サイドストーリー

AC3SL:潜入レイヤード
「やっぱりな・・・。」
あのカスタムACとの戦いから四日後。ハザードは、
あの機体の事について調査を依頼したエマからの報告メールで、正体を確認した。
やはり、噂で聞いた事があったACであった。
何でも、サイレントラインから飛来する謎の機体で、あれと戦って死んだレイヴンも少なくないらしい。
しかし、ハザードは、もう、二回も戦って生き残った。
二回目は、クレスト社からの依頼で、ローダスの兵器開発工場の救援で、
サイレントライン上に設置されている衛星砲の攻撃を避けながら、ミラージュ社の部隊を撃破。
そこに現れたACも、何とか撃破した。
「よっ、ハザード。」
声をかけられ、後ろを見ると、そこにはハンクがいた。
「どうしたんだ?」
「いや、アリーナで新しい新人が入ったって事だからな、一緒に見ようと思って。」
「ふむ、新人の腕を見るには良いが、シャウシュッツはどうした?」
「確か、クレスト社の依頼で、防衛のミッションに向かったそうだ。」
「そうか。じゃ、行くか。」
二人はアリーナへ向かった。

今回から、アリーナの戦い方が変わった。
今までは、勝ち抜き戦だったが、今年からリーグ戦になったのである。
EランクならEランクの中で総当たり戦をして、
その中で一番成績が良かった人が、上のランクの最下位と入れ替え戦をする。
もし、上のランクが勝ったらそのまま。しかし、もし、下のレイヴンが勝ったら、上のレイヴンは、ランクが下がるのである。

「今年から始まりましたリーグ戦方式。今日の第一試合は、E−2のギムレット選手と期待の新人のE−9のゼロ選手です。」
ハザードとハンクは、暇だからと飲んでいたジュースを吹いた。
「げほ、げほ・・・。」
「がは、がは・・・・今、ゼロって言ったよな。」
「ああ。ゼロって確か・・・。」
「俺の部隊にいた元レイヴン・・・・。」
「復活した?それとも別人か?」
「まあ、戦い方を見るか。」
アリーナに、二機のACが出てきた。
ギムレットのエメラルドレパードとゼロのラグナ・ブレイカーであった。
ゼロの機体は、色は黒、軽二脚、コアはOB。武装はショットガンと月光、エクスにターンブースターを付けていた。
「・・・あの時のゼロの武装・・・。」
この呟きは、隣のハンクには、聞こえなかった。

「けっ、お前みたいのが相手かよ。」
「不満か?」
「ああ、お前みたいのは、一生雑魚と遊んでいればいいんだ。」
「・・・・その言葉、後悔するなよ。」
「では、試合をを始めます。レディー・・・ゴー!!」
レフリーの合図と共に、ギムレットは間合いを詰めたが、ゼロは詰めない。ただ、そこでじっとしている。
「死ねー!!」
ギムレットはミサイルを連射した。

その後の戦いは一方的だった。
最初のミサイル陣を簡単に避けると、一気に間合いを詰め後ろに回ると、ターンブースターを起動。
ショットガンで一瞬にしてエクスと肩武装を破壊する。
ギムレットは焦り、アームマシンガンを撃とうとしたが、月光で切られ、更に脚部とコアを分断され、勝負は終わった。
今回は、Eランクの試合だったので、人は少なかったが、それでも数十人はいたが、ほとんどが呆然としていた。

