サイドストーリー

秩序
「がぁ! ド畜生め!」
 
弱いな・・・アリーナの2位もこんなものか
 
ただのミサイルを撃ちまくるだけの鉄の塊じゃないか、あんなものに当たるわけがない
 
この程度の敵(アリーナの2位だが)でも、二度と向かってこないように徹底的に叩きのめす必要があるな・・・
 
既に相手のAPゲージは赤く点灯している
 
奴は相変わらずミサイルを連発している、まぁミサイルしか搭載していないのだから当たり前だがな
 
飛来してくる4発のミサイルをかわしながら右腕のバズーカを連射する
 
相手グランドチーフの機体「ヘルハンマー」から炎が噴出す
 
しかし私は攻撃を止めない
 
・・・
 
これで奴はもう私に挑戦してくることはない
 
2位がこの程度だから1位も簡単に撃破できるだろう
 
3日後、私はアリーナのTOPであるロイヤルミストに挑戦した
 
私の予想に反して奴は凄まじい強さを見せた・・・
 
一見重装備に頼リきったようなACなのだが、パイロットの抜群の操縦センスで序盤私を圧倒した
 
カイザーは両肩装備のデュアルミサイルを発射した瞬間私のAC「タイラント」に急接近し、ショットガンとEOを確実に撃ちこんで来る
 
既に私の武装の弾は肩のグレネードの3発を残して0になっていた
 
しかしロイヤルミストの機体「カイザー」のAPはほぼMAXに近い数値を示していた
 

私は今まで負けを知らなかった
 
もちろんこれからも負けるつもりはない
 

そう、どのような手段を使ってもだ
 

私は強い。しかし私より強いものはこの世に何人もいるだろう・・・
 
私がランクBに挑戦し始めた頃・・・
 
私は相手の機体にひそかに細工をするようになった
 
「もしも」の時のためである
 
結局この瞬間まで「細工」が役に立つ事はなかったが・・・
 
私はパイロットスーツの裏に仕込んであるボタンを押す
 
何も起こらないように見える。外から見ればだが
 
この時点で「カイザー」の異常にきずいてるのは私とロイヤルミストだけだろう
 
私がした「細工」とは、ACのラジエータに仕込んである
 
スイッチが押されると特殊な電磁波が発生し、ラジエーターの機能を一時的に麻痺させ消滅する
 
当然ラジーエターが麻痺すればAC自体の温度は急激に上昇する
 
私は肩のグレネードを弾数がなくなるまで(たかが3発だが)撃ちこんだ
 
そのうち1発が「カイザー」の至近距離で爆発した
 
本来ならたいしたダメージではないのだが、機体温度を跳ね上げさせるためには十分だった
 
私はタイラントの全武装を外し逃げ回ることに集中した
 
恐らくカイザーが自滅するのに1分も必要としないだろうが・・・
 
予想どうり50秒後に勝負は決した
 
ロイヤルミストは私を訴えたくても訴えられないだろう。証拠がないのだから
 
しかし奴は試合終了後機体を調べる事をしなかった。ただ笑っていただけだったという
 
奴は「細工」に気付かなかったのだろうか? いや気付かないはずがない
 

一週間後ロイヤルミストからメールが届く
 

その内容はここでは語らないでおこう
 
それから私は「秩序」を作るために奔走した
 
「仲間達」と一緒に
 
努力の末私達はアリーナに、いや「グローバルコーテックス」に新しい秩序を作った
 

今日も数人のレイヴンがアリーナに足を踏み入れる
 
私はそのリストを確認する
 
その中に「エース」という名前があったが、まだ私は気にもとめていなかった
作者:レンブランドさん