復活のソリッドランサー、リリス、
そしてＤ機関総帥の登場・・・
傷つきながらも最下層に到着したレイヴンチーム。
全ての駒は一同に集い、ここに新たなる
歴史が動き出そうとしていた・・・
そしてこの長き戦いにピリオドを打つ物は！？
全てはこの瞬間にかかっている・・・

タイトル　サイレントライン：閃光と共に
　
作者　　　ハンク

「・・・どうした、恐怖の余り
　声も出ないのかね？」

「！！・・みんな動け、
　狙い撃ちにされるぞ！！」

エースのとっさの一言にレイヴンチームが
反応し、一気に展開する！！

手始めにメグリムとブレイカーが火力で牽制、
続いてエースとメイアがお互いにキャノンで
決定打を決める！！・・・はずであった。

「馬鹿な！！いない！？」

「・・・上だっ！！」

ブレイカーが反応するも、予想を遙かに超えた
運動性と機動性に反応できず、手負いである
メグリムの機体に攻撃が加えられる！！

「ああぁっ！！・・・機体が動かない！？」

腕部に内蔵されたブレードで機体の動力炉を
的確に貫き、機体の動きを止める・・・

「今だ！！」

攻撃でスキが出来た機体にエースが
グレネードランチャーを立て続けに撃ち込む！！
だが、それも先にナッツの機体を吹き飛ばした
ライフルで相殺される！！

「馬鹿な！！・・・なんだあの出力は！！」

「・・・ふぅ、とっさに放ったが
　なかなかの性能だ・・・」

「くそおおぉぉぉ！！」

ブレイカーが怒りに身を任せ突撃する！！

「馬鹿な！！迂闊だブレイカー！！」

「・・・面白い、そうでなくてはな！！」

肩に搭載された拡散型パルスキャノンを乱射すると
ブレードを展開させつつキャノンを構える！！

「ほう、牽制のつもりか・・・
　だが・・その程度では牽制の内にもはいらん・・」

まるで人間のような巧みなステップと
半身のひねりでエネルギー弾を回避する！！

「これも受け取れえぇぇぇ！！」

パルスキャノンで牽制を仕掛け、グレネードで
動きを止めようとする！！

「ますます面白い！！そうでなくては戦う甲斐がない！！」

まるで戦いを楽しむように動き回り、
さらに発射されたグレネードすらもひらりと回避する！！

「外れたか！！」

しかし、事はそう単純に行く物ではなかった・・・

「吹き飛べぇぇ！！」

相手の後方付近の地面に着弾したグレネード弾は
大きな爆風のドームを形成し、動きを抑える！！

「何！！・・・それが狙いか！！」

「くらえぇぇぇ！！」

既にお互いの距離は零距離付近まで達していた！！
とっさにブレードで応戦しようとするが、
射程の違いもあり、回避は不可能であった・・・

「ちぃ・・・これしきで！！」

ブレードで反撃が無理と判断するとライフルを
盾にしてブレードを凌ぐ！！

「ちぃ、やるな！！」

「メイア！！ブレイカーに続くぞ！！」

「了解！！・・当たれぇ！！」

メイアがコンテナミサイルの改良型を発射し、
エースがチェインガンを乱射しつつ突撃する！！

「ちょろちょろと・・・目障りだぁ！！」

総帥が機体の両肩に搭載されたグレネードガンを
構えると、３機目掛けて弾をマシンガンのように連射する！！

「いかん、このルートだと！！」

エースがブースタを逆噴射すると、メイアの盾になる
ように移動し、グレネードの直撃を受ける！！
ブレイカーの機体は、至近距離でまともに受けたため
機体正面が炭のように黒くなっていた・・・

