サイドストーリー

番外編 戦う理由…その3 裕紀、義大…出会いと別れは唐突“だった”
 家でボーッとパソコンのディスプレイを眺めている義大…すると
義「ん?裕紀からか。えっと、内容は…」
 裕紀からメールが届いていた。その内容は…
“面白いもん見つけた。昔の写真とか。今すぐ来い”
 といった簡単なものだった
義「やれやれ…いっつも唐突だな。さてと、行くか」
 そう言って席を立つと家の出入り口の方に向かって行く
義「あっと忘れるところだった…父上、母上、藍華、麗華、行ってきます」
 仏壇の前で正座をして両手を合わせる。裕紀の家に行くときにいつも行っている事だ
 
義「裕紀、来たぞ」
裕「おう、来たか。まぁ適当に上がってくれ」
 義大が玄関に入ると奥の方から裕紀の声が聞こえてくる
義「それじゃお邪魔します。…っと、裕紀、ちょっと親父さんに挨拶したいんだが…」
裕「あぁ、おれはもうちょっと整理しとくから…頼むわ」
義「…よっこいしょ。裕紀の親父さん、久しぶりです」
 義大は再び正座をして両手を合わせる
裕「わりぃな。おれが呼んだのに待たせて…まっ、こっちにきてくれ」
 すると、裕紀が呼びにやってきた。
義「ん?今日は雛子ちゃんが見当たらないけど…」
裕「あぁ、あいつは今日ちょっとお出かけだ。だから気がねなく昔の写真が見れるぞ」
義「わかった。んじゃ、見せてもらおうかね」
 
裕「お〜お〜、この写真…幼稚園のころのやつだ♪なつかし〜」
 そこに写っていたのは水鉄砲を持った幼いころの2人の写真だ
 裕紀は比較的小さめで連射のききそうなものを、そして義大は少し大きめでいかにも
 遠距離からでもとどきそうな感じのものだった
義「…今思うとこのころは何かと喧嘩してばっかだったな」
裕「あぁ、たしかこんな感じだっけ?」
 
???「おい、なんでおまえはこんなところでひとりであそんでるんだよ」
 1人の少年が部屋の隅で積み木で遊んでいる少年に話し掛けている…
 話し掛けにいった少年の名札にはひらがなで“いしはら ひろき”と書いてあった
???「…うるさい。きがちるだろ…むこうにいけ…」
 積み木で遊んでいる少年の名札には“みなもと よしひろ”と書かれてある
 そう…この2人が幼いころの裕紀と義大の姿であった
裕「なっ!なんだよ!!ひとがこういではなしかけてやってるっていうのに!!!」
 あからさまに挑発的な返答に怒り出す裕紀
義「ふん…こういのいみをしってるのか?」
 会話はしているものの、義大は裕紀の方を見ようともしない
裕「う…うるさい!おまえ、ちょっとこいよ。おれがボコボコにしてやるから」
義「…そういってすうにんでじぶんをかこんでいじめるきだろ…」
裕「おれはそんなひきょうなことはしない!いったいいちのしんけんしょうぶだ!!」
 
義「なつかしいな…んで、初めての喧嘩は引き分けに終わったんだっけ?お互いに
  水浸しになって、親に叱られて…」
 義大は写真を眺めてそうつぶやく
裕「今思い返すとこの水鉄砲の時から性格出てるんだな〜。おれのACの装備されて物に
  そっくりだ」
義「それより…雛子ちゃんに初めて会ったときはびっくりしたぞ」
裕「あっ?えっと…どんな感じだったっけ?」
義「たしか…」
 
