サイドストーリー

〜忘れられない記憶〜(Don't forget memory)
「勝手に決めないでよ!!」
ナユキは怒っている。
「しょうがないでしょ。お父さんが転勤するしか無いんだから」
「行きたければ、お母さんとお父さんで勝手に行けばいいじゃない」
「わがまま言わないの」
それから少し口論が続いた。
「もうお母さんなんて知らないんだから!!何処にでも行っちゃえ!!」
ナユキは急いで玄関から外に飛び出た。
外は雪が降っており、真っ白に染まっていた。
「待ちなさいナユキ!!」
母も急いで追い駆けるが追い着かなかった。
(ナユキ・・・・)


その頃、ナユキはカトルの家の前で待っていた。
(カトルいるかな?)
ナユキはインターホンを押してみた。

ピンポーン ピンポーン

どうやら、留守のようだった。
(げ、カトル居ないのか〜。しょうがない玄関の前で待つか)
そう行って玄関の前で腰を下ろした。
カトルは一人暮らしをしているから近くの身内はナユキとナユキの父、母だけだ。

待つ事、三時間・・・・・

(や、やばい!?このままだと凍死するかも)
ナユキの指が少しずつだが感覚を失ってきている。
(な、何か眠たくなってきた・・・)
目が虚ろってきている。
(カトル来るまでここで少し寝よう・・・・)

何時間経ったのだろうか・・・・。

「・・・おい・・・おい!!」
(あ・・・誰か私を呼んでいる・・・)

ボカッ

ナユキは誰かに頭を殴られた。
「いった〜。誰よ殴ったの」
ナユキは目を擦って、顔を上げた。
「あ、カトルじゃん」
ナユキの前に居たのはカトルだった。
「お前何してんだよ、こんな所で」
「そ、それはその・・・・」
ナユキは目をキョロキョロさせている。
「しょうがない、俺の家の前にいた理由、後で聞かせてもらうからな。寒いからはやく家に入れよ」
そう言いながらカトルは玄関のドアを開けた。
「は〜い・・・お邪魔しま〜す」
ナユキは渋々、カトルの家に入った。

「うわあ〜!カトルの家かなり広いね〜」
「荷物が少ないからだ・・・・」
「あ、そうだね。何かカトルがうらやましいな・・・・」
ナユキはとても悲しそうに呟いた。
「それじゃあ、聞かせてもらおうか、俺の家の前に居た訳を」
カトルがソファーに腰掛けた。
ナユキもカトルの隣に腰掛けた。

ナユキは、父親の転勤が決まって、もうこの町には二度と帰って来れない事を話した。
カトルは真剣にその話を聞いた。
「ふ〜ん、そうか・・・いつこの町から出てくんだ?」
カトルからは聴きたくなかった言葉を言われて、ナユキは動揺を隠せない。
「カトルはいいの?私が居なくなって」
「・・・・・・」
カトルは無言だった。
「カトル、昔私に言った事覚えてる?」
「俺が何て言ったんだよ?」
「確かあの日は小学校の帰り道の事だったわ。その時カトルはこう言ったわ」



「俺さぁ、夢があるんだ」
「どんな夢?」
「それはね、レイヴンになる事さ」
「すごい夢だね、それなら私はカトルのお嫁さんになりたいな〜」
「ああ、いいよ」



「どう?カトル思い出した?」
カトルは動揺した。
(何で俺はあんな事言っちまったんだ・・・・)
カトルはかなり悔やんだ。
「私はカトルのお嫁さんになるまで絶対この町から放れたくないから!」

