サイドストーリー

地上への回帰  第1章
ピピピッ!!

「携帯に着信 . . .発信者はレインか」

「レイブン、キサラギからの依頼です」

「何の依頼だ?レイン」

「内容によると、依頼主が所有する水精製施設に何者かが
攻撃を加えているようです。
 配備された護衛部隊では手が回らず、レイブンに協力を求めているようです。」

「分かった、企業にサインを出してくれ。 
 丁度、新型も完成したところだ。」

「了解です、レイブン。
 それと、今回の依頼はすでに戦闘に入っているレイブンとの
共同戦線になります。」

「ああ、レイブンにすぐに向かうと言ってくれ。」

通話モードを解除すると足早に格納庫に向かう。
途中で、ハンクにあった。
彼は俺と同様、トップレベルのランカーで彼の名は知らぬものは
いないと言われるほどの有名なレイブンだ。

「よう、シャウシュッツ。仕事か?」

「ああ、お前は仕事帰りか?」

「めんどくさい依頼だったが、金にはかえられないしな。」

「そうだな、じゃあな。」
 
「ああ、しっかり稼いでこいよ!!」

会話もそこそこに切り上げ、急いで格納庫にむかう。
格納庫についてからすぐ、自機の格納ハッチを開く
ハッチを開くと真新しい機体があった。

「さて、カスタムの初陣と行くか!!」

あの時から1週間が経ち、改修が終わった新型機は出撃の時を
今か今かと待ちわびているような印象さえ感じ取れた。
青いカラーリングを身に纏った新型機のコクピットにはいるとすぐに
システムを起動させる
照明がつくと目の前にメモが張ってあるのが見えた。


レイブンへ
 
コアを一新すると同時に計器類の方に「残存勢力測定機」を追加した。
地味なヤツだが、きっと役立つはずだ。うまく使ってくれ

                    整備長  ミガキより


「新型の計器か . . . 戦力が未知数な依頼で活用できそうだな。」

メモを見終わると、機体内から格納庫を操作すると
ハッチが閉まり、脚部を固定している足場が上昇し
輸送機場まで運ばれる
そこにはすでに格納庫を開放した機が待機していた。

「レイブン、準備はいいか!!」

「ああ、格納後にすぐ離陸してくれ。場所は第一層、
自然区の水精製施設だ!!」

「了解!!、そこなら10分も有れば余裕でつく。」

「ああ、頼んだぜ!!」

機体を格納するとすぐに離陸し、現場へと向かう
程なくして、現場に着くと2体のACが戦闘を始めていた

「機体データからパイロットは、ロックブレイカーとコアか。
 状況を見ると押すも押されぬと言った感じか . . . 」

「レイブン、ハッチを開けるぞ。」

「ああ、分かった。」

輸送機から投下される機体を見てコアが

「あれはブレイブガンナー . . と言うことは援軍か!!」

「援軍?所詮一機増えただけだ、それだけで沸き立つのは
どうかと思うがな。」

「ロックブレイカーッ!!
ヤツだって俺達と同じランカーだ、素人じゃあないんだ!!
. . .たしかにお前の慎重さは認めるが、限度があるだろっ!!」

「状況は有利な状況じゃないんだっ!!ここはあくまでも慎重に
行くべきだと言っているんだ。」

「わぁったよ!!」

言い合っている間にシャウシュッツがやってくる

「状況はどうだ!!」

「シャウシュッツか、あまりいいとは言えねえな。
 何しろ数が多すぎる、このままじゃ施設がもたねぇ!!」

「分かった!!二人は地上と施設に近ずくヤツをたのむ。
 空中のヤツは俺が仕留める!!」

「シャウシュッツ. . . お前の機体はフロート型じゃないから
 くれぐれも水没はするなよ。」

「忠告として受け取っておこう。」

キュイイィン・・・バシュゥゥン!!

オーバーブーストで一気に上昇したブレイブガンナーは
空中を舞っている戦闘ヘリに接近する

「終わりだ . . .  」

ガガガガガッ!!とマシンガンを発砲し、
一瞬でヘリの部隊を片づける

「残存戦力はあと67%と言ったところか . . . 思ったより多いな。
 弾丸は持つか?」

バガーンッ!!と、地上の方でも激しい銃撃戦が展開していた!!

