サイドストーリー

Rain of silent line ― 最終話 革命の狼煙(後編)
(今回は祐一視点です)
ここは俺の部屋。俺はゼロの流した演説を聞いて壁を殴りつけた。
「・・・・。人類に宣戦布告だと?なんのつもりなんだ?あいつ。」
「わからない。だが気をつけたほうがいい。ナインボールを持っているあいつはかなりの強敵だ。」
グレンが静かにつぶやく。その時俺のパソコンがメール受信を知らせた。急いでメールを開く。
「ミラージュから・・・?」
内容はこうだった。
「頼む!助けてくれ!わが社の本社がシャドウの襲撃を受けた。あのナインボールは改良されており強さが半端ではない!
さらに敵には巨大な戦艦がありここがやられるのも時間の問題だ。報酬はたんまり出す。助けてくれ!」
「ミラージュが襲われた?」
「ありうるな。自分たちの力を世に示したいのだろう。さて、あとは艦長の判断だ。」
空母はミラージュ本社の方角に方向転換した。
「そういうことか。いくぞ!」
俺たちは格納庫を目指した。

俺たちが到着する。ミラージュ本社はMTたちとクレスト、キサラギの専属レイヴンのACとフリーのレイヴンが必死に奮戦していた。
「くそ!!全企業に依頼をしたのに押されているぞ。」
「まだ、希望はある。ユニオンがくるまで耐えるんだ!!」
そのとき、ミラージュのカイノスたち5機同時に真っ二つになる。
「ナインボールだ!!」
「やはりこいつは化け物だ!!」
「ひぃ!殺さないでくれ!!」
悲痛な叫びもゼロの耳には届かない。その隣にはエアリアルヴァルキュリアがブレードを振りまくる。
ナインボールが俺たちの方角を向いた。
「やっときたか。私に唯一対抗できるレイヴンたちよ。勝負といきたいところだが今はそんな暇がないのでね。
レナ!こいつらの相手を頼む!!」
「わかりました。」
レナのACが前に出る。そのときコウが通信回線に割り込んできた。
「レナちゃん!俺は君と戦いたくない!!このまま引いてくれ!!」
「・・・・コウさんすいません。私には革命を成功させるという野心があるのです。
もし、革命を止めるというなら・・・私を殺してからにしてください!!」
エアリアルヴェルキュリアがブレードを構える。
「レナちゃん・・・。クソッ!!こうなりゃやってやらぁ!!おいみんな!!手ぇ出すなよ!!」
コウもロケットを構えた。にらみ合いが数秒続いた刹那。
「オラァァァァァァァァァ!!」
「勝負よ!!」
ガトリングビーストのロケットが火を噴きエアリアルヴァルキュリアのブレードがロケットを切り裂く。
「この程度かしら?全力を出してください!!コウさん!!」
俺たちはその戦いに目を奪われていると通信が入ってきた。エマからだ。
「祐一たち!ミラージュ本社にACが侵入したためすぐに撃破してほしいという要請が入りました!!」
「わ、わかった!」
ミラージュ本社に乗り込むとそこには白いACが立ちはだかっていた。
「ユニオンの連中か!応戦する!」
俺はすぐさまライフルを構えた。数秒チャージしてトリガーを引く。紅い閃光がシルバーフォックスを包む。
シルバーフォックスの連れのMTをも一瞬で吹き飛ばした。
そのとき、エマから緊急の通信が入った。
「祐一!急いで施設の最深部に行って!!」
「なに!!どうしたんだ!!」
「ミラージュの新型核弾頭ミサイルをゼロが奪い発射準備に取り掛かっているそうです!!すぐにとめてください!!」
「了解!!」
俺たちは施設最深部に急いだ。最深部につくとナインボールが待ち構えていた。
「待っていたぞ!さぁ!私を打ち倒してみろ!」
さらにコウがやってきた。
「祐一!待たせたな!」
「コウ!レナは・・・?」
「・・・・今はそんなこと聞いてる場合じゃないだろ?あいつを倒すぞ!」
俺はナインボールに向き合う。
「いくぞ!ゼロ!!」
「望むところだ!!」
俺のライフルが火を噴く。さらにゼロの背中のキャノンがプラズマ弾を発射した。
「そのキャノンは・・・?」
「ミラージュの最新型をいただいたものだよ。死ね!!」
「ズギャァァァァァァァン!!」
俺はすぐさま回避した。しかしその先にはナインボールのレーザーブレードが待ち構えていた。
「残念だったな・・・。このブレードは長さを変えられるのだよ。」
クリムゾンネイルのコアにひびが入った。その衝撃で俺は気絶してしまった・・・・。


