サイドストーリー

AC3SL:戦いの始まり
「ハザード、指定依頼が入りました。」
朝早くかかってきた電話はそれで切れた。ハザードはパイロットスーツを着ると、格納庫に行った。
「乗りましたね?今回は、クレストからの指定依頼です。」
オペレーターの説明を眠たい目を擦りながら聞いた。

世界の存続をかけた戦いから数年後、ハザードはレイヴンとして過ごしていた。
あの時のメンバーはというと、
シャウシュッツとハンクは、レイヴンとしての評価は悪くなく、
アリーナではシャウシュッツはA−1、つまりトップレイヴン、ハンクはA−2.
カタストロフとアルスターも同じで、アリーナではカタストロフはB−1、アルスターはB−3。
フィーとナッツも、同じで、ナッツは、SYADOUを貰っちゃったらしい。
アリーナでは、フィーはB−2、ナッツはSHADOWに振り回され、C−6になっている。
ブレイとミリィは、ミラージュの専属になり、地下世界の管理を任されている。
アリーナには、登録はしているが、ブレイはD−4、ミリィはD−5である。
シータは、研究員に戻り。レイヴン稼業はやっていない。
ノヴァは、クレストの専属となり、地下世界の管理をしている。アリーナでは、C−1。
アヤとカルトだが、この二人は、戦いの後、ハザードに言われ、ある事をして、それ以来行方不明になっている。

「今回は、クレストが作った新型の次期量産試作型の実戦テストをして欲しい、という事です。」
ハザードのオペレーターになったエマ・シアーズから説明を受けたハザードは、既に輸送機に機体、
以前の戦いで使ったゼイブスを乗せた。
「MTか?」
「いえ、ACのようです。」
「ACを量産とは、贅沢なこった。」
「貴方が言える事ではありませんよ。」
「そうだな。」
ハザードが、ハザード社を率いていた事は誰もが知っており、誰も、とがめようとは思わない。
レイヴンは、誰でもなれる。だからこそ、多少の対立があっても、レイヴンを止めさせる権利は無い。
ちなみに、ハザードのアリーナのランクはA−3である。
「・・・着きました。」
輸送機は、地上に出来たACの試験場に着陸した。そこには、トレーラーが一台。
ACを運ぶ為のキャリアーが一台あった。
「レイヴン、朝早くすまない。」
「シータか、気にするな。依頼は依頼だ。」
「気づいたか。当たり前か・・・早速だが、相手はこいつだ。」
シータの合図と共に、キャリアーから一機のACが降りて来た。
「こいつは、BTY−2401。次期量産試作型の一号機だ。」
「一号機?じゃあ、二号機もいるのか?」
「はい、二号機は、基地で試験テストに最中です。」
ACは、色は漆黒の黒、恐らく中二脚、コアは恐らくOB、
武装は、右腕に盾みたいな武器、左腕に月光に似ている武器を装備していた。
「こいつは、コアにOB、中二脚ながら、軽二脚に近い速度を出し、肩への武装機能を破棄。
更に、新開発の右腕武器、攻守一体型クライガン。これは、盾として、武器としての汎用も可能な武器です。
左腕にムーンライトに対抗して開発されたSYAIN(シャイン)を装備しています。
これは、レーザーブレードとしての利用はもちろん、パイルバンカーとしての使い方もできるんです。
あと、ブースターは、エクスのバックとターンの役割も可能なんです。」
「すごいな・・・。」
「流石に、量産より、本当にAC用のパーツにした方が言いと思うんですが、上層部が聞かなくて・・・
そろそろ、テストを始めましょう。テストの為、パイロットは無し。
代わりに、試作型AIを搭載してある。本気で相手をしてくれ。」
二機のACが戦闘モードに入る。
この時、ハザードの額に瞳は無かった。これには、訳がある。
それは、アヤとカルトがいなくなる三日前。

「瞳を消して欲しい?」
「そうすれば、フィールドバックシステムが使えなくなるぞ。」
「構わん。俺は、人として生きたいからな。」
「・・・・・分かった。だけど、使えなくなってから、元に戻して欲しいって言って
も、聞かないからね。」
「ああ。」

その為、気を操る能力とフィールドバックシステムが使えなくなっている。
しかし、筋力はそのままで、普通の人ではかなわない。
それに、フィールドバックシステムが無くても、以前のカイル同様、操作技術は高い。
二機は、空中で交差する。お互いに間合いを取り合っていた。
よほど高度なAIが搭載されているらしく、間合いの詰め方が人に近い。
「しかし、所詮AI!!」
ハザードは一瞬にして間合いを詰めると、パイルバンカーでクライガンを右腕ごと破壊した。
しかし、逆にパイルの代わりしたSYAINを右腕にまともに喰らい、使えなくなる。
「ふっ、少しはやるな。」
ハザードは、月光をコクピットに突き刺し、沈黙させる。
「テスト終了。ハザード、ご苦労様でした。」
ACからブレードを抜き、ゆっくりと降ろした。
「じゃ、俺は・・・・。」
「一号機は持って行ってください。」
シータの言葉に一瞬こけそうになったハザード。
「・・・何で?」
「クライガンは一個しかないですから、お渡しできませんが、それ以外なら・・
・。」
「だからーー!」
「分かっています。一号機は、実戦テスト終了後、解体する事になっていたんですが、何とか上層部に言って、
もし、レイヴンとの実戦テストの結果が良ければ、与えるようにって言われましたので。」
「そうか、なら・・・。」
「なら?」
「肩武装、付けられるようにしてくれ。」
「・・・分かりました。お昼にでも私が行きますから。」
「助かる。」
そう言うと、ハザードは一号機を担ぎ、輸送機に乗り帰って行った。

