サイドストーリー

サイレントライン:それぞれの思い。そして、決戦の地へ
ハザードの襲撃があった次の日、グローバル社の格納庫には活気があふれていた。
基地から新型兵器と共に来た整備員がグローバルの整備員と共にACの修理と新型兵
器の取り付け、今ある武装の強化を行なっていた。
基地から持ってきた兵器は以下の物である。
・ステルスマント
・ドライバーブレード
・エネルギーシールド
・リニアキャノン、改良型多弾頭ミサイル付き追加装甲
・グレネード発射可能ビームライフル
・バスターライフル
・ツインバスターライフル
・パルスライフル付きデュアルブレード
である。
ステルスマントは、ロックはされるものの、マントを付けている間はレーダーに映らない。
それに、実弾防御、エネルギー防御、耐熱防御が高く、シールドの代わりにもできる。
ドライバーブレードは、右腕に付ける近接武装で、実剣ならではの、切り裂く、突く、引いて切る、などを行なう事が出来、
更に、特殊なコーティングがされており、シールドとしても、使える。
エネルギーシールドは、ドライバーブレードと同時に使う武装である。
形と防御範囲は新しく出た物と同じだが、実弾とエネルギー防御が高く、
更に、専用のパックがあり、それが尽きるまで、ブースターを使い続けられる。
簡単に言えば、シールドとブースターの使うエネルギーは、違う。
パックのエネルギーが切れれば、ブースターと汎用して使わないといけないが。
追加装甲は、その名の通り、追加する装甲で、武装を増やす事を前提に開発されている。
更に、追加装甲だから、破棄して、機動力を確保できる。
グレネード発射可能ビームライフルは、一発しか撃てないが、超強力なグレネードを発射する。
バスターライフルは、かなり威力のあるエネルギー弾を発射する。しかし、一発のリロードが長く、多大なエネルギー量がある。
ツインバスターライフルは、バスターライフルの改良型で、威力はバスターライフルの約二倍。
しかも、ブレードを付けたまま二丁撃ちができる。
しかし、欠点はバスターライフルの倍で、エネルギーは一発で4分の1まで減る。分離させたライフルでも4分の2まで減る。
パルスライフル付きデュアルブレードは、どうやらアヤ専用の武装で、市販に出回っているデュアルブレードを改造、
光波の代わりにパルスライフルを発射可能になった武器である。欠点は、弾の制限がある、防御力が低い、だけである。
修理や取り付けは整備員に任せ、レイヴン達はそれぞれの時間を過ごしていた。
しかし、それぞれの時間を過ごしていても、全員には、ある共通点があった。
この戦いに関する思いという、共通点が・・・・。

クラインは、整備員に呼ばれ、格納庫に来ていた。そこには、一機のカスタムACがあった。
「これは・・・?」
「各企業が合同で開発した量産試作型ACです。武装は、マシンガンと内蔵式ブレード。弾は肩の弾倉から銃へ装填。
弾数は約6000発。内蔵式ブレードは、テイルさんの時代のACから拝借して、威力は月光並です。」
「名前は?」
「まだありません。その為、貴方が付けてください。これは、敵本拠地進行の際、貴方が乗る機体です。」
「分かった・・・・リベリウス・・以前、乗ってたACの名前にしてくれ。」
「分かりました。」
整備員は機体の方に行ってしまった。クラインは、支給された部屋に戻る。戻ったクラインは少し考えた。
「この戦いで、本当の自分、私が何なのか分かるのか・・・・分からない。だが、この戦いが終わったら、私はどうなるんだろう。」

シャウシュッツとハンク、シータ、エース、クロノ、テイルは、バーで決戦前の飲み会をやっていた。
「なあ、シャウシュッツ・・。」
ハンクが話し掛けてきた。
「何だ?」
「この戦い、本当の終わるのかな・・・。」
「それは・・・分からない。」
「確かに・・・。」
エースも話し掛けてきた。テイル、クロノ、シータも耳を傾けている。
「しかし、行かなければ意味はありません。」
「だがな、シータ、奴等は何を考えているんだ?過去を変えれば未来が変わる。
つまり、大破壊が起こらなければ、レイヴンは生まれず、俺達は会わず、秩序だけが支配する世界になる。
そうなれば、カイル、それに、ハザード自身も消えるかも知れないんだ。」
全員、カイルとハザードが実質上の兄弟である事は、ブレイとミリィから聞いた。
「確かにな。だからこそ、俺達が止める!」
「もし、止められなかったら・・・。」
「レイヴンという概念は消え、俺達は互いを知らずに生きる・・・・。」
虚しい沈黙がバーを包んでいた。

