サイドストーリー

サイレントライン:対決蒼の部隊
「各レイヴンは格納庫に集合せよ。繰り返す・・・・。」
そのアナウンスでシャウシュッツは目を覚ました。ブレイは既に起きて朝食の準備をしている。
弟子にして以来、ブレイはシャウシュッツの部屋に居候しているような存在になっている。
その代わり、朝食や掃除、洗濯と、色々こなしている。
「あっ、起きました?」
「ああ、それ以前に・・・。」
シャウシュッツはベッドから起きると、違う部屋に入り、パイロットスーツに着替えた。
「ブレイ、今アナウンスが鳴らなかったか?」
「鳴りました。何でもクレストから全レイヴンに緊急の依頼が入ったそうです。」
「そうか・・・。」
部屋出てくると、テーブルに朝食が並んでいた。
シャウシュッツはそれをできるだけ早く口に押し込んでいく。
「じゃあ、私は先に。」
「ああ。」
既にパイロットスーツに着替えていたブレイは、先に格納庫に行った。
シャウシュッツは食べ終えると、すぐにその後を追った。
「先生、早く!」
既に全てのレイヴンは集まっていた。前に立っていた長官らしい男が口を開く。
「これより依頼を確認する。今回は皆も知っての通りの蒼の部隊の奴等が関わっている。」
その言葉にシャウシュッツとブレイ、その他、英雄の面々が反応する。
「依頼はクレストの軍事基地から発進した、基地殲滅用地上戦艦アースグライドの破壊である。」
モニターにそのアースグライドが映る。
前面にかなり強力そうな砲台一門、それ以外にも機銃、エネルギー砲をかなり装備している。
「基地殲滅用・・・・これだけあれば基地なんかひとたまりもありませんね。」
「確かに・・・・。」
ブレイの言葉にあいずちを付く。
「現在目標は地上のクレスト本部に向かっている。本部到着前に撃破してほしいとの事だ。以上だ。」
それぞれACに乗り込んだ。
「シャウシュッツとハンクはいるか!?」
さっきの長官叫んだ。シャウシュッツとハンクは長官のところに行く。
「何でしょう。」
「実は、お前宛てにメールがきていた。差出人はカイル。」
「!!」
「内容は、レイヤードのアヴァロンヒルで待っているというものだ。」
「何で俺まで。」
「お前も一緒に来いということも書いてあった。だから、お前達にはアヴァロンヒルに行ってもらう。」
「しかし、俺達無しで大丈夫ですか?」
「心配するな。これだけのレイヴンがいればいくら戦艦でも長くは持ちまい。だから、心配せず行ってくれ。」
「・・・分かりました。」
「OK。じゃ、行きますか。」
二人は機体に乗り、レイヤードに向かった。
その他のメンバーはACに乗り、既に戦艦に向かっていった。だた、二人を除いて。
「ブレイ、行かないの?」
「エターナルMK−Wの調整があと少しで終了するので、出来たら行きます。」
ブレイとミリィである。二人はあの後、意気投合。ミッションなどを共同でこなしている。
「ブレイブガンナーがあるんだから、それで行けば良いじゃない。」
「そうわ、行きません。」
ブレイが真顔で言った。
「どうして?」
「なぜ、カイルさんが師匠を呼んだか分かりますか?」
「?」
「戦艦の方を少なくするのではなく、決闘を申し込んだんです。」
「決闘!?」
「そうです。それに、ハンクさんを呼んだのは、向こうにハンクさんに対して因縁を持つ人がいるからでしょう。」
「因縁?」
「カルト・・・蒼の部隊の副隊長です。彼は一度ハンクさんに負けていますから。」
「と、いうことは、戦艦には・・・・・。」
「そう、指揮官クラスがアヤしかいないんです。これが何を示しているか分かりますね。」
「これは隙じゃないの?」
「違います。こちら油断させる為の囮です。恐らく、戦艦の破壊力はこちらの想像以上に高いはず。」
「・・・・ねえ・・・。」
ミリィが自分のAC、ガーディアンに近寄った。
「調整にどの位かかるの?」
「あと、5,6分ですね。」
「それなら・・・。」
ミリィがブレイを見て、少し笑った。
「作りたいアセンがあるんだけど。」