その時だ。

ピンポーン  ピンポーン

どうやら誰か来たようだ。
「私が見て来るよ。カトルはここで待っててね」
そういうと、ナユキは足早に玄関に向かった。
「は〜い、どなたですか?」
ドアを開けたら、お母さんが立っていた。
「やっぱりここだったのね・・・・」
「お母さん!!私はこの町から一歩も外に出ないから!!」
「違うのよナユキ、カトルさんに用があって来たのよ」
カトルが奥の部屋からのっそり出てきた。
「カトルさんちょっとこっちに来て下さい」
「あ・・・・はい」
カトルは何故、自分が呼ばれたのか分からなかった。
「カトルさん・・・うちの娘のナユキを預かってはくれませんか?」
いきなりそんな事を言われたのでカトルとナユキは驚いた。
「え?お母さん正気?」
「ええ、正気よ。だって貴方がこの町から放れたくないって言うからこの町で幼馴染みのカトルさんに頼みに来てるんでしょ。
それでカトルさんは預かってくれますよね?」
ナユキとナユキの母親に見つめられた。
「はい・・・いいですよ。俺が責任を取ります。」
カトルがこの場で言う言葉はこれしかなかった。
「良かったわねナユキ、それじゃあこの荷物渡しとくから」
そういうと、ナユキの母親はバッグをナユキに渡してそそくさと帰っていった。
「それじゃあ、後のことはよろしくねカトルさん、それとナユキ、カトルさんに迷惑を掛けちゃ駄目よ」
「分かってるってば!」
ナユキは少々照れくさそうだった。
「カトル、よろしくね」
「ああ・・・・」
カトルはまた、荷物が増えたと思っていた。


そして、何年かが過ぎた冬のある日・・・・・

トゥルルル!    トゥルルル!
「カトル〜、レイヴンズ・ネストって言う会社から電話がきたよ」
「そうか・・・分かった今行くから待ってろと伝えておけ」

「すいません。カトルはちょっと手が離せないので待っててくださいね」
ナユキはそう言うと保留ボタンを押した。

カトルが一階に下りて来て、保留を解除した。
「カトルだ・・・・」
「あ、どうもカトル様ですか?レイヴン試験はトップで合格しましたおめでとう御座います」
「ああ、どうも・・・・」
「それで最初の依頼が今日ぐらいには着くと思うのでメールを確認してください」
「ああ、分かった・・・」
「それでは失礼します。」
カトルは急いで2階に行ってPCを作動させ、メールを開いた。
「一件だけか・・・内容は?」
「R・T社     反抗組織排除   13000C 
 鉄橋を作っている作業員共が、橋を占領して、責任者を出せなどとわめいている。
早速ですまないが、橋を占拠している奴等を完全に排除して欲しい。
それが今回の依頼だ失敗は許されんぞ。」

「しょうがない・・・行って来るしかないな」
カトルはそういうとACが置いてあるガレージまで歩いていった。
着いてみるとナユキがACの整備をしていた。
「あれ、依頼?」
「ああ、そうだがACは整備完了か?」
「うん、何とか終わったよ」
ナユキは笑顔で答えた。
今までACをナユキ一人で整備させてその辛さはカトルにも分かっていた。
「ナユキ、今日は何の日だ?」
「何の日って、今日は12月25日よ。あ、クリスマスだね」
「ふ〜ん、そうか分かった。それじゃあ依頼を終わらせて来るな・・・・」
「あ、うんいってらっしゃい」
ナユキはカトルに手を振った。

「戦闘区域に到達しました。ACを投下、離脱します。」

ガシャャン
「あいつらを倒せばいいのか・・・・簡単だな」
「何!?レイヴンを雇ったのか!」
「MT3機、作業用MT2機か・・・すぐ終わらせる」
「くそ!!動きが早過ぎてAC傷一つ付けられないなんて」
ザシュ! ザシュ!

「う、うわーー!!」「だめだ!もうもたない!!」

ズドーーン!!

「なんてやつだ!速攻でMTを2機も撃墜するとは」
「攻撃を集中させれば大丈夫だ。今だ撃て!!」

キュィィン!!バババババババババババ!!
「これであのACも蜂の巣になっただろう?」
辺りが静まり返った。
「な、何!!い、居ない!何処に消えたんだ!」
「上だよ・・・・」
「何!!」

グシャ!!
カトルはMTを串刺しにした。
「う、うわああ」
ズドーーン!!
「よ、よくもー!ロビンをーー!!」
「お前も一緒に逝かせてやるから安心しろ」
MTが走ろうとした瞬間にカトルは背後に付いた。
「いつの間に背後に!!」

ダダダダダダダダダ!!

