夜明け前のミッション
「ポイントに到着。いや〜よく見えるね、
オレだったらこの丘に監視塔でも付けるのにな。侵入して欲しいのか?」
「キース、無駄口は控えて下さい。依頼主の話によると
かなりの戦力があるようです。注意してください。」
「そーか?こんだけ近づいたのに静かだぜ?まあいいや、
レジェンドガンナーいくぜ!!」
表示画面を軽く叩くと男は戦闘モードを起動した。
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ウー!ウー!ウー!施設内にけたたましいサイレンが響き渡る。
「どうした!何があった!?」
突然のサイレンに所長が叫ぶ。
「施設内に侵入者!どうやらACのようです。」
「ACだと!?敵の勢力は!?」
「AC1機。装備は不明です。」
「1機だけだと!?バカめ!!守備部隊全機出撃!!この施設の防衛力を見せてやる!!」
「了解。全機出撃します。」
バウン!!ゴカァ!!いきなりの轟音。
「第3倉庫破壊されました!!」
バウン!!バウン!!バウン!!ドガァ!!ゴウ!!ズガァ!!射撃音と共に爆炎が上がる。
「第5第6及び第8倉庫破壊されました!!」
「くっ…!!守備部隊まだか!!」
所長の声の音量が上がる。
バラバラバラ!!
「ん?来たか!!」
炎の中のACが空を見上げる。
「敵部隊を確認。かなりの数です。キース、注意して。」
「へへっ!待ちくたびれたぜ!!」
レーダーに写る5個ほどの青い点を見たキースの声が踊った。
「守備部隊敵ACと戦闘を開始しました。」
「敵の装備はまだ分からないのか!!」
「以前不明!!…なっ!?味方機5…いえ6機破壊されました!!」
「何!?くそ!!」
所長は管制塔の窓へ近寄った。ここからは死角になっていて確認できない。
だが次の瞬間、遥か前方を青い光が飛び、防壁に当たり爆発した。
「あの光は…まさかっ!!」
所長がつぶやくと同時に同じ光が飛び、先ほどの場所の近くに当たる。
「何だ今の光は!!何て破壊力だ。防壁がえぐれてる…。」
オペレーターが画面を見ていった。その画面には見るも無残な防壁の…
いや、防壁であったところの映像が写っていた。
「…あの光、破壊力…間違いない!!」
「所長!!あの武器を知っているのですか!?」
「ああ、私は以前ACパーツの研究施設にいたことがある。
そこで見たデータの中にあれとまったく同じ弾の武器があった。
その武器は名銃と謳われたAC用右腕武器パーツKARASAWAだ。」
「KARASAWA!?所長!それはどんな武器なのですか!?」
「AC用右腕武器の中でも最強を誇るエネルギー兵器だ!!
威力は今見たとおりだ。だが、弾数が少ない。数で押し切れば勝てる。」
「味方部隊30%壊滅!!施設損害率20%越えました!!」
「なにっ!?バカな!!」
「敵の映像を捕えました。メインモニターに写します!!」
そこには黒いACが炎に照らされていた。
暗いため確認しにくいが肩に武器はなく、右手の大型銃が炎の間から時折見えていた。
「なっ…。あんな装備でわが部隊の3割を落としただと!?」
所長の声は動揺していた。ありえなかった。所長はKARASAWAについては
よく知っていた。その破壊力、弾速、弾数までも。
だからこそ目の前の光景が信じられなかった。
そのACは見る限り右手の名銃以外何も持っていなかったからだ。
バシュウ!!シュゴーウ!!ヘリからミサイルが放たれる。
「おいおいもっとちゃんと狙えよっと。」
キースは難なくミサイルを避ける。
「へへへ、そんなんじゃあたんねえぞ。ちゃんと整備してんのか?」
しかしヘリは必死だ。次々とミサイルを放ってくる。
「だ・か・らあたんねえって言ってるだろ!!…よーしそっちがその気なら何度でもやってやるぜ!!」
レーダーに一瞬目を落とし、キースは動きを止めた。
ピッピッピピピピピピピー。
「ロックオン完了。発射ァ!!」
目の前のヘリからミサイルが放たれる。
レジェンドガンナーはブーストを噴かして後退するが徐々にミサイルは迫ってくる。
目の前までミサイルが来るとレジェンドガンナーは急に上昇した。
ミサイルもそれを追い上昇するが急な移動に着いていけず
空を…切らなかった。そのさきには3機のヘリが待ち構えていたかのように飛んでいた。
「う、うあぁぁぁああ!!ごばぁ…ジ…ジジ。」
ミサイルが全弾当たり3機のヘリから叫び声と共に爆炎が上がり鉄クズとかす。
「悪く思うなよ。こっちは弾数少ねぇんだ。」
なおも回りを囲むヘリをキースは同じように次々と鉄クズに変えてゆく。
「な…何なんだあいつは…武器を使わずに次々と…バケモノか?」
管制塔内は静まり返っていた。
「く…!!ならば…、砲台の準備を開始しろ!!急げ!!」
「で…ですがあれは本来外部に向けて使用するものです。内部に使っては被害が…。」
「かまわんやれ!!あのACを倒さなければどのみち同じだ!!」
「…了解。砲撃準備開始します。」
ドバシュウン!!シュゴオォァァアア!!
