サイドストーリー

On the Guland 〜地上へ〜 (4) 選定前編
第三層・産業区アンダーグランド ユニオン本拠地
地下組織らしく暗い部屋に数人の人間が集まり卓上の周りを囲んでいる
「ふふっ、これでイレギュラー要素をある程度分類する事が出来ましたね」
その中でリーダらしい男がささやくように言った
「そうですね、あとは彼らが乗るかどうかですね。」
その横にいた女が答える
「大丈夫ですよ、乗るに決まっていますから」
リーダらしき男が自信ありげに答える
「だが、ウィルどうしてそう確信をもてるのだ」
リーダである男…ウィルと言う名前らしい…に対して反対側にいた男がそう声をかけてきた
「…カオス理論って言葉を知ってるかいグレン?」
ウィルが反対側にいた男…グレンと言うらしい…に対して言う
「いや、名前だけは聞いた事があるが詳しくは知らない…だが、それが何か?」
「すべてはそれに基づいて動いているって事だよ」
「…あいにくだがもっと解りやすく言ってくれないか?」
「エレン、説明してやれ。」
そういってウィルはそばにいた女性に対して説明するように求めた
「解りました。カオス理論と言うのは…きわめて簡単に説明しますと
すべての運命などはすでに決定付けられていてそれに基づいて動いていると言う理論の事です」
「そう言うこと、すなわち彼らはイレギュラーたり得る存在でありその素質を遺憾なく発揮しつつあると言う事だよ
君にもわかりやすく説明すると、彼らがそうすることはすでに決定付けられているのだよ」
そういって説明するエレンとその説明を掘り下げてグレンにわかりやすくするウィル
「好きじゃないなそう言う理論、それに人間がそんなに簡単に理論で説明できるものか?」
その意見に反発するグレンそしてそれを諭そうとするウィル
「普通、人間の行動をある程度図り知ることが出来る。かつて人間行動学と言うものがあったように…
それに人の存在を制御できる管理者が関与しているのだよ我々が望もうとそうでなくても結果は決まっているのだよ」
「何故だ、何故そう言える。それを言ってしまえば我々のしている事は一体何なんだ。
すべてが決まっていると言うのなら我々ユニオンの存在意義はどうなる!!」
その言葉に反発するグレン
「どうやら言い方が悪かったようだなグレン。だが大まかに置いて君の言っている事は当たっていると言えるがね。
それに我々の存在意義といったが君はそれについてどう考えるのかい?」
それに対しての考え方を求めるウィル
「そ、それは俺達は時代を変える為に動いているのだろ?それを忘れたのか?
管理者による支配を終らせるために、そのために俺達は立ち上がったんだろ?」
それに対し答えるグレン
「いいや、そうじゃないんだな。我々の役目とは次の時代に対しての礎となることだ
最もこれはイレギュラー諸君においても言えることだがね」
その答えに対して答えるウィル
「何故だ!!それでは俺達は一体…」
「言っただろう?我々は次の時代に…人が自分自身の主である事が出来る時代のために礎になるのだよ」
そしてウィルはエレンに向き直り
「例の作戦をそろそろ実行に移してくれないか?」
「解りました」