至近距離でMT2機にマシンガンを乱射した。
ズドーーン!!  ズドーーン!!
「任務終了だ・・・」
「レイヴン、報酬は振り込みましたから心配ありません」
「ああ、分かった」
カトルは銀行に行ってお金を下ろした。
その帰り道・・・・。
「そういえば、ナユキを居候させてから何も買ってあげてなかったな。買ってから帰るとするか・・・・」
カトルはそういうと寄り道をした。
「いらっしゃいませ。」
「時計を売ってるか?」
「あ、はい。これで全部です。」
カトルの前に出たのは高額のばかりだった。
(う、高すぎる・・・買えないな・・・)
「やっぱりいい・・・」
カトルはそそくさと店を出た。
(ふう、俺でも買える物はないのか・・・)
ちょうど店を閉店しようとした店があった。
「ちょっと待ってくれそこの店」
「あ、はいなんでしょうか?」
「時計を売っているか?」
「売ってますよ。どうぞ中にお入り下さい」
店の中にはかなりの数の時計があった。
(ここも高そうだな・・・)
「すまんが6000Cくらいで買える物はあるか?」
「あ、はいありますよ。」
出されたのがペアの古ぼけた懐中時計だった。
「これだけしかないのか?」
「すいません。後は売切れてしまったもので」
「しょうがない、それを買わせてもらう」
「またのご来店を」
ナユキはこんなものを貰ってうれしいのかカトルはかなり不安だった。
ポツ  ポツ   ポツ
帰り道、突然雨が降ってきた。
「急いで帰らないとな」
雨がカトルの視界をさえぎる。
「冬なのに・・・普通は雨降らないだろ・・・」
愚痴をこぼしながらカトルは走った。
十字路になっているところを横切ろうとした瞬間、何かとぶつかって倒れた。
ドン!!
「つぅ・・・・・」
「もう、ちゃんと左右見て横切ってよもう・・・」
「ナユキじゃないか・・・こんなところで何をしてんだよ」
「突然、雨が降ってきたから傘を持ってきてあげたのよ」
「そうか、助かる」
カトルはナユキから傘をもらった。
「そうだ・・・・ナユキ、これやるよ・・・・」
カトルはナユキの前に懐中時計の入った袋を差し出した。
「袋の中身は何かな〜?あ、懐中時計だ」
「まあ・・・・・これからもACの整備よろしくな・・・・」
カトルは照れくさそうに言った。
「カトルありがとう・・・・大事にするね」
ナユキの目から大粒の涙がこぼれる。
「お前、泣いてんのか?」
「雨が目に入ったからそう見えるのよ」
カトルとナユキは会話をしながら家路に着いた。

「ナユキちゃん!!」
ナユキは、はっと目を覚ました。
「あれ、ここはどこ?」
「ナユキちゃん、ここはガレージの中だよ」
「だって、私はカトルを捜しにいったはずだったような・・・・」
「あのときは驚いたよ、ナユキちゃんが倒れていからここまで運んできたのさ」
「カトルは?カトルは居た?」
「いや・・・、見つからなかった。見つかったのはナユキちゃんが抱いてたエンブレムだけだよ」
「そうですか・・・・」
「きっとカトル君が帰ってくるからおじさんを信じなさい!!」
「キヤマさん・・・・うん信じる!カトルきっと帰って来る!」
(カトルの居場所はここなんだ。いつか、帰ってきてね、待ってるから・・・・)
ACが置いてないガレージはとても寂しく見えた。 

                 

カト言
一番前の文はナユキの記憶、
初めての依頼と報酬、ナユキへのプレゼント
そして、深い眠りから目を覚ます。
眠れる森の美女みたい^^(何だよそりゃ 
ナユキの母親の名前はアキコだったりして(一体何なんだよ!!
懐中時計だなんて渋いとおもいませんか?^^
僕的には好きなのでいれてみました^^
作者:カトルさん