ナッツとフィー、ノヴァは施設の屋上に来ていた。
「明日には、機体の修理と武装の強化が終了する様よ。」
フィーが呟く。
「明日か・・・・短い様で、長い時間だな・・・。」
「そういえば、新武器って誰が使うんだ?」
「確か、ステルスマントは全員で、ドライバーブレードとエネルギーシールドはシャウシュッツさん、
追加装甲はハンクさんの機体に付けられて、ビームライフルはカイルさん、
バスターライフルは私、ツインバスターライフルはナッツ、パルスライフル付きデュアルブレードはアヤさんが使うそうよ。」
「俺とアルスター、カタストロフ、シータ、エース、ブレイ、ミリィ、カルト、クロノとテイルは武装強化か・・・。」
「あと、クロノさんとテイルさん、エースさんは、グローバルの護衛で残るそうよ。
でも、武装は強化されるそうよ。」
「あの三人は残りか・・・少々痛手だな。」
「でも、それでいいのかな・・・。」
「何言ってんだ?フィー。」
「この戦い、本当に終わるのかな・・・・。」
「恐らく、この戦いは終わっても、人同士の戦いに終わりは無いだろう。」
「そうなれば、ディーみたいな、悲しい人も出てくるんだよね・・。」
「だが、奴等を倒さねば、その悲しみを忘れる。そうなれば、悲しみは増えるだけ。」
ここでも、ただ、沈黙が流れていた。

ブレイとミリィ、カルト、アヤはトレーニングルームにいた。
単に、カルトとブレイは汗を流す為。アヤとミリィは単なる見学である。
「これで戦いは終わるのかな・・・。」
ミリィはそう呟いた。答えを求めるように。
「全ては終わらないと思う。」
ブレイがそれに答えた。
「どうして?」
「人が居続ける限り、戦いは起こる。だが・・・・」
「だが?」
「人がいるから、歴史はある。つまり、リセットが効くとはいえない。また、違う大破壊が起こる可能性がある。」
「一人前の言葉を言うようになったか。」
カルトが苦笑する。
「だが、奴等を倒した後、何が残るか、それは、分からない。時には、あいつ等が他の世界に逃げる可能性もある。」
「確かに、だが、行くしかない。現在を守る為にも・・・。」
「そうね・・。」
「悲しいけどね・・・。」
ここも、沈黙であった。

カイルは、フォーニングを再度組み立てていた。
突入の際、四号機では月光以外決定力に欠ける。その為、新しい機体を組み立てていた。
色は黒、コアはOB、中二脚。武装は、新型ビームライフル、二連射小型ロケット、
小型一連ミサイル、月光を装備。エクスに軽量4発連動ミサイルを装備した、オールラウンド仕様の機体である。
「ハザード・・・何故、こんな戦いを・・・。」
カイルは一人、苦悩していた。
真実を知ったのは、管理者とカルトに助けられた時。そして、その時、ハザードが兵器開発を進めている事、
若くして社長になったハザードに監視していた管理者が探りを入れた所、A・Hである事が分かった。
A・Hを作ったのは、無意識の内で、管理者は、その時、初めて真実を知ったのである。
「ハザード、お前には、お前の考えあるようだが、私には私の考えがある。」
カイルは、ハザードと戦う事を決心した。

次の日、武装が施されたAC隊を乗せ、輸送部隊がグローバル社を飛び立った。
「カイルさん。」
輸送機のパイロットが話し掛けてきた。
「レイヴン試験の時に、お送りした者です。こうも、重要な時の輸送で、お会いします。」
「これも何かの縁かもな。」
「あと、同僚から、この仕事が終わったら、飲みに行こうと言われているんです。カイルさんも、お仲間を連れてきてください。」
「ああ、無事、帰って来れたらな。」
「各レイヴンに告ぐ、目標ポイントに到着。降下を。」
通信機からオペレーターの声。カイルはACに乗り込む。
「では、お待ちしています。」
「分かった。カイル、フォーニング出る!!」
カイルはACと同化、輸送機から降りる。同じように、周りからステルスマントをまとったACが降りてくる。
「クライン、入り口は?」
「待て・・・開くぞ・・。」
その時、前方にあった砂が消え、地下都市のような施設が出てきた。
「これが・・・・。」
「まだ、バリアーがある、少し待て・・・・・。」
クラインは、マシンガンを構え、一発だけ発射。射線上にあったポッドに当たり、ポッドが壊れる。爆発は無い。
その為か、気づかれていない。
「バリアーが消えた・・・・計画通り行くぞ。」
「分かっている。機動力のあるシャウシュッツ、カイル、シータ、アヤ、アルスターが先に乗り込み、敵の格納庫や砲台を破壊。
その後、フィー、ナッツ、カタストロフ、ブレイ、ハンク、ミリィ、カルト、クラインが残っている敵を先発部隊と共に破壊。
その後、内部に侵入、敵と装置を破壊。簡単な事だ。」
「しかし、口で言う事と実際にやる事は違う。覚えておけ。」
「ミリィ、FAブレイブガンナーCはどうだ?」
「結構使えるわ。機動力は遅いけど、追加装甲だからグレネードが切れたら、破棄して装甲も破棄すれば良い事だから。」
ミリィのエクセルは、確かに一発の威力は高いが、長期戦には向かない。
その為、シャウシュッツの使われていないブレイブガンナーカスタムをカルトのデスラウンドMK−Uの追加装甲の技術を応用してある。
デスラウンドMK−Uは、長期で相手の不意を付く為に、追加装甲を使っている。
装甲が破壊して、相手が油断しているところを倒す。少々、卑怯ではあるが、油断する方がいけないのだから。
FAブレイブガンナーCは、追加装甲の為、重二脚で、グレネードを装備している。
それ以外はブレイブガンナーカスタムと同じである。
「さて、行くか・・・。」
カイルが呟く。
「じゃ、後で。」
「ああ。」
先発隊が敵本拠基地の降下。ここに、最終決戦の火蓋が切って落とされた。
作者:カイルさん