第9話 決着…そして新たなる敵、出現!
新しいレイヴン紹介
本名 海神 航(みなかみ わたる)
レイヴンネーム ストリートエネミー
咲耶の彼氏。
その昔、同郷のレイヴンと共にレイヴンになった人物。その実力はレイヤード時代…
トップ10には及ばないものの常に上位をキープしていた実力派レイヴン。
しかし、そのころは金がすべてとゆう感情にとらわれていた。
しかし、地上に上がってからは性格が一変して、
温厚で自分が決めた女性は絶対に裏切らない熱血漢…でも、優しい
腕の方は衰えてる事は無く、むしろ今の方が強いくらい
咲耶とはゲームセンターで知り合い、そこで何度か対戦する内にしだいに
咲耶に惹かれていった純情青年。こちらもアリーナには登録されていない。
使用AC:ヴァンデット・マン
接近戦〜遠距離までどんな距離でも対応できる万能AC。
こっちも旧式のパーツでは現在のレイヴンには追いつけないため
レイヤード時代より武装の強化を計ってある
その武装は小型ロケット、高機動型ミサイル、そして前の機体から使用している
強化ライフルにブレードとなっている。
接近戦〜近距離戦はブレードとライフル、ロケットで攻撃し
近距離戦〜中距離はライフルで牽制し、高機動型ミサイルを当てていく
中距離〜遠距離はロケットとミサイルで牽制して様子を見る…といった感じ。
しかし、ある性能に特化された機体には苦戦を強いられる事になる
真夜中の無人AC建設基地前…そこにACが4機集まっていた…
さて、その内訳はと言うと…
努「さて…ここが例の基地か…」
鈴「うん…そうだよ、努」
辰「しかしなんだ…ご丁寧にも周りにACを配置してやがる」
春「これは少し厄介ですね…」
努、鈴凛、辰也、春歌となっている
鞠「だけどこれだけの無人ACを操るには…」
咲「コントロールタワー…もしくはそれを束ねる有人ACが外にいるはずよね…」
努「…多分、人が乗り込んでいるACは一機…レニッシュだけだと思うから」
鈴「そうだな…基地内部からじゃ無人ACをコントロールする事はほぼ不可能になるね」
辰「だったら残された選択肢は一つ…コントロールタワーだけだな…」
春「えぇ…それさえ壊してしまえば侵入も楽に行えますね」
努「よし!全員でまずはコントロ「あっ、ちょっと待って兄さん」
努の言葉が咲耶の通信にさえぎられる
努「なんだよ咲耶…急に」
咲「もう少し待って…戦力は多い方がいいと思って彼に声かけといたんだよ」
辰「彼って…誰の?」
努「そんなもん…咲耶の彼氏に決まってるだろ…」
鞠「ん?レーダーに未確認機が接近してきます…これですか?」
咲「あ〜これこれ…もしも〜し聞こえる?」
???「うん、聞こえる聞こえる…やっと通信が出来る所までついたよ…」
漆黒のACが一機、闇に紛れて努達に合流する
???「いやはや遅れてしまって申し訳ない…お義兄さん」
努「俺はまだそんなふうに呼ばれる筋合いは無いぞ!」
辰「まぁ、そんな事はいいからとりあえず自己紹介してみてくれ」
???「あっ、はい…本名は海神 航、レイヴンネームはストリート・エネミーです」
辰「あぁ、よろしくな…オレは…」
航「辰也さんでしょ?そのオペレーターさんが鞠絵さんでこっちのACに乗っているのが
自称、辰也さんの婚約者の春歌さん」
辰也達が自己紹介をはじめる前に航はスラスラと名前を答える
辰「な、なぜオレ達のこと知ってるんだ?」
航「いろいろ咲耶からよく聞くんだ。おもしろい人がたくさんいて楽しいよ…ってね♪」
努「最近電話が長いと思ったら咲耶…そんな事話してたのかよ…」
鞠「ところで咲耶さん…勘違いもいいところですよ…」
よほど婚約者とゆうのが気にさわったらしく鞠絵の口調は威圧感に満ちていた…