「エースさん、大丈夫ですか！！」

「ああ、私は無事だ・・・しかし、ブレイカーが・・」

エースが必死にブレイカーに連絡を取るも
応答はなく、虚しく信号音が鳴り響く・・・

「いやあぁぁ！！そんな・・ブレイカーさん・・」

「どうした・・・まだ戦いは終わっていないぞ・・
　それに、貴様らはこの程度であきらめるような
　者ではあるまい？」

「どういう意味だ！！」

「お前達は考えたことがないのか？
　私の部下がお前達レイヴンを襲撃し、生き残ったものと
　死んでいった者達の違いを・・」

「・・・弱者と強者の違いとでも言いたいのか？」

「そう言うことだ、力のない者はいずれ過ちを犯す。
　ならば、力のある強者が弱者の絶対的な
　指導者となり、導いていかなければならん！！」

「それは独裁だ！！そんな世界がまかり通るとでも
　思っているのか！！」

「現実を直視しろ、現に歴史は我々を軸に
　動き出している・・・
　みろ、この映像を・・・」
　
部屋にホログラフのようなスクリーンが現れ、
そこに映像が映し出される・・・
映像には、戦車や戦闘機など今では考えられない
古風な軍隊とＡＣが戦っていた・・・

「これは・・・まさか！！」

「そうだ、われわれＤ機関はノアの箱船計画の
　第１歩を踏み出している。
　これは先ほど届いた映像だ・・・
　みろ、強者と弱者の決定的な違いを！！
　これが現実、これが我らの理想郷なのだ！！」

「・・・絶対に間違っている！！
　こんな物はあってはならない！！
　これは・・・ただの虐殺だ！！」

「だまれ！！貴様ら弱者が今までこの世界に
　どのような罪を犯し続けていたか考えて見ろ！！
　木を燃やし、動物達を根絶やしにし、そして
　この母なる地球を大破壊という、ふざけた行為で
　大きな傷跡をつけたのだぞ！！」

