サイドストーリー

格納庫の傭兵 T〜迫り来る憎悪〜
「オーライ、オーライ!!」
ここは地下都市≪レイヤード≫の第1都市区の中にある大型格納庫。ここはさまざまなものが格納されている。
MT乗りはMTを、レイヴンはACを、企業の社員は重要物資を。もうこの≪レイヤード≫には欠かせない場所となっている。
しかし最近では格納庫を襲撃して物資やMTを奪う犯罪が増えてきた。ひどい場合には格納庫を爆破していくケースもあった。
そんな危険と隣り合わせで働いているのが俺だ。俺の名前はロストマン・アーキュレイ、職場の同僚からはロストと呼ばれている。
格納庫の仕事をやってると意外と有名なレイヴンなどを見かける場合がある。
今日も3人で依頼をこなすB・C・Gを見かけた。彼らはいつもここの格納庫を利用している。
今ではもう話をする仲にまでなっていたりする。
「ロストさん今日もお仕事ご苦労様です〜。」
きさくに話しかけてきたのはコールハート、俺より2つ年下であるがその若さでレイヴンという資格を持っている。
俺もレイヴン試験は合格したが、つい1年前のことである。
格納庫の仕事に就くにはレイヴンの資格がないとできない。どういう理由だかはわからないが・・・。




「おい!てめぇ耳がついてねぇのか!?金を出せっつってんだよぉ!」
格納庫のどこからか怒鳴り声が聞こえる。あたりを見回すと隅で大柄の男が一人の青年の胸倉を掴んでいた。
誰も助けようとはしていなかった・・。すると大柄な男は青年を殴り飛ばした。
「ん、喧嘩か?俺が止めに行ってやる。」
そう言ったのはB・C・Gのリーダー的存在のゲドだった、俺の1つ年上だ。さすがにお客さんを喧嘩の仲裁に行かせるわけにはいかない。
「いや、俺が行きますよ。ここで働いてるものなんで。」
正直、格納庫でのトラブルは少なくない。ちょっとささいなことで殴り合いを始める場合もある。
「あの、申し訳ないですが何があったんですか?」
大柄の男に尋ねてみた。すると大柄な男は青年がぶつかってきたと主張している。青年は必死に謝っていた。
「よくあることですし、謝ってくれてるんで許してあげましょうよ。」
俺は笑顔で言ってみせた、がそれくらいで怒りがおさまる奴は少ない。すると男は俺の言葉も無視し倒れてる青年を蹴り飛ばした。
青年が腹をおさえて苦しんでいる。さらに青年を無理矢理起こして顔面を殴ろうとしていた。さすがにこれ以上は見てるわけにもいけない・・・。
「これ以上、暴れていただくとこちらもそれなりの処置をさせていただきます・・・。」
俺は男の腕を掴んだ。男は腕を振りほどいてこっちに迫ってきた。野次馬も何事かと集まってきてしまった。
「うるせぇ!!ふざけたことぬかしてるとてめぇもボコボコにすんぞぉ!!!」
ここまでひどいケースは初めてだ。もう呆れてしまう・・・。
「・・わかりました。こちらもそれなりの処置を。」
俺は男の腕を掴んでそのまま壁に投げつけてやった。男は何が起きたのかわからず一瞬とまどっていた。
しかし男はまた俺に殴りかかろうとしていた。俺から見たら素人同然の動きだった。俺は普通に避けてついでに足を掛けてやった。
男はそのまま倒れて野次馬の一人に突っ込んだ。その野次馬の一人は持っていたコーヒーを落とした。男はコーヒーまみれになっていた。
「あ、すいませ〜ん。手がすべっちった。」
それを聞いた他の野次馬達が大笑いをしていた。

