サイドストーリー

AC3外伝B・C・G 〜夜・闇〜
あたりは暗闇と化していた。機械によって創られた闇・・。
レイヤードでは朝、夜などという表現は相応しくないかもしれない。でも暗闇になっても休まないモノがあった。
クレストの防衛施設では侵入者を待ち構えるように突っ立っていた。

そこに現れた一機のAC、物陰に隠れ、あたりをうかがっていた。
「・・・入り口が見当たりません。どういうことでしょうか?」
ACに乗っているパイロットは通信をしていた。
「クレストの奴らめ、おそらく地下に管理者のいる場所につながっているんだろう。警備している部隊はいくつだ?」
施設の周りにはチカチカ光るものがいくつも見えた。
「スコープで確認したところMTギボンが10機ほどにそれにスクータムDの3機小隊が5、
 あとは作業用機械ウェルダーが5台とMTディギーが10機、パワードスーツ部隊もいます。」
「なるほど、最低でも50弱はいるのか・・。施設外部にそれだけいるとなると内部にはその倍はいそうだな。
 クレストも往生際が悪い・・。サンダーハウス、とりあえずお前は外部だけの敵を襲撃しろ。あと少ししたらアサイラムも施設へ送る。」
通信を聞いていたアサイラムが立ち上がり準備をし始めた。
「了解。ではそろそろ・・・。」
サンダーハウスのACバトルフィールドが物陰からプラズマキャノンを構えていた。
「ふむ、幸運を祈るよ。」
通信相手のファルゼンは笑っていた。



暗闇の中から青白い光の砲弾がまっすぐ飛んでいく。その方向には施設周辺最前線のMTギボンの部隊がいた。
青白い砲弾は部隊の隊列を崩しながら真ん中にいたギボンに直撃をした。当たったと同時に砲弾は爆風にかわり
その爆風は隣にいた機も巻き込んだ。砲弾というよりエネルギー弾と言ったほうがいいかもしれない。
バラバラになった鉄の破片・・・煙・・・機体から燃え広がる炎。
ようやくMT部隊は施設に侵入者が近づいてるのを察知した。それぞれのMT部隊が隊列していく。
バトルフィールドのブースターが熱を帯びている。そして空中にあがりプラズマキャノンを構え照準をしぼっていた。
MT部隊もバトルフィールドの存在に気づくがこの暗闇では攻撃を受け、ただの鉄クズと化したギボンの燃えている明かりと
施設のライトしか頼ることができなかった。ろくにレーダーも装備されてなく、ただ見上げるだけだった。
ためしにMTディギーの1機がロケットを撃つが全く意味がない。
「MT部隊といっても大したことなさそうだな。」
サンダーハウスはそう言うと空中で浮いてるのをやめ、地上に降りてきた。
すると待ってましたと言わんばかりにギボンがレーザーブレードを構えて向かってきた。
バトルフィールドはブーストでブレードの射程距離外まで後ろに下がった。
「そっくりそのまま返してやるよ!」
すかさずバトルフィールドもブレードを出し前進していった。ギボンはバッサリと斬られ、これまた鉄クズと化していった。
1対1だと勝てないと判断したMT部隊は一列になってバトルフィールドに突っ込んできた。
「直線上に隊列して向かってくるとは部隊長も頭が悪いな!!」
直線上にプラズマキャノンを向けた。そして青白い光の砲弾を撃ち、爆風に巻き込まれないようにバトルフィールドは物陰に隠れた。
先頭の機は直撃しそのまま2列目に機も誘爆し、さらに3列目の機は爆風に巻き込まれ機体破損の状態まで陥った。






「遂にきたか・・。やはり夜・・いや・・闇にまぎれて襲ってきたか。」
内部から覗き込んでいたのは超精鋭部隊ラガターン隊の面々であった。
「隊長、MT部隊だけではとてもじゃないですが守りきれません。ご指示を。」
フグスの言ったことにラガターンはある方向を指差していた。その方向にはMT部隊の総指揮官機がいた。
「あれは・・カスタムMT・・総指揮には一体誰が?」
指揮官機は見た目からしてスクータムDを元にカスタムされたものだと思われるが大きさはスクータムDの2倍はある。
そしてその体に相応しいバズーカ砲と思われるものと両肩にはグレネードランチャーが、さらに左腕には実弾シールドが。
「あのカスタムMTはクレストで極秘開発中の大型兵器の試作機と言ってもいいだろう。
 指揮してる奴も大体わかるだろ?並程度の奴じゃアレは乗りこなせないだろ・・・・?」
ラガターンの言うことをあまり理解してないフグスに業を煮やしたガーベラが口を開けた。
「指揮してるのはMTオタクのドムルンクでしょ?あいつレイヴンのくせしてMTにばかり乗り続けていやがって。」
ラガターンも思わず「大正解!」と言いたくなるような察しの良さだった。
「ああ、ドムルンクはレイヴンとしては素人同然かもな。でもMTに関しては右に出る奴はいないだろう。」
フグスもガーベラも「たしかに。」と納得していた。
「まあとりあえず俺達はここで拝見でもしましょうや・・。」
そんな中、戦いはまだ続いていた。