「くっ・・・それは・・」

その頃シャウシュッツは数々のゲートをくぐり抜け
大きなエレベーターホールに来ていた・・・

「これは・・・最下層につながるエレベータか！！」

意を決してエレベータに乗り込むと、地面が降下を始める。
十数秒が経つと、エレベータが止まり新たな部屋に出る。

「・・・反応がある・・正面か・・」

機体を移動させると、そこには黒煙を上げる
一体のＡＣがいた・・・

「これは・・ナッツ！！無事か！！」

「・・・ん・・あぁ、シャウシュッツか・・」

「大丈夫か！！怪我は！！」

「いや、大丈夫だ・・なに、少し寝てただけさ。」

「機体は・・・動くか？」

「ああ、脚部と左腕は使い物にならないが
　ライフルは使える。」

「よし、援護してくれ・・・突撃する！！」

エースが、総帥と通信している間に青白い
発光体が背後からかすめる！！

「なに！！このエネルギー弾は！！」

「ナッツ！！無事だっ・・・シャウシュッツ！！」

「よぉ、待たせたなエース・・・みんなやられたのか・・」

シャウシュッツが周りを見渡すと、激しく損傷した
壁や天上に、黒煙を上げるＡＣなどが目に入った・・・

「・・・００３・・か・・久しぶりだな。」

「・・・Ｄ機関総帥、カラード・シュマイザー・・」

「貴様から総帥と呼ばれるとは・・・夢にもおもわなんだな。」

「だが、一つだけ解せん。なぜお前が
　スパルタクスに載っているんだ？」

「くくく・・・はははっ・・」

「何がおかしい！！答えろ、カラードォ！！」

「まだ気が付かないのか・・・お前なら
　分かると思ったのだがな・・・」

「なに！！・・・まさか・・そんな馬鹿な・・」

「そう私こそ幻のレイヴン、グロック・スパルタクスだ。」

「・・・なに！！どういう事だシャウシュッツ！！」

「わからん、オレだって混乱しているんだ！！」

「無理もないだろうな、死んだはずの人間が
　ここにいるのだからな・・・」

「一体、何がどうなって・・」

「シャウシュッツ・・プラスと言うのは
　聞いたことはあるか？」

「プラス・・だと？」

「そうだ、貴様らＨ・Ｈの原型となった
　強化人間技術のことだ・・」

「・・・人体強化技術のことか？」

「さすがは察しがいいな。
　その通り、プラスとは人間の体の９割を
　機械に換装、強化する技術だ・・」

「そんな悪魔のような技術があったなんて・・
　シャウシュッツさん、じゃあカラードは・・」

「その通り、私はプラスによって実に
　人間の何倍の寿命を持つことが出来たのだよ。
　おかげで２００余年たった今も２０代の肉体のままだ。」

「そう言うことか・・・だから今のような
　亡霊にまで落ちぶれたと言うことか・・・哀れな・・」

「亡霊・・か・・確かにそうかもしれんな・・
　だが我々は達成しなくてはならない義務がある！！」

「その義務がエゴだと言うことに気づかずにか！！」

「・・・貴様らとこれ以上はなしても無駄のようだな・・・
　残念だが、ここで退場してもらおうか・・」

「望むところだ、この完全なる力を取り戻した
　ソリッドランサーなら貴様と対等にやれる！！」

「つけあがるなよ・・・小僧がぁ！！」

お互いにブーストを吹かせて高速戦闘を繰り広げる・・・
その戦いはエースの実力とはまるで別次元の
ような戦いであった・・・

「これが・・・シャウシュッツとカラードの戦い・・」

「ここから消えろぉー！！グロックゥ！！」

「無駄なあがきを・・・まだ続けるか！！」

激しく動き回る２体のＡＣ・・・
シャウシュッツがライフルを発射すると、
それをタッチの差でかわして、肉薄する！！
しかし、シャウシュッツもブレードを展開させ
直撃を防ぐ・・・まさに一進一退の戦いである。

「むっ！！いかん、シャウシュッツが押され気味だ！！」

「エースさん、支援しましょう！！」

「ああ・・ナッツ、聞こえているな！！」

「あいよ、準備ＯＫだ！！」

「よし、ヤツがシャウシュッツから離れた瞬間に
　勝負を決めるぞ！！」

「どうしたシャウシュッツ！！私を超えるのではなかったのか！？」

「くぅ、このままでは・・・」

グロックがグレネードを撃つため、間合いを取った瞬間
エースはすぐさま声を張り上げる！！

「今だ！！集中砲火を掛けろぉ！！」

各機がスパルタクスに向かってあらん限りの弾丸を撃ち込む！！
横から来たふいの攻撃に反応しきれず直撃し、
付近が見えなくなるほどに大爆発を起こす！！

「やったか！？」

「・・・反応消えてません！！」

「まだ、オレが居る！！」

シャウシュッツがオーバーリミットを発動させ、
爆炎のなかに機体を飛び込ませる！！
しかし、次の瞬間に聞こえた音はブレードの音とは
ほど遠い打撃音であった・・・

「ぐっ・・・そんな、まさか・・・」

「やはり、貴様は甘いな・・・
　このＤ・Ｆ・Ｃ・Ｓを回避にしか使えないとはな・・・」

「シャウシュッツ！！どうした、何があったぁ！！」

硝煙によって発生した霧が晴れると、
そこにはまるで無傷のスパルタクスと装甲がひしゃげた
ソリッドランサーが居た・・・

「馬鹿な！！あの攻撃を受けても無傷だと！！
　それに、ヤツはどうやってシャウシュッツに反撃したんだ？」

「シャウシュッツ・・・Ｄ・Ｆ・Ｃ・Ｓの真の使い方が
　お前にはまだ分からないようだな。」

「・・・まさかＡＣで格闘戦をやるとは思わなかったがな・・」

「格闘戦だと！？・・・常識はずれにもほどがある！！」

「エースさん！！もう一度攻撃を・・」

「そうだ！！ここまで・・・」

メイアが銃を構えようとした次の瞬間・・・
突如、高速移動をしてきたスパルタクスによって
ナッツの機体とメイアの機体がその機能を停止させられる。

「そんな・・・もう・・終わり？」

「あ〜あ、もうチェックメイトかよ・・・」

「残念だが、そう何度も同じことを繰り返させられては
　こちらも面倒なのでな・・・」

まさに一瞬の出来事であった、スパルタクス・・・
その機体は既に人知を超えた性能と脅威を兼ねた
最強の機体であり、おそらく後にも先にも
これ以上の機体は出ては来ないだろうと思われるほどであった・・・