「ここがこうで、あれがこうと・・・。」
お昼過ぎ、シータは一号機の改装にいそしんでいた。
「・・・終わりました。」
コクピットから出てきたシータが言った。
「そうか、サンキュー。」
シータはそのまま帰ってしまった。
「さて。」
ハザードは、そいつにゼイブスに付けていた小型一連ミサイルを両肩に付けた。
右腕に、クレスト社が初めて開発したエネルギーライフルを装備した。
ハザードは、次の依頼のため、そいつに乗り、システムを起動した。
「おはようございます、マスター。」
突然の声に固まるハザード。
「・・・・誰だ?」
「私、この機体の戦闘用AI、ジェノバです。」
「そうか・・・。」
ハザードは、機体を動かし、輸送機に乗せる。
「ところで、機体の名前とマスターの登録を行ないますから、名前を。」
「・・・機体はゼイブス・・・俺はハザード・・。」
「機体名ゼイブス。搭乗者名ハザード。登録を完了しました。」
ハザードは溜め息を付いた。
(シータ、AIを外し忘れたな・・・。)
それともわざとか?と、そう思いながら、作戦領域へ向かった。

「今回は、キサラギ社の依頼で、サイレントライン近くに建造したエネルギー生成施設が救命信号を発しています。
連絡では施設で火災が発生。自動消火装置が機能しないようです。その為、手動で装置を起動して欲しいと言う事です。
あと、この事故には不自然な点があるようです、気をつけて下さい。」
「了解、ハザード、出る。」
ハザードは機体を操り、施設の奥に進み、エレベーターに乗り、下に行く。
「高熱のため、防衛システムに異常が出ているようです。仕事の邪魔になるなら、排除しても構いません。」
「あいよ・・・貰い!」
ハザードは、エネルギーライフルで砲台を破壊する。
「・・・助け・・・。」
恐らく、ここの研究員と思われる声を聞きながら、ハザードは、非常用の隔壁のロックを解除。火災のある部屋に急ぐ。
「・・・かなりの熱だな・・。」
火が燃えている部屋に入ると、MTを瞬殺した。しかし、中の熱で、機体の装甲が溶ける。急いで消化装置を起動。
「急がないとな。」
その後、素早く他の消化装置を起動した。
「全消化装置の起動を確認。」
「了解、これより帰還する。」
「分かりました・・・・コンデンサルームに所属不明機が侵入しました!」
「何!?」
「敵!?ハザード、迎撃に向かってください。」
「分かった。」
ハザードはエレベーターまで戻り、エレベーターを使わずブーストで上った。
コンデンサルームに入ると、メインコンデンサとサブコンデンサは破壊されていた。
メインコンデンサの陰から、一機のカスタムACが出てきた。
「あの機体は!?」
ハザードは、噂でそいつの事を聞いた事があった。確か・・・。
「ちぃ!」
敵ACはグレネードを連射してきた。
どうやら、武装は、ミサイルにグレネード、両腕用の巨大銃を持っているが、それ以外にも武器を装備している可能性がある。
「それでは、仕留められんぞ!!」
ハザードはSYAINをパイルバンカーモードに変更。
相手の後ろに回り込み、敵ACの左肩に打ち込み、グレネードを破壊する。
「くっ!」
敵は、左腕に内蔵されたブレードで切り返してきた。しかし、バックブースターで避けきる。
更に、ミサイルを連射してきた。
「ちっ、リロードが速いな。」
そう言いながら、全てのミサイルを避ける。
「敵ACの両腕武器より高エネルギー反応を確認。」
ジェノバの言葉が終わった時、敵ACから、高速でプラズマ弾が発射された。それも、ギリギリで避ける。
「もらった!!」
ハザードはSYAINをレーザーブレードモードに切り替え、頭から真っ二つに切り落とした。
「ふぅー、何とかなったか・・・。」
「レイヴン、助かりました。」
「作戦終了。ハザード、帰還して下さい。」
「了解。」
ハザードは機体を動かし、輸送機に向かった。
(それにしても、このAIは一体・・・。)
あの時、敵の武器のエネルギー反応をを感知した。
「ま、いいか。」
「?」
ハザードに呟きに、それを聞いたジェノバは、
(一体この人は・・・。)
ジェノバは、ハザードの顔を内臓センサで見て、そう思った。

「ファーストの消失を確認。」
「やられたのか?」
「恐らく・・・。」
「一体誰が・・・・。」
「レイヴンだろう・・・。」
同じ声が、何度も響く。
「あれの準備をしろ。」
「あれを使うのですか?」
「準備しておくだけでいい。」
「了解。」
「・・・XA−26482を起動。」
一つだけ、違う声が響いた。
作者:カイルさん