GCオペレーティングルーム10時
「緊急指令、緊急指令、環境制御区グローバルコーテックス本部に無数の部隊が向かってきている
至急手の空いてるオペレータおよびレイブンはオペレーティングルームに集まるように」
突如警戒警報が鳴り響く
そしてその警報はGC本部のみならず環境制御区にあるレイブンに割り当てられたマンションにも鳴り響いた
M・Gulasiasu(メゾン・グラシアス)
「緊急指令、緊急指令、グローバルコーテックス本部に無数の部隊が襲撃至急手の空いているレイブンは本部に集合せよ!
これは訓練ではない!!
繰り返すこれは訓練ではない至急手の空いているレイブンは本部に集合せよ!!」
スピーカから警報が鳴り響く
そして各部屋の住人達が出て来てロビーに集まる
「一体何事ですか?」
「な、何なのよ〜一体?」
突然の出来事に取り乱すデュークとヴィネ
「どうやらGCに何者かが攻め入っているようだな」
「まったく暇なやつらもいるもんだ。」
そう言いながらラインとブレイが入ってくる
「あ〜あ、せっかく約束があったって言うのに、何が悲しゅうてこんなときに呼び出されやなあかんねん」
「しかし、襲撃してる人ってよっぽど命知らずでしょうね。
どうやら今日は仕事が少なかったようですし大量のレイブンと戦うなんて‥‥
僕ならごめんですね」
髪を整え、スノーホワイトのスーツをしっかり着込んで
いかにもこれからデートって感じの衣装のジャッカルと自分の発言に身を震わせながらジェットが入ってくる
バーン!!
乱暴にドアを蹴破りながらゼロが入ってくる
いかにも寝起きって感じではたから見てもわかるほど不機嫌なオーラをかもし出している
そして、その様子にジェットは後ろのほうに隠れる
「よう!ゼロ、今寝起きか?機嫌はどうだ」
ラインがからかうようにゼロに話し掛ける
それに答えるかのようにゼロの右腕が動く
バシ!!
「おいおい、手荒な挨拶だな、せっかく挨拶してるって言うのに」
その拳を受け流しながらライン
「……うざい」
その様子を見ていたジェットがふと気付く
「あれ、皆そろってますね。いくら今日があまり仕事が無いにしても珍しい」
「そういえばそうだね〜。皆で食事にでもいこうか〜」
「そんなことよりも俺達本部に行かなくても良いんですか?」
各自で団欒している中にデュークが釘をさす
「そうだな、別に行かんでもいいが評価が一気に下がるしな。おい、さっさと行くぞ」
ブレイが皆をまとめようやく本部に行く事になった

GCオペレーティングルーム10時25分
メゾン・グラシアスの面子だけではなく他にも空いていたレイブンたちが集まってきている
「一体何があったのだ?」
「先日クレストを襲撃したのと同系機と思われるACが一中隊ほどの数でこちらに向かってきています各自で迎え撃ってください」
「すでに、本部内にいたレイブンには迎撃に向かっていただいてますが状況は悪いようですので急いでください、
なお彼らは我々の機体と同様のものと思われる形をしてますが性能が良いです気をつけてください
なお、数人は本部防衛のために残っていただきます。以上」
オペレータたちが説明をしていきそしてすぐに出撃可能なレイブンは走って格納庫に向かっていった
「よし、俺達も行きましょう!!」
そういってデューク達も駆出そうとする
「まってくださいデューク!」
突然レインに呼び止められる
「一体なんだ?レイン」
「デューク、貴方は一度あの部隊と交戦していますすなわち我々よりも相手についての特徴を知っているといえます
だから貴方には本部防衛に残っていただきます」
「あの時戦ったのは俺だけじゃないだろ」
「フラジャイルはすでに迎撃に向かっておりますですから貴方にはこちらに残ってもらいます。
一度戦ったものがいれば他のものも心強いでしょうから」
「判ったよ。俺は残ればいいんだな?」
「ええ、貴方以外にも、2,3名のこっていただきたいのですが」
「じゃあ私残ろうかな〜」
「ほとんどは、出撃したようだな。上級レイブンは防衛に残るのはどんなやつがいるんだ?」
とラインが聞く
「防衛に就いてる上級レイブンはせいぜいCランクのミダス、トラファルガー、バーチェッタぐらいですね」
「そうかじゃあ、俺も残ろう。いくら数がいたとしてもそれをうまくまとめないと勝てそうじゃないからな」
「ええ、ぜひお願いします。Bランクの方がいると他の方も心強いでしょうし」
「よし、他のやつは迎撃に向かってくれこっちにいても敵がこない可能性もあるしこれだけ人数いたら大丈夫だろう」
とラインが仕切り格納庫に走っていく

