Underground Party Epilogue ――遥かなる空――
「これが、本物の空さ――シェリル、感想は?」
「――ああ、綺麗だな」
傍らで笑うルクスを横目に、大きく息を吸う。
調整されていない自然の風が、シェリルの髪を揺らす。
「おっと・・・忘れていたな」
任務を終えた際の一服を、管理者の下では忘れていたのだった。
普段通りに煙草を咥え、火を点ける。
そうして、満足げな表情で紫煙を吐き出すシェリルに、ルクスが声を掛ける。
「なあ、俺にも1本くれないか?まだ吸った事無いんだよな、煙草」
「ほう、それならくれてやる」
ぽん、と渡された箱には、1本だけ残った煙草。
それを口に咥えてみたものの、普段吸わない人間がライターなど持っているはずもなく。
「シェリル、ライター貸してくれ・・・!?」
ジュ・・・と。
シェリルの咥えている煙草から、ルクスの咥えている煙草へと、火が移される。
「たまにはこういうのも良いだろう?」
と、珍しく悪戯っぽい笑みを浮かべるシェリル。
素面のはずだよな・・・と、呆然としつつ息を吸い込んだルクスは、次の瞬間に激しく咳き込むことになる。
見渡せば、一面の緑が。
見上げれば、何処までも広がる青空が。
飽きれる程に美しいその光景の中、紫煙が2本立ち昇っていた。
作者:前条さん