OSL:始まり
「俺がレイヴンか・・・・・なんか実感わかないな。」
グローバルの寮に引っ越してきた少年、ブレイズが呟く。服装は、トレーナーにズボンと、平凡的だった。
彼は、昨日レイヴン試験を受け、見事に合格。グローバルの寮に荷物を入れていた。
「さて、終わったか。」
ブレイズは、荷物の配置を終え、周りを見ていた。
「・・・・そろそろ召集時間だな。」
時計を見たブレイズの顔から、一瞬少年らしさが消えた。詳しく言えば、無表情になった。
ブレイズは、腰のポーチにハンドガンと予備のマガジンを四つ入れた。
ジャケットを着ると、部屋を出た。
「遅刻覚悟か。」
鍵を閉めながら、そんな事を呟いていた。
鍵を閉めると、寮から出て、バイクに乗ると、ある場所に向かった。
ブレイズが来たのは、ブレイズがいた町からかなり離れた地上開発の初期に作られた市街地。
市街地と言っても、人の姿はほとんど無く、三十分に一回会うか、会わない程度である。
ブレイズは、一つの通りに入ると、バイクから降りた。
通りと言っても、建物の高さはバラバラで、高い物は十階、低い物は二階ぐらいの高さであった。
そこは、ブレイズが来た道からは死角となっていた。
「遅いよ、ブレイズ。」
すると、上から声が聞こえた。見ると、一人の少女が二階くらいの高さの建物の上にいた。
「ごめん。ちょっと、引越しに手間取って。」
「それで、十分の遅れね・・。」
「そこまでにしておけ、アイラ。」
ブレイズに冷ややかな視線を送っていた少女、アイラに対し、別の建物の上から現われた男性がそれを止める。
「分かりましたよ、マサキ。」
「これで全員かしら。」
また、別の建物の上から、二人の男女が現われた。
「そのようだ。しかし、幹部である俺達がどうして、こんな所に呼び出されるんだ?
知ってるか?サラ。」
「さあ、知らないわ。残念だけどね、スネイカー。」
どうやら、先に現われた男はマサキ、次に現われた女性はサラ、同じ時現われた男はスネイカーと言うらしい。
ブレイズは、歳は17歳。人当たりの良さそうな好青年、いや好少年と言った方がいいだろうか、そんな感じである。
アイラは、歳は17歳。お嬢様とはいかないが、いじめっ子みたいな感じはある物の、どこか楽しげな性格である。
マサキは、歳は35歳。何だか軍人っぽい男で、常にポーカーフェイスである。
サラは、歳は2?歳(聞くと怒る)。大人の女性の感じはあるものの、無感情に近い感情だった。
スネイカーは、歳は30歳。上司に逆らう部下みたいな感じである。
全員、AC用のパイロットスーツを着ていた。
「全員揃ったか。」
ブレイズが来た道とは反対の方向から、人が一人歩いてきた。その男も、同じくパイロットスーツを着ていた。
「はい。隊長。」
マサキが言うと、全員敬礼をする。
「敬礼と隊長と言う言い方は止めろ。我々は、軍隊ではない。」
「はっ!」
全員、敬礼の姿勢を解く。
「報告を聞こう。まずは、ブレイズ。」
「レイヴン試験に合格。グローバルの寮への引越しは完了しました。それと、上位レイヴンが何人か専属になったようです。」
「マサキ。」
「クレストは、ミラージュと戦う為、各地に無人要塞を建設しています。
不確定ながら極秘兵器を開発しているという情報を手に入れました。」
「アイラ。」
「ミラージュは、クレストとの戦いに備える為、無人部隊を配置を急いでいる模様です。
同じく不確定ながら、初の可変型ACを開発しているとの報告もあります。」
「サラ。」
「キサラギは、今のところミラージュとクレストが戦って残ったACやMTの残骸を回収して、それを元に、新型のACを開発しています。」
「スネイカー。」
「地下世界の混乱、暴動は未だに起こっています。現状では、それ以上の進展はありません。」
「そうか・・・・引き続き調査を実行。一ヵ月後、予定通りオペレーションリストブレイクを実行する。」
「了解。」
「今後の定期連絡はメールか通信で。電話は使うなよ。」
「了解。」
「では、一ヵ月後、また会おう。」
「はっ。」
全員、敬礼をすると、どこかに行ってしまった。
ブレイズも例外ではなかった。
ブレイズは、バイクに乗ると、寮へと戻って行った。
その間に、何故こうなったかを思い出した。
一人のレイヴンが、レイヤードの管理者を破壊した。
その後、地上への扉が開いた。
ここまでは良かった。
しかし、この後は最悪だった。
クレストとミラージュは、管理者がいなくなった事で、ある種の戦争を始めたのである。
その戦争は、地上開発が開始されて数年がたった今も続いていた。
そして、それを止める為に、我々クローセンティクスが立ち上がったのである。
クローセンティクスとは、ユニオンの幹部を中心に結成された部隊で、
部隊の隊員のほとんどが元レイヴンか、現在レイヴン、元クレスト社かミラージュ社の警備部隊の隊員である。
クローセンティクスの目的は、二大企業を止める事。
しかし、現在のクローセンティクスの勢力では、それを止める事は出来ない為、今は情報活動に徹している。
スネイカーの言った幹部とは、実は、ブレイズ、アイラ、マサキ、サラ、スネイカーは、ユニオン結成時の部隊のメンバーなのである。
その彼らの言っていた隊長の正体は、地下世界時、トップレイヴンだったエースである。
エースのほかに、BBとロイヤルミスト、ワルキューレもクローセンティクスの隊長として、入っている。
寮に着いたのは夕方だった。
部屋に戻ると、PCを起動。
『未読メールが二通来ています。』
ブレイズは、それを確認した。
一通は、自分の補佐役、エマ・シアーズから。
内容は、グローバル社の事についてと弾薬などの補給等を支援すると言うものだった。
もう一通は、アイラからだった。
内容は、
『ブレイズ、昨日あんたの幼馴染という女の子が尋ねてきた。名前はミリィ。
知っているなら、関わらない方がいい。その子を危険に巻き込む可能性があるから。
訊ねてきたら、あまり関わり合いを持たない事。彼女の事を思うならそうした方がいい。以上よ。』
「ミリィの奴・・・・・・。」
ブレイズは、アイラに返信のメールを打ち、PCを閉じた。
ミリィ。ブレイズの幼馴染。物心つく前に両親を無くし、孤児院にいたブレイズを引き取った夫婦。
それがミリィの両親なのである。
ミリィは、物静かで、学校では控えめの女の子であった。
だが、ブレイズは、物心ついた時。大体七歳くらいで家を飛び出したのである。
その後、ユニオンを結成。レイヴンに管理者の撃破を依頼したのである。
ブレイズは、PCを閉じたあと、適当に食事を取り、寝た。
この時、クローセンティクスはおろか、クレストにミラージュ、キサラギ、そしてレイヴン達は、
これから今までに無い戦いが起こることを知らない。
次回
グローバル社の情報を手に入れるためにレイヴンとなったブレイズ。
しかし、彼を追ってレイヴンにミリィがなってしまった。ミリィは、ブレイズがクローセンティクスの幹部である事は知らない。
それを隠し、任務を遂行する。しかし、運命とは皮肉な物であった・・・・・。
次回のOSLは『運命』をお送りしたいです。お楽しみに。
後書き
ふー。今回は、管理者を倒し、地上に出るまでは同じですが、その後を変えてみました。
あと、OSLは、分かると思いますが、
オリジナルサイレントライン
の略です。お間違いの無いように。
作者:カイルさん
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