「次元が・・・違いすぎる・・・」

「エース、機体は動くか？」

「ああ、なんとかな・・」

「どうした、そろって逃げる相談でもしているのかね？」

「言わせておけば・・・これでどうだぁ！！」

フルチャージでエネルギーライフルを
スパルタクス目掛け発射する！！
しかし、あっさりとそのエネルギー弾を回避し
ソリッドランサーに肉薄する！！

「・・・これで貴様は死んだな・・・
　やはり、私を超える者はいないのか・・・」

「くそ・・・ここまでなのか・・」

「まだ戦いは終わってはいない！！」

後方から突如、銃弾が浴びせられる！！
そこにいたのは・・・

「ハンク！！それにリリス！！」

「待たせたな、相棒！！」

「先生！！」

「おやおや、これでなんとかなる・・かな？」

「俺達も居るぞ！！」

さらに後ろの方にはゲンズィとフライレ、ラスカーが居た

「７：１か・・・数では有利だな・・」

「だが、戦力ではわからん・・・」

「だが、さっきよりはマシだな・・・」

「なるほど・・・ならばこちらも相応の
　者を用意しなければならないな・・・」

グロックが機体から何かを遠隔操作すると
奥のゲートが開き、そこから２体のＡＣが現れる・・・

「我々が開発したＨ・Ｈ最新作だよ・・・
　これならぞんぶん無く楽しめるだろう・・」

「期待を裏切らない展開だな・・・」

「だが、この戦い・・・負けられない！！」

新たに現れた２体のＡＣをエースやハンク達が
相手にし、シャウシュッツが残ったグロックを
相手にする！！

巧みな動きと的確な攻撃でレイヴンチームを
相手取るＨ・Ｈチーム、
以前余裕の姿勢を崩さないグロック・・・
一進一退の膠着状態はしばらく続き、
その状態は突如切り開かれる！！

「ムーンライト・・オーバーリミットォ！！」

「来たか、ならばこちらも！！」

シャウシュッツが放ったオーバーリミット
をグロックが似たような攻撃で反撃する！！
激しいスパークは一瞬、視界を塞ぎ
辺りを騒然とさせる！！

さらにそのスキに転じてレイヴンチームが
一斉に攻撃を仕掛ける！！

「コイツの攻撃、受けて見ろ！！」

ラスカーとハンクが一斉に拡散型カラサワと
マシンガンを使って動きを封じると
残ったメンバーが強力な武器で追い打ちを掛ける！！
しかし、相手も最小の被害でそれを回避すると
グレネードライフルやプラズマライフルで反撃する

「さすがにそうそう当たらないか・・」

「だが、一人一人の実力はそれほど高い物ではない。
　片方を仕留めればバランスが崩れるはずだ！！」

フライレがそう相手を分析すると、オービットキャノンで
回避に重点を置かせると同時に突撃し、両手に持った
バズーカで追いつめる！！
ビットの攻撃で局部的に損傷が広がっていく中で
バズーカと投擲銃の組み合わせによって
相手は混乱しだし、しだいに統制が薄れていく・・・

一方、その間のシャウシュッツとグロックは
一向につかず離れずの攻防を繰り広げていたが、
その様子はいささかシャウシュッツが押しているようだった

「零距離・・もらったぁ！！」

「そうそう簡単に直撃はもらわん！！」

巧みな動きで零距離まで間合いを持ってきた
シャウシュッツはブレードで決めようとするも、
グロックの格闘戦を交えた反撃になかなか
決定打を決めることが出来ない・・・

「やるな・・・グロック！！」

「誰が貴様を作ったと思っているんだ？
　この愚か者め！！」

「愚者は貴様だろうに！！」

「ならば示して見ろ！！貴様の言う
　信念と真実とやらを！！」

「それにこだわりすぎていることすら
　気が付かない者が何を言う！！」

「言わせておけば・・・この場で消えろ！！」

突如、スパルタクスがいい知れないオーラに包まれると
鬼神のような動きを披露する！！

「この動きは！？」

「これがこの機体の真の力よ！！
　さぁ貴様も見せろ、ソリッドランサーの真の力をな！！」

その時、激しい爆音と共に
一体の機体が転がってくる！！

「ラスカー！！」

所々に弾痕があり、そこから煙を噴いた機体は
弱々しく、今にも止まってしまいそうな
状態であった・・・

「すまない、シャウシュッツ・・・しくじった・・」

事の発端はこうである。
グロックが機体のリミッターを解除する直前、
他の２体も同じようにリミッターを解除し、
圧倒的な攻撃性でレイヴンチームに反撃してきたのだ！！

