サイドストーリー

緊急依頼@コア:中編
「それじゃ…サッサと終わらせますか」
ファナレがトルフに乗りながら言った。
「…それにしてもお前のアセン ずいぶん変わったようだな」
コアが EKK(コアのAC)のコクピットで聞いた。
両手で持つような大剣 その刃には「雷」と書いてあった。
「その剣は一体どうしたんだ? 見たところ市販の物ではないようだが…」
更にトルフは布製らしきマントを羽織っていた。これも市販のものではない。
「お前のもあるぞ もっとも私が無理を言って貰った物だが…」
同じものがもう一式コア用にあるらしかった。
「剣は趣味じゃない…第一 射撃が出来なくなるだろう」
コアは ブレードよりも両肩の大型キャノンで戦うタイプであった。
そのためオプションパーツの「INTENSIFY(強化人間)」も構え無しなどキャノンに必要なものだけだった。
「それに 僕は『どこから』手に入れたのか聞いたつもりだが」
そしてコアは質問を戻した。
「どこからって言われても…メールは非通知だった上にもうア
ドレスが変えられてるらしい」
「なるほどな… まあ 気持ちとして取っておく」
周りにはしばらく荒野が続いていたが しばらく二人が進んだところで 目的の研究所が見えてきた。
「やあ あんた等が俺らの他に依頼を受けたレイヴンか 俺は紅男 よろしくたのむぜ」
赤いACが前に歩み寄ってきた。エンブレムには大きく「紅」と描いてあった。
「よろしく頼む」 とファナレ
「ああ」 とコア
「んで こいつがZERO おい 挨拶ぐらいしろよ」
と横にいる黒いACに叫んだ。
「……」
ZEROと呼ばれた者のACから返事は無かった。
「ま…まあ これで4人 あと一人だよな」
「悪い悪い ちょっと寝坊しちまった」
と また黒いACがやってきた。
「お前 またコクピットで寝てたろ やる気入りすぎていっつもこうだ」
紅男と言った者が叫んだ。
「カイルだ ACはフォーニング よろしく頼む!!」
少し間をおいてオペレータから通信が入った。
「全員揃いましたね」
「おっ エマちゃん 今日も可愛いねぇ」
ファナレのオペレータなので 彼とは顔なじみだった。
「そっ…それでは今回の任務を確認します 目的は二つ データの回収と事故の調査です
サイレントラインでの任務ですので終了又は離脱しだい速やかに帰還してください」
『了解!!』
こうして 5機のACによる共同作戦が始められた。

「チィ やはり簡単にはいかんか!!」
コアは叫び 無人ACと戦闘している。
「うおりゃあぁ!!」
ファナレは叫び 手近な無人ACやMTを両断した。
「全機 離れるなよ」
紅男は 他のACに叫びマシンガンを乱射した。
「コノッ!!」
カイルも言い放ち 無人ACの頭部を月光で貫いた。
「…フッ」
ショットガンを確実に打ち込みながらZEROはブレードでMTをバラバラにしていった。
「くらえッ!!」
コアは叫び マシンガンを無人ACに向かって打ちまくった。
「大抵かたずいたな 今のうちに研究所に入るぞ」
と 紅男は最後の無人ACを月光で突き刺しながら言った。
「かなり消耗させられたな…補給したいくらいだ」
さすがのカイルも 消極的になっている。
「チッ こいつはもう使えんか」
そう言ってコアはEKKの両肩Eキャノンと煙を上げ
大破しそうになっているEXのマルチブースタをパージした。
「皆さん たいへんです 新たな熱源が近づいています」
エマから突然通信が入った。
「数はいくつだ」
ZEROが口を開いた。
「まだ来るのかよ」
カイルは呟いた。
「数は3機ですが 上空からも熱源を確認しています」
そう言っている間に 3機の熱源らしいACが肉眼でも確認できるくらいに迫ってきた。
「該当データ無し…こいつは『UNKNOWN』と呼ばれる物だろう」
ZEROが冷静な口調で言った。
次の瞬間 1機の熱源が上空からの青い光に包まれ消えていた。
いや 消えていたと言うより「消滅させられた」と言うべきだろう。
「何ッ!? 奴等もう動き出しているのか」
ファナレがそう言い放った。
「ファナレ…奴等とは一体誰だ!?」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ とっとと構えろ!!」
コアはファナレに聞き返したが
カイルの叫びによって今がそんな話をしている場合ではないことに改めて気付いた。
焼け野原と化した荒野を5機のACが2機の「UNKNOWN」と向かい合っていた。
そして 今まさに戦いが始まろうとしていた。

――本当の戦いが…
作者:ジェットさん