サイドストーリー

サイレントライン:カイルVSハザード
「・・・・準備はいいか?」
カイルは通信機で仲間に言った。特殊周波数を使っている為、敵に知られることは無い。
「こちらシータチーム、準備良し。」
「こちらシャウシュッツチーム、いいぞ。」
「・・・十秒後、作戦を開始する。後続隊、分かったか?」
「こちら後続隊、了解した。」
カイルはビームライフルを構え、グレネードの発射ロックを解除。
「・・・・・行くぞ!」
カイルは、声と同時にグレネードを発射。グレネードは、前にあった格納庫を破壊。
他の所でも、同様の爆発が起こる。カイルは上を見る。後続隊が下りて来た。
「・・・・ん?」
レーダーに反応。見ると、破壊した格納庫から敵のAC部隊が出てきた。
「意外としぶといな・・・。」
カイルはビームライフルを構え、敵の中に突っ込んでいった。

「せい!!」
シャウシュッツはブレードを振り下ろし、敵ACを真っ二つにする。
「もらった!」
アルスターは、バーストライフルを的確にコクピットに当て、敵を沈黙させる。
「砲台は破壊、しかし、この数は一体・・・。」
格納庫を破壊した為、数は増えないが、それ以前に数が多い。大体40ちょっとはいる。
「だが、やられん!」
二人はブレードを構え、突っ込む。

「ふん。」
アヤはブレードの二段切りで敵を切り裂く。
「遅いですよ!!」
シータはハンドガンを敵のコクピットに押し当て、発射。敵を確実に倒す。
アヤの機体は、以前のハザーマスターの接近戦の弱さと機動力を直した、ハザーマスターパワードを組み立てた。
色は緑と黒。迷彩ではない。コアはOB。軽二脚。武装は、SAMURAI2と肩に小型六連ミサイル×2。
インファイトとアウトファイトを共に可能な機体である。
「流石は、敵の本拠地、数が多いですね。」
ACはかなり出てきている。数はシャウシュッツ達と同じ位。
「行くよ!!」
アヤは突っ込み、シータは後方から支援を繰り出した。

「くそっ!!」
シャウシュッツ達は苦戦を強いられていた。既に囲まれ、集中砲火を受けている。
だが、ステルスマントのおかげで、ダメージは低い。
ドドドドドン。
何処からとも無く発射された多弾頭ミサイルのラッシュがAC隊を破壊する。
「来たか・・・・。」
シャウシュッツは呟いた。見ると、三機のACが来た。
「遅れた、シャウシュッツ!」
「援護するぞ、アルスター!」
「援護は得意分野だ。」
そこには、ハンク、カタストロフ、カルトが来た。
ハンクのエリアルガンナーは、連動ミサイルと垂直ミサイルを外して、追加装甲を付けてある。
武装は、マシンガンと投てき銃、右肩にリニアキャノンを装備。更に、左肩に半自立型多弾頭ミサイルを装備している。
これは、発射するまでは普通の多弾頭ミサイルと同じだが、その後五つの多弾頭ミサイルを発射。
敵を破壊する、しかし、敵を破壊できず残った多弾頭ミサイルは、中に入っているAIが別の敵を補足。破壊する行動を取る。
「さて・・・行くか・・・。」
カルトはグレネードを構えながら言った。敵は怯む様子を見せない。
「ああ・・・。」
五機は一気に快進撃を開始した。
「うぉーー。」
カルトとハンクはキャノンを連射した。敵は数がかなり減る。しかし、敵はなおも迫って来る。
「・・・ちっ、弾が・・・。」
カルトのグレネードの弾が切れたらしい。
カルトは、ある操作をすると、装甲とグレネードが音を立てて外れ、軽二脚のデスラウンドMK−Uが姿を見せた。
「本番はこれからだぜ、来い!!」
シャウシュッツはブレードを横に払い、敵を倒す。
「このままでは、まずいな・・・。」
アルスターは密かに呟いた。敵の戦力ではなく、こちらの弾の問題だった。
これ以上長引けば、内部に入った時、弾が切れてしまう。
そう、思いつつ、バーストライフルで、敵を破壊する。

「そら!」
アヤは敵を一気に切り払う。
ここに増援に来たのは、フィー、ナッツ、ブレイ、ミリィが来た。しかし、それでも形勢は悪い。
「行くぞ!フィー!!」
「オッケー!!」
二人は武器を構えると、引き金を引いた。膨大なエネルギーの弾が敵をなぎ払う。
「うぉぉー!!」
「たぁー!」
ブレイはガンランチャー、ミリィはグレネードを乱射した。その為か、数は減ってきていた。
「・・・ん!?」
ナッツは武器の異変を感じた。
「何かおかしい・・・・!?」
その時、
「うわ!?」
ツインバスターライフルが爆発を起こした。
「いてて・・・どうなってんだ?」
「大丈夫?」
フィーが近寄る。ここのエリアの敵は破壊した為、フィーとナッツ、アヤが残り、ブレイとシータは合流地点に向かった。
「どうなってんだ?この武器・・・。」
「悪い、それ、未完成だったの・・・・。」
「未完成!?私のは!?」
フィーは驚く。
「心配しなくても、ツインバスターライフルだけ未完成だったの。でも、心配しないで。」
「何が。」
わずかに怒気がこもっているのが分かった。
「今、新しい武器が来たの。それを装着しに輸送機まで戻って。その後、補給部隊と共に来ればいいから。」
「武器の名前は?」
「SHADOW(シャドウ)よ。」
「分かった、じゃあ、後で。」
ナッツは輸送機まで戻っていった。
「ところで、アヤさん。」
「何?」
「何で未完成の武器が来たんですか?」
「ああ、あれは、整備員が間違えて持って来たの。
だから、作戦の前、調整を済ませたばかりのSHADOWを持ってくるように言ったの。」
「間違いって、死んだらどうするんですか!?」
「・・・・それはしょうがなかったと。」
「・・・何時分かったんですか?」
「今さっき。」
フィーは溜め息を付きながら合流ポイントに向かった。