咲「そ、それは…その…」
春「そうですよ咲耶さん!ワタクシ、自称じゃありません!」
鞠「突っ込む所が違いますよ!春歌さんはただの…」
辰「おまえら通信で口げんかするなぁ!」
努「はぁ…いつもの事だからこいつ等の事は気にすることはない…」
辰「ははっ…ホントにおもしろい人たちだ…僕も、あの頃にこんな人達に会えてたらな…」
咲「えっと…うん、予想どおり♪…兄さん、航、タワーの位置が確認できたよ」
物思いにふける航をよそに咲耶がコントロールタワーの位置を探し当てる
努「お、そうか…で、どこにある?」
咲「タワーの数は2本、位置は基地の真東に1本とその反対側にもう1本あるみたいね」
辰「それで…どうやって行動するんだ?」
いつのまにか鞠絵と春歌の口喧嘩は終わっていたらしく辰也が会話に参加する
鞠「全員で行動すれば個別に破壊はしやすくなりますけど…これは効率が悪すぎますね」
春「そうですね…やはりここは二手に分かれて両方を同時に当たるのがよろしいかと…」
こんな時だけ鞠絵と春歌は妙に仲がよい
努「そうだな…じゃあ、辰也に春歌…そして航が小隊を組んで西のタワーを破壊してくれ」
鞠「えっ…しかしそれではそちらの戦力が…危険です」
努「そんなもん、俺と鈴凛でならなんとかなる…心配するな」
辰「それなら…オレは、お前の腕を信じる!こっちはまかしておけよ!努!」
春「すぐにでも塔を破壊して合流しますから…それまで持ちこたえてください」
航「努さん…この間みたいな油断は禁物です…だから」
努「安心しろ…俺は必ずレニッシュを倒しに行く…それよりそっちこそ油断はするなよ」
鈴「特に、航!…あんたが死んだら悲しむ人がいる…だから、どんな事があっても…」
努「そう…必ず生きて帰ってくるんだ…一番お前の事を心配してる奴がここにいる」
咲「航…お願いね…」
航「へっ?…わ、わかりました!この海神 航、必ず生きて帰還します!」
努「よし…じゃあ、お互い目的の塔の破壊が完了しだい合流だからな」
辰「わかってるって!」
春「了承しました!」
航「それじゃ、咲耶…行ってくるよ」
咲「気をつけてね…航…それに兄さんも…」
努「あっ、それと最後に言っておくが…必ず全員生きて帰ること…いいな?」
辰・春・航「「「了解!」」」
こうしてお互いの無事を約束してそれぞれわかれていった…
数分後…努、鈴凛ペアはもうすでに例のコントロールタワー付近に到着している
努「あれか…しかし妙だな…ここまで来るのに無人機に一機も会わなかったとは…」
努の言うとおりここまで来るのになぜか敵無人機との戦闘は無かったのだ…
鈴「たしかに妙だけど…今はそんな事にかまってる場合じゃないよ」
咲「周りにはACの反応は無いみたいだし…兄さん、さっさと塔を破壊しちゃいましょう」
努「そうか…それなら鈴凛、1発頼むぞ」
鈴「わかった…標準セット…行け!」
鈴凛の機体から大口径グレネード弾が発射され、目標のコントロールタワーを破壊する
努「目標…撃破完了!…どうだ?これで半分の動きが止まったはずだが」
コントロールタワーを破壊すれば普通、無人機はコントロールを失って機能が停止する
咲「えっと…なっ!?無人ACは…止まる気配が無い!?」
努「なんだと!?」
しかし、なぜかその無人AC達は止まる事は無かったのだ
咲「しかもこれは…西の塔に敵全部隊が集結してる!そんな…」
鈴「くっ!こっち塔はダミー…計られたのか…」
努「咲耶!今すぐ達也達に通信を入れろ!敵全部隊がそっちに向かってるってな!」
咲「りょ、了解!…辰也さん!聞こえますか!」
辰「…こちら辰也…どうしたんだ?血相変えて…それよりそっちはもう…」