その余りに強すぎる機体は満身創痍の状態である
レイヴンチームでは到底歯が立つはずが無く、
瞬く間に撃墜されていったのだ・・・

「ほう・・・さすがは新型と言うことは
　あるようだな・・・」

「みんな、無事か！！」

「ああ、だが機体の６０％以上がダメだ・・・」

皆の機体からは黒煙が上がり、これ以上の
戦闘は不可能であるという状態を示していた・・・

やられた仲間に気を取られた瞬間、スパルタクスが
ソリッドランサーに接近する！！

「どうした・・・仲間を気遣う余裕が
　貴様にあるのか？」

「しまっ・・」

もともと、損傷していた機体は更に傷つき
ソリッドランサーもまた動きが取れない状態となる・・・

「・・もう少し楽しみたかったが・・・
　これまでだ、シャウシュッツ・・・」

「くそ・・・負けるの・・か？」

腕部に搭載されたブレードを射出すると
勢いよくソリッドランサーのコアにたたき込む！！

・・・しかし、コアを貫かれたのは
ソリッドランサーではなかった・・・

「先・・生、大丈夫・・ですか？」

「リリス！！なぜ！！」

「私は元々存在しては行けない存在・・・
　でも、そんな存在でもかけがえのない
　物は・・・精一杯守りたい・・から・・」

「リリス！！機体から脱出しろ、早く！！」

「・・・すいません、もう機体のハッチが
　開かないんです・・・それに私は・・・」

その瞬間、機体のコアを中心に火を噴き
大爆発を起こす！！

「リリスーー！！」

余りに凄惨な現実であった・・・
「大切な物を守りたい・・」
その一心で戦っていた少女を
無惨にも目の前で失ったシャウシュッツ・・・
そしてその光景は、シャウシュッツの中の
「何か」を切れさせるのには十分であった・・・

「・・・殺す・・・」

「ストイックなヤツだ、味方が一人死んだくらいで
　感情を抑えることが出来ないとはな・・・」

「黙れ」

「まだ言うか・・・」

「黙れと言っている」

「ほう・・・と言うことは、
　まだ戦意は失せてない・・と言うことか・・」

「・・黙れと言っている！！」

突如、スパルタクスに接近すると左腕でコアを押し出し
機体を横転させる！！

「何！！なんだあの動きは！！」

突然の反撃に反応したＨ・Ｈチームは
すぐさまシャウシュッツに攻撃を仕掛ける！！

「人形が・・・死ね」

グレネードライフルを装備したタイプのＡＣに
レーザーライフルを発射すると、もう一体の機体に
肉薄し、ブレードを仕掛ける！！

さすがにそう簡単に直撃とはいかないが、徐々に
押され出し、機体がバラバラとなっていく・・・
先に攻撃を受けた機体が反撃しようと
グレネードライフルを構え、乱射する！！
しかし、まるで先読みしていたのごとく回避すると
最大出力でライフルを発射、機体を消滅させる・・・

「・・・まるで別人だな・・・あれは本当に
　シャウシュッツなのか？」

「わからねぇ、ただあの戦闘スタイルは
　俺達の知っているシャウシュッツの物じゃあない・・」

「ああ、あれはまさに鬼神だ・・・」

フライレがシャウシュッツの戦いぶりにそう、
感想を述べる・・・

一体は吹き飛び、もう一機はパイロットごと
消滅したＨ・Ｈチーム・・・
その光景にグロックは初めて恐怖した

「・・・考えられん・・・まさかここまでやるとは・・」

「次は貴様だ・・・グロック・・・」

「・・・つけあがるな・・・小僧！！」

２体の機体が先ほどとは比べ物にならない
動きと攻撃で一進一退の攻防を繰り広げる！！
やはり、当初は押していたグロックでいたが
徐々に事態は逆になっていき、ついには
シャウシュッツが押していった・・・