「ふう、この程度か・・・。」
カイルは呟いた。周りには、敵ACの残骸があった。
「合流ポイントの安全を確認・・・・遅いぞ。」
ようやく来た援軍に溜め息をつく。ここには、ノヴァとクラインが来た。
「悪いな、こっちは機体が遅いもんで。」
「悪い・・・・。」
ノヴァのリングは、三号機になっていた。
色は赤、コアはOB、中二脚、武装はマシンガンとHARUBADO、
右肩に二段階に分かれる多弾頭ミサイル、左肩にエネルギーキャノンを装備している。
「・・・っ・・!?」
カイルは額に一瞬、違和感を感じた。これは、まさか・・・、
「ハザード・・・?」
「どうした?カイル。」
カイルは、破壊した格納庫を見た。
「どうやら、暇みたいだな、カイル、クライン。」
通信機から声。
「ハザード!!」
「この声が!?」
「ハザード・・・・!」
「何驚いている?客を待たせるのは罪かと思ってな。カイル、お前だけ来い。他は、別の奴の相手をしてもらうからな。」
通信を唐突に切った。
「・・・・。」
カイルは機体を格納庫の方へ機体を動かした。
「・・・行くのか・・・カイル・・。」
「ああ、呼び出しには、答えなくてはな。皆はここに残って、装置の破壊を。」
「・・・分かった、死ぬなよ。」
「ああ・・・。」
カイルは格納庫の中に入ると、手前のエレベーターに乗り、最下層まで降りた。
アリーナ位の部屋に着き、そこには、
「ハザードか・・・・。」
そこには、ハザードが待っていた。
「来たか、カイル。」
「ハザード。」
「カイル、一つ聞きたい。何故、人の味方をする?」
「何・・・・?」
「人は、大破壊で、地球を破壊した。しかも二回も。人が地上に完全に出たら、今度こそ崩壊しかけない。
それなのに何故、人の味方をする!」
「何故、か。考えた事は無い。」
「何・・・?」
「俺は、俺の道を行く。それだけだ。そこに、人がいただけ。」
ハザードは機体を戦闘モードにする。
「ふっ、やはり、お前とは分かり合えんのか、残念だ。」
カイルも戦闘モード機動。
「俺もだ。俺には俺の、お前にはお前の考えがあるようだ。」
「・・・・・なら、この私のACゼイブスで本気で相手をするだけ。」
「行くぞ!!」
二機は同時に飛んだ。フィールドバックシステムを二機は積んでいる為、人の戦いのように見える。
お互いのブレードがブレードを弾き、距離を取る。ハザードはミサイルを発射。距離を取りながら避ける。
カイルの機体はオールラウンド重視機。射撃と格闘を両用するが、ハザードに機体はインファイト、つまり接近戦を想定している。
その為の装備で固められており、接近戦は向こうに分がある。
ハザードミサイルを発射すると、OBを起動。カイルがミサイルを避けたポイントに突っ込む。
避けた時、カイルは反撃の余地が無かった。
「もらった!」
攻撃を感じた時、カイルは機体をよじる。ハザードが放ったパイルバンカーはコアではなく、右肩をかすめる。
フィールドバックシステムがあるからできる行為である。
「ちっ!」
カイルとハザードは距離を取る。
「どうした?お前の私に対する本気はここまでか?カイル。」
ハザードはあざ笑うような口調で言う。
カイルは、ある賭けのタイミングを見ていた。その間にビームライフルを捨てる。
あれは、昨日の夜・・・。

「カイルさん。」
フォーニングの調整中にブレイが来た。
「何だ?」
「作っておけと言われたプログラムを渡しに。」
そう言うと、一枚のディスクを渡した。
「それは、アサルトプログラムを扱える者でも、一歩間違えれば機体が崩壊します。
気をつけて。」

「・・・・プログラム、インストール開始・・・・完了。」
ハザードに聞こえない声で、カイルはそれをインストールした。
「そろそろ、終わりにし・・・・。」
「・・・バーストプログラム起動!!」
カイルの機体のジェネレーターが恐ろしい出力まで上がる。
「・・起動可能時間、残り30秒・・。」
「な、何!?」
フォーニングの異変に気がついたハザードは動揺する。
「・・・ハザード、俺とお前は似ている個所はある。しかし、一つだけ、お前には持っていない物がある。」
「何だと!?」
「違い、それは、信じられる友がいる事だ。それが、一番の違いだ!!」
「友情と言う奴か。だがそれは所詮幻影だ。」
「それが幻影かどうか、この一撃で決める!!」
「良かろう、リミッター解除!!」
二機の、フォーニングとゼイブスはOBを起動。一気に突っ込む。
「はぁぁぁ!!」
「負けるかー!!」
二機のACは、すれ違い、数メートルを置き、背中合わせになる。
「・・・・・・。」
「・・・・何故だ・・・。」
ハザードのゼイブスの右腕が落ち、片膝を付く。
「・・・・殺せたはず、なのに何故、外した!」
「・・殺す必要は無い、たった一人の家族をな。」
カイルは、プログラムを解除。ビームライフルを取ると、エレベーターまで引き返した。
「・・・・・・・・友情に家族・・・か・・・。」
カイルが行った後、ハザードは一人、呟いた。
作者:カイルさん