サイドストーリー

アルガイン破壊命令 前編

「……朝か…」

眩しい日の光で僕は眼を覚ました。
いつも通り洗顔をし歯を磨き、服を着替えた。
ただ今日の服はいつものとは違う。帰宅の際にセイバーから支給された制服だ。

「……これでいいかな?」

鏡の前で制服をきちんと直し、下へ降りて行った。

「おはよう母さん」

「おはようジャスティ」

いつもの挨拶だ。
そしていつも通り朝食をすませ。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

どうしてこんなに普通でいられるのか?それは僕が昨日母さんに頼んでおいたのだ。


『母さん、明日はいつも通りにしてて』

『なぜ?あなたの旅立ちの日なのに…』

『僕は帰ってくる。いつものように帰ってくるんだ。だから普段のまま行った方が別れる時さびしくないから』

『そう…分かったわ……』


ガチャ
ドアを開け僕はいつもとは違う道を歩んでいった。
そして長い事歩き基地に着くと、もうほとんどの隊員が集まっていた。

「ジャスティ!!!!少し来るのが遅いんじゃないのか!!!!」

「はい…申し訳ありません……」

「何ぃ!?聞こえんなぁぁぁぁ!!!!!」

「申し訳ありませんでした!!!!!!」

さすが軍隊…規律が厳しい。

「今日諸君に集まってもらったのは他でもない。君たちは今日この星を離れ、宇宙へ飛ぶのだ。
いまからでも遅くは無いぞ、心残りのある奴は即刻この場から立ち去れ!!!!」

一人として去るものはいなかった。

(そりゃそういわれたら帰れないだろう…)

「よし!!!!!でわ今から出航場所であるラトビア港に向かう。全員空港にある輸送機へ乗ってくれ。」

全員が輸送機に乗り込むとすぐに飛び立った。

「ジャスティ君」

機内で突然上官に呼ばれた。

「何でしょうか大尉?」

「君はまだこれを渡されていなかっただろう。」

と言いながら大尉は紙を渡した。

「これは……」

「それはアースセイバーだけが知っている、極秘の情報だ。
君も隊員の一人になっのだから知らなくてはならない事項になるのだ。熟読しておいてくれ。」

そこにはありとあらゆる情報が書いてあった。

AC
クストが極秘に開発した白兵戦用の人型兵器。
遠距離攻撃が不可能となった今、もっとも恐るべき兵器である。

AC『ボレン』
クストが始めて開発、量産に成功した機体。
宇宙空間での活動も可。
確認装備
・ マシンガン
・ 手榴弾


(これは前に僕が倒したACだな。しかし宇宙でも動けるなんて…)

AC『アルガイン』
クストのACに対抗すべく、アースセイバーが開発した試作AC。
反応速度、機動性能、装甲、それをとってもボレンよりはるかに性能が高く、万能な強さを誇る。
標準装備
・ 高出力エネルギーライフル
・ エネルギーブレード

(だからあんなに強いんだ)

AC『ショットビュアス』
アースセイバーの開発した中距離射撃型AC。
アルガインを援護するべく開発されたACであり、性能はアルガインよりやや劣る。
標準装備
・ 拡散ツインキャノン
・ エネルギーマシンガン

(これはまだ見たことがないなぁ)

AC『バーストビュアス』
アースセイバーの開発した遠距離射撃型AC。
ショットビュアスと同じくアルガインを支援するために開発されたACである。
その圧倒的火力から別名『動く砲台』と呼ばれているが、近距離での戦闘は苦手である。
標準装備
・ 4連装200ミリ大型キャノン
・ トリプルパルスガン

(これも見たことが無いな…)

AC『黒いの凶星』
クストの新型機。
戦闘中その姿を見たもので生還したものはいない。
詳細は一切不明だが、機動性能がボレンのおよそ3倍近くと推定される。
確認装備
・ マシンガン

(こいつは…まさか昨日の……)

色々見ているうちにいつの間にかラトビア港に着いていた。
そして僕たちは輸送機から降り、すぐさまその場に整列した。
その前には巨大な戦艦がそびえている。

「諸君!!!!君たちは今からこの船に乗るわけだが、ここでこの船の艦長を紹介しておく。」

「カーリッジステージ艦長のオーツ・アバだ。以後よろしく頼む。」

司令官に紹介されたのは、新米と言ってもいいほど若いエネルギーに満ちた将校であった。

「それと、先日の攻撃でカーリッジステージの操縦士がいなくなってしまった。
その代わりに急遽協力してくれたユネ・シーン君だ。」

「え!?」

突然の彼女の出現に僕は驚きを隠せなかった。

「彼女は操艦の知識が豊富であり、こちらとしても信頼できる人材である。」

「ユネ・シーンです。よろしくお願いします。」

声をかけたいけど今は駄目だ。

(しかし彼女は僕に気付いてるのだろうか?)

そんなことを考えながら僕は彼女を見つめていた。すると……
ウィーンウィーンウィーン
突然警報が鳴った。

『敵ACを確認!!!!総員ただちに迎撃体勢をとれ!!!!』

「敵襲か……全員すばやくカーリッジステージに乗り込め!!!!!」

司令官の合図で僕たちは大急ぎで船に乗った。
そして船内に放送が流れた。

『各自各部署に付いて指示を待て。ACパイロットは直ちに出動せよ!!!!』

先ほど渡された極秘ファイルの中にここの地図も書いてあり、もうお暗記してあるので迷わず格納庫へ行けた。


ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!
外ではセイバーの防衛部隊とボルンが戦闘を展開していた。
が戦車がACに勝てるはずも無く、次々に爆発していく。

『どこだ!!!!セイバーのACは!!!!!』

『隊長。あそこにある戦艦が目標を積んでいるようです。』

『よし!!!!総攻撃だ!!!!!』

ボルンたちは一斉にマシンガンを撃った。


ガガガガガガガガガガガ!!!!!!!
ボルンの攻撃により艦内は大きく揺れている。

「ハッチ開け!!!!アルガイン出撃!!!!!」

「アルガイン出ます!!!!!」
バシューーーーーーー!!!!!!
ブースターで勢いよく発進した。

「またこいつらか!!お前らなんて相手じゃない!!!!」

アルガインは手に持ったライフルで敵を撃った。
ズギュン!!!!
見事にヒット。
バゴーーーン!!!!!!!
ボレンは爆発した。

「1つ!!!」

『調子に乗るな!!!!』

ボルンが体当たりを喰らわせようと突っ込んできた。
アルガインはサッとそれをやり過ごし、背後からブレードを振った。
ズシュア!!!

「2つ!!!」

『おのれ部下のかたき!!!!!』

ボルンは手榴弾を投げてきた。がアルガインは気にせずブースターをふかして突っ込んだ。
そしてまだ空中にある手榴弾をキャッチし、空中からボルンにそれを投げつけた。

『なめるな!!!!』

ボルンはマシンガンを撃ち、それを壊した。その爆煙をかききってアルガインが突っ込んできた。

『ば……化け物め…』

ズシャア!!!!!
最後の1機も爆発した。

「3つ!!!!これで全滅だな。」

ピピ
通信が入った。

『ジャスティ!!!そいつらは囮だ!!こちらに黒い凶星が出た!!!大至急戻ってきてくれ!!!!』

(はめられた…!!)

僕はブースター最大出力でカーリッジステージへと向かった。
作者:エマイルさん