サイドストーリー

Rain of silent line ― 第4話 新世紀のAC
朝の光が空母の俺の部屋にある窓にさした。目覚まし時計がけたたましく鳴り俺を起こした。
今日は新しくなった相棒とのご対面だ。俺は朝食を食べるため冷蔵庫を開けるがこれといったものもなかった。
「コウも同じだろうな・・・。」
そんなことを思いながら廊下に出るとなんと、あのコウがニコヤカに出てきたではないか。
「よっ!祐一!」
「コウか・・・。いやに機嫌が良いな。」
「いやな。昨日、俺たちを助けてくれたレナちゃん。あの子が俺に飯を分けてくれてさ〜。」
なるほど・・・。それで機嫌がいいのか。
「いや〜。あの子が赤面しながら「これ・・・どうぞ・・・。」って言ってくれたんだよ。あの子こそ俺のタイプなんだよ〜。」
嘘だな・・・。この前レイヤードにいたころ・・・。高校生のころに失恋したとき。
「へっ!あんなガキのどこが良かったんだか!俺のタイプは大人な感じの女性がタイプなんだよ!!」
と叫んでいたのにな・・・。
「そんなことよりコウ。はやく格納庫へ行くぞ。」
「おう!今日も元気にいこうぜ!!」
俺たちは格納庫へむかって走っていった。

「あっ。祐一さん、コウさん。」
レナが新ACとおぼしき近くに待っていた。
「よっ!レナちゃん!さっきはありがと!」
もう「ちゃん」付けかよ・・・。
「おはようございます。これが新AC「クリムゾンネイルMk2」と「ガトリングビースト」です。」
そこには生まれ変わった相棒たちが立っていた。
「すげぇ!!見たこともない武装だな!!」
コウがACを見上げる。
「では、ACの説明を始めさせてもらいます。祐一さんは元中量2脚のACを使っていましたから中量2脚のACで作りました。」
「なに!?そんなの初耳だぞ。祐一。」
レナの言うとおり俺は元々中量2脚のACを使っていた。これに乗り換えればかなり戦闘力も上がるだろう。
「変えた部位は武器の改造とブースターユニットの追加。さらに「OP−INTENSIFI」と各オプショナルパーツの追加です。
武装は「MWG−BURST」。カラサワの改良エネルギーライフルです。
重量を軽くして威力を格段に上げましたが装弾数が10発だけです。使うときは慎重に。
ブレードは月光の範囲強化型「MLB−MOONRIGHT2」です。
肩には連装リニアキャノン「MWC−BASTARD」です。荷粒子光弾を2連続で発射するキャノンです。
ブースターユニットはエネルギー出力を上げるための増幅エネルギータンクと出力増幅ブースターです。
OP−INTENSIFIは・・・。これについてはコウさんがいない時に・・・。」
「えっ!何で俺が居ちゃいけないんだ!?」
「理由は言えません。」
「そうか・・・。」
「コウさんの機体は従来通りタンクです。変更点は武器の改造、ディフェンスユニットの追加です。
武装は右腕に「CWGG−HRS−200」です。スモールロケットを5発同時に発射する武器です。
肩には4連装ガトリング「CWB−DC−800」です。右腕には「HIGHーMIRROR−SHIELD」です。
ディフェンスユニットは左腕につけてあるシールドを極限までパワーをあげることができます」
「すげぇな!・・・ところで隣に2機ACがあるんだが・・・誰のだ?」
たしかに赤いACと黒いACがある。その時、どこからか2人のレイヴンらしき男が出て来た。一人は銀色の髪の毛に銀の瞳。
もう一人は青い髪の毛に赤い瞳を持っている。銀色の髪の青年が話しかけてきた。
「その人たちは新しくわが社に入った方々です。」
「そのACは俺たちのACだ。申し遅れた。俺の名はグレン・シルバーザック。
その黒いACは俺の愛機「THE DELETE」。改造はあまり好きじゃないんでね。コアに追加弾装を内蔵の改造をしただけだ。」
その黒いACは両腕にショットガンを持っている。それ以外に武装はない。
「そして、こっちのやつがこいつの愛機だ。」
隣の青い髪の青年が話しかける。
「俺はジャン・リーフスター。その赤いAC「スターランサー」の持ち主だ。」
赤いACはマシンガンとブレードだけがついてあった。しかし、マシンガンは改造されているようだ。
「こいつはマシンガンの威力と連射力を上げたものだよ。」
艦内放送が突然鳴り響いた。艦長からだ。
「みんな新機体を見たようだな。それでは、4人とも新機体で任務をしてもらう。
このあいだ潜入したジューコフ兵器開発工場にてナインボールのデータがあるのを見つけた。データを奪取してきて欲しい。」
「さっそく出番だな。」
「おう!!」
俺たちは新しい相棒に乗りこんだ。
「あっ、レナ。INTENSIFIのこと聞いてないんだけど・・・。」
「すいません。間に合わなかったですね。任務が終わった後に・・・。」