GC本部ビル10時40分
各自出撃準備が出来迎撃体制に入っている
「…おい、ゼロ」
ラインが横にいるゼロに声をかける
「……何だ」
「何故お前がここにいる?迎撃に向かえといったはずだが」
「…うざい」
「誰がどう見てもお前のアセンは防衛用で無く迎撃用だろう…」
「…わざわざ行くのがめんどくさい」
「二人とも不毛な争いはしないでくださいよ」
「まったくだよ〜そんなことよりも敵に備えないといけないよ〜」
そしてその二人をたしなめるデュークとヴィネ
「・・・ちっ、行けばいいんだろ行けば」
そういってゼロはブーストを吹かし迎撃班の集合場所に向かって行った
「しかし、ゼロさん今日はやたらと不機嫌でしたね。どうしたんでしょう一体」
「あれ〜そうだったかな〜」
「ああ、やつは低血圧だし寝起きだったからな。まかり間違っても寝起きを襲わんようにな。殺されても文句はいわれんぞ」
「それほどにまで酷いんですか?」
「ああ、特にこういうときに敵となった奴は…」
「どうなったの〜?」
「まあ、それは置いといて備えるぞ。ミダス、バーチェッタあんた等は本部ビルの左右のビルの屋上で待機してくれ
そして敵が来たら砲台となってくれ。なお、あんた等は同様の高火力型の指揮を頼む」
「了解した」
「了解」
「トラファルガー、あんたはCランク以下の指揮を頼む敵が来たら俺達が相手するからバックアップを頼む」
「了解。任しておけ」
そしてそれぞれが指示された様に高火力型はビルの上にそして標準型、機動型のACは建物周辺に散らばる
「デューク、ヴィネお前らは、防衛ミッションは初めてだったな。この様な場合どうすれば良いかわかっているな?」
突然ラインが話し掛けてくる
「え〜と、……とりあえず〜敵をたおすんだよね〜」
「違うだろ、とりあえず護衛ミッションと一緒で防衛対象を最優先で守る」
ボケた答えを出すヴィネに突っ込むデューク
「ああ、当たりだ、だがこの場合防衛対象を守るといっても対象は大きすぎる
だからトレーラとかなら前に立ち攻撃を受ければ対象を守りぬけるが、
この場合はそうもいかないだから出来る限り敵をこっちに引き付けるのが最善だ。
最も引き付けるといっても別働隊がいるかもしれないからできる限り早く片付けるもしくは常に防衛対象に気を配る。
この事を忘れるなよ」
「了解!」
「は〜い」
と返事する二人
「…もっと緊張感のある声を出せんのか!!」
とラインとデューク
「ご、ごめんよ〜」


迎撃班集合場所10時40分
「ぎょうさん集まっとるな〜」
「大体の迎撃にまわる奴らは集まってるようだな」
とジャッカルとジェット
「おい、ゼロはどうした」
と突然通信を開いてくるブレイ
「向うのほうに居るんとちゃうか」
「ああ、こっちに来る時に見かけんかったぞ」
と返す二人
「そうか、あいつサボりやがったか。それはそうと誰が指揮するかとか決めといた方が良いだろう」
そういって高位ランクレイブンが何人いるかあたりを見渡す
「ふむ、Aランクのロイヤルミストが居るかあとは、目ぼしいのはワルキューレとフライングフィックスぐらいか」
「おい、ロイヤルミストあんたが総指揮を取ってくれ
フライングフィックスは高火力型の指揮ワルキューレは機動型の指揮を頼む。俺達は標準型の指揮をとる」
「ああ」
「了解」
「解ったわ」
そして通信が入ってくる
「レーダに敵機反応多数この機動力から見て間違いなくACと思われます。各自気をつけて下さい」
「よし、各機散開高ランクレイブンは敵機を牽制、それ以外は各機指揮機の指示に従い援護しろ」
オペレータからの連絡が入りそして指示を出すロイヤルミスト