「うあぁぁぁああ!!ガ!!…ジジ…ジ」
バラバラバラ。シュゴウ!!
「くっそう…。次から次へと!!」
「キース聞こえますか?」
「なんだこのクソ忙しい時に!!」
「防壁に熱源を確認。どうやら砲台が動き出したようです。」
「ったく、こんだけいるのに砲撃までくるのかよ。至れり尽せりだな。」
「だから言ったでしょう。かなりの戦力があると。砲台は全部で6つ。注意してください。」
「…了解!!」
そんな会話の間に6機ほどのヘリを落としていたが如何せん敵が多く、
正直なところ砲台にかまっている余裕などキースにはなかった。
「こうなったら砲撃も利用してやる!!んっとライン見っけ♪」
レーダーを見てキースは笑みを浮かべる。
レジェンドガンナーは何かに導かれるようにブースターで移動する。
レーダーと映像を見てキースは機体を止め今度は上昇する。そして
バウン!!KARASAWAが火を噴く。
その青い弾丸の先には1機のヘリがいた。
次の瞬間弾丸はヘリの横を通り過ぎた。たったそれだけのことだった。
だがすでにそのヘリにはプロペラがなかった。
飛ぶための翼をもがれたヘリは重力に逆らえず落ちていく。
弾丸の先にはなおも2機のヘリがいた。そのプロペラと尾部を弾丸が容赦なく奪っていく。
さらにその先には2機のヘリがいた。1機目の尾部をもぎ取り、
2機目の真下を弾丸が通過した。ヘリ自体には何の損傷もなかったが
あまりの熱にパイロットは一瞬で焼け死んだ。痛みすらなかった。一瞬だった。
操る者のいなくなったヘリはフラフラと進み、右前方にいた3機のヘリを巻き込んだ。
たった5秒間の間に8機分の鉄クズが地面に落ちて爆炎を上げた。
「うお!ラッキー♪3つもおまけが付いたよ。」
「何!!たった一撃で8機だと!?そんなことがあってたま!?」
ゴドガァ!!
所長の言葉は爆音に遮られた。
「砲台の破壊を確認。残り5つです。キース、まさか狙って?」
「へ?砲台!?…あー!あー!破壊したの?ラッキー♪」
「…聞くんじゃありませんでした。まだ砲台は残っているのです。気を抜かずに。」
「りょーかい。」
キースは軽く返事をした。
「バカな!!一撃で!たった一撃でヘリ8機と砲台1つを破壊だと!?…クソ!!」
所長は悪態をつくとしばらく考え込み、何かを思い出し笑みを浮かべた。
「ならば…ACにはACか、通信を673に!近くにいるはずだ。」
「了解、繋ぎます。」
オペレーターが繋ぐのと同時に所長は通信機を握る。
「…ジジ…ジ…こちらマックスター。一体誰だ?」
「マックスター、久しぶりだな。覚えているか?」
「その声は…エリックか?忘れはしないぜ、あんたには世話になったからな。
どっかの施設の所長になったらしいが、元気でやってんのかい?」
「ああ、そのことなんだが今うちの施設が襲撃を受けていてな…正直まずい!