咲「そんな事はどうでもいいの!今、そっちに敵全部隊が向かってます!」
鞠「なんですって!?と、ゆうことはそちらの塔はダミーだったのですか…」
その言葉一言だけで鞠絵は勘付いていた…ある意味スゴイ
努「とゆうわけで…これから俺達もそっちに向かう…そこで消耗戦を展開するぞ」
努が妥当な作戦を提案するが…
辰「いや…努達はこのまま基地内部に侵入してくれよ」
春「そこで敵首謀者レイヴンの撃破をお願いいたします…」
航「ここは僕達に任しといてください」
辰也達はそれを拒んだ
努「なっ!?お前等正気か!?」
航「はい…だっていざ敵ACを撃破せん…って時にみんな弾切れなんて嫌でしょう?」
努「そ、それは…そうだが…」
辰「大丈夫…最初に約束しただろ?」
春「必ず生きて帰る…と」
航「それとも僕達の腕がそんなに信用できないですか?」
みんなそれぞれの言い分を言う
鈴「はぁ…まったく…努、ここはみんなに任せようよ」
なにかを諦めたように鈴凛が努に話しかける
努「みんな…決して無茶をするな…あくまで最優先はコントロールタワーの破壊…」
咲「見つけたらすぐに破壊して…危なくなったらすぐに撤退してくださいね」
鈴「中にいるあたし達のことは気にしないでさっさと逃げるんだよ」
努「それじゃ、行ってくる…」
辰「あぁ…二人も気をつけてな」
春「ご武運を…」
鞠「…大丈夫です…なんかそんな感じがしますから…きっと」
航「心配するだけ無駄だと思いますが…死なないで下さい…咲耶のためにも」
努「ふっ…すまないな…じゃ、切るぞ…」
そう言って努は通信を切った…その時もう辰也達への不安は完全に消えていた
努「それじゃあ、咲耶…扉を開けてくれ」
咲「はいはいっと…よし!ハッキング成功♪開いたよ」
ロックされていた扉が機械的に開いていく
鈴「さ、努…侵入開始だ」
そう言って2機のACが基地に内部に侵入していく
努「咲耶、ちょっといいか?」
咲「ん?なに、にいさん?」
内部に入って少し歩いてから努は咲耶に呼びかける
努「この前みたいにジャミングがかかるかもしれない…その時は迷わず
外にいる航のサポートの周ってくれ…いいな」
咲「うん、わかった…でもどうして?」
努「まぁ、言いたいことはこれだけだけど…」
咲「えっ?何よ…言いたいことって…」
努「もし俺達に何かあったら…航を頼れよ…咲耶」
鈴「咲耶…航と幸せにね…」
咲「な、何言ってるのよ?兄さん、鈴凛さん…そんな今から死ぬみたいな事を…」
努「なぁに、心配する…すぐ…かえってく…あんし…おっと…ここま…」
雑音と共に努からの通信が完全に切れる
咲「に、兄さん!?」
鈴「咲…あなたと…っしょにいられ…たのしか…あっ、あ…しも…こまでみ…じゃ…ね…」
鈴凛からの通信も努と同様、雑音と共に完全に切れる
咲「そんな!鈴凛さんまで…なんで…二人とも…」
その時咲耶はさっき努が言った言葉をやっと理解した…
二人はもう…死ぬ覚悟ができていた事を…
それは最悪…レニッシュと刺し違えることを示していることも…
咲「兄さん…鈴凛さん…わかってたんだ二人とも…こうなるって…でも、兄さんは
最後に…言ってたね…すぐにかえって来るって…」
だが努は最後にちゃんと咲耶に言っていた…
努「まぁ、心配するなすぐに帰ってくるから安心して待ってろ…」
ジャミングで最後まで聞こえていなかったが…努は最後にこう言ってたのだった…
咲「…あの時も…ボロボロで死にかけてたけど…ちゃんと帰ってきてくれた…
だから…だから今回も…帰ってくるって…信じてるよ…兄さん…」
こうして涙を流す咲耶を残し努達は基地内部へと向かっていたのだ…
基地内部で…
鈴「本当によかったのか?…あんな言い方で…」
