サイドストーリー

サイレントライン:要塞破壊
「行くか。」
「それにしても・・・カイル。」
「何だ?」
カイルはシャウシュッツとハンクを見る。周りは森林で、まだ日は出ていなく、かなり暗い。
カイルの後方にはサーチライトの光が見える。
「何で、ACで行かないんだ?」
「作戦を忘れたか?」
「いや、忘れては無いが。」
「なら、急ぐぞ。」
カイルはさっさと行ってしまった。シャウシュッツとハンクはその後を急いで追いかけた。

「今回の作戦では、ACは使わない。」
乗って来た長官が初めに言った言葉はそれだった。
「AC無しでどうやって要塞を破壊しろと!?」
「話は最後まで聞け・・・・初めにカイル、ハンク、シャウシュッツの三名が要塞に侵入、
特定のポイントに爆弾を設置、その後、ACを置いたポイントまで後退。その後は、爆弾を爆発させ、要塞を破壊する。」
「なるほど、正面からACで一気に攻めるより、その方が効率がいい。」
カイルが頷く。
「その通り、その後は我々の部隊が要塞の調査をし、残っている部分があれば破壊する。」
「了解。」
「カイル、ちょっといいか?」
「何だ?」
カイルはシャウシュッツに連れられ、輸送機の一角に行く。そこには、ハンクもいた。
「用は何だ?」
「それについてだ。」
シャウシュッツはカイルの額を指差した。
「何で気を使えるのか、何故それがあるのか、教えてもらおう。」
「・・・分かった。フィールドバックシステムは、
大破壊時の開発していた気の能力と人工神経を組み合わせて、その効力を発揮します。」

話によると、フィールドバックとは、ACに組み込まれた人工神経に体を流れている全ての気を流す事によって、
意思をACに同化させる事に成功しているらしい。
額に付けられている瞳については、気を集中させる特殊器官が必要で、
初めは人工物の宝石や何かをつける予定だったが、やはり体の何処かの部分をつけようと、瞳を付ける事にしたのだ。
気の簡易治癒能力等はいわば副産物で、偶然生まれた能力なのである。

「・・・これらは、全てまとめてBIO OVER TECHNOIOGY(バイオオーバーテクノロジー)と呼ばれている。」
「BIO OVER TECHNOIOGY?」
「そうだ。管理者が管理していた情報の中では特A級クラスで、決して使う事を管理者ですら許されなかった。
管理者自身、その情報を使うとは思っていなかったが・・・。」
「が?」
「初めは、管理者部隊だけで全てを管理できると思っていた。しかし、予想以上に管理を邪魔する存在が出てきた。」
「その存在とは?」
「企業だよ。企業が管理者の邪魔するなら倒す為に俺達は生まれたんだ。」
「そうか・・・。」
シャウシュッツは呟いたが、俺達、という言葉が心に引っ掛かった。
「レイヴン、もうすぐ目標地点です。準備を。」
「分かった。急ごう。」