俺は巨大な都市郡の大通りに立っていた。ビルに大穴が開き自家用車はつぶれている。そのとき、向こうから泣き声が聞こえた。
その方向を向くとそこにはなんと幼少時代の俺がいたのだ。ということはこれは俺の過去なのか?
そして、幼少時代の俺の足元には俺の母親の粋も絶え絶えの姿が転がっていた。そして、ビル郡の間から俺の父親が出てきた。
拳銃を持っている。その拳銃をなんと母に撃ったのだ。母はその一撃で絶命した。その顔には見覚えがある。
なんとその顔はゼロそっくりだった。ゼロが俺の父親で俺の母を殺したのか?そんなことを考えてる間に俺の意識は遠のいていった。


目を覚ますと俺の仲間たちがナインボールに苦戦していた。それに乗っているゼロに通信をかける。
「ゼロ!こんなこと聞きたくないが・・・あんたは俺の父親なのか!?」
「祐一!何言ってやがる!そんなこと違うに決まってる・・・。」
「・・・。わかってしまったか。」
「ゼロ・・!」
「そして、お前の母を殺した張本人だ。」
俺は愕然とした。その時、なんとクリムゾンネイルのモノアイが赤に変わりコックピットのディスプレイにデータが大量に流れ始めた。
「なんだこりゃ・・・!」
ディスプレイに最後のデータが流れる。そして、コックピット内に冷酷な声があるシステムの起動を伝える。
「INTENSIFIシステム オールグリーン キドウカイシ」
その声とともに俺の意識が吹っ飛ばされた・・・。

(コウの視点に変わります)

祐一のACがいきなり動かなくなっちまった。どうしたんだあいつ?ショックで倒れちまったとかいうんじゃねぇだろうな?
もうおれたちのACはボロボロだ。ナインボールに対抗できねぇ。その時、祐一のACが立ち上がった。
しかし、様子がぜんぜん違う。殺気がひしひしと感じる。通信回線になにやら誰かがつぶやいているようだ。よく耳をすます。
「殺す・・・。ゼロ・・・・貴様を・・・・」
祐一・・・・なのか?ぜんぜん声が違う。普段のあいつじゃない・・・。
「ゼロ・・・・貴様を・・・・殺してやる!!!!!!」
祐一の声とともに祐一のACが目視できないほどの速さでナインボールに近づく。そしてブレードをナインボールに振り下ろす。
「馬鹿めが!!ブレードは効かんぞ!!」
ゼロが防御の姿勢をとる。まずい!あの期待にブレードは効かないんだ!しかし、ある意味でその予想は裏切られた。
祐一のブレードが青から血のような赤に変わっている。そのブレードがナインボールの腕を切り裂いた。
「なに!?」
ゼロは明らかに動揺している。さらに、祐一がライフルとキャノンを同時に発射する。
「人間技じゃねぇ・・・。」
俺の口からついて出たのがこれだった。3つのエネルギー波がナインボールを襲う。
「うぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ナインボールの装甲がドロドロに溶けている。
「あの世に逝って俺の母に詫びて来い・・・。俺があの世に送ってやるからよ!!」
祐一の叫びとともにブレードがナインボールを真っ二つにした。
「やったぞ!!今のうちに核を!!」
ジャンが核のスイッチを指差す。俺はACを降りスイッチに駆け寄り押した。
サイレンが鳴り響き核弾頭が棺桶のような箱にしまわれる。
「お、終わった・・・。」
そして、祐一のほうを見る。労いの言葉をかけなくちゃな。しかし、そこには祐一のACがいなかった。エマに通信をかける。
「祐一は戻ったか?」
「えっ?帰ってませんよ。」
「なに?」
どういうことだ?祐一はどこにいったんだ?俺はミラージュ本社の方角に沈む夕日を見ながら祐一のことを考えていた。

エピローグ

ここはサイレントラインの空港。サイレントラインっていうのはここが昔そう呼ばれていたからだ。
俺はこの空港のロビーに立っていた。その時、後ろから声が聞こえた。
「どこに行くの?祐一さん?」
そこにはレナが立っていた。
「死んだんじゃなかった訳か。」
「あれはコウさんが思い込んだだけ・・・。それよりもどこに行く気?」
「俺が強化人間ってこと気づいたからさ。もうみんなの前にはいけない。強化人間は忌み嫌われるのが運命だからな。」
ふいに雨が降ってきた。雨が俺の頬を濡らす。
「コウにあったら伝えておけ。「くじけるんじゃねぇぞ。」ってな!!」
俺はそういって空港のロビーをあとにした。

終わり

あとがき

まずは、短かったながら読んでくださった人にお礼を申し上げます^^
最後に祐一が消えちまうわゼロが母の仇とか寂しい展開に・・・;;
次回作は楽しい展開にしてみたいなぁと思います。あと脇役に活躍の場を与えるとか・・・・。
作者:グレンさん