義「裕紀、今日の用事とは何だ?」
 珍しく裕紀の家に呼ばれた義大。裕紀の親は今仕事の関係で家を留守にしている
裕「ちょっと紹介しとこうかと思って…お〜い、雛子もこっち来いよ」
 今度は裕紀が奥に向かって声をあげると少女が1人小走りでやってきた
雛「アニキ〜、よんだ?」
裕「呼んだ呼んだ。義大、こいつが俺の妹の雛子だ。ほれ、この前話した奴だよ」
義「――?あぁ、そういえば手のかかる妹が1人いるって言っていたな」
裕「そうそう…こいつってばホント、手のかかるやつでこの前なんて駅でお――ぐあ!?」
 裕紀が何かを言いかけると…雛子は裕紀のすねを容赦なく蹴り上げていた
雛「アニキッ!それ以上言ったらこんなもんじゃすまないからね!!」
 雛子が罵声を浴びせるものの裕紀はまだすねを押さえていて雛子の方を見れないでいた
 …よほど当たり所がよかったのだろう…
義「あっ…えっと…雛子…ちゃんでいいかな?初めまして」
 そんな光景を見て義大は少し引きながらも雛子に話しかける
雛「え…あ、はい。初めまして、源さん…ですね。うちの“クソアニキ”からいろいろ
  聞いています」
 クソアニキの部分を強調してとりあえず初めてのあいさつをかわす雛子
 これが、雛子と義大の初めての接触であった
 
裕「あ〜…あの時はやっぱびびらしちまったか?あいつ、あの時なんか反抗期だった
  みたいでな…まぁ、そんな感じだったよ」
義「ふぅ…あれはさすがに誰でも驚くだろ。…ん?この写真は」
裕「あぁ、これはおれ達2人の家族全員で出かけた時に撮った写真だな」
 次の写真を見ると、2人の親の間に裕紀と義大、その下に雛子ともう2人、雛子と
 同じ位の歳の女の子が写っていた
裕「お前の家族と初めて全員で会った時の――あっ…」
 珍しく裕紀は失言をしてしまった…と言わんばかりに口をふさぐ
義「藍華に…麗華…そうだ…この写真が最後のなんだよな…」
裕「…すまん…嫌な事思いださしちまって…」
義「いや、いいんだ…つらいのはお前も同じだしな…自分に気を使わなくても大丈夫だ」
裕「でもよ…失ったものはお前の方が大きいんだぜ。…こんな時くらい気ぃ使わせろよ」
 
義「よう、裕紀」
 とある街のデパートの5階で義大が裕紀を見つけて呼びかける。幼稚園での事から
 2人は親交を深めており、この日は家族全員で買い物に出かける約束をしていた
裕「うっす、義大。…あれ?後ろの2人は…例の妹さんか?」
義「あぁ、そうだ。麗華、藍華、前から話している自分の友の裕紀だ」
藍「初めまして裕紀さん。わたしは藍華っていいます。ほら…麗華もあいさつ」
 義大に促されて藍華の方が裕紀の前までくるとペコリと頭を下げる
 続けて藍華がまだ義大の後ろにいるもう1人の方に声をかけると…
麗「あ…あたしは…麗華…よろしく…です」
 少しはにかみながら麗華がやっと義大の前に出てきた
裕「雛子、ほれ…こっち出てこいよ」
 裕紀の後ろから雛子が顔だけのぞかせる
雛「……」
裕「なに珍しく緊張してんだよ。ったく、だからお前はまだ子供なんだよ。この前だって
  幼稚園のトイ…ぐほぁ!?」
雛「ア〜ニ〜キ〜!…それは言わない約束でしょ!!」
 裕紀が何かを言いかけたと思った次の瞬間には雛子の少女とは思えないほど綺麗な
 ミドルキックを裕紀のわき腹へ叩き込んでいた
麗「あ…そ、その…」
義「藍華も麗華も…ほら、同じ位の歳だから仲良くしなよ。さ、2人とも…あいさつ」
 その光景を見て少し苦笑しながらも2人にあいさつをするよう促す
藍「あ…あの、わたしは藍華って…」
雛「あっ、うん!よろしくね♪あたしは雛子っていうんだ♪」
 先ほどのやり取りで緊張が解けたのか藍華が言い終わる前にそう言って雛子は
 2人の手を握る
雛「あたし、今まで同じ位の子と遊ぶ事あんまりなくて…嬉しいな♪」
麗「こ…こちらこそ…よろしく…です」
 その底抜けな明るさに戸惑いながらも麗華は手を握り返す
雛「うん♪」
 
