとそのオペレータのアリスがいた
「よう、ヴィネと…」オペレータの名前を忘れてどもってしまうデューク
「アリスです」
「そうそう、アリスだったな。ところでレインはいるかい」
「レインちゃんならなんか落ち込んでどっか行ったよ。デューク君なんか言ったんでしょう!?」となんか怒ってるアリス
「ちょっとな、それで言い過ぎたかも知れんと思ってね。」
「そうなんだ〜やっぱりひどい事いったんだね。
いつもお父さんやおじさんが言っていたでしょ女の子にはやさしくしなさいって〜」
「ヴィネ!!親父達のことは言うなって言っているだろうが!!」
「そんなにも怒る事はないでしょ」と膨れながらアリス
「別にあんたは関係ないだろうが!!」と怒鳴ってしまう俺
「ううぅ、そこまで言う事ないでしょ、確かにあたしは関係ないわよ。
でもねオペレータとしてヴィネちゃんのことを弁護してなにがいけないの!!」とすごい剣幕で泣きながらアリス
そして少し冷静になったデューク
「すまん、言い過ぎたようだ。でレインはどこに行ったんだ」
「わからないよ〜どこに行ったかなんて」とヴィネ
「そうか、邪魔をしたな じゃあな」

GC一階ロビー17時
GC内部を一通り探した後レインが見つからずに困っていた
「もう帰ったのかな?ならば明日でもいいか…」
「いや、待てよオペレータの性格って確か各レイブンの性格と会うように……」
「こういう場合俺なら…」

カフェ・バーAlhanbula(アルハンブラ)17時30分
落ち着いたBGMが流れる中レインは一人で飲んでいた
「私ってこの仕事向いてないのかな。ねえ、マスターどう思う」
「さあ、私如きには判らない事です。しかしながらあなたが希望してそして夢をもって始めた仕事ならば向いているといえるでしょう。
それに失敗したり躓いたりするのはどのような仕事にでもどのような人にもある事です。
その後をどうするかそれによって人がどの様に成長するかが決まります。すぐに決断する事もないでしょう。
結局自分の価値というものは、自分ひとりではかれるほど単純でもないのですよ」
「ふふ、なんだか小難しいわね。」
グラスを傾けながらレイン
「よく言われますよ」
グラスを磨きながらマスター
カランカラン
「いらっしゃいデューク」
「マスター、あっやっぱりここに居たかレイン」
ビクッ!!と反応しそのまま無言で視線を合わせないように走り去っていくレイン
「お、おい…ったく」
グラスを磨きながら一部始終を見ていたマスター
「さてと、デューク何にいたしますか」
「いや、マスター悪い今日は…」
と注文を断ろうとするデューク
「今から追いかけても無理ですよ。少し間を空けないとね 冷静に考える時間が彼女には必要ですよ。
たとえ何が合ったにしてもその結論を出すのは彼女自身 自分で決めなくては成らない事でしょう。」
と諭してくれるマスター
「違うんだ。ちょっとさっき言い過ぎてね…」
と答えながらカウンターに座るデューク
「たとえ、あなたが言ったことが原因としても結果を出すのは彼女です。
たとえ今あなたが追いかけていって彼女がすぐに結論を出す事が出来ると思いますか?
かえって結論を出せにくくなるでしょうし彼女自身その結論に納得できなくなるでしょうそれでもよろしいのですかな?」
とオンザロックを出しながらマスター
「ふふっ、まるで俺が何を言ったかを判っているようですね。レインが言ったのですか?」
グラスを受け取りながらデューク
「いいえ、ですが初心者のオペレータが躓く事の原因は大体判りますよ。」
こう見えても昔はACに乗ってたのですから・・・と語尾に含ませマスター
「わかった彼女が落ち着いたら言ってみるよ…」
とグラスを口に含ませながらデューク