「墜ちろー!!」

コアが肩武装で近づく敵機を落としていく

「そろそろ、敵の攻撃範囲か. . .シールド展開!!」

「ロックブレイカー!!防御ばかりしていないで少しは
 反撃しろよ!!」

「俺は、確実に命中する敵しか攻撃しない。流れ弾で味方機が
 損傷しては困るからな。
 それに、弾丸の無駄やよけいな損傷を増やす。」

「おい、そんな事してたら次々に敵が攻撃してくるだろうが!!」

「だから、シールドを展開した。ここは慎重に行くべきだからな。」

「 . . . . . わかった、もう何もいわん。」

「そうか . . . 」

「二人とも、敵の残りは3割を切ったぞ!!
 もうすぐ全滅だ!!」

「何で分かるんだ、そんなこと?」

「新型の計器のおかげだ!!
 早々に役に立った。」

「機械の性能に頼るな . . . 少なくとももう二割くらいの戦力を考えろ。」

「シャウシュッツ、あまり気にするなよ。」

「いや、ロックブレイカーの言うとおりだ。
 俺も、機械に頼りすぎてた。」

「分かればいい、ここは戦場だ。いつ予想外のことが起きるか
わからんぞ。」

「 . . . 取り敢えずは、今いる敵を一掃してから考えるとしようぜ。」

「ああ、そうだな。」

3人が戦闘を開始して、戦力が1割に近づいたところで通信が入った

「レイブン、増援を確認しました。」

「レイン!!戦力は?」

「AC一機だけです。 . . . データからメガラオと判明しました。」

「アスターか . . . こんな時にフロートとは厄介だな。」

「状況は悪化しているようだな . . . 残存機は撤退しろ。
 後は俺がやる。」

「来たぞ!!」

「迂闊だ!!もらった!!」

ガガガガガッ!!とシャウシュッツがマシンガンをACめがけて、
一気にたたき込む。
相手も、それを予期していたためあっさり回避される
更に二人が攻撃するが、地の利から圧倒的に相手が有利なのは
歴然としていた。

「うおおぉー!!」

コアがバシュシュシュンと、装備している武器を全て開放し攻撃する。
アスターも負けじと反撃する

バガガガガガッ!!
バシュシュシュン!!
バシューンッ!!

と激しい攻防戦が繰り返された。

「くっ、さすがにはやい!!」

「クレバーに状況を進めろ!!とにかく慎重に行け!!」

唯一、ロックブレイカーだけが消極的に攻撃する
それが裏目に出て、アスターは攻撃が薄いロックブレイカーの機体
に攻撃を集中させる。

「ぐっ、機体が!!」

「ロックブレイカー!!後退しろ!!」

「コア . . .すまない。」

「今しかないか . . . 」

シャウシュッツは何か閃き、施設に着地する。
アスターはコアに攻撃の矛先を向け、向きを変えながら
攻撃を回避する。

「ちくしょうっ!!」

「ふふふ、さあもっと攻撃して見ろ。
 もっと当てる気で攻撃してこい!!」

「今だ!!」

一瞬、アスターが動きを鈍らせた所に照準を合わせる

「オーバーブースト、展開っ!!」

キュワアァァン・・・バシュュュン!!

オーバーブーストを展開し、アスターめがけ突っ込む!!
不意を打たれたアスターは回避する間もなく追突され
ガッシャァァンと激しい音を立てながら陸地に激突する。
薄い装甲が仇となり、一気に戦闘不能になってしまった。