裕「んじゃ、あいさつもすんだし…ゲーセンいこ〜♪」
義「…妙に楽しそうだな、裕紀」
裕「だってよぉ、こんなにでかいゲーセン来る事なんてめったにねぇじゃん」
義「はぁ〜…やれやれ」
雛「ア〜ニ〜キ〜、恥ずかしいってば。源さんもそういうことが言いたかったんだよ」
 今までにない位のはしゃぎっぷりの裕紀を見て雛子は少々あきれた様子だ
雛「それに引き換え…源さんは落ち着いてるね〜」
藍「ふふっ…あんなに楽しそうな兄上は裕紀さんの話しをしている時と同じくらいですよ」
麗「うん…兄ちゃんが…人前で楽しそうにしてるのも…珍しいって…母さん達が…」
雛「ふ〜ん。あれで…ねぇ」
 不思議そうに裕紀と義大のやり取りを雛子は見てみる
藍「兄上は…家だとほとんど…笑わなくて…」
雛「へ?なんで??」
麗「そ…それは…ちょっと…」
 雛子の質問に思わず口ごもってしまう麗華
雛「あっ、言いたくないなら別にいいよ…初めて会ったのにちょっと失礼だったかな…?」
義「お〜い、3人ともどうしたんだ?早くしないと裕紀においていかれるぞ」
裕「親父達が買い物終わるまでが勝負なんだからな」
雛「はいはい…それじゃ行こう♪藍華ちゃん、麗華ちゃん」
 雛子が藍華と麗華より一足早く裕紀達のほうに走っていく

 この…ちょっとした行動の違いが命運をわける事になるとは誰も予想していなかった…

藍「はい♪麗華、わたし達も行き…!?あぁぁぁ!?」
麗「や…いやぁぁぁ!?」
雛「ひゃん!?」
 急に建物全体が揺れたと思ったら…裕紀達のいる方向に雛子が飛んできた
 そして雛子が飛ばされた後ろには少女が飛び越えられない程の大きな亀裂ができていた
義「なっ…藍華!!麗華!!」
 亀裂の向こう側には…藍華と麗華の姿が見えた…
藍「あ…兄上!」
麗「う…あ…に…兄ちゃん!」
 …亀裂の向こう側…つまり藍華と麗華のいる所の床が嫌な音をたて始めた
義「まってろ!今、そっちに行くからな!!」
裕「まて!お前、死ぬ気か!?」
義「うるさい!藍華と麗華が向こうにいるんだ!!おれが…おれが行かないと!!!」
 いつも義大は自分の事を『自分』と言っていたのにこの時だけ、『おれ』と言っていた
 この事から義大が本気で動揺している事が見て取れる
 今にも飛び出して行きそうな勢いの義大を必死になって裕紀が止める
藍「…兄上…来ては…いけません…絶対…に」
義「何を言っているんだ!」
麗「こっちは…もう…ダメ…だから」
 嫌な音がいっそう大きくなり…
義「藍華ぁ!!!麗華ぁ!!!なんで…こんな事が起きるんだよぉッ!!!」
雛「そ…んな!せっかく…せっかく友達になれたのに!やだ…やだよぉ…!!」
裕「くっそぉっ!崩れるのか!?義大!それ以上前に出るな!!巻き込まれるぞ!!」
 義大達がいる場所を残して地上へと落下していく
 最後に見えた藍華と麗華の表情は…微笑でいた…
 
義「…あの時は…」
 義大の写真をもった手が小刻みに震えている
裕「おれが…先を急ぎすぎなきゃよかったんだ…おれの…責任」
義「そんな事はない…あぁ、そうとも…そんな事を言うつもりは…毛頭ないとも」
裕「…この3日後…通夜だったんだよな…でも、見つかったのはおれの親父と母さん…」
義「それに自分の母上に父上だけ…藍華と麗華は見つからなかった」
裕「んでもってその時、澄子おばさんが声、かけてくれたんだよな」
義「自分達に…レイヴンにならないか…って」
裕「急にそんなこと言われるとは思わなかったし…だけどあの時のおれは
  ある意味チャンスだと思ってた…」
 裕紀が拳を握り締める
裕「あの時はただ、あの市街地戦をした奴を殺す事が目的だったのにな。…今では
  他に目的が出来ちまってる」
義「そうだな…お互い、守るべき人がいるから…」
 そんな話しをしていると…玄関から声がしてくる
雛「たっだいま〜♪」
 1人はいつもどおりの明るく元気な声で…
ちか「お邪魔するよ…」
 1人は少し小さめだがハッキリと芯のとおった声で…
守「こんにちは〜。お邪魔しま〜す」
 1人は男の子っぽく聞こえる声だが、どこか少女を思わせる声で…
義「裕紀、お客さんみたいだな」
裕「あぁ、さっさとコレ片付けようか」
義「…お互い…頑張ろう…」
裕「おう、しっかりと守ってやらないと…」
裕・義「「あんな思いを…もう2度としないように…」」
 