奥へと続く通路を2機のACがにぶい金属音をたてて歩いている
努「あぁ…誰も兄の断末魔なんて聞きたくないだろ?」
鈴「それはそうだが…しかし」
努「それに…あいつには航がいる…まぁ、俺が死んでも大丈夫…」
鈴「大丈夫なわけないよ!」
努が言いかけていると急に鈴凛が怒声を上げる
努「なっ…」
鈴「いくら航でも…努の代わりになんかなる訳ないだろ!…努は一人しかいないんだから」
努「……」
鈴「あいつにとっての兄は努だけ…だからもう、そんな弱気なことを言わないでよ…」
努「…すまない…俺とした事がいつのまにか気が滅入ってようだ…」
鈴「それに…それに努が死んだら…あたしは…」
努「わかってる…もう大丈夫…俺は絶対に死なない。咲耶を…そして、鈴凛を残してはな」
鈴「うん…じゃあ一気に行こうか…レニッシュの所に!」
努「あぁ…オーバーブースト点火!」
鈴「3…2…1…」
努・鈴「「0!」」
こうして二つのACが基地の最奥へと向かっていった
所変わって基地外部のほぼ同時刻に…
辰「ハァ…ハァ…おい鞠絵…オレの装甲はまだもつか?」
鞠「辰也さんの機体損傷率は…27%、まだまだ大丈夫です…けど辰也さんの方が…」
かなりの戦力を相手にしているため、このままでは機体より辰也の方が持ちそうにない
春「辰也さん…無理はいけません…ここは…」
辰「いや…オレはまだ大丈夫…それより航の方が…」
航「…ハァ…ハァ…ゲホッゲホッ!ふぇ…な、なにか…?」
航は辰也以上にスタミナを切らしていて今にも倒れそうだ
鞠「あの…少し後ろに下がってもいいですよ?航さん…」
航「ハァ…な、なんのこれしき…まだまだいけま…グハッ!」
春「強がりを言わないで下さい…さ、ここはワタクシ達にお任せして…」
辰「…そ、それよか…春歌」
春「はい?なんでしょうか?」
辰「なんでお前だけ…息切らしてないんだよ…」
辰也や航と同じように動いていたはずの春歌は…まったく息を切らしてないのだ
春「なんでって…みなさんとは鍛え方が違いますからこのくらい平気です♪」
航「へ…平気って…」
辰「どんな鍛え方なんだよ…それよか、今日はどうしてあの二人はいないんだ?」
辰也に言うあの二人とは裕紀と義大の事だ
鞠「そう言えば…事情を話せばこれくらいのミッション引き受けてくれそうなのに…」
春「なぜでしょうかね?」
咲「今日はデートらしいよ、二人ともね」
いきなり咲耶が話しに割りこんでくる…しかし、いつもの咲耶より覇気が感じられない
航「へっ?さ、咲耶!?なんで…」
咲「あっ…う、うん…なんでって…それは…ちょっとしたアクシデント…かな」
いつもと違い咲耶の口調はしっかりとはしていなかった
辰「咲耶…それ以上は話さなくてもいいぞ…だけどあいつら…何やってんだよ」
それを聞いて辰也が話をそらす…恋愛感情は無いが辰也と咲耶の付き合いは長い
鞠「裕紀さんは千影さんと…義大さんは守さんと…って、所ですね」
咲「さすがは鞠絵さん…カンが鋭いね」
春「カンもなにも…」
辰「まぁ、予想どおりの展開だがな…」
鞠絵の答えに辰也達は納得する…もちろん航も納得している
咲「それより航…今から私がサポートするから…よろしく」
航「…深くは追求しないが…努さんのサポートはどうするの?咲耶…」
咲「兄さんには…鈴凛さんがついてるから大丈夫…そんな事より航!右から来る…!」
そう咲耶が言った瞬間、航の機体の真横からマシンガンによる銃撃が開始される
航「わっ、わっ、わっ!っとと…ふぅ、これ以上、無駄話は出来そうに無いみたいだね」
航はそれを間一髪でかわしつつ反撃体制に入った
辰「あぁ、団体さんの…お出ましだ!」
春「さぁ、いきますよ!」
