サイドストーリー

第二話 「アリーナ batコロシアム」
 初陣での戦闘で負った傷は完治するのに三週間かかった。最新とまではいかないが医療技術の進歩のたまものである。
戦場での三週間はかなり長い。その間にも組織はMT26機、AC3機の戦果を挙げた。
その代償にMT15機、10人のパイロットを失った。
その間に俺にあったことは・・・・コーテックス社からの借金の請求書が来ただけだった。

                     格納庫
「岩本さん、退院おめでとうございます。早速ですけどアリーナのエントリー済ましてください」
「分かったよ。あんまり出たく無いんだがなぁ」
「しょうがないでしょ、金が無いのは頭が無いのと同じなんですから」
「はいはいっと、・・・・・・・機体名も決めるのか?」
「当たり前でしょう。決めなきゃエントリーできませんよ」
「むぅ・・・・・適当に『飛燕』にしておくか」
「適当でいいんですか・・・・あとパイロットネームも決めてください」
「本名じゃダメなのか?」
「カッコつかないでしょ。本名じゃ」
「ん〜〜、それじゃぁ・・・・・本名でいいや」
「いいんですか?それで」
「いいんだよ、これで・・・・・・よし、登録完了」
「数日後に対戦表が来るはずです。それまでにエンブレム考えときましょう」
「ふむ・・・・ソレはやろう。」



              数日後
結局、俺が入院中に掛けた攻勢による消耗でアリーナまでの数日間は戦闘がなかった。
その間に、シュミュレーターを使い、勘を取り戻すのに全力をかけ。エンブレムも完成させた。
               酒場「ラック」
 久しぶりに酒を飲み、気持ちよくなってる所にスミスの声がした。
「岩本さん、今度のアリーナの組み合わせ決まりましたよ。」
「ん?そうか。誰と対戦だ?」
「今大会初出場の『ツェッペリン』ってヤツです。コレがデータです」
「むぅ、どんなんだ?
 
              PNAME『Zeppelin』
              KNAME『Syutrke』
              勝利回数:0
              敗北回数:0
              優勝回数:0
        ランキング:E10位"> 
              PNAME『Zeppelin』

・・・・・コレじゃデータとも呼べないな」
「それ以上は当日にならないと分からないそうです」
「むぅ・・・・まぁソレはソレで面白いか。でだ、こいつを叩いたらどれくらいの賞金が出るんだ?」
「え〜〜・・・・500万紅蓮(※1紅蓮が1円です)ですね。借金の半分しか出ませんよ」
「さすがに最初から稼がせてはくれんか・・・・、でいつだ?」
「明日です、ですから・・・・もう出かけないと遅刻しますねぇ」
「ソレを早く言え!!!行くぞ!!」
「私も行くんですか?」
「当たり前だろ!!早く行くぞ」
「分かりましたよ、それじゃ格納庫で待ってます」

                翌日アリーナ会場機体控え室
「只今よりぃーー、第5回皐賞アリーナを開催しまぁす!!!
第一回戦はぁ、「岩本徹三、飛燕」対「Zeppelin、Syutrken」の新人対決!!三分後に開始します。
賭券のお求めはお早めにお済ませください」ほとんどプロレスのノリである、多分元の仕事はそっち関係だったんだろう。
「機体チェックOKです。100%機体の性能を発揮できますね、多分」
OPのスミスは整備士の免許も持っているので顧問整備士としての仕事をやってもらってる。
他に頼める人がいないということもあるのだが。
「その多分ってのは何だよ?」
「岩本さんの操縦の腕と運です。一発急所に入ればやられますしね」
「そういうことか」
「岩本さんは特に気をつけてくださいよ、初陣で食われてるんですから。運は絶対に良くないですよ」
「そうですか、お気づかいありがとさん。」
ブゥーーーー
試合開始1分前のブザーだ
「それじゃ、気をつけてくださいよ。ココで負けたら借金はそのまんまですから」
「あんなヤツに負けるかよ、じゃっ、行ってくる」
コクピットの狭い席に座り、ハッチを閉じる。ディスプレイを起動させ戦闘モードに切り替える。
いつもの手順だ、訓練と何ら代わりはない。
「おし、いっちょやるか!!」
気合いを入れるため顔をひっぱたく。いつもの癖だ。
                    アリーナ戦場

「皐賞アリーナァ、第一回戦、「岩本徹三・飛燕」対「Zeppelin・syutrken」!!!両者入場ゥ!!」
凄まじい歓声と罵声とともにレイヴンが入場する。
観客から発せられる熱気は他のスポーツと代わりはない。少々格闘技に近い物があるが
戦場は遮蔽物の無いまったいらな所だ、ほとんど普通のドームである。
客席まである、さすがに露天ではなく透明な壁で覆われている。ところどころにヒビが入っているが・・・・・・。
「敵は・・・・ほとんど初期装備だな。武装がショットガンか・・・・バックを取られなければ食えるな」
中央に立体画像の数字が出る。どうやら開始までのカウントらしい。
「開始5秒前・・・4・・・3・・・2・・・1・・・・開始ィィィ!!!」
敵機がいきなりオーバーブーストを噴かす。一気に間合いを詰める気だ。
(フン、甘いな)
敵は1000bで射撃を開始。しかし、至近距離での戦闘用に作られたショットガンではさほど効果的とは言えない。
(武器の特性を理解してないな、中距離戦闘なら大丈夫だ)
右回りの回避行動をとりながら機銃を連射。右腕中心に命中する。しかし前面装甲に当たるためさほど効果は無い。しかし・・・
「おぉっと、Zeppelin右腕が発火しました。放熱が追いつかなくなったようです」
(やはりラジエーターも貧弱か。)
消化装置が起動しているようだが・・・・追いつかない、ショットガンの弾倉に誘爆し右腕が吹き飛ぶ。
が・・・敵はブレードを起動し一気に間合いを詰めようとする。
(三流が、そんな攻撃で食らうと思っのか)
一気にブーストを噴かし、飛ぶ。
敵は突っ込んで来たため通り過ぎた。いったんついたスピードはなかなか緩める事が出来ない
(食った)
空中で半回転、射撃・・・・・全弾命中!!
薄い後面装甲をぶち抜き、対AC用の徹甲弾が重要部品を破壊し、徹甲弾が開けた穴から焼夷弾が入り火をつける。
結果、敵ACは破片をまき散らして吹き飛んだ。
「Zeppelin戦闘不能!!岩本徹三の勝利です!!」
(ふぅ・・・・三流が、もっと練習してくるべきだったな。)
後で流れたニュースだが・・・岩本の初戦の相手「Zeppelin」はこの戦闘で短いレイヴン
人生を閉じたという。合掌


つづく
作者:カクタスさん