                 番外編 その3“裕紀”“義大”編 FIN

オマケ みんなの年齢について
 
裕「そう言えばさぁ、おれ達って結局歳いくつ位なんだ?」
雛「ふぇ?…えっと〜知らないよぉ…」
義「…今までツッコミが無かったから…」
守「こんな事全然気にしなかったよね」
千「…で、今回はそれの発表…とゆうわけか?」
辰「そうゆうことだな」
咲「うっわ〜…知られちゃ困る人もいるのに理不尽にみんなの年齢が明かに…」
鞠「…知られちゃ困る人…って、誰のことですか?咲耶さん…?」
春「ほんと…いったい誰でしょうかね…さぁ、答えてください」
鞠・春「「さぁ!」」
辰「ん、なんだ?お前等、知られちゃこま…ぐふおわぁ!?」
鞠「そうゆう発言は控えてください!…まったく、デリカシーのない…」
春「今回ばかりは鞠絵さんに賛成ですね…」
努「と、とにかく発表!」
 これが今まで出てきた全員の年齢表です!!!

稲垣 努…19歳(まぁ、社会人とゆうことで)
 
稲垣 咲耶…15歳(やっぱり努より年下かな…)
 
鳳城 鈴凛…19歳(努と同い年…付き合うくらいだしこれくらいの歳じゃないと…)
 
海神 航…18歳(なぜかこの年齢になってしまった…)
 
水無月 可憐…享年18歳(1年前に死んでしまったので享年です)
 
総持寺 辰也…18歳(若すぎるのもなんだしね…)
 
志藤 鞠絵…20歳(なんだかんだ言って、いつものメンバーだったら最年長)
 
竜宮 春歌…17歳(…鞠絵ってこの年齢と争ってるのか…ガンバッ!)
 
秋口 千影…16歳(まだまだ現役です…ん?何がって…ご想像にお任せしますよ♪)
 
石原 裕紀…16歳(千影と同い年くらいじゃないと…性格が合わん)
 
石原 雛子…12歳(行動、口調どれを取っても最年少とゆうことで)
 
源 義大…16歳(やっぱ裕紀と同い年だね。それにこいつもこれく位じゃないと…なぁ)
 
草壁 守…15歳(一回裕紀が手出したらやばい年齢って言ってたし)
 
草壁 静馬…20歳(なんと守と5歳も違う…けっこう離れてるな…)
 
天使 聖…16歳(…1話しか出てないけどとりあえず…)
 
天使 四葉…15歳(守と気が合うからやっぱり同い年でしょ)
 
水谷 舞…19歳(なにせ婚約ずみですから…)
 
四天王寺 伸次…19歳(レイヤードに住んでる奴って若い内から結婚考えてるんだ…)
 
四天王寺 忍…14歳(うわっ…ちょっと年齢離れすぎ…)
 
努「…これで全部だな?」
咲「多分ね…それにしてもかなりの人数だったね」
辰「お、おい…鞠絵…」
鞠「言わないで下さい…何も…」
辰「あ、あぁ…春歌…鞠絵に対して何も言うな…絶対にだ…!」
春「は、はい…わかりました」
裕「まぁ、おれ達は実年齢だな」
聖「そうみたいだが…」
義「自分以外はまだ誕生日…」
雛「源兄ぃ、そ・れ・は、言わない…」
四「約束デス♪」
努「まぁ、そんな感じでかすかな疑問その@…終了〜ってな訳で…」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「また、戦場で会おう…」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
努「ん?今、可憐がいたような…」
咲「気のせいよ、気のせい…」
                  かすかな疑問その@…終了!
作者:キョウスケさん