今すぐ来てくれないか?」
「ああまかせろ!!あんたにはACパーツ研究所で世話になったからな。
断るわけにはいかねえ。しかし、あんたも大変だな。」
「ありがとうマック、助かるよ。ポイント35-273だ。急いでくれ。」
「了解。今から向かう。」
通信を切った所長の顔に安堵の色が見えていた。
「所長、今のは?」
「ああ、私がACパーツ研究所にいたときにモニターとして雇われていたレイヴンだ。」
「なるほど、ACならば…。」
「そうだ、勝算はある。」
「所長!!味方部隊50%壊滅です!!」
「く…!!マックスターが来るまでなんとしても耐えろ!!」
「砲撃準備整いました!!」
「よし!砲撃開始。」
「了解!!」
「大分減ってきたな。このまま一気に行くぞ!」
レジェンドガンナーは細かく動き回り、ミサイルを避けていた。
ドドゥン!!ドバァ!!爆音と共に何かが飛んできた。
「な、何だ!?」
「キース敵の砲撃です。注意してください。」
「クッソ。ついに来たか…。」
ドドウ!!ドガァ!!レジェンドガンナーの右側に着弾する。
「く!っとあっぶねぇ!!」
バランスを崩したレジェンドガンナーに容赦なくミサイルが放たれる。
体制が悪くKARASAWAでは間に合わなかった。
「こんにゃろ!!これでもくらえ!!」
キースはとっさにレジェンドガンナーの左腕を動かし、
ミサイルとヘリを左手用ライフルで撃ち落とした。
「…あー!!くっそー!思わず撃っちまった!!」
「どうしましたキース!?なにか問題でも?」
「…弾薬費がかかっちまった。」
「…もういいです。」
何かが吹っ切れたのかキースは左手用ライフルも使い次々にヘリを落としていった。
「やつはライフルも持っていたのか。厄介だな。」
所長の顔に先ほどの安堵の色はすでになかった。
「あれか…。大分派手にやられちまってるな。」
そのACの前には黒煙の上がる施設が広がっていた。
「よっしゃぁ!!ラストー!!」
バウン!!ドドドガァ!!
「うっしストライク♪」
「敵勢力全滅を確認。…!!キース!敵ACを確認。」
「何!ACまでいんのかよ。まあ…いっちょやるか!!」
シュゴーウ…ガシン!
ブースターで防壁を乗り越えACが着地した。
カラーは紅く、武器腕と肩チェインガンを装備した四脚型だった。
「ラスボス登場!ってかぁ?っとあぶねぇ!」
レジェンドガンナーのブースターが火を噴き動き出すが左足が爆炎に包まれる。
紅いACの武器腕から煙が上がっていた。
「くっ・・・、いってえ。あの武器腕やっかいだなぁ。」
被弾の衝撃で頭を打ったキースが呟く。
「ピピピ!よう、お前がこれをやったのか?そんな装備でここまでやったのは褒めてやるが
正直もう弾も少ないだろう?弱い者虐めのようで悪いがこっちも仕事だ。恨むなよ。」
「恨むかよ。んなもんいちいち恨んでたらレイヴンなんてやってられないからな。」
「へへへ、その通りだ。お前とは戦場で会わなかったら仲良くなってたかもな。」
「…そいつはどーも。」
「いくぜぇー!」
咆哮と共にマックスターがチェインガンを連射する。
レジェンドガンナーは相手の肩のチェインガンが反転し前に突き出ると同時に動いていた。
ガガガガガ!レジェンドガンナーが先程いた場所に雨が降る。
「まだまだぁ!」
チェインガンの雨がレジェンドガンナーを追いかける。
レジェンドガンナーは細かくブースターをふかしながら右方向に逃げていた。
ブースターでジャンプし、惰性で移動しその間にエネルギーを回復する。
これにより長時間の移動を可能にし上下運動で敵のロックを惑わす作戦だ。
レジェンドガンナーは敵を中心に円を書くように移動し隙を見て左手ライフルを撃つ。
といっても敵はその場を動かず向きだけを変えているだけなのでライフルは連射に近かった。
レジェンドガンナーの移動方法は速度が落ちるため時々被弾はしたが、
チェインガンとライフル。あきらかに一発分の攻撃力は上回っていた。
「くっっそおぉぉ!」
マックスターが叫ぶ。
「やれやれ、こりゃだめだわ。」
キースが呟き、レジェンドガンナーはKARASAWAをかまえる。
動きの止まったレジェンドガンナーを見て紅いACの武器腕が火を噴く。
「しぃねぇ!!!!」
幾つもの凶弾がレジェンドガンナーに向かい飛んでいく。
その時、キースは微笑を浮かべていた…。
ドバァ!ドバァ!ドバァ!爆炎が上がり、さらに火の玉が撃ち込まれる。
「…っハハハハハ!どうだ!」
爆炎を見上げマックスターが叫ぶ。勝利の雄叫びを。
バウン!ドゴォ!突然青い光が紅いACを包み、ACが反動で右に傾く。
「なっ!くそー!」
マックスターはとっさにACを左に回転させて武器腕を連射する。
「いない!?」
すぐさまレーダーを見る。
赤い三角形のマークが一個写っていた。
ほぼ中央に。
その意味を瞬時に理解しマックスターはACを反転させる。
ガシュゥゥン。回れ右をしたACのコアに大砲を思わせる銃口が突きつけられる。
「よお、派手にぶっぱなしてたなぁ。」
いたずらっ子の様なキースの声。
「…っく、キサマァいつの間に!」
「おっと動くなよ、KARASAWAをこの距離で撃てばACのどてっ腹に風穴開くぜ?