レーザショットガンにパルスキャノンそしてビットを装備した軽量逆間接ACが2小隊ほどやってくる
「相手は6機程度各自気を引き締めていけ。いくら腕が立とうとこっちのほうが人数が上だ。
それに我々がランカーだということ教えてやれ!!」
通信をいれ隊長機と思われるACに向かっていくロイヤルミストそして、それを追いかけるようにブレイ、ジェット、ジャッカルが
「各機距離を取れ、近距離でショットガンの直撃を食らうとまずいぞ。」
「奴らの武装はほとんどが近距離で威力を発揮する。中距離で戦え」
「中距離ではパルスキャノンさえ気をつければ恐れる事は無いぞ」
といい敵ACに近付いていく
「よし、私たちはひとまず彼等が敵に接近しきるまでに高火力武器で敵機を牽制する。私の機体は近接用拡散兵器だ。
だから今使うわけには行かない。だが、遠距離用兵器を持っているもの、構え、よく狙え!!、撃てー!!」
その台詞とともにグレネードやレーザキャノン,プラズマライフルの光芒が逆間接ACに対して向かっていく
そして、隊長機はかわしたもののその後ろにいたACにいくらかの光芒が突き刺さる
そしてその光の矢が突き刺さったACはその衝撃で第二波のグレネードが直撃し機関部に直撃したのか爆発に包まれ
そして機体からも爆炎をあげながら消滅する
そしてその頃には近接戦闘をおこなおうとしていたロイヤルミストや、ジャッカル、ジェット、ブレイが十分に近付いていた
「撃ち方やめー!!」
そして砲撃の雨が止むそして、
「よし、私たちの出番よ。高機動型、彼等が攻撃しやすいように敵機を引き付けて!! 
精密射撃型は、私とともに敵機に対して精密射撃をおこなうわ間違えても仲間を撃たないように」
ワルキューレの指示の元、高機動型が敵機の注意を引き付けそしてその間に近接戦闘部隊が攻撃を加えていく
さらにその隙間を縫うように精密射撃型が攻撃を加えていく
その連携はまさに見事なものだった
ジェットのロケットの直撃を喰らい硬直したときに更にブレイにプラズマライフルを零距離で撃たれまた一機消滅する
かなり有利かと思われたその時上空に輸送機が現れ同型機の機体を更に3小隊ほど落としていく
「しまった、増援があったとは」
増援が降り立った場所は、援護部隊が集まっていたところであり必然的に彼らは回避が苦手な重装備型である
瞬く間にショットガンとビットそしてEOの連携によりスクラップにされていく
「ぐをっ」
「うわあっ」
「バッド・ブレイン、OX大丈夫か? ちぃ、この状態では援護とか言ってられない、とりあえず白兵戦に持ち込むしかない。
高機動型、標準型のもとに行きともに白兵戦を展開しろ。私はここで時間を稼ぐ」
そう言うとフライングフィックスはOBで一気に近付きスラッグガンを零距離で当て火炎放射や、拡散バズーカをばら撒き戦っていく
その強さはまさにBランクで更にタンクでありながら近接戦闘を目指した機体だけあり孤軍奮闘する
しかしその時背後を取った敵がブレードをコクピットに突き刺そうとする
その事を確認するもタンクの機動性では避ける事も出来ず死を覚悟する
「っち、ここまでか」
その時通信とともにまさにブレードを突き刺さんとしていたACの頭部が吹き飛ぶ
「大丈夫フライングフィックス?」
ワルキューレから通信が入る。
すぐに状況を見極めた彼女は自分の指揮下において動けるものを連れてタンクの援護部隊のほうに向かってきていたのだ
一方その頃第一波の部隊と近接戦闘していたジェットは
「ブレイ、ミスト!!ここを頼む俺とジャッカルはあっちの増援に行く。二人で大丈夫だな」
といったその直後OBで一気に加速してタンク部隊の援護に向かった
「ふん、任しとけ」
「俺を誰だと思っている」
「しゃあないな〜ほな、俺も行ってくるわ〜」
そう言いゼロもOBを吹かしジェットを追いかけていく

ユニオン本拠地10時50分
巨大なスクリーンにレイブンたちと逆間接ACの戦闘が映っている
「どうですか?ウィル目ぼしいものはいますか?」
ウィルのそばに控えていたエレンが聞いてくる
「ええ、思っていた以上の戦果をあげているようですね。彼らはかなりのイレギュラー要素を含んでいると言えますね。」
「そうですか、それではそろそろ本部ビルのほうも仕掛けますか?」
「ええ、そろそろ頃合になるでしょう。せっかく歓迎の準備もしてくれてますしね。
さてと、グレンは上手くやってくれるでしょうか」
その確認を聞きエレンは通信機を使って指示を出す
「グレン、貴方の出番です。彼らの能力を見極めてきてください」
「やっと出番か、了解した。」
作者:権之輔さん