サイドストーリー

ブレイブガンナーの血統


依頼を終え、ほっと一息ついているときにパートナーから通信が入る。
「レイブン、クレストから緊急の依頼です!
すぐそちらに転送します。」

「我が社の中央研究所がミラージュの部隊による襲撃を受けています。
重要物資の移送が終わるまでの時間を稼ぐだけでかまいません。
必ずしも敵を撃破する必要はありません。大至急、
救援をお願いします。」

「急を要しているな...レイン、すぐに輸送機の準備を!
被弾はしていないから、弾丸の補給だけでいい!」
「了解です、すぐそちらに機が来ます。」
1分もしない内に輸送機が到着し、格納庫で弾丸の補給をすます、
この依頼がシャウシュッツに地獄を見せることになるとは、
誰も予想はしていなかった。
「研究所が見えた!...何と言うことだ、6割近いブロックが壊滅的打撃を受けてい
る。一体、どういう部隊が送り込まれたんだ?」
そう考えていると、輸送機のハッチが開き通信が入る
「レイブン、機体を投下する。後は頼んだぞ」
「ああ、またすぐに戻ってくるさ。」
機体が投下され、着地すると同時に反応があるブロックへ急ぐ。
ブレイブガンナー、武装は貧弱であるが高い機動性と運動性を誇り
数々の戦闘をくぐり抜けてきた高性能ACである。
「反応が大きい、近いな。」
ふいに通信が入る
「シャウシュッツ、来てくれたか!!
こっちはもう無理だ、早く来てくれ!!」
声の主はフラジャイルであった。
「やばいぞ、ヤツの機体は装甲が薄いから急いで救出しないと
やられてしまう。」
大型エレベータを降りてゲートをくぐると、球体の形をしたMTが
数機配備されコールハートが果敢に応戦していた。
「レイブン、間に合ったか!!」
「ああ、パーティーには間に合ったらしいな!!」
敵のMTが体を開放させて反撃してきたが圧倒的な機動性を持つ
ブレイブガンナーには当たることはなく、逆にシャウシュッツの
反撃によってことごとく撃破されていく。
「自分から弱点をさらけ出すとは愚かな...」
普段は厚い装甲に守られているが攻撃の際、機関部を露出させる為
マシンガンの弾丸が数発被弾しただけで撃破できてしまうのだ。
おおかた全滅させた所でレイブンの救出に向かう。
奥の方に進み、ゲートをくぐるとそこには、大破した緑色のACと殆ど無傷の黒いACが
いた。
「フラジャイル、大丈夫か!!」
「ああ、なんとかな。だけどACの方はもう無理だ、脚部が完全につぶされた。」
「分かった、相手は俺が何とかする。
コールハート、お前はフラジャイルを頼む。」
「ああ、分かった。お前も無理はするなよ。」
「ああ..さあこい、パーティーの続きと行くぜ!!」
そう言うや否や、黒いACがこちらに向かってくる。
「プレゼントだ、受け取りな!!」
シャウシュッツは相手の武器を破壊しようと高速移動しながら
マシンガンを撃つ
タッチの差で回避したACは肩のグレネードを発射する。
狙いが甘く、当たることはないがシャウシュッツはすでに相手の術に
はまっていた。
「ダメージ増加、ダメージ増加、耐久力20%低下」
突如、機体情報が流れる
「なっ、攻撃は受けて..オービットキャノンか!!」
突撃した際に発射したビットは確実に機体を捕らえ、
背部から攻撃を加えていた。
「さっきのグレネードは陽動か!」
さらに相手はコアのEOを射出し、オールレンジ攻撃で片を付けようとする
「そうはいくか!!」
シャウシュッツもEOを射出し、凪払うようにビームを連射し、
オービットとEOを破壊し相手を牽制する
「今だっ!!」
よろめいた相手にすかさずマシンガンをたたき込む。
全体に被弾し、機体をふるわせながらもグレネードを発射する。
爆風で機体が硬直したところにレーザービームが機体の左腕を貫通し、横に吹き飛ば
される。
「ちっ、ブレードが...だがまだ!!」
片腕を吹き飛ばされながらも体制を立て直し、反撃する。