お前の死体も残さずな。」
最後は少しトーンを落とした声で言う。
紅いACは動きようがなかった。これだけ接近されると武器腕もチェインガンも当たらない。
「チッ!あれを避けたのか…。」
「避けない方が難しいと思うぜ?一発目をライフルで撃ち、爆炎に隠れて上昇した。
あんたちゃんとロックオンしたか?レーダー確認したか?普通は分かると思うけど・・・
あんたホントにレイヴンか?」
キースの疑問は当たっていた。マックスターは先程激情のあまりロックも確認せず、
目視で乱射していた。さらにレーダーは見失って初めて見た。
キースの痛いところをついたワン、ツー(?)にマックスターの額には血管が浮き出ている。
「おのっれぇぇぇ!!!」
KARASAWAを突きつけられていることも忘れマックスターはEOを射出する。
EOのビームがレジェンドガンナーに降り注ぐ。
「…やれやれ。」
キースの目に光が宿った。
…朝日が昇る。管理者の破壊によって開いた地上への扉。
そこから出てきた人々が見とれ、自由を実感し、決意を新たにした朝日が…。
その朝日に包まれ、少し陽炎を纏うACが一機。
その足元から湯気が立ち昇る。
シュンッ!シュンッ!シュン!…コポコポコポ…。
携帯用コンロで湯を沸かし、コップに注ぐ一人の青年がいた。
20代前半程で整った顔立ち、細身だが鍛え抜かれた体。
黒いジャケットとポケットが沢山あるパンツにウエストポーチを後ろに向きに巻いていた。
「ズズッ、…ふぅ。」
コップに注いだコーヒーをすする。
「『ふぅ。』…じゃありません!キース!何のつもりですか!」
腰のウエストポーチに吊った携帯用通信機から声が響く。
「ん?何のつもりも何もただのコーヒーブレイクだが?」
青年が当たり前のように答える。
「…ミッションを行った場所でのコーヒーブレイクのどこが『ただ』なんですか!?
キース!ミッションは完了しました。直ちに帰還してください!」
スピーカーが壊れんばかりの怒りの声にキースと呼ばれた青年は少し驚いた。
「…ま、まあまあそう怒らないで、しわが増えるよローズちゃん。
第一もう敵もいないんだからとっとと帰らなくたっていいじゃん。」
敵どころか施設の研究者達も脱出し、人の気配のなくなった空間にキースの声が響く。
「余計なお世話です!!それと『ちゃん』はよしてください!仮にもあなたのオペレーターですよ!
それと、その施設は制圧完了後依頼主が調査に向かうことになっています。あなたがいると困るでしょう。」
ローズがスピーカーから怒鳴る。
「別にいいんじゃないスか?俺がいようがいまいが関係ないっしょ。
俺も依頼主に直接お礼言われてみてぇし、第一輸送機が来ないと帰れないし。」
「輸送機なら先程向かわせました。あと20分ほどで到着します。着いたら直ちに帰還するように。」
「へ!?ちょっとずるくないスか?勝手に向かわせるなんて。」
「あなたが帰りの輸送機を手配しないから悪いんでしょう!