M・Glasiasu301号室20時
あの後しばらく酒を飲みつい先ほど何か大事そうな事を忘れてるような気がしながら部屋に戻ってきたデューク
リーリーリーリーン
「はい、どちらさまですか?」
とベルが鳴ったので玄関の戸をあけるデューク
戸を開けると怒った顔をしたヴィネが居た
「どうしたんだヴィネ、怒った顔なんかして?」
「どうしたんだ じゃないでしょ〜ひどいよ〜せっかくごはんに誘ってながら何の連絡もないんだもん。
部屋にも居なかったし〜どこ行ってたのよ〜」
「ああ、それか忘れていたのは…」
「ひっひどいよ〜忘れていたなんて〜」
「悪かったなじゃあ今から食いに行くか?」
「もう食べたわよ〜もういいよ〜!」
と怒りながら自分の部屋に入っていくヴィネ
「っち、ミスったな。仕方がないな。」
そういいながら部屋を出手そのまま階段で下に降りて行った

カフェ・バーAlhanbula(アルハンブラ)
カランカラン
バーの中はジャッカルとゼロが酒を飲んでいた
「どうしました?デューク」
とタロットをしながらマスター
「うん、どないしたんやデューク」
とグラスを傾けながらジャッカル
一方一瞥しただけのゼロ
そこで事情を説明するデューク
「そうかー、そんでヴィネちゃんなんか怒ってたんか。」
「……かなり怒ってたぞ……ちゃんと謝っとけ……」
とそれぞれの反応を返す二人
「そんなに怒ってたのですか?って言うかなぜ知っているのです?」
と不思議に思ったデュークが聞く
「簡単な話さ、アリーナでお前を待っているヴィネちゃんに会ったんだよ。そん時になんか怒っていたからな。」
とジャッカル
「で、どうするんです?」
と冷静にタロットをきりながらマスター
「それでケーキでも買って持っていこうかと思ってね。というわけだマスター、ブランデーとそれに合うケーキを頼む」
と答えるデューク
「解りましたよデューク今用意しますね。」
とブランデーとケーキを取り出しながらマスター
さらにケーキをケースに入れて綺麗にラッピングしていく
「有難うマスター」
とケーキを受け取りながら礼を言うデューク
「ところでデューク、ヴィネちゃん所いくんやろ? 一人でいったって今は逆効果やてせやから俺らも一緒に行ったろけ?」
と親切でいってるのか下心あって言ってるのかいまいちわからないジャッカル
「…確かにこんな時間から喧嘩されるのも鬱陶しいしな…」
とゼロも一人で行く事に反対する
そうするとマスターが
「ならば広間で宴会するからとゼロかジャッカルが誘ったらいかがでしょうか?それならば出てきてくれるでしょう」
「その意見に賛成やな」
「…むう…」
と賛同する二人
「しかし…」といまいち乗り気じゃないデューク
「安心せえ、わしらはとっとと切り上げるけえの」
「…俺も無粋な人間ではないというつもりはある…」
と二人の後押しもあり
マスターも
「よし、それで決定ですねでは僭越ながら私も参加させていただきましょう」
と乗り気になってたこともありデュークはそうする事に決定した
「よし、いっちょやろうぜ!!」
とジャッカル
一方タロットの結果が出て来たマスター何故か暗い顔をしていた
「……………Wheel of Fortuneの逆位置とはな………」
と同じく陰気につぶやくゼロしかしこの呟きはジャッカルとデュークの耳に入る事はなかった

そう、この運命の輪の逆位置が示す事
チャンスがない、チャンスが来ていても長く続かない、 
不運な方向へ動く、結果が良くない、グズグズする、 
中止、中断、失敗、反抗、天の邪鬼、素直になれない、 
元の仲に戻れない、復縁できない、落とし穴、など 
およそよろしくない物でありデュークたちのこれからを暗示するものであった。

だがこの結果のことを知るものは、マスターとゼロのみ そして彼らもこの事を忘れるころ
運命の輪の噛み合いが外れるのであるが…いや、そうなる運命 だったのかもしれないが…
彼らはこの世界の存続に関わる事に巻き込まれていくのである
…Kontrollieren…dieRechnung…fuhren…dasSchicksal…
(…管理者の計算によって導かれた運命…) 
作者:権之輔さん