サイドストーリー

標的
 それから1ヵ月後・・・。

俺は任務に出ていた。
クレストからの依頼で、内容は
「我が社の研究施設がACによる襲撃を受けています。MT部隊を送り込んでいますが、全滅も時間の問題です。
大至急救援をお願いします。」
というものだった。
任務でのAC戦を経験したことの無かった俺は、AC戦への期待と恐怖を抱き、出撃した。


 研究施設に到着した。
俺は奥の部屋で待機し、そこでACを足止めする手筈になっている。
重要物資を運び終えるまでの時間稼ぎをするだけで良いそうだ。
外では戦闘中らしく、銃声や爆発音が響いている。
やがて、部屋内にACが入ってくる。

「来たな・・・。」

敵は少し驚いているようだった。
奥にACがいるなんて思わなかったのだろう。

「任務なんでな、死んでもらおう!」

そう言って、肩のミサイルを発射した。
相手が何か通信しているようだったが、俺は気にせず、すぐにマシンガンを放った。
すると、相手は既に相当のダメージを負っていたらしく、ACは爆発していった。

「うっ、うわあぁぁぁぁ・・・!」

ACは消滅し、残骸と化した。

「任務完了か・・・。」

俺は簡単な任務だった、と思い、帰還した。
敵ACはもう1体いたらしく、俺が帰還した後数分後に施設からACが出てきたそうだ。


 それから1週間後。
俺はいつものようにメールを確認していた。

「受信メール1件・・・任務依頼か。依頼者は・・・瀧!?」

俺はすぐに内容を見る。

「俺はMT部隊殲滅の依頼を受けた。だが、その部隊は数が多い上にACも確認されていて、1人では苦戦必至だ。
そこで、その任務に同行していただきたい。任務依頼と言うよりは僚機依頼に近い。では、よろしく頼む。」

俺は場所を確認し、任務へ向かった。


 作戦区域に到着した。
が、そこにいるのはACが一機だけで、部隊の気配は無い。

「やっと来たか・・・。」

そこにいたACから通信が入る。瀧のようだ。
だが、前の任務の時とは、雰囲気が違う。

「おい、MT部隊は何処だ?まさか1人で殲滅してしまったのか?」

瀧はしばらくの間の後、話し出した。

「MT部隊など始めからいない・・・。」
「・・・何?」
「騙して悪いが、俺の復讐の為だ。死んでもらおう・・・。」

俺がしばらく考えていると、

「何故俺がお前を殺そうとしているか分からないようだな・・・。」
「ああ、当然だ。いきなりそんな事言われてもどうすれば良いか分からん。」
「そうか、ならば説明してやろう。」

瀧は、話し出した。

「お前は『ハンク』というレイヴンを知っているか?」
「ああ、確かアリーナで上位だったな。」
「ハンクは俺と同期のレイヴンでな、俺の相棒だった。」
「で、そのハンクさんがどうしたんだ?」
「この前、ハンクは殺された・・・。」
「・・・で?」
「あいつは『タンクACだ』と言い残した。それで、俺は犯人をタンクに絞り、情報を募った。」
「で、出てきたのが俺だ、と言うわけか。」
「そうだ。ま、そういう事なんでな、おとなしく死んでくれや。」

そう言い、瀧はOBで突っ込んできた。

「お前もハンクの受けた痛み、苦しみ、そして俺の怒りを受けろ、そして死ねぇぇぇ!!」

俺は勝ち目が無いような気がした。
相手は俺を殺す気で来る。
しかし、俺も黙って死ぬわけには行かないし、もうMT時代のように弱くは無い。

「面白い、俺の腕で何処まで通用するか、試してみるか・・・!」

・・・戦いは始まった。
一方は「標的」への復讐のために。
もう一方は自分の「目標」を超えるために。
作者:瀧さん