しかし、ここでシャウシュッツは相手のおかしな点に気づく。
「なぜ、あの装備でああもブースタが持続するんだ?
それにあの時のグレネードは普通ならそれていったはず、
一体、あの機体はどういう作りをしているんだ?」
相手がオービットキャノンを構えようとしたが
シャウシュッツに破壊される。
「オールレンジ攻撃はもうごめんだぜ。」
お互いに激しい乱打戦が展開されるが、装甲が薄いブレイブガンナーが不利になるの
は火を見るより明らかであった。
「機体損傷...67%、これでよく動くなこの機体。」
黒いACが宙に舞ったと思うと一気に武器の全弾発射を始めた
通常なら、難なく避わせるところであるが機体が破損し、
動性能が落ちた状態では
満足に回避をすることができなかった。
「ALEET!! 機体破損度80%突破、動性能60%低下、出力84%低下」
「レイブン、それ以上の戦闘は危険です。離脱してください!!」
機体警告とレインの声が同時に聞こえた。
「レイン!!輸送終了まで後どれくらいだ!!」
「後30秒ですが離脱してください!!」
「いや、そんなことをしたらヤツは本気で俺達を殺すだろう。」
「そんな...でも...」
「大丈夫だ、この依頼も無事に帰ってくるさ。」
だが、相手の一方的な攻撃は続き、ブレイブガンナーは立っているのが
やっとといった感じだった。
「ふっ...俺も焼きが回ったもんだ。だが、無駄死にはしない!」
その時、前方にMTが立ちふさがった。コールハートだ
「これでもくらえーっ!!」
ロケット砲を乱射し、ACと戦う。一見無謀であるが、相手も性能が
下がっている事もあり各部に被弾していった。
だが撃破にはいたらず、逆に反撃されて撃破されてしまうが
その隙を見逃すシャウシュッツではなかった。
「終わりだぁーっ!!」
残されたブーストパワーで一気に間合いを詰め、マシンガンの全弾を
たたき込む。
さすがにこの連続攻撃を受けてはいかに強固な機体といえど
持ちはしなかった。
相手は引き際と見てその場を離脱した。
「コールハート、生きてるか!」
「ああ、なんとかな。フラジャイルも無事だぜ。」
「すまないな、2人とも。おかげで助かった。」
「取り敢えず、帰還しよう。」
3人は来た道を引き返して、待機していた輸送機に乗り込んだが
3人とも激しく消耗しており、乗り込むと同時に倒れ込んでしまった。
シャウシュッツが目を覚ましたのは、グローバル社の居住区
にある自室であった。
「部屋..か?」
何気なく時計を見ると昼の12時を回っていた。
部屋のブラインドを開けると外のまぶしい光がシャウシュッツを包む。
「そうだ、俺のAC!」
格納庫に行くと、自機の修理が始まっていた。
「シャウシュッツさん、一体何とやり合ったんですか?
こんな壊れ方、普通はあり得ないんですけどねえ。」
そう整備員が感想を言うと
「激しい損傷にも関わらず無茶をした代償だ。見慣れない破損があってもおかしくは
ない。」
と答えた。
「第一、あんたをここまで追いつめるヤツってどんなやつですか?」
「...化け物、そうとしか言いようがない。」
「...そうですか。それと、ブレイブガンナーですが、殆どパーツが
使い物にならないから新しく組み直した方が安くすみますよ。」
「分かりました。パーツカタログを見せてもらえませんか?」
「どうぞ。」
しばらく、カタログを見つめていたシャウシュッツだが、ふいに
閃いたようにチェックを付けていく。
「こんなアセンでどうです?」
「どれどれ...軽量機ですね。さらにOBにして
機動性を上げるわけですか?」
「ああ、武装は更に減るが動性能だけはコイツとは比べ物にならん。」
「分かりました。5日後には組み上げておきますよ。」
「ああ、すまない。それとネームはブレイブガンナーカスタムと
付けてくれ。ブレイブガンナーの血統を受け継ぐ者として。」

作者:ハンクさん