「・・・どいつもこいつも俺をなめやがってぇぇぇ!!!」
男が遂にキレてしまった。手にはナイフを持っていて今にもそれを振り回そうとしていた。
「あちゃ、そんな物騒なモノこっち向けんなよ。」
野次馬の一人はそう言うと男の右腕を払いナイフを取り上げた。
「ぐ・・・くそが!おぼえてろよ!!」
男はあっさりと逃げてしまった。その男の後ろ姿を見て野次馬達はまた大笑いしていた。
「ありがとう・・と言いたいとこだがあまり無茶しないでくれ。俺はここで働いているから俺に任してくれればいいよ。」
さっきの野次馬の一人に一応話しておいた。
「あ、勝手なことしてすいません、ロストさん。」
彼は素直に謝った。彼の名前はブラス、B・C・Gの中では一番の明るい性格のやつだな。しかし相変わらずの護身術の腕だ。
彼は大体格納庫だとACのコクピットの中で熟睡しているから運動不足だと思っていたが昔から護身術を独学でやっていたらしい。
ちなみに俺の場合護身術はレイヴンになる際、強制的に身につけられたと言ってもいいだろう。正直、俺は体をあまり動かさないほうだし。

「おいブラス、早くこいよ〜。アステカさんが待ってるぞ。」
コールの呼ぶ声に気づいたブラスは慌てて走って行ってしまった。




「あ・・あの、さっきはありがとうございました・・。」
俺に話しかけてきたのはさっきの青年だった。俺は怪我してるか聞いてみたけど大丈夫だったらしい。














「がぁぁぁぁ!!!あのクソ野郎どもめ!!」
格納庫の裏路地でさっきの大男がキレていた。壁を蹴飛ばし暴れていた。そこへ一人の男が現れた。
「そんなに憎いのか・・・・?」
男はじっと大男を見つめていた。すると大男の怒りがしずまっていった。
「・・あんたは一体なんだ?」
冷静になった大男が問う。
「・・・・俺は心を歪ます者・・・。」
男の意味不明なことに大男は笑っていた。
「何言ってんだよアンタ。笑っちまうぜ。」


「俺はお前をずっと見ていたぞ。あいつらが憎くないのか?お前を馬鹿にした奴らが憎くないのか?」
男の問いに大男はうなづく。
「ああ、そうだ・・あいつら・・絶対に殺す!!!!」
まるで大男は操られているようだった。
「そういえば名前を聞いてなかったな?いやあててやるよ・・・
 ふむ、アサイラムと言うのか。もしあいつらが憎いならあいつらを殺せ。ACを使ってな。」

「ああ、わかったぜ。アンタのおかげで踏ん切りがついた。アンタの名前は?」






「・・・・・・ファルゼンだ・・。」













「とりあえず、今日の仕事はこれで終わりかな。そういえば今日は給料日だったな。」
そんなことを考えていながら、中にある事務所で着替えていた。
「おいロストマン、今月もお前はよくやってるから少しだが給料上げといたぞ。」
俺に話しかけてきた人はここの格納庫を管理しているトロードさんという人だ。まあ普通の企業でいう社長にあたる存在だ。
実は俺はトロードさんにレイヴン試験の時、格納庫の仕事に誘われたのだ。まあスカウトと言ってもいいのかな。
「あ、毎回毎回そんなにいいですよ。俺はすることはただやってるだけですし・・。」
最近格納庫襲撃事件などで売り上げが落ちているのになぜか俺は給料が少しづつ上がっていく。
「じゃ後は俺が見回りするからお前はもう帰っていいぞ。」
トロードさんはいつも最後に格納庫の見回りをしていた。
「わかりました、お疲れ様です。」


俺はその場をあとにして近くの飲食店に入った。




「あ、ロスト。今、仕事が終わったのか?」
店に入ろうとした時、一人の男が声をかけてきた。
「お、トーメントどうしたんだ?」
俺に話しかけてきたのは同じ格納庫の仕事で働いている同僚のトーメントだった。今日は仕事は休みだったらしい。
「ちょっとコーヒーでも飲もうかと思ってさ。ロストは飯だろ?」
トーメントはいつもこの時間くらいになるとこの店でコーヒーを飲んでいる。
とりあえず俺達は店に入った。

しかし、このあと俺達に緊急事態がおとずれてしまう。































格納庫を睨みつけるACが1機・・・・。

「ククク・・あいつら全員皆殺しだ・・・ハハハハ!!!」
作者:RYOSUKEさん