サイドストーリー

サイレントライン:軍事基地奪還
「いいか、作戦通り行くぞ。」
「分かっている。」
「了解!」
「行きましょう、ノヴァさん。」
ノヴァとD−13は丘から軍事基地の方向に行った。
ナッツのインフィニティ零とフィーのリーン・ラグナロクMK−U「ティサラ」通称ティサラを残して。

「偵察型MTの調査によると、軍事基地の敵戦力はこの様になっています。」
ノヴァのオペレーター、クスハからの報告。
今回の依頼に参加するノヴァ、D−13、ナッツ、フィーのすべてのオペレータを務めることになった。
「砲台が四方に三門ずつ、敵のACの量産型、地上が確認出来るだけで二十ちょっと。空中は十機位ですね。」
フィーが言う。かなりの防衛戦力だ。一体この施設には何があるんだろうか。
「ここには一体何があるんだ?」
「ここには、AC用のパーツを作る工場も配置しているんです。恐らく、それを狙って占拠したんでしょう。」
「でも、どうやってここを奪還するの?この戦力では負けるのは・・・・・。」
「火を見るより明らか、だろ?」
フィーはナッツの言葉に頷く。
「そうだな。外には、これだけだが、中に何機いるのかは不明からな。」
ノヴァも続いて言う。
「それについての事には作戦があります。」
「どんなだ?」
「初めに・・・・・。」

「全く、中に先に入って防衛能力を破壊とは、無謀な作戦だな。」
「しかし、それしか方法はありません。」
「仕方ないか、行くぞ。」
今、周りには濃い霧が立ち込めている。潜入には打って付けだが、レーダーには映ってしまうが。
「そろそろだな、ブレイから借りた電磁パルスON。」
二人は、長時間レーダー、ロックが効かなくなる、特殊電磁パルスを発した。
相手に見えてない間に、基地に侵入する。
「予想以上に広いようだな。」
「そうですね。」
中に進入した二人の感想はそうだった。大きさは大体アヴァロンヒルくらい。
しかし、構造は単純で、下が工業ブロック。上が軍事ブロックらしい。
「ここには、敵が配置されていないな。」
「上に敵反応。機数三。」
「上は・・・・軍事ブロックか。行くぞ。」
二人はエレベーターで上に上った。そこには、何もいなかった。
「おかしいな、いない。」
「侵入者か・・・。」
「上です!!」
二人は左右に分かれる。そこを、マシンガンの弾が地面を掘り起こした。
「惜しいな、ブレイド。」
笑いじみた声が聞こえた。その時、三機のACが降りてきた。
右にいる一機は、軽二脚で色は白く、コアはOB。武装はマシンガンと2551ブレード。
真ん中にいる一機は中二脚で色は赤く、コアはOB。武装はエネルギー砲にKARASAWAと月光。
左にいる一機は同じく中二脚で色は濃紺色と黒。カメラアイは赤々と輝いていた。
コアはOB。武装はKARASAWAと月光。
「そう言うか、ユウジ!」
「もめるな、気が散る。」
「すまんな、マスター。うるさくて。」
それを聞いていたノヴァがある三人を思いあたった。
「ブレイド、ユウジ、マスター。まさか、お前等があの・・・!?」
「知っているんですか?」
「ああ、あの三人は、アリーナでは滅多に姿を出さず、三機で依頼をこなす、最強チームと言われていた。」
「お、俺たちって有名だな〜〜。」
「ふん、敵に有名でも嬉しくは無い。」
「同じく・・・。」
「最初に喋ったのがユウジ、機体はメテオ・グラグリオン。真ん中の奴だ。
次はブレイド、機体はオメガ・シャドー。右の奴だ。最後はマスター、機体はブリガンディ。左の奴だ。」
「そろそろ、お喋りは終わりにしようか。」
三機は右腕武器を構える。
「どうする、火力面では不利だ。」
「でも、やるしかないでしょう。」
「そうだな。」
二人も武器を構える。

「補給車、到着しました。」
外で待機していたフィーとナッツの元に補給部隊が到着した。
「それにしても、遅いな。」
作戦では、施設の特定のポイントに爆弾を設置後、霧がある間に離脱。
爆弾を爆発させ、一気に制圧する。それが、作戦の概要である。
「そうですね、もうすぐ、霧が晴れるというのに・・・・・。」
次第に、霧が晴れ、周りが見えてきた。
「もう、我慢出来ん。一気に突撃するぞフィー!!」
「ええ!?でも、まだ二人が・・・・。」
「補給部隊は施設ギリギリで物資だけ置いて離脱しろ。いいな。」
「分かりました。」
ナッツはOBを起動。一気に行ってしまった。
「いっつもこうなんだから。もう・・・。」
そう言いながらフィーもOBを起動、ナッツの支援に向かった。