その頃、シャウシュッツとハンクはレイヤードに到着して、
エレベーターでアヴァロンヒルに向かい、戦艦の迎撃部隊は戦闘を開始していた。
「しまった!直撃・・・!」
また、一体とACが破壊される。
既に残っているのはアルスター、カタストロフ、シータ、BB、ミスト、レジーナ、
フラジャイル、ナッツ、フィー、ノヴァとあと3、4人いる程度。
「何だよあのエネルギー砲、威力が並じゃないぞ!!」
「ACを一撃で粉砕するとは・・・・侮れないな。」
残っているメンバーは機体の機動力をフルにして移動するが、
エネルギー砲の爆発は予想以上にでかく、また、一機破壊された。
「なっ・・・!!」
「くそぅ!」
アルスターはバーストライフルを連射。機銃を落としていくが、エネルギー砲は一向に減らない。
「フィー行くぞ。」
「OK!」
二人はKARASAWAを乱射し、エネルギー砲の破壊を目指すが、
「ちっ!硬い!!」
エネルギー砲は予想以上に硬く、KARASAWAでも満足にダメージが与えられない。
その後も、カタストロフのプラズマライフルとBBのグレネードランチャーの連射、
ミストのミサイルラッシュ、ノヴァの至近距離スラッグガンもダメージは無い。
ほとんど、鉄の砦に弓で対抗しているのと同じ感じになる。
「・・・ロック、発射!」
シータは、一つのエネルギー砲をロック、大型拡散ミサイルを発射した。
大型とは言っても、それなりの加速はある。
地面すれすれに飛んだ後、目標直前で分裂、当たる。
「これでも・・・!!」
と、その時、
ドシュゥーー。
かなり大きいエネルギーの塊がアースグライドの装甲に当たり、融解する。エネルギー砲を合わせて。
「な、何だ!?」
突如の攻撃は、アルスター達はおろか、相手も混乱している。

「何が起こった!!」
その頃、アースグライドの中では混乱が支配していた。
「アースグライドの装甲が一部融解しました!」
「その攻撃でジェネレーターに異常が発生!機関停止!」
アースグライドの移動が止まる。
「ACとMTを出して応戦!!」
後部ハッチが開くと、ACやMTがわらわら出てきた。

「くそっ!敵か!」
アルスター達はさっきの混乱で油断していた所にACとMTの部隊が来たので、
既にさっきのメンバーで、BB、ミスト、他のレイヴンはやられた。
ちなみに、BBとミストはやられた時、ギリギリで脱出した。
「苦戦しているようです。」
「だから、もう少し早く行こうっていたんだよ。」
「まあ、結果オーライじゃないのかい?ブレイ君、ミリィちゃん。」
三人の声。この声は!とシータは思った。と、ACの反応が三機。
六時の方向。シータは見る。そこには見たことの無いACが三機来た。
「こちらエターナルMK−Wパイロット、ブレイ。それよりそちらを援護する。」
「こちらエクセルパイロット、ミリィ、同じく援護します。」
「こちらアルカディアMK−Uパイロット、エース、行くぞ。」
ブレイは機体を地面に降ろし、二つの武器、ガンランチャーとエネルギーランチャーを構えた。
「行くぜー!!」
ブレイは両腕の武器を乱射した。
ブレイの機体、エターナルMK−Wは、二丁の武器の他に、腕に内蔵されたパルスライフルとブレードを持っている。
「遅いよ!」
エネルギースナイパーライフルが火を噴き、MTを破壊した。
ミリィの新型、エクセルはガーディアンの時と比べ程にならない位早い中二脚アセンであった。
右腕にエネルギースナイパーライフル、左腕に月光、両肩に50発ロケットを装備したアセンで、
敵を一撃で破壊する腕が無ければ、扱う事が難しい機体である。
「この程度で!」
エースはトリプルロケットを乱射。しかし、確実に敵を破壊する。
エースの機体、アルカディアMK−Uはアルカディアに比べて汎用に優れてはいない。
しかし、連動ミサイルとオービット、トリプルロケットに以前のライフルと月光と、かく乱には強い武装である。
「エース!ブレイにミリィも!!」
「遅くなった。」
「しっかりやりますよ。」
「新型の機体の性能を見せてやりますよ、アルスター。」
ブレイは二つの武器を繋いだ。
正確にはトッキングではあるが、ブレイはトッキングした武器、バスターランチャーを構え、放った。
その攻撃はアースグライドの装甲を融解したのと同じ攻撃であった。そして、敵はすぐに融解した。
「よし、次!」
今度は違う形にトッキングした。今度はショットガンランチャーを構えた。
拡散型の榴弾を発射した。
この弾頭には一個の自立型AIが入っており、敵の反応が近くにあると、自立的に爆発、敵にダメージを与えるのである。
「行くぜー!」

「アヤ参謀離脱を!」
「何ですって!?」
格納庫で出撃準備を整えていたアヤに対して、グラキレが言った。
「もはや、アースグライドは駄目です。離脱して生き延びましょう。」
「・・・分かった。今格納庫にいるメンバーは離脱。地上の基地に帰還します。」
「了解!!」
その後、ブレイ達が知らない間にアヤ達は離脱した。

「来たか。シャウシュッツ・・・。」
「ハンク、あの時の借りは返す。」
「カイル・・・・!!」
「あの時の機体・・・?」
4人の戦士がぶつかった時、新たなる敵は動き出すとはこの時、シャウシュッツ達は知るよしも無かった。
蒼の部隊を除き・・・。
作者:カイルさん