「確認しました。あのゼロという新人、どうやら、記憶喪失らしいんです。」
あの試合の後、エマにゼロについて調べてもらった。
「今から一週間前、町の近くで倒れていたあのゼロは、もう危篤状態で発見され、すぐさま病院に送られたんです。
何とか、一命は取り留めたんですが、記憶が失われてて、病院にいた時、アリーナの試合を見たんです。」
アリーナの試合は、BランクとAランクなら、民間のテレビに放映される。
理由は、トップランククラスのレイヴンの試合は人気があり、会場に入れない人の為に、そういう対処が取られるようになった。
昔は、ACのバトルフィールドにまで観客が侵入して、死人が出たという話を聞いた事がある。
「その時、何故か懐かしさが出てきたらしいんです。」
「それでレイヴンになったか・・・皮肉だな。」
「確かに・・・・・そういえば。」
エマは一つのファイルを見せた。
「以前、グローバル社からの依頼で、選定試験をやりましたよね。」
「ああ。」
昨日、ハザードはレイジングホールで二人のレイヴンと共にある依頼を受けた。
危険度の高い依頼を請け負ってもらうレイヴンを選抜する、という事であった。
方法は簡単で、アトランダムに出てくるターゲットの破壊。
相手は、こっちとターゲットを同時に狙ってが、無視してターゲットを破壊して、見事に合格した。
「ミラージュ社からの依頼で、レイヤードに中枢に向かって欲しいとの事です。」
「敵勢力は?」
時計を見ながらハザード。
「レイヴンが何人かいるようです。それ以外は不明です。」
「レイヴンね・・・分かった。承諾のメールを出しておいてくれ。」
「分かりました。」
そう言うと、ハザードは格納庫に向かった。

「ここが、中枢へと続くエレベーターか。」
ゼイブスを操り、そこに乗った。エレベーターをゆっくりと下降した。
しかし、エレベーターが途中で止まった。
「こちらの操作を受け付けません。故障でしょうか。」
「マスター!」
ジェノバから報告。
「どうした。」
「上からACの反応一。」
「ハザード、外部からジャミングがかけられました!!」
すると、上にレーダー反応。
「ミラージュの追っ手、やはり来たか。こちらムーンサルト、敵ACを確認。これ排除する。」
かなり趣味の悪い色の中二脚ACが一機降りて来た。
「テン・コマンドメンツ、了解。こちらは任務を続行する。」
「テン・コマンドメンツ・・・データ確認。地下世界を中心に活動していた元レイヴンです。」
ジェノバからの報告を聞きながら、敵ACを相手にしていた。
「そんな武装で!!」
ハザードは、敵の攻撃を避け、エネルギーライフルで敵を牽制、
一気に間合いを詰め、パイルバンカーモードのSYAINを敵ACのコアに叩き込んだ。
「うぁぁぁー・・・!」
そのまま、機体は爆発した。エレベーターが動く。
下に着き、奥に進んだ。部屋に入ると、そこは、柱が倒れている奇妙な通路だった。
「俺が戦うのは予定外だが、仕方あるまい。」
フロートタイプのACがチェインガンを連射してきた。
「それでは、蚊も落とせん。」
ハザードは、エネルギーライフルで打ち合いをやっていた。
「ACの反応、上です!」
エマの声と共に、上からガラスを割り、一機のACが降りて来た。
「クローバーナイトか。こいつを始末するぞ。」
「了解。」
二対一。側から見れば、ハザードが不利であるが、
「それでは、私は落とせん。」
ハザードは、ゴールドブリットにSYAINで切りつけ、エネルギーライフルの弾をコクピットに向かって発射した。
「あああああああ。」
ゴールドブリットは断末魔を発しながら死んだ。
ハザードはブースターをターンモードにして、旋回。近距離に来ていたサイプレスを横に切り払った。
「ここまでか・・・回収部隊は・・・撤退を・・・。」
サイプレスも、事切れた。
「全敵勢力の撃破を確認。撤退を。」
「了解した。ハザード、帰還する。」
(凄い、この人は一体・・・。)
ジェノバは、ハザードの人並み外れた動きに感心した。
数回しか依頼をこなしているを見たことは無いが、動きが人並みでないのには、驚きを隠せずにいた。

「ファーストはおろか、セカンドまでやられるとは・・・。」
「倒したレイヴンは何者だ?」
「確認した・・・ハザードというレイヴンだ。」
「ハザードか・・・。」
「このまま放って置いては、我々の邪魔になる。」
「しかし、どうやって倒す?」
「それについては、私が手を打ちました。」
「IBIS!!」
一つだけ違う声に、周りの声が驚く。
「いつ、ここに?」
「さっきです。」
「それより、そいつを倒す方法とは?」
「それは、いずれ分かります。そう、いずれね・・・。」
そう言うと、気配は消えていった。
この時から、クレスト社、ミラージュ社は、AIによる武装強化を施していた。
これが、悪魔からの贈り物だと知らず・・・・。
作者:カイルさん