あと20分、どーぞコーヒーブレイクを楽しんで下さい。ブチ!!」
(ふぅ、こりゃ帰ったらボコだな…。)
キースはコーヒーをすすりながら背筋を伝う悪寒を感じた。
(…そうだ。このまんまほっとくわけにはいかねぇ…な。)
そう思いキースはもう一つのコップとやかんを持ち立ち上がる。
少し歩き、やかんの湯をこぼさないように紅い壁を登る。
コアのコックピットを開けた。
「よう、大丈夫か?…なあ?おいって!!」
「うっ…ん、誰だ?」
コックピットの中の中年というには少し早い男が目を開ける。
徐々にピントが合いコックピット内だと気付く、そして一人の青年を見つける。
「よう、お目覚めかい?」
「な!?てめぇ!!」
男はその声に驚き、とっさに拳銃を握る。が、
既に男の顔には銃が突きつけられていた。先刻と同じ状況に男は青年が誰かを確信した。
「ひどいねぇ。コーヒーを持って来てやったのに御礼は鉛弾かい?」
右手に銃を、左手にやかんとコップを持ち、キースが言う。
「俺は死んだんじゃないのか?いやその前にコーヒー?」
いまいち今の状況と青年の言動が理解できず男は呟くように言う。
「飲むかい?うまいぜ?説明は今からたっぷりしてやるぜ。」
「…あぁ、すまねぇいただくよ。」
男はコックピットから這い上がり仰向けに横たわる愛機に腰をおろす。
手には湯気を上げるコーヒーを持ち、青年が口を開くのを待つ。
「俺はキースってんだ、あんたは?」
「へ?…あ、ああ俺はマックスターだ。」
思っていたこととまったく違うキースという青年の言葉に驚きながら答えたとき。
「…もう我慢できません!!キース!!敵レイヴンとコーヒーを飲むとは常識外れにも程があります!!」
突然の怒鳴り声に二人は驚き軽くコーヒーをこぼした。
「ぅあっつ!!ローズ!ビックリさせんな!あと20分コーヒーブレイクを楽しめっつたのはお前だろうが!」
「誰が敵と一緒に楽しめと言いました!まったくあなブチ!!…」
もう既にボコが決定しているためか躊躇わずにキースが回線を切る。
「…今のはお前のオペレーターか?苦労してそうだな。」
マックスターがご愁傷様。と遠まわしに言う。
「ああ、おかげさんで。さて、自己紹介も済んだことだし、え〜とあんたが何故生きてるか?だっけか。」
「ああ、俺はお前の言葉にキレてKARASAWAを突きつけられている事も忘れ。攻撃した。
で、衝撃が走って…どうなったんだ?」
「あっはっは、やっぱありゃキレるよな?わりぃわりぃ。
あの後俺は左手ライフルでEOとACの頭を破壊してKARASAWAでブン殴ったんだ。」
「なるほど、それで真っ暗になった後衝撃が走ったのか。
…やっぱお前はいい奴だな。命を救ってくれて尚且つコーヒーまでくれるたぁ。」
「へへへ、おっちゃんもな♪でもいいのか?ここ、こんなになっちゃったけど。」
黒煙を上げるボロボロの施設を見渡し、キースが言う。
「ああ、それなら問題ない。実のところ俺はここの所長の知り合いでな、
さっき突然助けてくれ。と言われただけでここの守備部隊でも何でもないんだ。
それにさっきお前が言っただろう?『いちいち恨んでたらレイヴンなんてやってられねぇ』って、
あとおっちゃんはやめてくれ、これでも30代前半だ。」
「わりぃわりぃ。そうだ、おっちゃ…マック、ちょうどいいから一緒に輸送機で運んでやるよ。
愛機がこれじゃあ帰れないだろ?」
「そうだな、誰かさんのせいでこうなっちまったからお言葉に甘えてそうするか。
だが、またオペレーターにどやされるんじゃないのか?お前。」
「どーってことねぇって、じゃああと15分ほどゆっくりしてますか。」
目の前の男と意気投合し、ボコ決定も忘れるほど上機嫌な青年と
久々にいい奴に出会い、生きていることに感謝する中年というには少し早い男を
朝日が静かに包んでいた。
制作秘話。
どうもお初にお目にかかります。
Hirokiと申します。
この度は最後まで読んでいただき有難うございます。
よくもまぁこんな長い話を最後まで・・・(うぉぃ
えっと制作秘話ですが、この話しはSLのオープニングムービーを見て作りました。
最後の朝日を浴びるACがとても気に入ってしまったので・・・。
あと一応の主人公であるキースのレジェンドガンナーは
ある小説の主人公をイメージして僕が実際にSLで作った機体です。
さてさて今度はキースの日常というかなんというか・・・
まあ好きなものとかが分かる話でも書くつもりです。(あくまでつもり。
作者:hirokiさん
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