サイドストーリー

MISSION1 レイヴン試験(1)
バババババババ・・・・

輸送ヘリの音が心臓に響いてくる・・・

「これより諸君らが受けるレイヴン試験についてのブリーフィングを行う」

指揮官らしき男が僕たちに言った。

「え〜、今回の任務は、この・・・・」

しかし僕たはそんな話に耳を貸そうとはしなかった。

そんなことよりも、今僕の隣にいるカワイイ女の子に興味があったのだ・・・

「全MTの破壊が目標である。・・・・」

指揮官の一言・・・それを聞いた瞬間、彼女は大きいため息を1つ吐いた。

それに気づいた僕は彼女に声をかけて見る・・・

「はじめまして。カズマって言います。君の名前は?」

そう聞くと彼女は少し驚いて

「あっ、は、はじめまして ミズホって言います。」

と答えてくれた。

「あの、えっと・・・レイヴン試験の参加者ですよね?」

「ん・・ああ、そうだけど?」

「今回って私たち2人だけなんですか?」

「そうだよ。だから僕ら2人で行くことになるんじゃないかな?」

そう聞いた彼女の目が悲しそうに目線をそらした。

「どうしたの?僕とじゃいやだったかな・・・」

そう聞くと彼女は

「い、いえ・・・ただ・・・」

彼女の悲しげな目がいっそう悲しそうになった・・・

「あ、いいよいいよ。試験が終わって話せるときに話してくれれば。」

「わかりました。ごめんなさい。」

彼女の目から悲しさが消えたところでちょうど作戦領域上空に到着した。

「各員、自機に乗り込み戦闘準備に入れ!」

そう言うと指揮官はコックピットの方へと消えていった。

「じゃあ、指揮官も言ってることだし準備しよっか」

「はい。そろそろ行きましょう。」

そして2人は自機へと乗り込み準備を整えた。

「カズマ!準備整いました!」

「ミズホ!準備できました!」

『作戦領域到達、これより2機を投下します。』

ガシャン!

着地の衝撃で少し機体がぐらついた。

「おいおい、僕の機体大丈夫なのか?」

『大丈夫だ!それぐらいでいちいち気にしてたら戦場で生きていけないぞ。』

「まったく無責任な指揮官だな・・・」

「まぁまぁ、それよりMTがお目見えしましたよ。」

「じゃあ、行くとしますか!」

そう言うと僕は敵MTの群れの中に入っていこうとしたそのとき。

突然、内部無線がかかってきた。誰かと思えばミズホだった・・・

「ねぇ、ちょっと聞いてほしいんだけど」

「どうした?」

「実はあのMTの中に私の父がいるの・・・腕に赤い布が巻かれてると思うんだけど・・・」

「なんだって!?」

周囲を見回して確認すると、たしかに1機、左腕に真紅の布がたなびいる機体が確認できた。

「な、何で君の父親がいるんだよ!?」

「それが・・・私にもよくわからないの。」

「1ヶ月前に突然[すまないミズホ 今まで何にもしてやれなかったな。せめてもの償いとして
 おまえの夢をかなえてやろうと思うんだ・・・ 次回のレイヴン試験で待っているよ]っていう手紙がきて・・・」

「夢?」

「うん・・・私、小さいころからレイヴンに憧れてたの。大空を自由に飛び交ってみたい・・・翼を手に入れたいって・・・」

「それで君のお父さんはMTにまで乗って・・・。でもどうしてお父さんがMTに乗ってるってわかったの?
 まだ君は1度も見てないのに・・・」

「さっき輸送ヘリの中を見てみたんだけど、父はいなかった・・・だから敵しかないって・・・」

「じゃ、じゃあ赤いバンダナは?」

「私がまだ幼いころに父がよくACに乗せてくれてたの。真っ赤な機体に{9}って描いた機体に・・・」

「まさか!それって・・・」

「そう。あなたが思っているレイヴンよ。私は父に憧れてた。だからレイヴンになろうと思った。」

「そうだったのか・・・あの人が君の・・・」

彼女の悲運な運命に困惑を浮かべながらも、僕の心の中にある目標が生まれてきた。

(彼を倒そう!)

しかし、それは同時に彼女自身が打つはずの悲運な運命に第3者が介入することになる・・・

また無線が入った、そして彼女の発したその言葉に僕の目標は瞬時に崩れ去った。

「父を倒したいんでしょう?」

僕は驚いた。

「確かにそれは全レイヴンの夢だけど、それだと君の謎が解けないじゃないか」

「ううん、いいの。それで、多分私には父を殺すことなんてできないでしょうから・・・」

「だめだよ!これは君自身の問題だろ!?君自身でなんとかしなきゃ!」

「・・・」

「・・・」

「わかった・・・私、やってみる。父に聞いてみる!どうして急にこんなことしたのか!」

「でも・・・でも、もし決着をつけれなかったら・・・父を・・・」

「わかってる!君が背を向けたときは必ず僕がしとめる!」

「うん・・・」

その言葉には少しの悲しみもなく、逆に前向きな姿勢でいこうという女の子の気持ちだけがあった・・・。
作者:FAIRY MOONさん