AC3SL外伝:青の部隊のその後
「リュウー、いるー?」
地上の某所にある一つのジャンク屋。そこに、二人の男女が来ていた。
客は、彼等しかいなかった。
「いないのかな?」
女性の方が言う。
「昼間はいるのに、あいつは全く・・・。」
「全くなんだ?」
天井から声。二人は上を見る。と、そこには、
「何やってんだ?」
「見て分かんないか?天井の修理。」
天井は、薄い鉄板が、多少の金属フレームで支えられている程度の簡素な物だった。
「どこの?」
「もうすんだ。」
男、リュウはフレームに引っ掛けてあった工具箱を取ると、ロープで慎重に地面に降りる。
「で、何だ?ナッツ、フィー。」
リュウは、工具箱を片付けながら聞いた。
「SYADOUの調整に。」
男、ナッツが答える。
「何だ、その程度か。」
「あと、ACの修理に使えるパーツが無いかって、グローバル社の整備長さんが。」
女性、フィーが答える。
「ACに使えるパーツか・・・・探しておこう。それより、さっさとSYADOU持って来い。」
リュウは、パソコンを操作して、AC用のハンガーを起動した。ナッツは、機体を取りに外に出た。
それから、数分して、ナッツのインフィニティエックスが歩いてきて、AC用のハンガーに固定した。
「機体チェック・・・・確認。SYADOU・・・・・万全。」
リュウは、手馴れた手つきで、パソコンを操作して、機体とSYADOUの調整を行なった。
「・・・・・調整完了。」
リュウは、ナッツとフィーを呼んだ。
「機体とSYADOUはあんたの今のレベルで調整しておいた。
フィー、パーツの件だが、明日、使えそうな物は送っておくと伝えておいてくれ。」
「サンキュー。」
「分かりました。」
ナッツはインフィニティエックスに乗り、フィーは歩いて外に出て行った。
リュウは、パソコンを操作して、ある物の調整を行なっていた。
それから数時間が経ち、五、六人の男が尋ねてきた。
「リュウー、いるかー?」
「昼間、同じせりふを聞いた気がする。」
変な事を呟きながら、リュウが出て来た。
「リュウ、例の物の調整すんだか?」
「ああ、地下倉庫だ。それと、表から出て行くなよ。グローバル社のメンツに見つかったら少々厄介だ。」
「分かってる。」
男達は建物の奥に進んで行き、裏口から、人数分のACが出て行った。
それ、彼等こそ、青の部隊の生き残り。もちろん、リュウも青の部隊のメンバーであった。整備員として。
「さてとそろそろ・・・・・。」
寝るか、と言いかけ、巨大な足音で動きが止まる。
『リュウーー出て来ーーい!!』
ちらっと、表を見ると、五、六機のMTがいた。
リュウは、はあっ、と溜め息をついた。
以前、不良達が店に来て、それをアサルトライフルで撃って追っ払ったのである。
恐らく、それに対する報復か。
リュウを含む、生き残った青の部隊のメンバーは、強化チップの機能を停止してある。それでも、十分戦えるが。
青の部隊は、チップを埋め込まれる前に、通常での身体能力を鍛えられている。
その為、ACの操作技術も、不良程度では、赤子の手をひねる程度である。
「しょうがないな。」
リュウは、地下の倉庫に向かった。そこには、一機のACが置いてあった。
軽二脚、コアはOB、色は白と赤。武装は、ビームライフルと月光のみ。
リュウは、機体に乗り込んだ。
その時、機体を固定してあったハンガーの上が開き、ハンガーが上に上がり始めた。
機体を固定してあるハンガーそのものが地上へ通じるエレベーターになっているのである。
上に出ると、MTが六機、ACが一機いた。
ACの武装は、色が赤であるだけで、試験のときに使われる武装のままであった。
『AC!?』
『き、聞いてないよ。』
通信機から声。どうやら、こっちがACを持っている事を知らなかったようだ。
「事前に調べておくべきだったな。」
リュウは、ブーストジャンプをすると、ビームライフルでMTを瞬殺した。
『た、助けて・・・。』
『い、いやだ・・・。』
MTのパイロットが悲鳴を上げて死ぬ
『く、くそう!!」
敵ACがライフルを乱射してきた。
「それでは、当たらんな。」
その攻撃を避けると、ビームライフルをコクピットに放った。
『うわぁぁー!!』
ACのパイロットは絶命した。
「無駄な事に弾を使ったな。」
ふと足元を見ると、不良の仲間らしきメンバーがいた。リュウは、外部スピーカーのスイッチをつけ、
「お前たち、もうここへは来るな。来たら、今度は殺す。」
そう言うと、不良達は一目散に逃げ出した。
リュウは、ACを地下倉庫に戻した。
青の部隊のその後
一人はジャンク屋。
残りは、フリーのレイヴンになった。
その後、彼等がどうなったか、それは、誰も知らない。
作者:カイルさん
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