サイドストーリー

On the Guland 〜地上へ〜 (6) 開始
GC本部ビルが襲撃された翌日
GC付属病院
昨日の仕事の中負った傷で一日入院していた、そして一週間の絶対安静を言い渡されアパートに帰ろうとしていた
「デューク大丈夫なのですか?せめて一週間ぐらい入院していた方が良いのでは?」
「そうだよ〜、安静にしとかないと」
「大丈夫だよ、多少やけどを負ってはいるがどれも軽症だ」
「そうですか、ですが一週間は安静にしといてくださいね」
「ああ、解ったよ」
そして病院からマンションに帰ろうとハリアーを手配する
その時一緒に付き添っていたレインが不吉な事を言う
「ところで、また景気よく壊れてしまいましたね。修理するのも良いかもしれませんがアセンブリを組み直したほうが良いですよ」
それと同時にピシーと固まる
「あれ〜どうしたのデューク君?」
ヴィネが心配して聞いてくる
「意図的に忘れようとしていた事を思い出させないでくれ」
デュークの言葉を無視してレインは続ける
「次回もまた軽量級でアセンを組むのですか?それも良いかもしれませんが装甲の強化を考えたほうが良いかもしれませんよ」
「しかしそうすると機動性が落ちるぞ」
「でも貴方は何かと庇おうとして何時も大きなダメージを受けてますよ。それなら一層のこと装甲を強化したほうが良いでしょ」
「ああ、わかった検討しとくよ」
そしてその時ようやく手配したハリアーがやってきた
そしてそれに乗り込むデュークとヴィネとレイン
「ん、何故レインお前まで乗るんだ?」
「貴方が安静を言い渡されているのですよ。食事の用意とかいろいろとしないといけないじゃないですか」
といいながらいろいろ必要そうなものは持ってきてますからとちょっと大きめのかばんを見せる
「大丈夫だよ〜、私が用意してあげるもん」
それに対して断るヴィネ
デュークは一瞬二人の間に火花が散ったように見えた
「それならお互い公平にデュークに決めていただきましょう」
「ヘッ!?」
「そうよね、それが公平ね。デューク君どっち側にお世話してほしい?」
「デューク、決めてください。どっちが良いですか」
そう言って狭い車内の中デュークに詰め寄る二人
「落ち着け、お前ら一体如何したっていうんだ」
デュークがなだめるのも聞かず二人は更に詰め寄る
「ハッキリしてよ〜」
「そうですよ、どっちを選ぶかハッキリしてください」
二人に詰め寄られ
「解ったよ、レイン頼む」
「解りました。それではお任せください」
どこと無く嬉しそうに答えるレイン一方ヴィネは妙に落ち込んでいた

