サイドストーリー

過去
俺は暑い夏…偽りの夏の日差しの中公園のベンチに座って過去を思い出していた。
俺の名はウエイクアップ。少し前はDランクでもいい線を行っていた。
そう、奴と戦うまでは…
 
 
俺は1週間ほど前にD-10に勝ち上がった。かなりの快進撃で自分でも調子に乗っていたんだと思う。
ある日俺に挑戦をしてきた新人がいた。名前は登録していなかったようだ。だがACの名前だけはついていた。
 
『さあ、これからウエイクアップ選手と名無しの挑戦者の戦いが始まろうとしています!
 始めに各選手の紹介をしておきます。
まずはウエイクアップ選手、最近D-10に上がってきた選手です!
次に名無しの選手!つい最近アリーナに登録された新人ですがぐんぐん成績をあげております!
それでは両者の入場です』
 
俺はそいつを見た。スナイパーライフルとグレネード、チェーンガン、それに月光を積んでいる中量2脚だった
「お前が挑戦者か…2脚なのにチェーンガンとグレネード積んでるじゃないか!そんなモン撃つには構え取らなきゃじゃないかよ!バカが!」
「…弱い犬ほどよく吠える…」
「んだと!ぶっ殺してやる!」
 
そのとき放送が入った。
『両者の準備が整ったようなので、試合開始!』
その運命の試合が始まった。
俺はブーストで移動しながら奴の姿をさがした。しかし奴は地上にはいなかった。
「なにっ!?」
奴は飛んでいた。青白い光を背中から出しながら。持ってはいないがそのブースタが何だかは解る。最近クレストから発売されたCBT-FLEETだ。
消費を考えずに出力を上げたため持続時間が短いという代物だ。とても空中戦が出来るようなパーツじゃない。
ロックされたという警告が鳴り響く。空中戦という事態に明らかに俺は動揺していた。
そんな中奴から高熱の塊が飛んでくる。左腕が爆風と共に吹き飛ばされる。バランスが崩れその場に硬直する。
「そんなっ!?2脚なのに…なんで構えないでグレネードがうてるんだよぉ!?」
そんな声もむなしくチェーンガンが構えられた。高速で弾丸が吐き出される。
逃げる暇もなく弾が機体をたたく。
「く、くそぉ…」
あちこちに被弾してボロボロになっている。ブースタに弾が当り機動力が低下する。
「ちきしょう!」
目の前には黒っぽい機体がSKYEYEのモノアイを光らせていた。
「やはりその程度か…」
奴から通信が入る。青白い光が頭から右腕にかけて袈裟懸けに切り払った。これで俺の機体は制御を失った。
「勝負はついた」と誰もが思った。しかし奴はグレネードの銃口をこちらに向けた。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」
塊が発射された。衝撃。そして意識を失った。
 
 
目が覚めると部屋にいた。病院だった。それから2日後退院した。
俺が目覚めるまで1ヶ月ほどたっていたようでアリーナの様子も変わっていた。その一位も…。
今まではBBだった。しかし今は奴だった。そう、俺を病院送りにした奴だ。
一位になったあと名前を発表したらしい。エースと…その愛機はアルカディア・・・。
眠っている間にとんでもなく差が開いてしまった。そして入院している間にランクも下がっていた。E-8へ…。もう俺の手は届かない。
 
また挑戦者が現れた。
そいつは名をゼーレ、AC名をリヴァイブ。過去の経歴一切不明ということだ。しかし機体の外見は初期機体とほとんど変わってはいない。
「勝てる」と思った。そのときは…。
 
『さあこれからウエイクアップ選手とゼーレ選手の戦いが始まろうとしています。
まずは選手紹介。
ウエイクアップ選手。2ヶ月前に現王者に敗退。ランクが下がっています。彼は返り咲くことが出来るのでしょうか!?
次にゼーレ選手。つい最近入った新人です。経歴一切不明。アデューとの対戦ではすばらしい動きでした。
それでは両者の入場です!』
 
「いつまでも負けてはいられない!勝たせてもらう!」
「俺もこんな所で負けてられないんでな」
 
そのとき放送が入った。
『両者の準備が整ったようなので、試合開始!』
 
戦いが始まった。
昔と同じくブーストで距離を詰める。するとゼーレは上にいた。青い光を出しながら飛んでいた…。
脳裏に奴…エースの姿が浮かぶ。ゼーレはマシンガンを放った。
リロードがチェーンガンとほとんど同じなため俺はチェーンガンと錯覚した。
「来るなぁぁぁ!?!」(あいつには絶対勝てないよ…)
「何だ!?何故こんなにも動揺している!?」
ゼーレは地上に降りるとデュアルミサイルに切り替えロックし放った。
俺の目はエースから初期装備の機体に見えた。ミサイルをぎりぎりのところで回避する。
「何っ!?急に動きがよくなった!?」
俺はハンドガンを連射する。
「おらぁ!食らえ!」(こいつなら…勝てるよ…)
ゼーレのAC…リヴァイブにあたり熱量を増加させる。
『ウエイクアップ選手の動きが急に変わりました!』実況が入る。
「ふざけんな!死ねよ!」
ゼーレはOBを発動させるとマシンガンを撃ちながら突っ込んだ。
「ぐ、あいつか!?やめろぉぉ!?」(やっぱりあいつには勝てないよ…)
各部に被弾し動きが鈍る。
「もらったぁ!」
ゼーレが密着してブレードを振りかぶる。俺にはあの時と同じように見えた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」(もうだめだよ…)
勝敗はついた。やはり奴のことがトラウマになっているようだ。
 
いつまで俺の傷は消えないのだろうか…いや、もう消えないのかもしれない。
そう思うと夏の日差しですらさびしく思えた。  
                               完  
 
イメージ変えてっつか前書いたのはすっげー駄作なので忘れてください。
今回(から)は一話完結の話にを書こうと思います。主役はやっぱりアリーナのランカーですがね。
作者:ZEROさん