サイドストーリー

聖夜
西暦2425年、12月24日、エリア時刻 21:34
俺は単機、帝都内を飛行していた。
既に治安部隊と思われるMT及びACと交戦、これを撃破。
本部より、隠密機動解除要請。
機体状態、極めて良好。作戦を続行中。

ふとエンジンを休ませ、歓楽街の一角に機体を降ろした。
ネオンのあふれる街中、雑踏と悲鳴が飛び交う中、
確かに歌が聞こえた。

"I wish your merry X's mas , I wish your merry X's mas , I……"

よく見れば、街の街路樹は電球や星で飾られ、今はもう降る事の無い
雪化粧を施されている。
ACを見て逃げ惑う人々の手から、リボンで包まれた箱が
こぼれ落ちていた。
赤い服を着て白ひげを着けた者や
騒ぎにすら気づかず抱きしめあう男女。

そういえば、指導部の奴らが言っていた。
今日は、神が生まれた日だと。
俺にはその意味がよく分からなかったが、
少なくともそれを祝い楽しむこの街のやつらは
知っているのだろう。
そのとき、聖なる夜の歌声と鈴の音色に、
不釣合いな大量の機械音が混ざった。

『警告する!直ちに武装を解除せよ!』

ステルス迷彩による隠密行動は、敵に対しても幾ばくかの猶予を与えたようだ。
スロットル全開。
ナハトファルターの眼に「火」が入る。

俺は、獲物に向かって飛翔した。
作者:ヴォルカヌスさん