M・Gulasiasu(メゾン・グラシアス)
デューク達が帰ってきた頃こっちはこっちでトラブルが発生していた
「弟子にしてください!!」
ゼロの部屋の前でレジーナが声をあげているそしてホールではその光景を楽しそうに他の面々が見ている
ゼロの部屋は一階にありホールのすぐ側にある
「よう、帰ってきたか」
「もう、退院しても大丈夫なんか」
「大変だったね」
「お疲れさん」
各自声をかけてくれる
「一体如何したんですか?」
側に腰をおろしながらデューク
「お前と一緒…イヤ、気にするな」
「え、なんですか?」
「だから、痴話げんかじゃないかな」
「ヘ〜、あれがゼロさんの恋人」
「いや、話の内容からしてちゃうやろそれは」
ちゃんと突っ込みを入れるジャッカル
「まあそうでしょうね。であの人は一体誰なんです」
それに対しブレイが答える
「レジーナとか言う新人らしい、それでゼロに師事したがっていると」
「で、肝心のゼロさんは」
「へえ〜、なんだか面白そうだね〜」
「しかし、それを酒の肴にするのもどうかと思いますが」
各自反応を返す
「ゼロは見てのとおり閉じこもったままだ」
「しかし、熱心ですね」
「ほれたんだろ、きっと…前回もゼロが助けたし」
「ほれたってあの子大体18ぐらいでしょ?確かゼロさんって27でしたよね」
「ああ、俺とブレイが28、ジャッカルはえっと…25だったか、ジェットが22、お前らが21だったな、それでゼロが27だ」
「ちょい待ちーな俺はまだ23やて」
「一昨年もそんな事言ってなかったかジャッカル」
「まあ、それは置いといてほぼ十歳も年の差が有るんですよ。ほれたなんてそんなことってありますか?」
「甘いな〜、恋愛に年の差なんて関係ないんやで〜」
「そんなもんですか」
いまいちそのような経験も無く釈然としないデューク
「行きましょうデューク、私は人の恋路を話の種にする趣味は有りませんので」
「ん?ああ解った」
そう言って自分の部屋に向かうデュークとレイン
一方それを恨めしげに見つめるヴィネ
「こっちもこっちで面白くなりそうだな」
と楽しそうに言うライン
「え、何がですか?」
一体何の事かわからず聞き返すデューク
「こっちの面白さは、当事者がその事に気付いてないという事だな」
「だから何の話なんです?」
「イヤ、解らんかったらええねん、それはお前が坊やだって事でな〜、いつかきっと判る日が来るやろて」
「そのような言い方されたら気になりますよ教えてください」
「気にするな、それよりもお前安静にしとかなくてはならないのだろ。ほれ、もう部屋に行っとけレインだったなデュークを頼むぞ」
そうしてデュークがホールから出て行きレインとヴィネも付いていった
そうこうしている間にゼロとレジーナのほうにも変化があった
ゼロが部屋から出て来たのだ
「…あのな、俺は別に弟子を取れるほどえらくも何ともないんだ。悪いが他の奴を当たってくれ」
そしてそのままホールのほうに来て
「…貴様らも煽らずに何とかしろ…」
と怒ったように言う
「悪いな、ゼロ俺たちは彼女のほうを応援する事にしたんだ」
「やっぱり慣れない内は誰かがついていた方が安全ですし」
「そうやで〜それとも何か?お前はあんな健気な子見殺しにするんけ?」
「実際問題若い芽を摘み取る必要も無いだろ」
それに反論する4人
「ならばお前らが面倒見たら良いだろうが」
それに対してゼロ
「しゃあないやろ、あの子が面倒見てほしがっとんのはお前やねんから」
「……解ったよ。勝手にしろ、だが俺は面倒見ないぞ。」
「はい!ありがとうございます」
そう言うとホールの自動販売機でコーヒを買い椅子に座る
「だが、俺は教えるなんてことは出来ない、俺の戦い方を覚えたければ仕事を一緒に受けるなりアリーナ公式戦の記録でも見る事だな」
「よし、そうと決まれば荷物の運び込みをしよう」
ふとジェットが不吉な事を言う
「おい、なんだと?」
ゼロが聞き返す
「いや、だから荷物の運び込みをするんだよ」
「誰の?」
「レジーナちゃんのに決まっているやろ」
「どこに?」
「そりゃもうゼロの部屋にきまっとろ…」
景気の良い音がしてジャッカルが吹っ飛ぶ
「それは冗談ですよ、202号室が空いてましたし、実際のところ103でも良かったんですがさすがに女の子を一階に住ますって危ないでしょ」
とジェットが説明する
「そうか…じゃあ俺はそろそろ行く」
「ん?どこにいくんや?」
「仕事の説明が今日あるんでな」
「あ、そういや俺もやったな。」
「そういえば私もそうでした」
「お前らもか」
そう言いながらゼロ、ジャッカル、レジーナ、ブレイが準備をする
「なんだなんだ、お前達仕事か?仕方ないな俺とジェットで荷物を上げとくよ。さすがに配置とかは出来ないが構わんだろ?」
そう言いながら荷物を持つラインとジェット
「あ、すみませんお願いします」
「良いって良いって、お前ら全員今日は仕事の説明のみだろ?じゃあ今日歓迎会を開くから時間空けとけよ」
そしてゼロ達は仕事の説明を聞きに出かけた

「よし、マスターに交渉に行って来よう。ジェットお前は荷物を運んどいてくれ。歓迎会の準備は任せとけ」
「あ、ちょっとラインさん…まったくもう勝手に決めるんだから」
アルハンブラに向かうラインとぼやきながらも荷物を運ぶジェット