「ここだな。」
カイル達は建設中の要塞の侵入口に来ていた。右側にカードリーダーがある。
「どうやって開けるんだ?」
「まあ、見てろ。」
カイルは、右手をカードリーダーに当てた。
「・・・破・・。」
バチン。
カイルがわずかに右手が動いたかと思ったら、カードリーダーが火花をあげて壊れた。
カイルはドアに手をかけ、手動で開いた。
「何をやった?」
「気を機械に当てたんだ。元々、この力は、大破壊時に相手の電子機器の混乱を起こす為に研究されていたんだ。
しかし、研究が完成まじかで爆撃を受け、研究データを残して、研究をしていた連中は死んだ。
それが管理者の中で完成したんだ。」
「そうか・・・。」
「昔から、気の効果について、研究していたんだ。それを軍事利用しようとしていたんだ。」
「何て奴等だ。」
「今では、気なんか知っている奴なんかいないけどな。」
カイル達は奥に進んだ。カイル達はそれぞれ、ハンドガンとマシンガンを携帯していた。
全てがサイレンサー(消音機)付きである。
「Dポイントに到達。」
通信機からレインの声。そこは、広めの研究室だった。
「了解・・・・・爆弾を設置。次に向かう。」
その後は、簡単に全ての爆弾を設置した。しかし、
「侵入者だ!」
戻る途中、ハザード社の警備兵に見つかった。
「くそっ!」
ハンクはマシンガンの引き金を引き、警備兵を殺す。
「まずいな、通信されたかもしれない。」
「とりあえず、急いでACに戻ろう。」
カイル達は急いで要塞から出た。もう、朝日が昇り始めていた。
ACに着いた時、要塞からはAC部隊が発進しようとしていた。
「悪いが、やらせん!」
カイルは、ACに乗ると、爆弾の起爆装置を押した。
ドドドドドーーン。
要塞から多数の爆音。要塞の研究施設、格納庫、ブリッジなどを爆弾が破壊した。
「よし、行くぞ!!」
三機は崩壊しかかっている要塞に近づいた。
「ここまでやるとは・・・流石だ。」
「ふぅー。要塞はもう駄目だな。」
「・・・誰であろうと、我々の進む道を邪魔する者は破壊する。」
通信機から違った三人の声。
「クライン!!」
「コ、コア!?」
「まさか!?」
そこには、二機のACと、一機の謎の機体がいた。
「その声、ハンクか。という事は、隣はシャウシュッツか。」
「こいつ等は、一体・・・!?」
一機はテイルと同じ時代の機体で、色は赤と黒、中二脚で武装はパルスライフルと二連小型ミサイル、
グレネードランチャー、あと腕部内蔵式ブレード。
一機は、色はちょっと微妙な白。コアはOB。中二脚。
武装はマシンガンと投てき銃、肩に大口径のエネルギー砲を付け、エクスにエネルギーの強制回復を付けている。
「コア、ハザード社の専属となったレイヴン。機体はアンタレス。
あと二機は、ハスラーワンのナインボール、クラインのスカラバエウス。」
「・・・どうやら、あっちは、もうやる気満々らしい。」
ハンクの言葉通り、三機は戦闘態勢に入っている。
「俺はクラインをやる!」
カイルはクラインを方に向かって行った。
「ハンクはコアを、俺はナインボールをやる。」
「分かった!!」
三機は分かれて、カイルはクライン、ハンクはコア、シャウシュッツはナインボールと戦いを始めた。

「コア、なぜハザード社のレイヴンになった!」
ハンクはマシンガンを連射しながら通信機を入れる。
「ハザード社の目的も知らないお前が言う事か!!」
コアはエネルギー砲を発射した。ハンクは当たる寸前で慣性を押し殺し、反対方向に動き、避ける。
「ハザード社の目的・・・?」
「聞くが、この地上は誰が直した?」
「うっ・・・。」
コアはマシンガンと投てき銃を連射した。ハンクは避けながらミサイルを発射する。
「地上は大破壊で破壊された。それを直したのは管理者だ。だが、人は再びこの地上を汚そうとする。それを阻止するんだよ!!」
コアはエネルギー砲を連射。ハンクはミサイルを破棄、何とか避けきる。
「だが、人はいずれ地上に出るべきではなかったのか!?」
「それは・・・くそっ!!」
コアはハンクのエリアルガンナーの機動力に苛立ちを感じていた。
「いい加減落ちろー!!」
コアは、一気に接近すると、至近距離からエネルギー砲を叩き込んだ。
エリアルガンナーは左腕を失っただけで、アンタレスの後方に素早く回り込み、EN砲にマシンガンの弾を叩き込む。
「しまった!」
コアはとっさにエネルギー砲を破棄した。破棄した直後にエネルギー砲は爆発を起こし、両者は見えなくなる。
「何処だ!コア!!」
「ハンク、この勝負はお預けだ。」
ハンクはレーダーを見ると、アンタレスが領域から離脱したのが分かった。
「コア、どうして・・・。」
ハンクはただ呆然としていた。