ジューコフ工場に着くとさっそく逆脚MT「ランスポーター」の大群がロケットの集中砲火を浴びせてきた。
しかし、俺の新しい機体の機動力はそれをことごとく回避していった。
「ぜんぜん効かないぜ。くらえ!!」
さっそく「MWG−BURST」を試す。敵をロックサイトに入れてトリガーを引く。その途端、
「ズギャァァァァァァァァァン!!」
凄まじい大音響とともに真紅の極太レーザーが吐き出された。
レーザーは工場の壁に大穴をあけ前方のランスポーターたちを一瞬で消滅させた。
「おいおい・・・。威力高すぎだろ・・・。」
俺はあっけにとられながらながらもライフルをもう一発撃つ。真紅の閃光がランスポーターを包む。この2発でMTは全滅した。
「みなさん工場の中へ!」
レナが工場を指差す。俺たちは工場の中へ進む。扉を開こうとしたとき、
「待て!」
グレンが手を止める。
「俺とジャンで先に飛び込む。その後に続け。」
グレンとジャンが扉の両側に立ち開閉スイッチを押す。
2人がすぐさま飛び出しショットガンとマシンガンを乱射する。
「バシュンバシュンバシュンバシュン!!」
「ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!」
2人の得物が咆哮する。
「よし、みんなもう良いぞ。」
俺たちが部屋をのぞくとそこにはスクラップと化したMTトライロバイトIが大量に居た。
「先に進むか。」
俺はグレンの強さに驚いた。その先の長い廊下ではコウとレナが大いに心強かった。
「オラオラオラオラ!!どいてやがれ!!」
「バラララララララララララララララララララララララララララ!!」
コウのロケットがうなりをあげる。
「邪魔よ!!」
「バシュ!!バシュ!!バシュ!!」
レナのブレードがMTを切り裂く。
さらに俺が肩のリニアキャノンを最大エネルギーまで貯めてトリガーを引いた。
「くらえ!!」
「バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
荷粒子光弾が前方にいたMTたちを焼き払う。これであらかたMTは片付いただろう。
先に進むとあのときの忌まわしい扉が待っていた。
「ナインボールのデータがあるとすればここしかない。いくぞ!!」
俺がみんなを励ますと扉を開く。
「な、なんだと・・・!」
全員が目を見張った。そこにはあの悪魔のACナインボールがたたずんでいたのだ。
「なぜナインボールがこんなところに!!」
ジャンが叫ぶ。
「・・・・。全ては計画通りなのです。皆さん。」
レナが沈黙を破り喋りだした。
「なんだと・・・!」
「レナちゃん!?」
「ごめんなさい。私はこのナインボールのパイロット「ゼロ」様の部下なのです。」
「なに!?」
「皆さんの戦力を見るためにユニオンに潜入したのです。」
「それにゼロって・・・?」
「そのとおりだよ。ユニオンのレイヴンたち。」
ナインボールから通信が入る。
「祐一君とコウ君がこの工場に潜入したときにナインボールを操っていたのは私だ。」
「馬鹿な!!」
「あの赤いACは私の部下に操らせていたものだ。元私のACだがね。
このナインボールはすごい性能だ・・・。革命の戦力に使わせてもらうよ。」
「革命!?なんのことだ!?」
「明日になればわかるさ。まぁもっとも・・・君たちはここで死ぬのだがな!!」
ゼロがライフルを構えると即座に撃ってきた。黒いレーザーが俺たちに襲い掛かる。
「クソッタレ!!死んでたまるか!!」
俺もライフルを撃つ。2つのレーザーがぶち当たり目も開けられない光芒が広がる。
「ほぅ。ナインボールに対抗できるのか・・・・。」
ゼロのコックピット内に通信が入った。
「なんだ?ふむ・・・。そうか。では帰還する。」
「逃げるのか!?ゼロ!!」
「勝負はお預けだ。」
ゼロが屋根にライフルで穴を開け飛び立つ。
「革命って・・・。何をする気だ?」
グレンが考え込む。俺たちは帰還しようとするがコウだけ帰還しようとしない。ジャンが呼びかける。
「おいコウ!帰るぞ。」
グレンがそれを止めた。
「待て。少しは時間をやれ。」
ジャンはコウの気持ちを悟ったのか部屋を出て行った。
コウは屋根に開いた穴を見つめていた。
「・・・・・・。レナ・・・・ちゃん・・・・。なんでだよ・・・。」
コウの頬から涙が落ちる。
「レナちゃんと戦わなきゃいけないのか・・・・。そうだとしたら俺は・・・・どうしたらいいんだよーーーー!!」
コウの叫びがナインボールの格納庫にこだました・・・。

第5話に続く

あとがき
新ACの登場。反則クラスに驚異的な武器。ゼロのいう革命。レナの本当の立場。そしてコウの失恋と波乱万丈の4話でした。
5話はかなり大騒ぎになりそうな感じがします^^;
では5話をお楽しみに・・・。
作者:グレンさん