「これは、一体・・・・。」
フィーが到着した時、既に量産型ACの部隊は全滅していた。
「ナッツ!!」
ナッツのインフィニティ零を確認して、近寄る。
「これは、一体何が・・・。」
「どうやら、あいつ等のせいらしい。」
見ると、七機の見たことも無いパーツで組まれたACがいた。
「データ照合完了。フライトナーズです!!」
「フライトナーズ!?」
「もう、稼動していたの!?」
「そうらしいです。それぞれ、中二脚はアサルトドッグ。中量逆間接はハンタードッグ。
重二脚はガードドッグ。四脚はマーダードッグ。軽量逆間接はバウンスドッグ。
重フロートはスレイドッグ。軽フロートはスマッシュドッグです。」
「でも、何で味方を・・・・。」
「どうやら、味方、という概念はフライトナーズにはフライトナーズの中にしかないみたい。」
七機がこちらに向かってブーストダッシュで近づいてきた。
「へっ、来るか。」
ナッツとフィーはKARASAWAを構える。
「今は、もろに気が立ってるんだ。失せろー!!」
ナッツとフィーはKARASAWAを乱射した。
相手は避けようにも、連射力が通常より改良されている為、動きの比較的遅いガードドッグとマーダードッグは破壊される。
「もらい!!」
フィーは、動きの鈍ったバウンスドッグを連射で落とす。
「はっ!なめるな!!」
ナッツはハンタードッグとアサルトドッグの攻撃を避けながら、KARASAWAで二機のコクピットを破壊する。
スレイドッグとスマッシュドッグが武器腕のエネルギー弾をプラズマ弾をナッツに向かって連射した。
流石に、一対一では勝てないと判断したのだろう。その弾は全弾当たった。
「よそ見は駄目だよ!!」
後ろから、フィーがスレイドッグを落とす。
スマッシュドッグがフィーを攻撃しようと、ナッツの機体を背中に向けた。
「最後まで油断するな・・・。」
ダメージはあるが、まだ動けたのである。
気づいた時はもう、スマッシュドッグはナッツとフィーKARASAWAの連射で破壊された。
「大丈夫?」
「何とかな。補給したら、中に突入しよう。」
「それしかないわね。」
二人は、補給部隊が置いていった補給物資で弾の補給と簡易的の修理をして、中に入った。

「もらった!!」
「どわぁー!」
ブレイドのコアに至近距離からスラッグガンを発射。ブレイドは絶命する。
「ディー。大丈夫か!?」
「何とか。」
あの後、ノヴァがブレイドと、D−13改名ディーが残った二人を相手にしていた。
しかし、ディーの方はあくまでブレイド倒すまでの時間稼ぎである。
「話をしてる場合か!」
マスターはKARASAWAをディーの機体の足に向かって投げた。
KARASAWAは足に当たり、動かなくなる。
「これでもう・・・・。」
「・・・もらった!」
ディーはバーストライフルを置くと、KARASAWAを取り、マスターに発射した。
「な、何!?」
KARASAWAの弾はコクピットに当たり、爆発を引き起こす。
「ちっ、マスターまで。」
その時、エレベーターの扉が開き、ナッツとフィーの機体が出てきた。
「あ、ノヴァさん、ディー。」
「もらった!」
ユウジはエネルギー砲を構え、フィーに向かって発射した。
「しまっ・・・。」
「フィー!!」
「あいつ・・・!!」
ナッツはKARASAWAをユウジの機体に連射、ユウジは機体もろとも消えた。
すぐに、フィーの方を見た。
エネルギー弾はフィーの機体に当たり、燃えている・・・・・姿は無かった。しかし・・・。
「ディー!!」
ディーはエネルギー砲の引き金をユウジが引いた直後、ブースターを吹かし、
フィーの盾になるようにエネルギー弾を受けたのだ。機体は既に半分は吹き飛び、爆発は時間の問題だった。
「どうして・・・。」
「もう、仲間が目の前で死ぬのは嫌なんだ・・・・助かっ・・・てよ・・・か・・・った・・・・。」
その時、ディーのホワイトナイトは爆発を起こした。
「そん・・・・な・・・。」
「ディーは確か、以前はクレストのMT部隊で働いていて、仕事で仲間を失った。
その後、管理者部隊に志願した、か。皮肉な運命だな。」
ノヴァは悲しそうに呟いた。
「どちらにしても、後味の悪い勝利だな。」
「ホワイトナイトの残骸を回収して、グローバルの敷地に埋めてやるか。」
「そうだな・・・・。」
三機は、回収部隊が来るまでそこで、ディーの供養を行なった。
作者:カイルさん