Rain of silent line―第1話 真紅の爪と鋼鉄の月
巨大な入道雲の中を巨大な空中空母が浮いている。俺はこの空母の上の赤いACの中で作戦開始を待っていた。
俺の名は椎名 祐一。Aランクレイヴンだ。実力は・・・、まぁ高いほうだ。
新人レイヴンからこの空母の持ち主の組織「ユニオン」っていう企業の専属レイヴンをやっている。
この企業は元「反管理者」の組織だったらしい。
地上に出た後は3代企業のミラージュ、クレスト、キサラギの資源や物資を奪ったり、妨害工作をしたりしている。
まぁ、この企業は稼げるし不満はない。ちなみに俺の機体は「クリムゾンネイル」
暗い赤の塗装が自分でもいうのは何だが不気味な感じがする。肩に赤い爪のエンブレムがついている。
武装は右腕に「MWG−KARASAWA」というレーザーライフル。通称カラサワといい、その性能はあらゆる武器を凌駕する。
しかし、かなり重いため俺の機体は重量2脚にするしかない。左腕には「MLB−MOONLIGHT」。レーザーブレードだ。
月光の異名を持ち命中率、攻撃力の総合性能はかなり高い。
肩には「CWC−GNS−15」という軽量グレネードランチャーと「MWC−OC/30」というオービットキャノンだ。
俺はクリムゾンネイルの機体情報を一度確認し作戦領域到達を待つ。
このまま静かに待っていたいが通信回線が開く音と共にその時間はつぶれた。隣にいるタンク脚のACからだ。
「祐一!お前の機体の調子はどうだ?」
「そんなことで通信かけたのか・・・。」
うんざりしながらこいつの言葉を聞く。こいつは銀狼牙 コウ。
タンクのACがお気に入りでBランクレイヴン。金髪のツンツン頭に意志の強そうな唇と黒い瞳を持つ。
ACの名は「ガトリングムーン」両肩にチェインガン「CWC−CNG−300」。
右腕にマシンガンの「MWG−MG/1000」。
左腕には超強力エネルギーシールド「KES−ES−MIRROR」を持っている。
ヤツの前に立てばたちまち蜂の巣になってしまうだろう。そのとき通信に突然、女性の声が割り込んできた
「祐一!コウ!作戦領域に入るわよ!準備はいい?」
「エマかよ・・・。びっくりさせるなよ。」
「おう!準備万端いつでもOKだぜ。」
この声はエマ・シアーズ。ユニオンの腕利きオペレーター。戦況を冷静に判断し正確な情報を俺たちに教えてくれる頼りになる奴だ。
茶髪に青い瞳を持った魅力的ともいえる女性だ。元気がよすぎるのがたまにキズだが・・・。
「じゃあ、任務の説明をするわ。これよりあなたたちは新開発区きっての資源流通空港のバルガス空港に降下。
クレストとキサラギの裏取引されている物資を奪うための両者の武装解除が作戦目的。あとは私たちがやるわ。」
「わかった。」
「まかせろ!」
「作戦領域に着いたわ。降下開始!!」
俺のクリムゾンネイルに続きガトリングムーンも降下する。
眼下には大型の輸送機と大量のMT「ランスポーター」が動いている。高度計がぐんぐん下がり地上が近くなる。
「コウ。そろそろ降下するぞ。」
「おう!ゾクゾクしてきたぜ!」
高度計が0を指し衝撃が走る。MTが一瞬動きを止めた。俺がカラサワを撃つ。近くにいたMTが上半身を吹き飛ばされる。
それを機にランスポーターが狂ったようにロケットを乱射した。
俺はロケットを近くの建物に隠れてやり過ごし建物から顔だけを出してカラサワを撃つ。次々とMTが吹き飛ぶ。
コウの方はというと・・・。
「オラオラオラオラオラオラ!!死にたくねぇ奴は逃げやがれ!!」
空港の中央広場で旋回しながらチェインガンを乱射している。近づこうとするものは一瞬でスクラップに化す。
MTを大半撃破すると輸送機が緊急離脱を試みようとしていた。