「ドムルンク隊長!こ・・このままだとAC1機に全滅の可能性が・・!!」
焦りに隊員の声は震えていた。もうすでにギボン隊は全滅し残りは40機ほどとなった。
「ふん、腰抜けどもが!AC1機にてこずりやがって!俺が直々に引導を渡してやる!スクータムD部隊は隊列して俺と来い!!」
カスタムMTとスクータムD部隊は前進して行った。
「これで10機は壊したな、弾切れの心配もない。もっと手ごたえのある奴はいねえのか!」
バトルフィールドの猛攻にMT部隊は退却し始めた。そこへ例のカスタムMTが姿を現した。
すかさずバトルフィールドはプラズマキャノンを撃った。機動力の低いカスタムMTはあっさり直撃した、しかし手ごたえがない。
「シールド防御による破損率は0.5%・・、さすが俺と研究スタッフで造り上げた試作MT・・!」
スクータムDがバズーカを撃ってくる、それは充分に避けていたがそこにカスタム機の攻撃が加わると形勢は逆転しつつあった。
「ちっ、なんだこのデカブツは!?スクータムDとは比にならねぇ!」
今度はライフルでスクータムDを迎撃しつつ、カスタム機にも当て続け熱暴走をはかるがその装甲の硬さからは意味が無かった。
「笑止!」
そのままカスタム機は両肩のグレネードをバトルフィールドめがけ撃ち込んだ、バトルフィールドは避けきれず遂に被弾してしまう。
バトルフィールドの左脚は大きくえぐられ黒い煙と赤い炎を出していた、まさにさっきのギボンの感じを味わっている。
機体はそのままバランスが効かず情けなく倒れた。
「隊長!こうなればあとは私達で充分です!」
倒れもがき苦しんでるACにスクータムがとどめさそうとしていた。そんな時であった。
「あの動く明かりらしきモノは・・・?まさか、おい!待て!」
ドムルンクの言った瞬間、赤く所々に混じった黒い点はスクータムDを襲った。まるで太陽のごとく・・。
直撃したスクータムDは大爆発を起こし、辺りは黒い煙で覆われた。
「あれは大火力のデュアルキャノン!くっ・・煙で視界が・・・。」
煙が消えていくとACは1機から2機に増えていた。もう1機の正体はアサイラムの重量2脚ACギガントスであった。
「アサイラムか!すまねぇ15機ほど破壊したがそっちのデカブツが尋常じゃない強さだ、気を付けろ!」
MT部隊はおもわぬ敵の援軍に牽制し始めた。
「忠告ありがとよ!あとサンダーハウス!ファルゼンのボスからの伝言だ、もう行っていいそうだ!」
サンダーハウスもアサイラムのおかげでかなり気が楽になっていた。
「じゃあ、俺は行くぜ!後は頼んだ!!」


「ああ・・・あの世で頑張ってくれよ!!!」
アサイラムはそういうとギガントスの両手のデュアルキャノンをバトルフィールドに向けた。


「え・・・一体どういう・・?」
アサイラムは聞く耳を持たずデュアルキャノンを撃ち込んだ。直撃と同時に大爆発し、バトルフィールドの機体が吹き飛んだ。
クレストの防衛部隊もいきなりの仲間割れに驚いていた。
「隊長・・?一体どうなってるんですか・・?」
おもわず隊員の一人がドムルンクに聞くがドムルンクも全然理解できていなかった。

「さあ次は俺の番だぜぇぇ!!全部粉々にしてやるぜぇぇぇ!!」
アサイラムが防衛部隊に向かって叫んだ。まさに雄たけびである。

そんな激闘を繰り広げてる中・・・・。















「おい、あれがB・C・Gの言ってた奴らじゃないか?自分の仲間殺すなんてイカレてるぜ。」
ちょうど防衛施設から少し離れてた所で2機のACが偵察していた。

「一体≪アスタリスク≫ってどんな連中なんだ・・。なあお前もそう思うだろ?」
一人のやたら喋る男がもう一人の男に話しかけていた。

「・・・どちらにしろ敵であることには変わりない、俺はあの日から誓った・・・!」
もう一人の男は物静かそうだった。

「ああ、そうだったな。じゃそろそろ行くとしますか?」








また新たな戦いが始まろうとしていた・・・。
作者:RYOSUKEさん