鞠「敵機総数は…13機…ですが、倒せない数ではありません…がんばってください!」
咲「目標は全機撃墜…って、辰也さん…左真横…見てください」
辰「ん?なにがあ…!おい、あれってまさか…」
咲「全然気づかなかったけどあれが多分コントロールタワー…だよね?」
辰也の機体の射程内にいつのまにか目標のタワーが現れていた…
現れたと言うよりもみんながそれに気づかなかっただけである
春「えっと…辰也さん…一発で決めてくださいよ」
鞠「この距離でしたら…はずせませんよね?」
鞠絵と春歌が塔に一番近い辰也を急かす
辰「はいはい…う〜ん…だけど、こんな簡単に終わっていいのかな…?」
航「そんなこと気にしない気にしない♪」
辰「わかった…じゃあ、目標セット…発射ぁ!」
辰也の機体から発射されたエネルギー弾がタワーの中心部を撃ちぬく…
それと同時に無人機の動きが一斉に止まった…
鞠「敵AC…全機沈黙しました…作戦成功です!」
鞠絵が歓喜の声を上げる
航「よし!じゃあ早く努さん達を追いかけ…」
咲「な〜に言っているの航…もう武器はほとんど弾切れじゃない…」
航「あ、あれれ?いつの間に…」
辰「オレも…有人機相手…レニッシュを相手にこんなもんじゃちょっとキツイかな?」
春「ワタクシは…辰也さんと同じくですね…」
さすがに消耗戦を繰り広げていたため知らず知らずの内に弾切れになっていたのだった
鞠「しかたありませんね…それじゃみなさんで努さんと鈴凛さんの帰りを待ちましょうか」
咲「へっ?で、でも兄さん達が…」
鞠「…らしくありませんよ…」
咲「えっ…」
鞠絵によって咲耶の言葉がさえぎられる
鞠「いつもの咲耶さんなら必ず…必ず努さんは無事だと言いきっているはずです」
咲「……」
鞠「…努さんに何があったかは知りませんけど、今は努さん達の無事を信じましょう…」
咲「うん…私も…いつのまにか気が滅入ってたのかな?…でも、もう大丈夫だよ♪」
鞠「その調子です…それにあの人の事だから死んでも死なないんじゃありませんか?」
咲「ふふっ…それもそうだね…兄さんはいつもそんな感じだよ」
鞠絵との会話でいつのまにか咲耶は元気を取り戻していた
辰「努のやつ…ひどい言われ方だな…」
その会話を聞きながら辰也はそうぼやく
春「とは言っても…努さんはみなさんに信頼されているのですね」
辰「しっかしあいつには…努には人を集める力でもあるのかな…」
航「そう…ですね。現に努さんによってみんなここに集まっている…」
辰「まっ、集まらなかった奴もいるがな」
苦笑しながら辰也が言い放つ…
春「えぇ…それにみなさんは努さんがいたからこそ出会えたかもしれませんからね」
辰「あぁ、そうだ…それだからあいつは死んじゃいけない…あいつが死んだらオレ達は…」
そんな感じで辰也達は無事に基地周辺の制圧に成功していた…
基地最深部で…
努「ここにやつが…レニッシュがいるのか…」
鈴「たぶん…ていうかここ以外全部調べたし…」
努達はある部屋ある部屋全部調べていたのだ…どうして調べてたかと言うと…
努「あいつ…全部の部屋にダミーを仕掛けとくなんて…」
鈴「暇だったのか…おちょくられてたのか…はぁ…」
全部の部屋にACダミーが仕掛けられており、努達は見事に引っかかったのである
努「だけどもう後はここだけだ…それじゃ開け…ん?」
鈴「どうしたの?努、早く開けて…」
努「ロックされてる…それに扉のコントロールパネルが見当たらないな…」
鈴「そんな事だったら…努、どいて」
それを聞き終わった瞬間鈴凛がグレネードランチャーを構える
努「あぁ、一発かましてくれ!」
鈴「砕けろ!」
本日2度目のグレネードが火を吹く…しかし