「ガンナー!」
「ふん・・・。」
シャウシュッツとハスラーワンは死闘を行なっていた。
お互いにエネルギーライフルとパルスライフルの光が装甲をかする。
「誰であろうと、私を超える事は不可能だ。」
「くそぅ。」
明らかにシャウシュッツは不利だった。相手はAIであり、疲れは知らない。
しかし、こちらは疲れが出てくる。長期戦ではこちらが不利になる。
「こうなったら・・・。」
シャウシュッツはあるプログラムを入れた。ブレイから、練習無しでは使うなと言われた、アサルトプログラムを。
「・・・アサルト起動!!」
突如、急激な振動がシャウシュッツを襲った。
「な、何!?」
ハスラーワンはソリッドランサーの急激な振動に混乱した。AIにも、一応感情的要素をあるらしい。
「・・・・何とかいける!!」
振動を何とか抑えたシャウシュッツはエネルギーライフルを破棄した。
ブーストを吹かすと、恐ろしい程のスピードとGがかかった。
「これが、こいつの本当の力!?」
シャウシュッツが驚いた瞬間、ナインボールの後ろにいた。
「速い!」
ハスラーワンはグレネードを発射しようとしたが、それより早く、シャウシュッツはオーバーリミットを叩き込んだ。
ナインボールは粉々に吹き飛んだ。
「ハァ、ハァ・・・これは、辛い。」
シャウシュッツはプログラムが切れても、少しの間立てずにいた。

「クライン、一つ聞きたい。」
カイルはマシンガンを連射した。
カイルのフォーニングMK−Wは、以前の機体の武装の少なさを補った機体で、
レーダーの代わりに小型一連ミサイルと50発小型ロケットを装備。コアはEOからOBに切り替えている。
「何だ!」
クラインは、アームマシンガンを連射した。
スカラバエウスは、腕がマシンガン、胸辺りにロケットを装備。
あと、肩付けられている半円からミサイル。両肩にはレーザー砲が付けられている。
「何故、ハザード社に手を貸す。お前も分かっているはずだ。あいつは・・・。」
「分かっている。それが、私の理想を達成できる方法なんだ!」
「クライン、お前の理想とは何だ。」
「それは・・・。」
カイルは武器をロケットに切り替え、各個所を破壊する。
「やらせるか!!」
クラインは、ミサイルを一斉発射。しかし、カイルは月光以外の武装を破棄、機動力を上げ、回避する。
「もらった。」
カイルは、オーバーリミットを叩き込む。
「ぐわぁー。」
スカラバエウスは爆発を起こしたが、中からフィリアルが出てきた。
フィリアルの武装は、左腕に内蔵式ブレード、頭部に拡散型レーザー、背中にオービットを装備していた。
「私の理想、それは・・・。」
「それは?」
お互いのブレードが弾く。
「・・・忘れた。」
「?」
「忘れた、私の理想が何なのか。」
その時、フィリアルの動きが止まった。
「・・・私が一体何者なのか、それすら分からない。しかし、今はこうするしかない。」
再びフィリアルは突っ込んできた。
「やはり、やるしかないのか・・・クライン!!」
カイルは、左腕と左足を下げた。フィリアルはOBに似た装置を起動。突っ込んできた。
「貫きだけ!」
「行くぞ!!」
お互いのブレードが交差する。
フォーニングMK−Wとフィリアルは背中合わせで止まる。果たしてどちらが勝ったのか。
「・・・・見事だ・・な・・・。」
フィリアルは左肩が爆発し、肩膝を付く。
「・・・・・。」
「・・・。」
カイルはそのまま、歩き始めようとした。
「・・・なぜ、殺さない・・?」
「殺す必要は無い、何も分からない人間を。」
カイルは今度は歩き始めた。
「・・・・・待て。」
クラインはカイルを呼び止めた。
「何だ?」
「私をグローバルまで連れて行ってくれ。」
「何故だ。」
「私は、もう死んだ人間だ。それなら、私自身を知りたい。その為にも、お前達と一緒にいくのが良いと思うんだ。」
「俺は構わないぜ。」
外部スピーカーでの声に、カイルは振り向く。そこには、左腕を失ったエリアルガンナーがいた。
「ハンクか・・・。」
「他の連中は知らないが、俺はいいぜ。」
「分かった。とりあえず、グローバルの方に戻ろう。」
カイルとハンクは、シャウシュッツに了解を得て、クラインを連れ、グローバルに戻った。
作者:カイルさん