「ぐあっ、ば . . 馬鹿なっ!!」

「サンキュー、シャウシュッツ!!」

「ああ、無事でよかった。」

「レイブン、お疲れさまです。輸送機が着き次第、帰還してください。」

「ああ、わかった。」

「 . . . しかしまぁ、オーバーブーストで攻撃するなんて聞いたことも
 見たこともないぜ。」

「物は使いようさ。」

「なるほどね。」

「輸送機の方はいつ頃来るんだ?」

ロックブレイカーから通信が入る

「4〜5分と言ったところだろう。それと機体は大丈夫か?」

「ああ、右腕をはじき飛ばされた。
シールドを構えていたから、左半身は大丈夫だ」

「そうか。」

「レイブン!!大変です!!
 レーダーに大型の機影を確認しました!!」

「なんだって!!規模はどれくらいだ!!」

「約40M級の機体です。今、水中を高速で移動しています!!」

「ちっ、一難去ってまた一難か . . . 」

「どうする、やばいぞ!!」

「ここは、撤退するべきだ!!」

「いや、ここで迎え撃った方がいいだろう。」

「危険だ!!それに、こっちは消耗しているんだぞ!!」

「誰が3人で戦うと言った?」

「おい、まさかおめぇ?一人で戦う気か!!」

「ああ、幸い機体のダメージは微々たる物だ。
 それに、コイツの性能なら互角に戦える!!」

「何でそう言いきれる!!すぐに撤退するべきだろうが!!」

「わからないが、なぜかそんな気がしてしょうがないんだ。」

「 . . . 分かった、俺もつきあうぜ!!」

「コア!!お前まで戦う必要はない!!」

「まぁ、この依頼は出来高払いだからな。
 ちょいとした小遣い稼ぎさ。」

「シャウシュッツ、私も戦おう。
 まだ肩は使えるから援護ぐらいなら務まる。」

「 . . . 分かった。その替わり、やばくなったらすぐに撤退しろよ。」

「そうさせてもらうぜ。」

「レイブン、敵機との接触まで後1分もありませんすぐに撤退してください!!」

「悪いな、ここでカスタムの本格的なテストをさせてもらう。
 大丈夫だ、またこの依頼も無事に帰ってくる。心配するな」

「 . . . 接触まで後25秒!!戦闘態勢を!!」

「よし、いくぞ!!」

そいつは、突如現れた。
そいつは、とても大きかった。
そいつは、MTやACの物差しで語れるような
もんじゃ無かった。
そいつは、俺たちめがけ攻撃してきた。

「くっ、なんて威力だ!!」

「ああ、グレネードを乱射してきやがった!!」

「私が、囮になる。その隙に!!」

「すまないな、ロックブレイカー。」

「ああ、だが無理はするな。ここで死んでも
 意味はないからな。」

「私は慎重派だ。決して無理などはせんさ。」

「よし、いくぞ!!」

バシュンバシュンバシュン!!
バガガガガガッ ...チュンチュンチュン!!
バシューンッ!!

「くそ!!、なんて厚い装甲だ!!」

「ああ、この特殊鋼弾を使ったマシンガンでも傷が付かないとは!!」

「狙いは、正面。 . . . 発射!!」

三機の集中攻撃でも敵機には傷一つつかず、逆に
激しい反撃を受けるハメになった。

「だめだ、このままじゃ埒があかねえ!!武器を狙うしか!!」

バシューン . . . チュイーン . . .
 
しかし、そんなコアの狙いも虚しく
MTの装甲にはじかれたのだった。

「どうすりゃあいいんだ!!」

「このままでは、我々の敗北は確実か . . . 」

「考えがある、二人とも援護してくれ。」

「オッ、なんかいい案が浮かんだか?」

「俺が、ヤツに飛び乗ってブレードで破壊する。
 さすがにコイツなら傷くらいは付くだろう。」

「無茶なやり方 . . . 」

「たのんだぞ . . .二人とも 」

「仕方ねえ、援護してやっか。」

バガ−ン..バガーン
バシュシューン
ガガガガガッ!!

激しい銃撃戦の中、反撃してきたMTは
援護している二人に照準を向けた。

「やばい、ロックオンされているぞ!!」

「今は、慎重に射撃をすることだけを考えろ。」

MTは、援護している2体に向けてグレネードとビットを発射する
オールレンジ攻撃は、激しく2体のACを攻撃する。
更に、攻撃は半壊しているロックブレイカーの機体に集中する。

「うおおぉー!!」

「ロックブレイカーッ!!」

一方、ブレイブガンナーは
援護を頼りに勢いよく飛び出し、MTに接近していく。
相手も接近させまいとグレネードを乱射するも、
高機動戦法を主体にしたブレイブガンナーカスタムには
かすりもしなかった。

「とったぞ!!」

相手に飛び乗ったブレイブガンナーは機体にブレードを突き立てる
更にマシンガンをたたき込み、集中的に一点のみを攻撃する

「くそっ、これでもだめか!!
 . . .いや、まだ手はある。」


「くそ、あの機体なんてことしやがる!!」

「ああ、もう機体がもたん。
 これ以上の戦闘は無理だな。」

「てっ、おいシャウシュッツのヤツ . . .
 ありゃあ失敗か!!」

「万事休す . . . 」

「ブレード配給 . . . 110,120,130 . . . オーバーリミット!!」

突如、ブレイブガンナーから眩い光が放たれ
視界を包む。

「ムーンライト、オーバァーリミットォ発動!!」

その瞬間、ブレイブガンナーを中心に大爆発が巻き起こる。
次の瞬間に見えたのは、空を舞うブレイブガンナーカスタム
だけが見えた。

「おい、あの機体 . . . 消えちまったぞ . . . 」

「ああ、目の錯覚ではないな。」

「 . . . 終わったぞ。」

「おい、お前一体何をしたんだ?」

「瞬間的に、ブレードのリミットをはずして全出力を
ブレードの傾けたのさ。」

「よくやるぜ。」

「ああ、あきれかえるぐらいにな。」

「まぁ、そう言うなよ。」

「レイブン、すぐそちらに輸送機が来ます。」

「ああ . . . だから言っただろうレイン、無事に帰ってくるって。」

数分後、輸送機が到着しグローバル社に帰還する。

ロックブレイカーとコアの機体の損傷はかなりひどく、
修理にはかなりの時間を要するののことだった
ブレイブガンナーの方はと言うと、大した損傷はなく
アーマーの修理と駆動系の交換だけで済んだ。

自室に戻ったシャウシュッツはコンピュータを使って今回の
巨大兵器を検索してみたが、結果は白だった。

「やはり、どこかの企業の戦力ではないな . . .
 と言うことは、管理者の戦力?
 だが、なぜ俺達を?
 まさか、俺がイレギュラーとでも言うのか?」

様々な疑問を考えつつ、ベッドに横になる。
明日からまた始まるであろう戦いに向けて . . .


                                  第一章  完
作者:ハンクさん