努「なっ…壊れてない…だと?」
鈴「まさかこれほどの強度の物質があるなんて…どんな物質なんだ…」
その扉は少しひびが入った程度で壊れる事は無かった
努「最後の最後にこんなものを仕掛けてあるとは…だが、詰が甘いようだな」
鈴「…なにか策があるの、努?」
努「あぁ…鈴凛、信管抜いたグレネードの弾を出してくれないか」
鈴「――?わかった…でも、こんなものでどうするんだい?」
努に従い鈴凛はグレネード弾を出す
努「これを扉の近くにおいて――っと…じゃ、これに向かってもう1発頼む」
鈴「なるほど…そうゆうことか…的がちょっと小さい…けど、外さない!いくよ!」
鈴凛は努の狙いどおりグレネードを同時に爆発させる
努「一発でダメなら同時に爆発させればいい…よし、開いた」
鈴「ふぅ、まさかこんな事でグレネード弾を4発も使うなんてなぁ…」
予想以上に高価な弾を使ってしまったため鈴凛がそうぼやき始める
努「まぁ、ぼやかない…ん?前方に敵影…どうやら殺る気満々らしいな…レニッシュ!」
グレネードの爆風の中に1つの機影…それはこの前の謎の無人AC大量発生事件…
そしてこのAC工場占拠の首謀者レイヴン…レニッシュの機体が静かに立っていた…
そこは地下なのにかなり広い空間になっている
舞「ふん…やっと来たか…侵入してからずいぶんと迷っていたみた…ぐぅ!?」
挑発気味に舞(レニッシュ)が言う…が、途中で急に苦しそうにうめき声を上げる
鈴「そんな演技で騙されないよ…覚悟なさい!」
それを気にせず鈴凛が殺気をむき出しにする
努「まて鈴凛…ほんとに様子がおかしいみたいだぞ…」
舞「ぐぅ…ああぁぁ!…く、わ…たしを…はやく…うぐっ…はや…あぁぁ!うっ…
はぁ…はぁ…ちぃ、まだあいつの意識が残ってたのか…」
鈴「い、今のはいったい…?」
努「まさかあいつ…強化人間の汚染か!?しかもまだ、まともな意識が残っている…」
鈴「なっ、なんだって!?」
舞「ふぅ…邪魔が入ったが…さぁ、またわたしを楽しませてくれ!」
動く気配の無かった舞の機体がブーストを吹かし努達に接近してくる
努「…鈴凛、悪いが少しの間だけ時間を稼いでくれ…頼む」
鈴「努…わかった。だが長くはもたないよ…さぁ、あんたの相手はあたしだ!こい!」
鈴凛の機体が努の機体より1歩前出る…
舞「なんだ…努じゃないのか…お前ごときにわたしの相手はつとまらない…どけ!」
鈴「それはやってみないと…わからないよ!」
鈴凛の機体から先制のレーザーキャノンが発射される
舞「ふん…その程度…なっ!?ぐぅぅぅ!」
舞が避けた所にピンポイントにミサイルが飛んできて…舞の機体に数発ヒットしていく
鈴「油断大敵…そっちも全力で来な!」
そう言って鈴凛が舞を挑発し始めた
舞「なかなかの腕…気に入ったよ!努の前に貴様を先に相手してやる!」
鈴「別にお前なんかに気に入られても全然嬉しくないよ!」
激しい戦闘が行われているかたわらで努はというと…
努「システムチェック…チェック項目は強化人間汚染度…そうだ…演算…早く…
このままじゃ本当に鈴凛がもたない…だから早く!」
強化人間汚染度…その名のとおりどれだけ強化人間に汚染されているかを測る
基準値である。ちなみに普通の人は0〜5%で70%辺りを超えると危険領域である
努のACには特別に汚染度をチェックできる装置が搭載されていたのだ
努「早く割り出せ!…くっ、鈴凛…もう少しだ…くそっ!!!」
鈴「うわぁぁぁぁ!!!」
努の目の前で行われている戦闘は…圧倒的だった…完全に舞のペースに入っている
舞「どうした?まだまだこれからだぞ?」
鈴「うぅ…少し当たり所が悪かっただけ…まだまだいくよ!」