「逃がすか!!」
俺がカラサワを発射する。わざと本体をはずしウイングにダメージを与える。
しかし、カラサワの射程を越えてしまった。しかし、コウが励ます。
「祐一!まだだ!あきらめんな!!オービットがあるじゃねぇか!!」
それだ!!俺がオービットに切り替えて発射する。自立起動兵器が俺の意思に刺激され、輸送機に突撃する。
そして、輸送機にレーザーのシャワーをお見舞いした。エンジンにレーザーが当たり火を噴く。本体には火はまわっていない。
おもわずガッツポーズをとる。
「やったじゃねぇか!祐一!」
「コウ。お前のおかげだ。」
しかし、レーダーに大きな熱反応が現れた。
「この反応はACか。」
「久しぶりに楽しめそうだぜ!」
高速で反応が近づく。そのACは青い派手な塗装が目を引いた。しかし、反応がもうひとつ現れる。
空中からこれまた青いフロート脚のACが降りてきた。エマから通信が入る。
「ランカーACウォーターハザードとムーンサルトね。高機動型相手だけど大丈夫?」
「やりがいがあるな・・・。」
「どんな相手だろうが叩き潰すまでなんだよ!!」
俺はウォーターハザードにオーバードブーストで急接近する。コウはムーンサルトにチェインガンを構える。
俺がカラサワを発射すると敵はすばやく回避した。ウォーターハザードから通信が入る。
「お前の重量2脚じゃ俺のフロートに勝てるわけねぇ!!死ね!!」
ミサイルの大量射撃が俺を襲う。
「戦闘中に敵に話しかけるとは・・・。素人が!!」
こんなミサイル軽くかわせる。難なくかわすが俺の読みが甘かった。かわした先に敵のオービットキャノンが待ち構えていた。
レーザーがクリムゾンネイルの肩を撃ち抜く。
「くっ・・・。」
「アハハハ!!無駄だ!!」
俺は考えをめぐらす。ミサイルをくらえば致命傷。かわしてもオービットの攻撃が襲う。
ならば・・・・。
「Aランクを殺せば俺の知名度も上がるぜ!これで終わりだ!」
ミサイルが一斉に襲撃する。俺は建物の陰に隠れた。ミサイルが建物に穴を開ける。
「目先の栄光に魅せられたのが敗因だな。くらえ!!」
俺はすばやくビルから空中に飛び出し軽量グレネードを当てる。結果は見事に命中。
グレネードの熱が腕を溶かしミサイルを封じた。
「クソッ!!死んでたまるか!!」
残りのオービットキャノンを発射しまくる。しかし、精神が乱れているため攻撃はあさっての方向に飛んでいく。
「さっきのセリフそのまま返すぜ!!これで終わりだ!!」
2発目のグレネードがウォーターハザードのコアをぶち抜いた。音を上げる間もなくウォーターハザードは爆発した。
コウの手伝いをしようと俺がコウのほうを振り向くとムーンサルトはあちこちからスパークを出して瀕死の状態。
逃げようとしていた。コウから通信が入った。
「おーい祐一!あいつがそっちに逃げるからとどめを頼む!」
「了解!」
ムーンサルトは案の定、俺の方角に逃げてきた。空中を舞いながら逃げるムーンサルトに俺は月光を叩き込む。
青いプラズマ粒子がムーンサルトの装甲板を切断した。
「うわあ!!」
空中で上半身と下半身の二つになりムーンサルトは地上に落ちる。いつの間にか空母が着陸し物資の積み込みを開始していた。
「祐一。コウ。作戦完了ね。ご苦労様。帰還して。」
俺たちは2人同時に言った。
「了解!」
その声が今作戦の終わりを告げた。
第2話に続く
あとがき
初投稿の作品が自分的に良くないかな〜(^^;)と思い、この作品をAC友達にアイディアをもらいながら作ってみました。
完成後に友達に見せたところ「戦闘シーン短いだろ!」と鋭い突っ込みがww
次回作は戦闘シーンを長くしてみたいと思います(^^)
作者:グレンさん