サイドストーリー

橋上の罠
依頼内容    発信者 ミラージュ
 現在、ナイアーブリッジが武装集団に占拠されている。こちらも抵抗はしているが
 我々の戦力では心もとない。そこで君に、至急、武装集団の排除を頼みたい。
 成功した場合、報酬は弾もう。良い返事を期待する。
 
「ふむ・・・」
依頼のメールを読み上げた刃(ジン)は少し考え込んでいた。
(承諾するべきだろうか?ミラージュが苦戦するとは思えんが・・・)
色々疑問がわいたようだが、最近つまらないミッションばかりだったので、
(承諾するか・・・)
と、あっさり返信してしまった。
 
      輸送機内・ナイアーブリッジへの投下前
刃は今、愛機「正宗」の中にいた。あと3分ほどでミッションが始まる。
「レイヴン、そろそろポイントに到着します。よろしいですね?」
オペレーターのエマがそう告げた。
「ああ。問題はない。」
刃は正宗の各部を入念にチェックしていた。
彼の愛機、「正宗」は、黒基調の軽量二脚だ。右腕には携行型ロケット、左腕にはMOONLIGHT、
両肩に小型ロケット、EXにターンブースターを装備している。
「しかしレイヴン、こちらのレーダーには何も写っていません。こんなに近づいたのですが・・・」
「MTは確認できないのか?」
「はい・・・」
罠か?とも思っただろうが、刃はあえて口にださなっかた。それならそれでいいらしい。
「エマ、何があろうと臨機応変に対応できなければ、一流のレイヴンとは言えんだろう。そう心配するな。」
「そうなのですが・・・レイヴン、ポイントに到着です。気をつけて」
「了解。正宗、出るぞ。」
 
   ナイアーブリッジ・正宗投下後
エマの言うとうり、MTは一機もいなかった。しかし、橋の上にACが一機たたずんでいるのを、刃は確認した。
「ミラージュの者か?何故ここにいる。」
返答は無かった。返答の代りとばかりに、ACのビームライフルが微動した。
「!」
刃はとっさに機体を振ってビームをかわす。そのACは静かに告げた。
「私は、あなたを殺すために雇われたものです。残念ですが死んでいただきます。」
刃も静かに告げた。
「そうか。だがこちらも死ぬわけにはいかないのでな。」
二機が同時に動いた。
刃はブースターを起動し、放たれたビームをかわし右腕のロケットを打ち込む。敵はそれを冷静に避け、多弾頭
ミサイルを放った。刃はOBを起動しそれを避け、突撃した。
(決める・・・!)
刃はOBの勢いを利用し斬りかかった。だが敵はぎりぎりの間合いでバックブースターを起動した。
ブレードは空を切り、正宗に大きな隙ができた。その瞬間、ビームライフルが放たれた。
(しくじったか・・・!)
正宗の頭部が吹き飛び、レーダーやメインカメラを失った。
「どうしました?やられてしまいますよ。」
敵からの通信が入る。確かにレーダーが無く、頭部も破壊された今、正宗の命中率が低下し、被弾率が上昇したのは明らかだった。
(確かにこのままでは落とされる。どうすれば・・・)
しかし敵の攻撃は止むはずもなく、しだいに損傷率は高くなってゆく。
(もはや賭けにでるしかない!)
刃は心を決めると、橋の真ん中にACを移動し、目を瞑った。
「もはや戦意喪失ですか?がっかりですね。」
敵ACは身構え、OBを起動した。
「これで終わりにしましょう」
敵ACは、正宗に突貫した。
(来たか・・・!)
ここまでは刃の賭けは成功した。ここから先は、生きるか死ぬか、である。
刃は目を見開いた。敵はもうそこに迫ってきている。
その後は一瞬の出来事だった。刃は機体を右に少しずらし、TBとMOONLIGHTを起動した。
正宗の後ろで、ACは崩れ落ちた。
 
   ナイアーブリッジ・戦闘後
「誰に頼まれて俺を狙った?話してもらおうか。」
刃はパイロットを尋問していた。自分を狙う者を野放しにはできないのであろう。
「ただの新人潰しか?それとも何かわけがあるのか?」
「私はただ頼まれただけだ。」
「何・・・」
「今日メールで届いたんだ。ナイアーブリッジに現れるレイヴンを始末しろ、と。」
「発信者は誰だ。」
「知らない名前だった。確か・・・クレイだったか。」
「何!!・・・本当か!!」
「嘘をついても何にもならないだろう。」
クレイ。この人物こそ、刃に戦う理由を与えた人物であった。
それは2年前のことだった。
     
つづく
作者:サンドラの槍さん