この状態ではほとんど鈴凛に勝ち目はない…だが鈴凛は努を信じて再び戦いはじめる
努「割り出し…完了!結果…汚染度67%…まだ、助けれる…よし!鈴凛、またせ…!」
解析が終了し、外部モニターに目をやった努が見たものは…
鈴「ぐっ…努…遅かった…ね…」
舞「ほう…やっとお前が出てくるのか…待ちくたびれたぞ」
すでに大破しかけた鈴凛の機体と悠然と立ち尽くす舞の機体だった
努「鈴凛!…すまない…こんな事させてしまって…あの時約束したのに…」
鈴「だ…いじょうぶ…だよ…これくら…」
努「もういいよ…それ以上は言わなくて…おい、レニッシュ!今度は俺が相手だ!来い!」
舞「ははっ!やっと貴様と決着がつけれる…ふふふ…あはははっ!」
舞は狂喜の笑い声を上げながら目標を鈴凛から努に変える
努「鈴凛…隙をみてやつにグレネードを1発当ててくれ…そうすれば多分、助かる」
鈴「う…ん、わかった…じゃあ、気をつけて…ね」
努「…さて、この前の決着をつけるぞ!レニッシュ!」
舞「くくく…もう一度見せて上げるよ…絶望をね!」
2機のAC…2機とも前回の戦闘から大幅に改造されている…特にレニッシュの機体は
完全に強化人間使用の物に調整されており…肩には鈴凛もミッション時に使用している
高威力レーザーキャノンにバランスのいいチェインガンを搭載
腕には高威力ライフルと3連射撃が可能なアサルトライフルを装備している
努「まだ助かる余地はあるんだ…だからその体を開放さしてみせる!」
舞「何を言っている?この体はもう助からんよ!ははっ…これでもくらいな!」
舞の機体の肩から高出力のレーザーが発射される…しかも空中を飛びながら…
努「くっ…キャノン発射姿勢制御…強化人間の能力の一つか…」
空中から雨のごとく降り寄せるレーザーを努はかろうじてかわしていく
舞「ふんっ…まだ無駄口を叩く余裕があるのか?それならこっちはどうだ!」
舞は当たらないレーザーをたたみ反対に装備されているチェインガンをかまえる
努「…滞空効率の最適化…これもたしかそうだったな…」
またも空中から発射される1発の威力がマシンガンとは比べ物にならない
強力なチェインガンを冷静に…かつ的確な動きで努はかわしていく…
舞「…おい…なぜ反撃をしてこない!かわしてばかりでは話にならん!」
舞の言うとおりさっきから努は回避に専念しているだけだ
努「…力の過信は負けにつながる…今お前はその状態…強化人間の能力に頼りきっている
今のお前は俺には勝てないな…」
なにかもう、呆れたかのように努が言い放つ…が、もちろんこれは舞を挑発するためだ
舞「なっ!?貴様ぁ!!わたしを侮辱するのか!!!」
案の定、舞がその言葉に激怒し…空中から地上に降りてくる
舞「許さん…もう許さんぞ!貴様を…貴様を完全に消滅さしてやる!!覚悟しろ!!!」
舞が挑発に見事に乗ってものすごい勢いで努に突っ込んでくる
努「かかった…鈴凛、今だ!」
しかし努の機体が横に飛ぶとその後ろには…
鈴「待ってました!オーバーブースト点火…3…2…1…0!」
いつのまにか鈴凛の機体がグレネードを構えて隠れていたのだ
舞「な…にぃ!?」
鈴「いっけぇ!!!」
鈴凛がすれ違いざまにグレネードを発射し…見事に直撃させる
舞「ぐわぁぁぁ!!!うっ…今…です…早く…あのパーツ…を…抜き…取って…くださ…」
絶叫を上げたと思ったら舞の口調が一変していく…
努「わかったぁ!」
努が舞の機体の内部にACの腕を突っ込み…オプショナルパーツを強引に1つ抜き取る
舞「あ…あ…!あぁぁぁ!いやぁぁぁ!?わた…消える…のか…?そん…なぁぁぁ!!?」
抜き取った瞬間に舞が声を張り上げ…そして反応を示さなくなる…決着がついたのだ!
