サイドストーリー

正体不明部隊排除(前半)
「・・・くそっ、まだ昨日の疲れが残ってやがる。」
「ホワイトランス、大丈夫か?」
エクレールの実直な問いに俺は思わず顔をしかめる。
俺は今、ローダス地区北に存在する大災害以前の遺跡の中にいた。
今回の依頼の具体的な内容はこうだ。
”発信元・・・クレスト、報酬・・・30000Cr、
 レイヴン、我々が先日発見した旧遺跡の調査を行なってもらいたい。
 現在我々が建造中の施設近辺に大災害前の遺跡の存在を確認した。
 我社は早速、調査部隊を向かわしたが、遺跡内で謎の部隊と遭遇、交信を絶っている。
 同地区は豊かな鉱脈が存在し、なんとしてもこの脅威は排除しなければならない。
 また、この依頼は君の実力の確認でもある。レイヴン、よろしく頼む。”
「しかし、謎の部隊とやらがいると言うわりにはレーダーには反応は無し。静かなものだな。」
「油断するな。」
「わかっているよ。」
そうこうしているうちに俺とエクレールの機体はただっ広い大広間に出た。
目の前には意味不明のモニュメントが存在し、古いコンテナが所々に置かれている。
「・・・!、ホワイトランス!」
突然のエクレールの声に彼女の機体の向きの先を目に見やる。
「ブーバロス?多段装甲型MTか・・・」
そこにはクレストの物と思われる重装甲型MTの残骸が広がっていた。
それも1つや2つじゃない、原形をとどめているのだけでも5機はあるだろう。
「誰だか知らんが、厄介な相手らしいな。」
「ホワイトランス・・・、どうする?」
「そうだな・・・。ん?、エクレール!、散れっ!」
突然闇から一筋の光が俺達のいたところに突き刺さる。
なんとか反応が間に合い、間一髪で俺達はその光を回避した。
「くそっ!」
俺は光が飛んできた方へマシンガンの銃口を向けた・・・

「なんだあれは・・・」
それは見た事の無い敵だった。まるで虫のような6本の足、亀のようなフレーム・・・
何よりの問題は俺のマシンガンが敵の姿を捉えていない・・・ロックオンしていないのだ。
「ステルス装甲か!?」
それでも、俺は落ち着きはらってマシンガンを放つ。
弾丸は敵の装甲に突き刺さり、MTを確実に破壊する。
「ホワイトランス!」
エクレールの声に俺は後ろにいる彼女の方に向き直る。
そこには4、5機の先程のと同型のMTがエクレールの機体を取り囲む姿があった。
「食らえ!」
俺はマシンガンでその敵をなぎ払う。弾薬の消費が激しい・・・
「エクレール、大丈夫か?」
「ああ、だがこいつらは・・・」
「クレストの言っていた謎の部隊らしいな。」
MTの群れは先程にも増して数を増やしはじめている。
「こういった数で押してくるのが一番厄介だな。」
「愚痴をいっても仕方ないぞ。ホワイトランス、どうする?」
「仕方ないか・・・、エマっ!」
(ホワイトランスさん、どうしました?)
「現在、敵部隊と交戦中!数が多すぎる。クレストに連絡を取ってくれ!」
(わかりました。ホワイトランスさん、しばらくがんばってください。)
「努力するよ!」
俺はマシンガンで、エクレールはロケットでMTに対処していく。
だが、相手の数が多すぎる。弾薬がもってくれそうにない。
(ホワイトランスさん、通信です。)
「どうだ?」
(ええ、近くで護衛任務を行なっているレイヴンをまわすそうです。)
「どれくらいかかる?」
(十分以内には。ホワイトランスさん、耐え切れますか?)
「・・・弾薬は持ちそうにない。」
(・・・がんばって。)
まるで湧き出ていくようなMTの数に俺とエクレールは押されはじめていた。
マシンガンの弾幕が途絶える・・・弾切れか。
「ホワイトランス・・・」
「ああ、弾切れだ。そっちは?」
「ロケットはとうの昔に切れているよ。」
「行くか。」
俺はマシンガンを捨て、ブレードを構える。
初期ブレードだが、あのMTを破壊するくらいには十分のはずだ。
「エクレール、無茶は禁物だぞ。」
「私もお前に同じ事を言うつもりだったよ。」
俺の機体はうなりをあげて大軍の方へ向かった・・・

「次っ!」
MTの装甲にブレードを突き刺した俺は次のMTの方へ向かっていった。
同時にMTの放った光が機体の脇をかすめ、装甲を剥ぎ取っていく。
エクレールの方を向くと、彼女の機体も多少の損害を受けているようだ。
「・・・?」
その時、ふと気付いた事があった。壁に設置されているモニュメント、それには傷一つないのだ。
この戦闘の中で、あのモニュメントに流れ弾一つ当たっていないとは思えなかった。
「エクレール。」
「・・・ん?、どうした。」
「気になる事がある。少し、ここを任せられるか?」
「こちらの装甲には余裕がある。」
「頼むぞ。」
俺の機体はモニュメントへ近づく、俺の疑問は確信に変わった。
「こいつは・・・」
モニュメントの一部が透け、向こうに通路がある事が視認出来る。
「エクレール、モニュメントの奥に通路がある。こいつはホログラムだ!」
「何?」
俺の機体がホログラムの中に潜り込み、エクレールも数秒開けてそれに続く。
どうやら、MTの大軍はここまで追って来れないらしい、攻撃が止まった。
「ホワイトランス・・・、これは?」
「ああ、面白い物を見つけたかもしれんな。」
俺達はその通路の奥へと向かっていった・・・

その先で俺達は意外な物を見つけた・・・、それは過去との遭遇だった・・・
作者:ストライカーさん