30分後
ラインはデュークの部屋に来ていた
時刻的に昼時は過ぎていたがまだ昼食を取ってない事もありレインが昼食のパスタを湯がいていた
一方デュークはソファーでくつろいでいて、ヴィネは掃除をしていた
「いい雰囲気の所を済まんな。今夜新人歓迎会をするから参加しろよ、レインあんたも出るだろ」
「ええ、それでは出させていただきます」
「新人って…ああ彼女の事ですか?じゃあゼロさん認めたんですね」
「ああ、っでヴィネあの子は202号室に住むことになるから、何かと気を使ってやってくれ」
「うん、解ったよ〜」
そしてそのままラインはソファに座る   
「ライン貴方も食べますか?」
「いや、俺はもう食ったから良いよ。それよりもお前らに聞きたい事があるんだが」
「ん、なんですか?」
「なあに〜一体」
そう言いながら出来たてのパスタを食べる二人
「一昨日の事だがあの時空中からの襲撃が来る直前にお前達気付いていたって言うか、叫んでいただろ? あれは何だったんだ」
「ああ、あの事ですか。自分でも良くわからなかったのですが頭に何かひらめくというか悪寒が走ったのですよ。
う〜んなんていったら良いんだろヴィネなんか良い言い方が無いか?」
「今まででもなんか危険な事が起こるとね〜偶にだけどそんなことが有ったの。有ったって言ってもまだ2,3回しかないんだけどね〜」
「ふ〜ん、じゃあ超能力って言った所か?」
多少は驚くものの冷静に返すライン
「あまり驚かないんですね。」
その事に少なからず意外性を隠す事が出来ないデューク
「ああ、それを言ってしまえば俺やブレイやジャッカルのインテンシファイもそれに近いかもしれん」
「ああ、あの特殊な能力ですね」
「ブレイやジャッカルはどうかしれんが俺は、この能力を強さをもたらすために移植した訳ではない」
「え、一体どういうことです?」
驚きながら聞き返すデューク、インテンシファイは基本的に力を欲するものが移植する特殊チップの事である
「マクシム=スティンガー事件って知っているか?」
「ええ、確か17,8年位前に起ったGCの大型研究施設のテロですね。たしかその研究者であり首謀者だった者の名前から来ていたと思います」
「ああ、表向きはそうだだが実際は人体実験の研究事件だったその実験で多くの子供達が犠牲になった」
「まさか!」
「ああ、そのまさかだ。その実験に使われていた子供の9割以上が死んだと聞いている。俺はその生き残りだ」
悲痛な面持で語るラインそしてそれを聞くデューク、ヴィネ、レイン
「すまんな、暗い話をしてまあお互い何も聞かなかった事にしよう。良いな?」
「はい、ラインさんがそれで良いなら構いません」
「じゃあな、地下の宴会所で」


GC小型会議室
ここは基本的にメールだけでは説明できないミッションのときに使われる
会議室というが会議室というよりも個室といった感じがあっている部屋には机と椅子が二つそして端末があるだけである
その中でゼロを始めいろいろなレイブンが一対一で説明を聞いていた
依頼主はユニオンだった
「まず最初に貴方も気がついているだろうが我々は管理者を廃そうと思っている。
もし参加する意思が無いのなら今ここで帰ってくれても構わない。この仕事をすると管理者ににらまれることになるだろう」
「……話を続けろ」
「構わないのですね」
「…くどいぞ」
「続けましょう、我々は中枢につながる道を把握するためにクレストの中央データバンクに侵入を仕掛ける。
当然、厳重な警備部隊が配備され、やすやすと侵入できるものではない、更に施設内には、高性能のセキュリティも配備されてる。
我々の調査の結果、最深部の動力施設を破壊すれば、セキュリティシステムを無効化できることが判明した。
目標は二つ、動力施設の破壊し、セキュリティの停止。そして警備部隊の全滅だ。
両者を沈黙させた後、われわれの部隊が最深部に侵入する。
今回は複数のレイブンと契約する、挟撃により敵勢力を一気に破壊する。
最深部への突入は我々に近い意思を持つミラージュの部隊にも参加を呼びかけている。
失敗は許されない、以上だ。」
「了解した。任務開始日などの指示はメールで頼む」
そう言うとゼロは席を立つ

今回のミッションは多数のレイブンに同時に説明を開いていたそれならば一ヶ所に集め説明したほうが効率がいいはずだが
参加者に匿名性を持たせるため個別にミッションの説明をしたのである
もっと言ってしまえば更に誰が受けたかすらわからないように日にちも複数に分けておこなわれた
言うなればラインやジェットそしてデュークやヴィネにもこの依頼が来ていてまったく別の日に説明が有ったのだ。
彼等がこのミッションに対しどの様な答えを出したかそれを知るのはユニオンと当事者のみである。
作者:権之輔さん