「ぐっ、馬鹿な！！なぜ・・これほど！！」

「貴様のような戦いを楽しむヤツには分かるまい！！
　この、オレの怒りの力が！！」

「はっ！！そんな力が戦況を変えられる物か！！」

「現に貴様が圧倒されているだろう！！」

「くぅ・・・だが、負けん！！」

余裕の表情を保ってきたグロックも
突然の猛攻に表情が険しくなり、
すでにその顔には余裕の表情は微塵にもなかった・・

「これで終わりだ・・これが１００％の・・
　コード：ソリッドランサー起動！！」

「ただで終わると思うな・・・
　私は・・・グロック・スパルタクスだ！！」

お互いの必殺の技が炸裂する！！
その戦いの光景は今までに見た
ソリッドランサーとは全く違う、
真のソリッドランサーの動きであった・・・

「・・・これで・・・終わったな・・・」

刹那の戦いはシャウシュッツの勝利で終わった。
グロックの捨て身の反撃も虚しく、ソリッドランサーの
あまりに凄絶な攻撃に為す術もなく
その場に崩れ落ちた・・・

「ぐぅ・・・動け！！なぜ・・動かない・・」

「勝負有りだ、グロック・・・
　これで・・・Ｄ機関も終わりだ・・・」

「・・・終わりだと？
　くくくっ・・・馬鹿を言え・・・」

「！！・・・何がおかしい！！」

「たった今、我が軍の一陣が作戦のを
　終了させたところだろう・・・
　わがノアの箱船計画のな・・・」

「・・・まさか・・もう・・」

「シャウシュッツ・・・済まない、
　お前が来る直前にモニターで過去がＤ機関で
　攻撃されている所が映し出されていたんだ・・」

「エース・・・それは・・本当・・だな。」

「ああ、俺達の負けだ・・・」

「・・・そう言うことだ、私が負けても
　我々は負けはしない・・・
　そして、真にこの世界は我々によって統治される。」

「・・・まだ、間に合うかも知れない・・・」

「シャウシュッツ・・・何を？」

「グロック・・・転移装置はこの奥だな？」

「今ごろ行っても何もならないがな・・」

「・・・戻してみせるさ、この歴史をな・・・」

「まさか、お前！！」

「ハンク、Ｄｒなら何とかしてくれるはずだ。
　それにオレもリリス同様、存在してはならない
　存在だ。ケリは付ける！！」

「おい、待てよ！！」

「じゃあな、レインには済まないって言ってくれ。
　さんざん迷惑を掛けたがな・・・と。」

そう言うと、奥のゲートに機体を動かせて
消えていった・・・

「あの・・馬鹿野郎！！」

「・・・ハンク・・帰還するぞ・・・
　俺達が行っても足手まといだ・・・」

「・・・チクショウ！！」

「取り敢えず、Ｄｒの所に戻ろう・・・
　そうすれば何とかなるかも知れない！！」

フライレが精一杯の言葉を述べると、
やられた仲間を回収して撤退する・・・

一方シャウシュッツは、基地内の
最深部に到達し、時空転移装置のエリアまで来ていた

「・・・これが転移装置か・・・
　時間は・・・やはりこの時か・・・
　ハンク・・・レイン・・・みんな・・・
　オレは、時代を変える！！
　そして、二度とこんな事は繰り返させない！！
　・・・リリス・・・そうだよな。
　俺達は決して間違った存在ではない。
　ただ、少し道を外れていただけだ・・・
　そして、それをオレが証明する！！」

ここに一人の英雄が閃光と共に消えた・・・
シャウシュッツ・ヒュッケバイン・・・
彼は数多の戦場を生と死の狭間でくぐり抜け
そしてまた、新たなる戦場へと旅立つ・・・

そして、このレイヴンとＤ機関の凄絶な戦いは
幾多の犠牲を払いながらも
幕を閉じることとなる・・・

この戦いはこれで終わったのか？

否

これは終わりではない、始まりなのだ・・・

確かにＤ機関との死闘は終わった・・・
だが、これは人類の戦いの歴史の一つにしか過ぎない。
そしてまた、ここに新たなる歴史が刻まれようとしている
時代を変える戦いという名として・・・

サイレントライン：閃光と共に　完

そして、新たなる戦いが幕を開ける・・・・