努「ふぅ…ついに…終わったか…」
鈴「うん…それより努…それは?」
努「ん、これか?これは…OP−INTENSIFY…強化人間になるのに必要な
禁断のオプショナルパーツ…これを装備すれば誰でも強化人間になれるものだ」
努が詳しくそれの説明をする…
鈴「そうなんだ…だけど今回は暴走とは違うみたいだったが?どうし…」
???「舞!…間に合ったか」
いきなり謎の人物から通信が入る
努「誰だ!?…ん?貴様達はこの間の…あの時連絡を取ってくれたACなのか?」
いつのまにか青色と黄色の機体が部屋の扉があった場所に立っていた
???「うん、そうだよ…とりあえず舞姉ちゃん!」
???「舞…!舞、おい!しっかりしろ!」
舞「…う…あ…ううん…あ…れ…?伸次…さんに…忍…ちゃん?どうして…ここに…」
舞の口調はさっきとはまるで別人のように穏やかな口調だった
伸「そんな事はどうだっていい…よかった…無事にお前が元に戻ってくれて…よかった…」
忍「うん…ほんとによかったよぉ…」
努「えっと…あ、あの〜…2人はレニッシュとどうゆう関係なんだ?」
いきなりぶっ飛んだ会話に取り残されていた努が入りくそうに話しかける
伸「関係って…それは…」
舞「う…うん…それ…は」
忍「伸次兄ちゃんと舞姉ちゃんは婚約してるんだよ」
答えにくそうにしている伸次と舞を無視して忍が簡単に答える…
努「そうだったのか…てゆうかどうしてここにレニッシュがいるってわかったんだ?」
伸「ん?それは…道に迷っていたらたまたまACが3機固まってて道を聞こうとしたら…」
???「“あ〜あ…努のやつはやくレニッシュ倒して帰ってこないかな…暇だ…”」
伸「って聞こえてきて、もしかしたら…と思ってきた来たんだ」
努「そっか…そういえばみんなを待たしてたんだよな…」
鈴「あぁ、はやくこの基地から脱出しよう…」
伸「まぁ、こんな所に長居は無用だし…こっちはこっちで先に帰らしてもらうぞ」
忍「舞姉ちゃん…立てる?」
舞「ありがとう忍…動力炉は外れているみたいだから大丈夫みたい…よっこいっしょ」
煙りを出しているにもかかわらず舞の純白のACはちゃんと立ち上がって歩き出した
努「ちょっとまってくれ…聞きたい事が1つあるんだが…」
伸「…すまない…また今度にしてくれないか?今は一刻も早く舞を帰したいんだ…」
レニッシュ…舞の機体は動けてはいるものの、それがやっとに見える
鈴「あっ…わかったよ…努、また今度連絡をいれればいいんじゃないの?」
努「そうだな…すまない、呼びとめてしまって…また今度連絡を入れる…」
忍「じゃあ、連絡先教えておくね♪連絡先は……だからね」
鈴「うん、ありがとうね…それじゃあ…お大事に」
伸「…じゃあ、舞…行くよ」
舞「はい…それではみなさん…またお会いしましょう…」
こんな感じで無人AC事件は幕を閉じていった…
とある場所で…ACのコックピットの中から今の出来事の一部始終を見ている男がいた
???「レニッシュ…奴ほどの実力者がやられるとはな…もう少しで我と同じ
完全な強化人間になれていたのに…やはりあの時やつは殺しておくべきだった…
まぁいい、今は泳がしておく…だが我に会ったその時は…
ワルキューレと同じ場所に送ってやるぞ…」
その男の正体は…
???「この最強のレイヴン…エースが引導を渡す時まで!せいぜい生き延びて…
強くなるんだな!稲垣 努…それに鳳城 鈴凛!ふふふ…はっはっはっは!」
その男は努の宿敵…そして可憐の仇である…あの、エースだったのだ…
第10話に続く…
作者:キョウスケさん
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